イヌにも感情がある、MRIで確認

スイス、チューリッヒ大学の研究者らはイヌが人間をだますような行動をとることがあるかどうかについて研究を行ったところ、自分に好意を持っていない人間の注意をそむけさせ、そのすきに自分に好意を持っている人間からエサをもらうように振る舞うことが観察されました。つまり、自分をかわいがってくれる人の機嫌は取り、自分をかわいがってくれない人は欺こうとする行動を取ることがわかったのです。その他、イヌは明確に人間に指示を出されなくても、その場の状況を判断して的確に行動する推論能力があることや、非協力的な人間を嫌うことを示した研究もあります。

イヌと暮らしている人にとっては、イヌに感情がある、ということは当たり前すぎる事実だと感じられますが、イヌに感情があることを科学的に証明することは非常に難しい問題です。

米国エモリー大学の研究者らはMRI(磁気共鳴画像装置)でイヌを検査したところ、イヌはごほうびがもらえると期待した時には脳の尾状核という部位で、快楽の神経伝達物質ドーパミンに関係する細胞が活発に活動することがわかりました。  飼い主は、イヌにエサをあげる時や、頭をなでる時にイヌが反応するため、それを感情と考えますが、科学的には報酬に対する単なる反応であると考えることもできます。

イヌで感情を確認するために、食べ物をあげる場合と単に褒める場合で脳の反応を比較しました。その結果、大半のイヌは、食べものと褒められることの両方に、同じ程度の反応を見せました。つまり、イヌはモノにつられない、人間とよく似た愛情のような感情を持っているようです。


スポンサーサイト
2018-01-30 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

イヌの歯の再生実験に成功

岡山大学の研究者らが理化学研究所と共同で、イヌの歯を再生する実験に成功しました。この研究は将来iPS細胞などから人の歯を再生する歯科治療などにつながると期待されています。  

研究チームは、生後30日のビーグル犬の子犬の乳歯の下から将来永久歯に成長する2種類の細胞を取り出し、これを組み合わせて培養して増やし、同じ子犬のあごへ戻す移植実験をしました。  

半年後には通常と全く違いの無い歯に成長し、あごの骨ともしっかりと結合していました。これまでマウスで歯を再生した実験はありましたが、マウスはげっ歯類で人間とは歯の生え方が異なります。イヌの歯は人間に近いので、イヌで歯の再生実験に成功したことで、今後、人の歯の再生治療も実現する可能性が高まりました。


2018-01-30 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

イヌが人懐こくなった理由は難病遺伝子

米国リンストン大学の研究者が、自身の飼いイヌの遺伝子型を調べる研究を行いました。

遺伝子的にはイヌとオオカミは近縁種です。一方で、イヌは人なつっこいですが、オオカミは人にはなつかず性格は大きく異なります。今回の研究で社交的なイヌでは、GTF2IとGTF2IRD1という2つの遺伝子に変異があることが明らかになり、この遺伝子の変化が人なつっこさを生み出している可能性が示唆されました。人間においてこれらの遺伝子変異は、ウィリアムズ症候群の原因とされています。

《ウィリアムズ症候群》 1961年に初めて報告された患者数の少ない珍しい遺伝子疾患であり、神経発達症に区分されます。妖精のような、と例えられる独特の顔つきを示します。 知能低下はありますが。言語は比較的良好で、むしろ知らない人にも陽気に多弁に話しかけます。発症率は1~2万人に一人です。治療法は存在していません。  

つまり、イヌが人なつっこいのは、人間におけるウィリアムズ症候群によるフレンドリーさと元は同じ、ということです。 この遺伝子変異がイヌに生じたのは1万年前頃と考えられています。おそらくは人間が自分になつくイヌを選択的に飼育し、結果として繁殖上で野生のイヌよりも有利になった結果、愛玩動物として改変された可能性があります。


2018-01-30 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

珍渦虫(ちんうずむし)

筑波大学、国立遺伝学研究所、北海道大学、東京大学の研究グループは、西太平洋の日本近海で初めて、珍渦虫を採取することに成功し、それが新種であることを明らかにしました。

珍渦虫は1878年に初めて採集され、1949年に科学的に報告された珍しい海生生物で、脳などの集中神経系、肛門等を欠いた非常に単純な体を持っています。その後、2016年にアメリカ・メキシコ西海岸の東太平洋で4種の新種が報告されました。身体の長さは発見された場所により1センチから20センチと大きな幅があります。

生命として最低限の機能を持つ珍渦虫の単純な構造は、多くの動物の共通祖先の特徴を残している可能性があると考えられています。そのため、珍渦虫の研究をすることが、ヒトも含めて、現在生きている動物の起源や進化過程の解明につながると期待されています。しかし、珍渦虫はこれまでに全世界で5種しか報告されておらず、また、そのほとんどの種は採取が困難であるため、実験動物として扱いづらく、研究が進んでいないのが現状です。

