ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい

太陽系外縁天体の軌道の調査から、未知の惑星質量天体(下はその想像図)が太陽系外縁部に潜んでいる可能性を示唆する研究成果が発表されました。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい
Heather Roper/LPL

惑星の中で一番外側を回る海王星までの距離は太陽から45億キロメートルで、太陽から地球までの距離の30倍もあります。ですが、太陽系はそこで終わりではなく、海王星の軌道のさらに外側に太陽系外縁天体と呼ばれる小さな天体が遙か彼方まで広がっています。

米国アリゾナ大学月惑星研究所の研究者らが太陽系外縁天体600個以上の軌道を調べました。その結果、太陽に近い軌道は地球や火星の軌道と同じ平面上にありましたが、あるところから遠くは軌道が約8度ゆがんでいることを発見しました。  

アリゾナ大学の研究者らはこのゆがみは未知の天体の作用によるものと考えています。未知の天体がどのような性質であれば観測結果のつじつまが合うかを計算したところ、火星と同じくらいの大きさの惑星が、地球から太陽までの距離の60倍離れたところに約8度傾斜した公転軌道を持っていればこの歪みを説明できることがわかりました。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい
Heather Roper/LPL

この天体は地球から見て天の川と方向が重なるため現在は観測が難しいのですが、2020年の観測開始を目指してチリで建設中のLSST大型シノプティック・サーベイ望遠鏡であれば確認可能なのではないかと期待されています。

LSSTの完成予想図
ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい


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2017-07-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-660 人間の影響を受けた細菌が自然界に拡散している

食中毒の原因になるサルモネラ菌、肺炎の原因になるブドウ球菌などは人間にとっては困った存在ですが、ある意味私達にとって身近な存在です。

サルモネラ菌
人間の影響を受けた細菌が自然界に拡散している

ブドウ球菌
人間の影響を受けた細菌が自然界に拡散している

米国西海岸でシャチが劇的に減少している原因を調査していた米海洋大気局(NOAA)が、シャチが呼吸で噴き出す水の中にこれらの細菌が存在していることを発見しました。本来はこれらの菌はシャチにはいないはずの菌です。しかも、このような一般的な菌ばかりではなく、抗生物質耐性病原菌も見つかりました。耐性菌は人間が使用す抗生物質によって生み出されますので、シャチの生態系に人間が影響を与えていることは明らかです。  

都市の生活排水などが河川から海へ流れ込むと海面を覆う膜のように広がっていきます。これを「海面ミクロ層(SML)」と呼びますが、SMLは人間環境で生息している菌が本来は苦手なはずの海水の中で生きていける環境を細菌に提供し、シャチが呼吸することによって、シャチに取り込まれます。  

今回の観察で発見された細菌はシャチを病気にするほどの量ではなかったものの、人間に対しては高い病原性を示す菌も含まれていました。シャチが激減している原因はこのような細菌の影響でシャチが病気にかかりやすくなった可能性もあり、そうであれば人間の活動が大きく関わっていていることになります。


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2017-07-07 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-659 ギャンブル依存症の神経メカニズム

ギャンブル依存症を治療するための神経科学的な研究が進んでいます。依存症は意志が弱いからだ、などといった性格の問題として解決することはできません。

人は状況によってリスクを取るか取らないかの判断をしばしば行っています。そこで、京都大学の研究者らはギャンブル依存症の人は状況に応じてリスクの取り方を切り替える能力に障害があるという仮説を立ててそれを検証する研究を行いました。

たとえば、ギャンブル依存症の人はサッカーの試合の前半のように比較的安全な戦略が必要な状況でも、試合終了間際で負けている場合と同じような過剰なリスクを取っていると考えました。

ギャンブル依存症の人とそうではない人に実験協力ボランティアとして参加してもらい、リスクのない簡単なギャンブルからハイリスク・ハイリターンを狙わなければ勝てないギャンブルまで、実験的に考え出された課題に取り組んでもらいました。

その結果多くの人は難易度が高いミッションほどハイリスク・ハイリターンを選択するというリスクの取り方の変化が生じます。ところが、ギャンブル依存症の人は全体的にハイリスク・ハイリターンのギャンブルを選択する傾向が強いことがわかりました。

特に、リスクを取らなくてもクリアできる可能性が高い条件で不必要にリスクを取っていることがわかりました。多くの人が柔軟にリスクの取り方を切り替えているのに対して、ギャンブル依存症を治療していない人はその切り替えが上手くできていないことを示しています。

これらの実験中の脳の活動をfMRIのデータを解析するとリスク選択の切り替えには前頭前野背外側部と前頭前野背内側部の結合が重要であり、ギャンブル依存症患者の場合は前頭前野背外側部の活動が低下していることがわかりました。

