CRISPR-Cas9がDNAを切断する瞬間が見えた!

金沢大学の研究者らが東京大学と共同で、CRISPR-Cas9 という遺伝子編集方法の過程において、編集の第一段階としてDNAの切断が行われるシーンを動画撮影することに成功しました。日本で開発された世界最速の原子間力顕微鏡を用いて初めて実現できた成果です。CRISPR-Cas9 では酵素を使ってDNAの狙った部位を切断し、別の遺伝子を組み込むなどして遺伝子の編集をおこなう技術です。この方法は基礎研究から臨床応用に至る多岐にわたる生命科学分野において広く利用されています。

下の動画において、28秒あたりのシーンで白い矢印が画面に出ますが、矢印の指した先でDNAが切断されていることがわかります。

CRISPR-Cas9がDNAを切断する瞬間が見えた!


スポンサーサイト
2017-11-19 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

H7N9鳥インフルエンザの現状

人類が滅ぶとすれば原因は何でしょうか?

小天体の衝突? 地球温暖化による食糧危機? 某近くの国の核兵器????

多くの人に忘れられている可能性の一つに高病原性鳥インフルエンザがあります。その代表H7N9型は現状は中国でたまに流行する程度ですが、米国ウィスコンシン大学の研究者らは今後この高病原性ウイルスが世界へ拡散する可能性を報告しています。

H7N9鳥インフルエンザの人から人への感染について、これまではよくわかっていませんでしたが、最近新たに発見された亜種では哺乳類から哺乳類へくしゃみなどをきっかけとした飛沫感染することが明らかになりました。ニワトリから人への感染は2013年の発見以来すでに1,600人に及んでいます。このなかで約600人が死亡し、非常に致死率の高いウルスとして恐れられています。

ところが、2016年に中国で発見されたさらに致死率の高い高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは、翌2017年に人へも感染することが確認されました。今のところ、この高病原性ウイルスの人から人への感染例は見つかっていませんが、ウイルスの遺伝子は容易に変異するため、いつ人から人への感染能力を獲得した変異種が出てきても不思議ではない状態に至っています。実際に、マウスを使った動物実験ではマウスの体内で急速に増殖する能力をすでに獲得しており、フェレットを使った動物実験ではフェレットからフェレットに飛沫感染した後に脳でウイルスが増殖しフェレットが死に至ることも確認されました。

また、このウイルスには現在使用されているオセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビルなどのインフルエンザ治療薬の効果があまり出ず、人から人への感染が始まるとタイヘンなことになる可能性があります。


2017-11-15 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

病気で不安になる仕組み

仮に私達に免疫機能が無かったら、ちょっとした風邪などの感染症でもあっという間に全身は病原菌の巣になっていしまうはずです。弱い病原菌には日常的に感染していますが、それでも平気でいられるのは私たちの体を守る免疫細胞がいるからです。

理化学研究所の研究者らは遺伝子の変異で免疫系が活性化したまま止らないマウスの血液成分を分析したところ、いくつかのアミノ酸量が著しく減少していることがわかりました。これは免疫細胞が活性化して血液中のアミノ酸を大量に取り込んでしまうことが原因だと思われます。  

これら減少したアミノ酸はエネルギー生成に必要であると同時に、神経伝達物質の材料でもあります。そのため、免疫系が活性化したままの状態にあるマウスでは脳内の神経伝達物質も減少し、不安や攻撃性を制御する能力が低下している可能性があることがわかりました。実際にそのようなマウスでは、不安な時にとる行動が通常のマウスより多く見られ、恐怖に対する反応も過剰になっていました。

私達が病気になると普段以上に不安感を感じたり、ものごとを悪い方に考えたりしてしまいがちなのは、感染症の防御機構として活性化した免疫機能が脳に必要なアミノ酸を消費してしまうためであるものと思われます。


2017-11-12 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

太ると食欲が止まらないのは仕方が無い

基礎生物学研究所の研究者らが太ると食欲が止まらなくなる原因となる酵素を突き止めました。

肥満ではない人は脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンが脳の摂食中枢に作用して食欲を抑えていますが、肥満になると脳の摂食中枢で「受容体様タンパク質チロシン脱リン酸化酵素(RPTP)」の一種RPTPJという酵素が増え、レプチンの作用を弱めていることがマウスを用いた実験で分かりました。 RPTPJの遺伝子が無いマウスは高脂肪食を12週間与え続けても食欲の増加はなかったため、RPTPJの働きを阻害する薬は肥満の新しい治療薬になる可能性があります。