成長の過程も不明で、生物系統的にもクラゲなどに近い原始的な動物であるという説と、現在生きている全動物の中で、ヒトを含む脊索動物に比較的近縁であるという説があり、どちらが正しいか、まだ解明されていません。

日本で採取された珍渦虫の体の構造を調べたところ、これまで珍渦虫から報告されていない新しい器官を発見しました。日本の2個体では前端に小さな孔が開いており、そこから後方へと続く構造が存在することが発見されたのです。この構造はこれまで発見された珍渦虫にも存在しているものでした。

珍渦虫(ちんうずむし)

こちらは珍渦虫に似ている山口県下関市のおかし「うにパイ」
うにぱい

ちなみに珍渦虫はヴォイニッチの科学書第439回、2013年4月6日号でも紹介していますので、採録します・・・当時はまだヨーロッパの海でしか発見されていない未知の生物でした。

ヴォイニッチの科学書 第439回 珍渦虫 2013年4月6日配信

珍渦虫はヨーロッパの海底だけで発見されている少数派生物です。目や生殖器官にような器官はなく、非常に単純な構造の体をしています。成熟しても体長は1~3センチメートル。見た目はゾウリムシを楕円形にしたような形です。分類上の位置づけは長年定まっていませんでしたが、最近はヒトを含む脊索動物門に比較的近い新しい動物門に分類する動きが出ています。

1878年にスウェーデンの海底の泥で見つけられたのが最初の1匹ですが、当時は成長の様子も全くわかっていませんでした。 筑波大学らの国際研究チームは、珍渦虫を繁殖期にあたる真冬にスウェーデンの西海岸の海底100メートルの泥から採取し観察を行いました。現地の海水を入れた水槽で飼うと、多数の卵と幼生のような9匹を発見することができました。発見した生物が珍渦虫の幼生であることは遺伝子解析で確認されました。幼生を発見したのは世界で初めてのことでした。

また、遺伝子解析も行いました。 幼生は楕円形で0.2ミリメートル程度。中枢神経、口、目、感覚器官、手足、腎臓などの内臓などは無く、体の表面にある繊毛を使い、回りながら泳いでいました。筋肉細胞や神経細胞は少ないものの成体とほぼ同じ位置に見つかりました。成体には口と行き止まりになった袋のような腸があります。生殖方法は不明です。 幼生は5日ほどたつと、筋肉を使って体を伸縮させたり水槽の底をはったりするようになりましたが、エサは食べず、卵の栄養を体内に蓄えて育っていました。幼生には口はなく、成体には口があって口に泥をふくんで栄養分だけを取り込んで生きていると推測されました。

幼生は8日ほどで死んでしまいましたので、口がどのようにしてできるのかは謎です。こんな単純な生物に進化生物学者が興味を持つのは、珍渦虫の研究が動物全体の共通祖先の解明につながる可能性があるからです。珍渦虫の成長過程から「人の遠い祖先も珍渦虫のように単純な幼生だった可能性があります。


2018-01-18 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

人工発酵

お酒やナタデココなどの発酵食品は、微生物が持つ酵素によって発酵で作られています。近年は発酵生産技術を拡張し、医薬品やバイオ燃料を合成しようとする分野が盛んになってきています。ですが、発酵は生物の営みですので、合成途中に微生物が死んでしまう問題や、何ができるかは生物次第という難点がありました。

慶應義塾大学の研究者らは、酵素を人工細胞(脂質二重膜小胞)に置き換えても効果的に化学変換が可能であることを示しました。今回の研究では納豆菌由来の酵素と、テキーラ醸造菌の酵素、そしてパン酵母の酵素を組み合わせた人工細胞で、乳酸からエタノール、つまりお酒を合成するという自然界にはない化学反応を実現しました。 人工細胞を用いた化学変換では10日間の反応で0.5%アルコールのお酒ができました。1%を超えると酒類として認定されます。


2018-01-18 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

フライト中にヒビを治すエンジン

物質・材料研究機構と横浜国立大学の共同研究チームが、人間の骨が自然治癒することにヒントを得た、き裂を速やかに自己修復する自己治癒セラミックスを開発しました。セラミックス内に「自己治癒エージェント」と呼ばれている元素の異なるセラミックスを分散させた構造をしています。

き裂が発生すると、自己治癒エージェントが外気の酸素と酸化反応し、生成した酸化物がき裂を完全に充填・接合し、強度を完全に回復することが可能です。セラミックスは高温に耐えるためジェット機やロケットのエンジン部材として期待が高い素材ですが、割れやすく信頼性が低い点を改善することが重要な課題でした。 同様の性質を持つ複合材料はすでに開発されていましたが、新材料はこれまで存在した自己修復能力を持つ複合材料よりも6万倍速い1分でき裂が自己修復されます。  

今後は新素材の産業界での実用化を加速するために、必要なデータベースの整備を推進するとともに、組成・組織・使用条件から治癒速度を予測可能な計算プラットフォームの開発が進められる予定です。


