ハイパーループその後

米国の起業家イーロン・マスク氏が開発中の最高時速1200キロメートルの超高速チューブトレイン「ハイパーループ」はニューヨークとワシントンの間を地下方式での建設を目指しています。この計画が実現すれば両都市間を29分で移動することができます。現在の列車では3時間前後を要します。  

このたび、カリフォルニア州のイベントで最新型のハイパーループが公開されました。計画では28人乗りとなる予定ですが、開発は着々と進んでいるようです。

ハイパーループその後

断面は軽自動車よりも小さなミニマムなサイズのチューブに着座して移動します。ビジネスクラスで4万円前後のこの区間、果たして料金はいくらになるのでしょうか。
ハイパーループその後


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2017-07-26 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

体内時計は、複数の遺伝子が活性を調節して睡眠覚醒のタイミング、ホルモン分泌のタイミングなどを1日周期で制御しています。

遺伝子活性リズムは化学反応です。化学反応の速度は温度が高いほど速くなり、10℃の上昇で反応速度は2~3倍になります。であれば、体温が低いときの変温動物は体内時計がゆっくり進み、病気で熱を出した人は体内時計が早く進むはずです。

ですが、体内時計のリズムは温度にかかわらず一定であることがわかっています。これは科学者にとってはとても不思議なことです。

理化学研究所によるコンピューター解析で温度にかかわらず体内時計の周期を一定に保つためには、温度上昇とともにリズムの化学反応の振れ幅を大きくする必要があることを見つけました。一般的な化学反応においては温度上昇とともに化学の周期は短くなって結果として化学反応が早くなります。温度が高くなったときに、振れ幅を大きくすれば、周期が短くなる傾向を相殺することができます。


体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

理化学研究所は振れ幅を大きくして化学反応の早さは維持しつつ、進行を抑えるという仮説に対し、「温度-振幅カップリング」と名付けました。

この仮説を検証するため、ラットの培養細胞を用いて、体内時計で重要とされている7つの遺伝子の活性リズムを異なる温度で計測しました。その結果、遺伝子活性リズムの周期は、温度が変わってもほぼ一定でした。それに対して、遺伝子活性リズムの振れ幅は、多くの遺伝子で温度上昇とともに大きくなっており、仮説が培養細胞では正しいことが確認されました。

下の図はラット培養細胞で遺伝子の活性化状態を調べたグラフです。Cry1、Per2は体内時計に関わっていることで有名な遺伝子です。青線は35度、赤線は38度ですが、温度が高くなると活性が高くなりつつも、グラフの山と谷の位置が一致していることから体内時計の周期には変化が起きていないことがわかります。

体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

現在のところ、温度-振幅カップリングがラット培養細胞特有のものか、多くの生物種に普遍的な仕組みなのかはわかっていません。ほかの動物で同様の研究を行うことは体内時計の進化を明らかにすることにもつながり、今後の研究が期待されます。


2017-07-19 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

出来事の順序を記憶する仕組みの発見

理化学研究所と同志社大学の共同研究チームは、日常の出来事を記憶するとき、その出来事の内容と順序の情報が脳回路の中でどのように表現されているかを、ラットの脳の海馬での神経細胞の活動を観測することで明らかにしました。

私たちは日常の出来事を記憶するとき、それぞれの出来事の内容に加えて、その出来事の起きた順序も無意識のうちに覚えています。自らが経験した出来事に関する記憶は「エピソード記憶」と呼ばれ、脳の海馬 が関わっていることが知られていますが、どのような仕組みで経験した出来事の内容や順序を記憶しているかは、解明されていませんでした。

今回、同志社大学と理化学研究所の共同研究チームは神経細胞の活動を記録する電極を装着したラットにまず音を聞かせ、次に匂いをかがせる実験を行いました。 その結果、海馬の神経細胞の中に音や匂いなどそれぞれの情報に対して選択的に活動する細胞を発見し、これを「イベント細胞」と名付けました。  