ギャンブル依存症の神経メカニズム

今後はこのデータを用いてニューロモデュレーションの開発を目指すとしています。ニューロモデュレーションとは電気刺激、磁気刺激などの物理的な方法で脳に直接、介入を加え、脳の機能を変容させ、精神神経疾患の治療に応用する方法のことです。


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2017-07-06 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-658 ロボットにとって「今言ったことがわかりません」ということは難しい

米国ロードアイランド州のブラウン大学の研究者らは、人間の指示が理解できないとき「わからない」ことを認識し、聞き直すロボットを研究しています。人間の指示が曖昧でロボットが混乱したような場面では人間に助けを求めることによって指示者の意図を理解することが必要です。人間同士が共同作業をするときには声を掛け合うことによって意思の統一を図りますが、それと同じことができるロボットの開発を目指します。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-658 ロボットにとって「今言ったことがわかりません」ということは難しい

人間の生活環境や仕事場にロボットを持ち込んだ時、ロボットが自分の期待と異なる行動を取った時に人間は苛立ちを感じ、それがロボット導入の障害になるケースもありました。ロボットに助けを求めさせることによって、ロボットの行動がより人間的になり、協調作業の効率を高めるのに役立ちます。

下の写真は記事とは関係ないですが日本の産総研が人間との共同作業を想定して2003年に開発したヒューマノイドHRP-2です。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-658 ロボットにとって「今言ったことがわかりません」ということは難しい


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2017-07-05 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

LIGO、3度目の重力波検出

アメリカに設置された双子のレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO(ライゴ)」が2017年1月4日に重力波の検出に成功していたことが発表されました。

アインシュタインの一般相対性理論によると質量をもった物体はすべて周辺の時空をゆがませています。さらにその物体が動くとこの時空のゆがみが光速で伝わっていくとされています。これが重力波です。重力波は2015年9月に人類が初めて観測に成功し、2015年12月に2回目、今回はそれらそれに続く3度目の検出となります。

LIGO、3度目の重力波検出

今回LIGOがとらえた重力波は、過去2例と同様に2つのブラックホールが合体した現象で放出されたものです。30億光年も彼方にある太陽の19倍と32倍の質量を持つ恒星質量ブラックホールが合体して太陽の49倍のブラックホールができ、太陽2個分の質量のエネルギーが重力波として放出されたことがわかっています。

ブラックホール連星系のでき方は2通りあると考えられています。ひとつはもともと連星系だった2個の星がどちらも超新星爆発してブラックホールになった場合、もうひとつは、別々の場所で誕生したブラックホールが偶然であって連星系になった場合です。

ブラックホールは自転していますが、ブラックホール連星系の重力波を観測すると、2個のブラックホールのもともとの自転方向が予測できます。今回の観測結果から、このブラックホール連星系は別々の場所からやってきたブラックホールが出会って連星系を形成し、ついには衝突したものだと思われます。次の図は今回観測された重力波が放出される直前、2個のブラックホールが衝突する直前の想像図です。

LIGO、3度目の重力波検出

また、下の地図はLIGOの設置場所です。遠く離れた2カ所に設置して同時にデータを取ることによって観測精度を高めています。

LIGO、3度目の重力波検出


2017-06-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

日本でもES細胞を医療用に作製

厚生労働省がヒトの胚性幹細胞(ES細胞)を医療用に作製する京都大学の計画を了承しました2017年度中に大学などに臨床研究に使うES細胞の提供を開始します。ES細胞はiPS細胞と同様に体内の様々な臓器になる能力があり、再生医療での活用に期待が高まっています。  

ES細胞はそのまま子宮で育てれば胎児になれる受精卵の内部から内部細胞塊を取り出して作るため、生命倫理上の観点から国内では2014年まで基礎研究用の作製に限られていました。  

海外では、ES細胞から作った神経細胞を脊髄損傷の患者に移植する臨床試験が2010年に米国で実施。このほか英国や韓国なども含めると、50例以上の臨床試験の実施例があり、医療応用を目指す動きが本格化しています。


2017-06-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ナビを使うと脳は方向感覚をオフにする

脳には自分の現在地の把握や進むべき方向を解析する能力がありますが、スマホなどのナビ機能を使用しているときにはそれらの能力がOFFになっていることがわかりました。

英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者らが、実験ボランティアに進路を指示するアプリを入れたスマホを持たせ、さらに脳の活動をfMRIで計測しながら街歩きをしてもらいました。実験ボランティアには目的地を知らせ、ある時は自分で道順を見つけて歩いてもらい、またある時は曲がり角ごとに示されるスマホの画面の指示に従って歩いてもらいました。