2018-01-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

ぜんそく遺伝子の発見

理化学研究所の研究チームは「国際共同研究トランスナショナルぜんそく遺伝学コンソーシアム」に参画し、新しいぜんそく関連遺伝子や、ぜんそくと免疫系との関係などの手がかりを発見したと発表しました。

ぜんそくは多くの原因が複合的に関係し合って発症する多因子疾患です。ぜんそくの罹患(りかん)率は、日本人では5~8%で、遺伝子の個人差によってぜんそくの発症率は1.5倍以上に高まると推測されています。ですが、遺伝子の個人差とぜんそくとの関係については不明な点が多く残されていました。

今回の国際的な共同研究では世界各国の14万人以上のデータを解析することで、ぜんそくのリスクとなる18の遺伝子領域と878の一塩基多型を見つけ出しました。 これらのぜんそく関連一塩基多型のリストを既存のデータベースと組み合わせて解析し詳しく調べたところ、自己免疫疾患や炎症性疾患の関連一塩基多型と多くのケースで一致していることが分かり、免疫の制御系とぜんそく発症との間には密接な関係があるらしいことも示されました。  

これらのデータを活用し、今後はぜんそく発症の詳しいメカニズムの解明や、メカニズムに関連した分子ターゲットの発見によって、ぜんそくに効果的な薬の創薬につながると期待できます。また、発見された一塩基多型は、ぜんそくの発症リスクを予測する疾患遺伝子マーカーとしての活用が考えられます。


2018-01-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

培養肉

肉は動物を屠殺して食用にするのですが常識ですが、2030年には培養肉が一般的になっていて、牧草地が無くてもビルの中の培養室で野菜工場で野菜が造られるように、焼き肉やステーキ肉ができる、かもしれない、と考えている技術者もいます。  

世界各国のベンチャー企業で培養肉の研究が盛んですが、日本でもインテグリカルチャー社 と東京女子医科大学が培養肉を効率良く生産する細胞農業技術の確立を目指しています。 培養肉は有精卵から肉として育てたい特定の細胞を取り出して培養液で増やし、肉の塊にしますが、このような培養肉の研究は再生医療に使用される細胞シートの研究との相性がよく、似た設備・研究環境で研究を進めることができます。  

当初、培養肉ハンバーガーは1個、3500万円もしましたが、インテグリカルチャー社は安価な成分の培養液(肉細胞を育てる栄養分)の研究を行っています。フォアグラの例では、触感や脂質はフォアグラそのものの培養フォアグラの価格を1.5グラム数万円と、海外品の10分の1程度に抑えることに成功しています。2030年代には通常の肉料理に使えるような価格の培養肉を作ることを目指します。

畜産は地球環境への負荷が大きいことが明らかになっていますので、地球気候変動対策としても培養肉の研究は重要です。また、人類が宇宙空間に長期滞在することが普通になった時代、宇宙船に肉培養装置を搭載したり、火星への移住に当たっては火星に肉培養工場を建設したりすることによって肉も自給できるようにする必要があります。  

スーパーの食肉コーナーで培養液や肉印刷用3Dプリンター用の肉インクが売られるようになって、サーロインの脂身の割合をどのくらいにするかを自宅で自由に決められるようになったり、肉培養キットが発売されて手作り肉が食卓に登場したりする時代も到来しそうです。  

ほほの内側の粘膜をかきとって、そこから肉が作れるキットが開発されれば「僕の遺伝子から作ったステーキをごちそうするよ、脂肪分たっぷりだよ」といったシチュエーションも登場するかもしれません。
培養肉


2018-01-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

太陽系外惑星探しもAIで

NASAによるケプラー宇宙望遠鏡の観測データ解析の結果、地球から2545光年離れた恒星「ケプラー90」と1100光年離れた恒星「ケプラー80」の周りにこれまで見落とされていた惑星が1つずつ発見されました。  

ケプラーは恒星の手前を惑星が横切る際にできるかすかな影による星の明るさの変化を観測していますが、光の変化が惑星によるものか、他の原因によるものかを見極めるのは高度な専門的技術です。 AIは、科学者が過去に判断した大量の観測データを学習し、惑星による明るさの減少を見分ける能力を身につけ、今回の2つの惑星を間違いないと結論づけました。

太陽系外惑星探しもAIで


2018-01-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

血液型と心筋梗塞リスク

微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染は、冠動脈疾患患者において急性心筋梗塞などの急性冠症候群を発症するリスクを高めると報告されています。米国インターマウンテン医療センター心臓研究所の研究によると例外的に血液型O型の人はこのリスクが低いようです。  

1993年から2007年のあいだに心筋梗塞などを発症して受診した患者1,285人の治療データとABO式血液型、受診時のPM2.5への曝露レベルの相関を解析しました。 その結果、O型の患者では有意なリスク上昇は無く、O型以外の血液型の患者ではリスクが25%上昇していました。

血液型占いはエンターテイメントですが、血液型の考え方は抗原抗体反応に関わる重要な生命現象が基本にありますので、今後も多くの疾患について血液型との研究が進むものと思われます。


2018-01-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
ホーム  次のページ »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -

QRコード

QR