2017-11-11 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

岩石惑星を飲み込んだ恒星クロノ

米国プリンストン大学の研究チームは、カシオペヤ座の方向約350光年彼方に位置する恒星HD240430が地球換算で15個分の惑星を飲み込んだらしい痕跡を発見しました。

岩石惑星を飲み込んだ恒星クロノ

この星はギリシア神話にちなんでクロノスと名付けられました 。クロノスは連星で、もう一方の星HD240429との間隔は2光年も離れていて連星の公転周期は約1万年と推定されています。どちらも太陽に似た星で年齢は太陽より少し若い40億歳程度です。 連星のうちクロノスにだけ、マグネシウムやアルミニウム、ケイ素などの岩石に含まれる元素が異常なほど大量に存在してることがわかりました。このことはクロノスが大量の岩石惑星を飲み込んだと考えれば説明できます。 これまで、恒星は水素からヘリウム、リチウムと年齢が高まるにつれて思い元素が現れるとだけ考えられていましたが、今回の研究は惑星を大量に飲み込むことによって恒星の化学組成が明らかに変化することを示した新たな発見です。

《クロノス》
ギリシア神話の神。ローマのサツルヌスと同一視された。ウラノスとガイアから生れたティタンたちの末弟だが、ガイアのすすめに従い、ウラノスを去勢して、父が保持していた天界の王位を簒奪した。姉妹のレアと結婚したが、彼も父と同様、自分の子に王位を奪われる運命にあると知らされ、レアの生む子供たちを次々に生きたまま腹の中に飲み込んだ。しかし末子のゼウスだけは、産着に包んだ石を赤子だと偽ってクロノスに飲ませたレアのおかげで救われ、成長後、まずクロノスに兄と姉たちを吐き出させ、これと協力してクロノスとティタンたちに挑戦して、予言どおりその王位を簒奪し、クロノスらを地下のタルタロスに閉じ込めた。クロノスが支配した時代の人類は黄金の種族で、楽園の生活をおくったとされる。
(ブリタニカ国際大百科事典 2016年版)


2017-11-11 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

天才数学者 オイラー

天才数学者 オイラー

スイス出身のレオンハルト・オイラーは世界一美しい式、オイラーの等式を発見した18世紀の数学者であり天体物理学者です。数学マニアでオイラーというあだ名で呼ばれたかったのに、ハウマッチという残念なあだ名を付けられてしまった直江津市役所で会計士の老倉育さんとは実は関係ありません。

ベルヌーイの定理で有名なスイスの数学者ベルヌーイ の指導を受け、23歳でペテルブルクのアカデミーで物理学を講演を行い、26歳でベルヌーイの後任として数学の教授。その後、エカテリーナ1世 の突然の死で故郷のロシアは政情不安となり、ベルヌーイと共に東ドイツに移住し、25年間のベルリン在住でのアカデミー数学部長を務め59歳でペテルブルクに戻りました。

ベルリン滞在中に右目を失明、ペテルブルクに戻って64歳の頃両目を失明となりましたが、その後も数学の論文を口述筆記で書き続けました。

ペテルブルクに戻ってからは故郷のスイスに戻ることなく、そこで没しました。数学においては微積分学の発展に貢献したほか多方面にわたって大きな業績を残しました。29歳の時にオイラーの方程式を提出。その他、地球の自転のぶれや月や惑星の運動などについて数学的観点から天体力学の基礎をひらきました。

ベルリン滞在中のあだ名は「数学のサイクロプス(単眼の巨人)」 科学の入門書の執筆にも力を注ぎ、アルンハルト=デッサウ公女の教育のために書いた手紙を編纂した科学の入門書「Lettres à une Princesse d'Allemagne sur divers sujets de physique et de philosophie(自然科学の諸問題についてのドイツ王女へのオイラーの手紙) 」は欧米で今でも広く読まれているオイラーの最も有名な著書です。2017年10月14日に待望のハードカバーがフランス語版でForgotten Booksから出版されました。  また、オイラーの等式と呼ばれる オイラーの等式  という式を発見した人でもあります。これは、ネイピア数e、虚数i、円周率πがなぜか美しく組み合わさった神秘的な公式です。





2017-11-10 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

大人の脳もゲノム編集できる

ゲノム編集によって動物の性質を変化させる研究が非常に進展しています。ただし、これまではゲノム編集に効果があることの前提として、増殖力のある細胞が考えられていました。従って、神経細胞や心筋細胞など、細胞分裂を行わない細胞ではゲノム編集の効率が極めて低いと思われていたのです。  