また、海馬では、8Hzぐらいの周波数の強い脳波である「シータ波」 を出すことが知られています。シータ波は神経細胞の集団が同期して活動をすることによって発生します。イベント細胞の活動とシータ波がどのように同期しているかを調べたところ、シータ波の山から谷に向かうタイミングでは過去の情報、谷では現在の情報、谷から山に向かうタイミングでは将来の情報が表現されていることが分かりました。

出来事の順序を記憶する仕組みの発見

これは、海馬のイベント細胞はシータ波の位相によって、過去・現在・将来の出来事の順序を圧縮して表現しているといえます。海馬の個々の神経細胞は、その活動の強さによって出来事の内容を表現し、その活動のタイミングによって出来事の順序を表現していることが明らかになりました。


2017-07-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

植物に酢酸を与えると乾燥に強くなる

地球温暖化などの環境変動による急激な乾燥や干ばつの発生は、トウモロコシやコムギをはじめとする作物生産量の低下や砂漠化の拡大など、世界規模で大きな問題となっています。これまでに、植物の乾燥耐性を強化するための方法として、遺伝子組み換え技術が用いられてきましたが、遺伝子組み換え作物に抵抗を感じる人も多く、開発に時間もお金もかかるので、もっと簡便かつ安価に利用できる植物への乾燥耐性強化技術の開発が求められています。

理化学研究所の研究グループは、植物の実験でよく用いられるシロイヌナズナを観察したところ、乾燥環境では細胞内で酢酸(食酢と同じもの)の合成量が増加していることを発見しました。そこで、シロイヌナズナに酢酸を与えてみると乾燥耐性が向上することがわかりました。

植物の中で何が起きているのかを調べたところ、植物が傷ついたときに放出される酢酸が植物ホルモンであるジャスモン酸を増やしていることがわかりました。さらに、イネ、トウモロコシ、コムギ、ナタネなどの有用作物についても、酢酸を与えることにより乾燥耐性が強化されることを確認しました。  

下の写真はシロイヌナズナに対して、さまざまな酸性の液体を与えて乾燥状態にさらしたところです。酢酸のみが強い乾燥耐性を示しました。
植物に酢酸を与えると乾燥に強くなる

今回の発見は酢酸が植物ホルモンを介して植物が乾燥に耐えられるように細胞の内部の代謝経路を変化させていること、そのメカニズムは多くの農作物に共通であることを示しています。この研究成果は、遺伝子組み換え植物に頼らず、植物に酢酸を与えるだけで、急激な乾燥や干ばつに対処できる簡便・安価な農業的手法として役立つことが期待されます。


2017-07-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

よくかんで食べないと神経細胞が減る

よくかんで食べると老化の防止につながると以前から言われていましたが、そのメカニズムが科学的に確認されました。 たとえば、朝食にご飯とサラダとカリカリベーコンを食べる人と、流動食をチューッと吸い込んで済ませる人、晩ご飯に厚切りステーキを食べる人とソバで済ませる人とでは1日あたりに食べ物をかむ回数、つまり咀嚼回数は大きく異なります。

よくかんで食べないと神経細胞が減る

代人は全体的に咀嚼回数が劇的に減っていますが、成長期に咀嚼回数が低下すると、顎の骨や噛むための筋肉だけでなく脳の発達にも悪影響を及ぼすことが知られています。また、加齢に伴い歯を失うことによって咀嚼機能が低下すると、認知症のリスクが高まることも分かってきました。

実験用に飼育されているマウスのエサはカチカチに固められた粒状であることが普通ですが、離乳期から成長期にかけてあまりかむ必要の無い粉末飼料を与えて育てる実験を東京医科歯科大学の研究者らが行いました。その結果、粉末飼料を与えたマウスでは、通常の固形飼料を与えたマウスと比べ、顎顔面の骨や噛むための筋肉の成長が抑制され、記憶・学習機能も顕著に障害されることがわかりました。そこで、記憶・学習を司る脳領域である海馬を解析したところ、あまりかまずに育ったマウスでは神経細胞の数が少ないこと、神経活動レベルが低下していることが明らかになりました。  

下の写真は実験で使ったラットの海馬で上段(a)は神経の活動、下段(b)は神経細胞数です。いずれも粉末食のラットは少ないことがわかります。 
よくかんで食べないと神経細胞が減る