ナビを使うと脳は方向感覚をオフにする

その結果、自分自身で道を探しながら歩いていて進む方向を判断しなければならない時には海馬と前頭前野が活発に活動していました。海馬は方向感覚に関係し、前頭前野は計画を立てる時に活性化する脳の部位です。また、複雑な形状の交差点など、分岐点の選択肢が多いほど神経活動量は顕著でした。一方、スマホの画面に従って歩くだけの場合はそのような脳の活性化は起きませんでした。

つまり、画面で道順が示されるとわかると脳は、位置情報に関する脳機能を停止させてしまうようです。また、海馬の活動が活発な最中は、道を探すと同時にどこをどう歩いてきたのかを覚えようとしていることも研究でわかりました。


2017-06-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

パスワードは「脳波」で推測できる

米国アラバマ大学バーミンガム校の研究者はヘッドセットと脳波をモニタリングするソフトウェアによって、暗証番号やパスワードを推測できることを明らかにしました。今後は脳インターフェイスのセキュリティ確保が重要になってきそうです。

パスワードは「脳波」で推測できる
アラバマ大学バーミンガム校の医療施設

今後、ヘッドセット脳波計の性能が向上し、より正確な脳波を読み取れるようになれば、様々な情報が脳から勝手に読み取られる可能性があります。今のところ脳波から本人が考えていることの内容までは読み取れないようです。


2017-06-13 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

スマホで細胞を制御する

上海市の華東師範大学の研究チームが、スマホと光遺伝学の手法で細胞の機能を意図的に制御し、糖尿病のマウスにインスリンを適切に作り出させることに成功しました。

スマホで細胞を制御する
華東師範大学図書館

今回の研究では光に反応して活性化する遺伝子を使い、人間の細胞を遺伝子操作して、赤色のLEDの光を細胞に照射すると細胞がインスリンを作るように改変し、LED照明と遺伝子操作細胞を埋め込んだ基盤を糖尿病マウスの背中に移植しました。

スマホアプリでLED照明を適切に点灯させることによって血液中の標準的なインスリン量を15日間維持させることに成功しました。このような実験手法を光遺伝学と言い、光を使って細胞のある特定の機能、今回であればインスリンを分泌する機能を活性化させる手法はパーキンソン病や統合失調症など、さまざまな病気の治療法として期待されています。今回の研究は細胞をスマホで遠隔操作する点が画期的で、完全に自動化された血糖値の監視と糖尿病治療システムの実現が期待できます。

今回の研究の治療ターゲットとなる1型糖尿病の患者は、インスリン、つまり糖またはグルコースをエネルギーに変換するのに必要なホルモンを膵臓が十分に作り出すことができません。現在、1型糖尿病患者は毎日数回インスリンを注射するか、皮膚下に入れたプラスチックチューブを通じてホルモンを注入するインスリンポンプを装着する必要があります。

今回開発された方法は光に反応するように遺伝子操作された細胞を患者の体内に注入する必要があり、その細胞が体内でどの程度の時間にわたって機能を維持し続けるかもまだわかっていません。また、今回の研究の発展系として、薬を細胞の中で作る遺伝子を組み込み、それを光で活性化するようにできれば、他の病気の治療に使える可能性があります。


2017-06-13 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

超臨界水地熱発電

東京大学、九州大学、東北大学が共同で超臨界水地熱発電技術の開発に取り組みます。超臨界水地熱発電とは火山の地下約4キロメートル以上の深さにある超高温高圧の水「超臨界水」の熱を利用する次世代の地熱発電技術です。採算性などを検討した上で2050年ごろの実用化を目指します。  

水は高い圧力を加えると100度でも沸騰しなくなります。超臨界水は地下深くの高い圧力の中でマグマによって加熱され、水温は400度から500度にも達しています。現在一般的な地熱発電は深さ約2キロメートルから3キロメートルにある200度程度の熱水をくみ上げて発電しますので、それよりも高温の超臨界水を使用することによって計算上は5倍の発電量が期待できます。  

まず、東北大学や九州大学が共同で地下の超臨界水を電磁波や地震波を使って探査する技術などを開発し、あわせて強い酸性の超臨界水に耐える新素材を東京大学が開発する計画です。  

日本は火山が多く、地熱発電には適した国ですが、地熱発電に適した地域と観光地が重なっていることが多いため、大規模開発は進んでおらず、日本全体の地熱発電量を合計しても大型の原子力発電所や火力発電所の半分にも満たない現状です。



2017-06-13 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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