ところが、マックス・プランク フロリダ神経科学研究所の研究グループは、特殊なウイルスを用いて、クリスパー-キャス9によるゲノム編集に必要な分子をマウスに導入することで、分裂を行わない成熟した神経細胞でも遺伝子配列の組み換えを起こすことに成功しました。 これによって何が起きるのかはまだ定かではありませんが、大人の神経細胞のゲノム情報を書き換えるということは、脳の機能を書き換えることができることを意味しているのかもしれません。


2017-11-09 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

雌マウスの社会的ストレスモデル

DVなどの暴力が原因で発症する女性のうつ病や不安障害を和らげる研究には社会的ストレスを再現した雌の実験動物が必要です。筑波大学の研究者らが始めて雌マウスで社会的ストレスの実験モデル動物を作製することに成功しました。

神経活動が遺伝子変異で異常になっている雄マウスで雌マウスにストレスを与えたところ、ほぼ半数が社会的ストレス状態になり、体重の大幅な減少、雄マウスの回避、不安状態などを示す行動を多くとるようになりました。

社会的ストレスは免疫系にも変化が生ずることが分かっています。特にインターロイキン6(IL-6)という炎症性サイトカインが、社会的ストレスの影響をよく受けるのですが、今回の研究においても、社会的ストレス雌マウスの血液中IL-6量の過剰な増加が認められました。このことから生理学的にもこのマウスは人間女性の社会的ストレスを再現していると判断できます。

興味深いことに、社会的ストレスモデル動物を作成する段階で雌の間でも個体差が著しいことがわかりました。ストレスを受けやすい雌と受けにくい雌の違いがどこにあるのかを明らかにすることによって女より適切な治療薬の開発の進展が期待されます。


2017-11-08 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

進撃のモウソウチク

日本の里山で見るモウソウチク(孟宗竹)は、中国原産ですが古くから日本に生育している一般的な竹です。

タケノコは日本人の重要な食糧でしたが、1970 年代から安価なタケノコが輸入されるようになり、産業としての竹林はすたれました。その結果、1ヶ月で20メートルも成長するモウソウチクの旺盛な繁殖力によって、周りの植物を日陰にして枯らしながら年に最大 3~4メートルの速さで拡大する脅威が明らかになりつつあります。 放棄された竹林は現在では主に西日本で問題となっていますが、気候変動・温暖化が進むと、東日本や北日本でも竹林が定着し、分布地域が拡大することで、地域の生態系・生物多様性や里山管理に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこで、東北大学や気象庁気象研究所などの共同研究グループは、2012 年に東日本のアメダス周辺の竹の生育状況を調査し、今後の気候変動と竹の植生の変化の予想を行いました。

進撃のモウソウチク

温室効果ガス排出シナリオを組み合わせ解析した結果、東日本において20世紀末にモウソウチクの生育に適した土地の割合は3割程度であったのに対し、日本の平均気温が産業革命前に比べて 1.5℃上昇した場合には5割、4℃上昇した場合には8割の地域がモウソウチクの生育に適した地域に変化することが予想され、最悪、北限は稚内に到達すると予測されました。

パリ協定の目標は地球温暖化を 1.5℃に抑制することですが、人間にとってはわずかと思える気温の上昇でも、温暖な生育環境を好む外来種の分布拡大においては非常に影響が大きいことがわかります。


2017-11-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

茶色くならない遺伝子組み換えリンゴ

米国の合成生物学分野の複合企業が、2017年秋から遺伝子組み換えリンゴを販売する予定です。アークティックと呼ばれるこのゴールデンデリシャスの遺伝子を組み換えたリンゴは変色を抑制するように遺伝子操作がされており、まずは米国中西部と南カリフォルニアの店舗で袋入りカットリンゴとして販売されます。  

遺伝子的には果肉を茶色く変色させる原因となる酵素ポリフェノール・オキシダーゼ (PPO)の生成を減らすようにDNAが改変され、このリンゴのスライスは3週間にわたって茶色く変色せずに保たれるということです。  

最近は日本でも自動販売機で袋入りカットリンゴが売られていますが、あれはカルシウムとビタミンCを混ぜたもので保存加工されて変色を抑えた商品です。米国では生産された果物と野菜は、およそ45%が捨てられているという調査があり、変色しない果物は食品の廃棄を減らすことが期待されています。

茶色くならない遺伝子組み換えリンゴ
神保町の有名な焼きリンゴも将来はナマと同じ色に!?


2017-10-26 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
ホーム  次のページ »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

QRコード

QR