この結果は認知症の予防において咀嚼機能の維持または強化が有効であることを示唆しています。今後はどのような分子が関わっているのか、どのような遺伝子制御が関わっているのかをヒトを対象とした研究で取り組む必要があります。


2017-07-16 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

SNSの画像を解析して流行の伝播を探る

米国コーネル大学の研究者がインスタグラムに投稿された写真1億枚をAIで自動分析して衣服スタイルの変遷を世界規模で解析しました。そのスタイルは白いTシャツとメガネを着用する人、赤いVネックのトップスや黒いドレスを着ている人など約400種類に分類することができました。

撮影場所データと照らし合わせることで特定の色が周期的に流行することなどを見いだしました。また、サッカーワールドカップが開催された2014年の6月と7月のデータからはコロンビアとブラジルで黄色いシャツの人気が急上昇したことが確認されました。


2017-07-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

手洗いに水温は関係なかった

手をきれいに洗うには水温はあまり関係なく、時間をかける方が重要であることが米国ラトガース大学の研究でわかりました。実験協力ボランティアの手を高濃度の無害な細菌で汚染させた後、15℃、25℃、38℃の水で手を洗ってもらったところ、温度には関係なく、10秒以上の手洗いで細菌を除去できることが分かりました。石鹸の使用量も結果に影響しなかった、ということです。

手洗いに水温は関係なかった


2017-07-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

木星は太陽系で最も古い惑星だった

木星は太陽系で最大の質量を持っているため、太陽系の誕生の過程においても大きな影響を及したと予想されます。 太陽系の進化にも大きく関わったはずの木星は太陽系誕生の比較的初期に形成されたことがシミュレーションから予測されていますが、その形成年代は明らかになっていませんでした。

木星は太陽系で最も古い惑星だった

米国ローレンス・リバモア国立研究所とドイツミュンスター大学の研究チームは小惑星由来の鉄隕石中に含まれるモリブデンとタングステンの年代を測定することによって木星がいつ誕生したのかを推測しました。

木星軌道の内側と外側の由来の鉄隕石を調べたところ太陽系形成後の100万年から300~400万年の間に太陽系内に異なる領域に二分して存在していたことがわかりました。これらの隕鉄が混じり合うこと無く別々の場所に存在していた理由を考察してみると、形成直後の原始太陽系円盤のガスが、木星の誕生によってできた円盤のすき間で分断され、すき間の内側と外側を行き来することができず、そのまま現在に至ったと考えれば説明がつきます。

であれば、木星の核の形成年代は太陽系形成後から100万年以内と推定できます。


2017-07-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

CRISPR/Nickase(ニッカーゼ)システム

ノーベル生理学・医学賞の最有力候補として話題になっているゲノム編集技術、CRISPR/Cas9システムですが、このシステムの最大の問題点は正確にゲノムを編集できる領域はCas9が認識できるNGG配列とそれに続く20塩基のみで、ゲノム中の60%程度にしか相当しないことです。

遺伝病の多くはたった1個の塩基が異常になっていることが原因であることが多いため、その異常がゲノム上のどこで発生していても正確かつ自在に編集できるゲノム編集技術の発展が望まれていました。

京都大学の研究者らは一本鎖切断酵素Cas9 Nickaseを用いる方法を開発しました。このCRISPR/Nickaseシステムは理論上ほぼゲノム全域を編集できます。その結果、ゲノム上のほぼすべての場所で修復編集が可能になり、ゲノム医療は大きく発展するものと思われます。


2017-07-06 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

涙もろくなったのは感受性が豊かになったのではない

歳を取ると涙もろくなるのは、感受性が豊かになったのではなく、中枢神経系の機能が低下していることが原因のようです。  

若い頃は大脳の中の背外側前頭前野が行動や感情を制御しています。ところが、歳を取ると背外側前頭前野の機能が低下してしまいます。駅で暴れる高齢者においても同様の中枢機能低下が起きている可能性が指摘されています。つまり、涙もろくなるのもキレやすくなるのもメカニズムは共通と言うことです。


2017-07-06 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
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おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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