ヴォイニッチの科学書 第688回 不老の遺伝子を持つ民族

米インディアナ州で、キリスト教の会派に基づくあるちいさなコミュニティーを形成して暮らしている人たちを対象に、米ノースウェスタン大学、東北大学などの研究グループが、18~85歳の住民177人を対象に遺伝子検査を実施しました。その結果、四分の一の43人にプラスミノーゲンアクチベータ・インヒビター-1(PAI-1)の遺伝子変異があることがわかりました。この遺伝子に変異がある人は、染色体の末端を保護しているテロメアが10%長く、平均寿命が10年長くなっています。テロメアは細胞の老化に関係していると言われ、老化した細胞のテロメアは短くなっていることがわかっています。

PAI-1はもともと血液凝固を促進するタンパク質として発見され、この遺伝子変異がある人は糖尿病の有病率が低いことも明らかになっています。 これまでにマウスの研究でPAI-1が老化にも関係することは示されていましたが、人間の老化に与える影響については分かっておらず、この人たちが長寿であるだけでなく、健康に長生きしている点に多くの科学者が注目しています。  

東北大学の研究者らは体内でPAI-1が作り出されることを阻害する薬剤を開発し、米国の2型糖尿病や肥満の患者を対象とした臨床試験を計画中です。


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2018-02-04 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第687回 イヌはネコよりかしこい?

米国ヴァンダービルト大学などの国際共同研究チームによる研究でイヌの大脳皮質にあるニューロンの数は、ネコに比べて約2倍であることがわかりました。ニューロンは、脳内で情報の伝達を担う神経細胞で、動物の知性を正確に比較するための指標になると考えられています。

ヴォイニッチの科学書 第687回 イヌはネコよりかしこい?
大脳皮質ニューロンの電子顕微鏡写真

今回の研究で比較されたのは脳の最も外側にある大脳皮質のニューロン数です。これらのニューロンは視覚や触覚など外部から得た情報を統合して、意思決定や問題解決などを行う高度な機能を担っています。 ヒトの大脳皮質にあるニューロンの数は160億個ですが、イヌは5億個でアライグマやライオンも同等です。ネコは2億5000万個でクマも同程度です。人類に最も近いオランウータンやゴリラは80~90億個、チンパンジーは60~70億個です。霊長類以外の動物で最もニューロンが多いのはゾウで、56億個のニューロンを持っています。


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2018-01-30 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第686回 ダイソン球をまとう恒星?

ダイソン球(ダイソンきゅう、英: Dyson sphere)とは、恒星を卵の殻のように覆ってしまう仮説上の人工構造物。恒星の発生するエネルギーすべての利用を可能とする宇宙コロニーの究極の姿と言える。名前は高度に発展した宇宙空間の文明により実現していた可能性のあるものとしてアメリカの宇宙物理学者、フリーマン・ダイソンが提唱したことに由来する。(Wikipediaより)

ヴォイニッチの科学書 第686回 ダイソン球をまとう恒星?

ルイジアナ州立大学の天文学者タベサ・ボヤジアンがケプラー宇宙望遠鏡のデータの中から見つけ出した恒星ケプラーインプットカタログ8462852の話題が盛上がっています。というのも通称ボヤジアン星と呼ばれるこの星にはダイソン球を建造できるほどの文明があるのでは、と思われているからです。

2009年に打ち上げられたNASAのケプラー宇宙望遠鏡は4年間にわたって天の川銀河の狭い範囲を集中的に観測し、惑星のトランジヅトという現象を大量に発見しました。トランジット現象は地球から見た恒星のちょうど手前をたまたま惑星が横切り、星の光をさえぎることによって、星が暗くなったように見える現象です。恒星の明るさの変化をグラフにした光度曲線を見ると、惑星のトランジットがない場合はほぼ平坦な線になります。星の手前を惑星が横切ると光度曲線に惑星の公転周期に応じた規則正しいU字形の窪みができます。

ヴォイニッチの科学書 第686回 ダイソン球をまとう恒星?

上の図は典型的な惑星のパターンです。横軸が観測時間、縦軸がある恒星の見た目の明るさです。惑星の公転に応じて規則正しく暗くなります。 ボヤジアン星の光度曲線にはトランジットによるものに似た光度低下が不規則に生じ、減光が数時間で終わるものがある一方で、数日間あるいは数週間にわたって続く例もありました。減光の程度も、 その他のトランジット現象を示す恒星と同等の1%前後から20%も落ち込むケースもあり、規則性も無いため、惑星の横切りとは考えられないデータでした。

ヴォイニッチの科学書 第686回 ダイソン球をまとう恒星?

上の図はボヤジアン星のパターン(一部)。この不規則さは現在の地球文明では説明が非常に難しいものです。 ボヤジアン星の観測データはこの星が、太陽のようなごく一般的な恒星であることを示していて、星自体に特別な点は見られません。このような場合、恒星の周辺のチリがムラになって存在していることや観測装置の不具合が考えられますが、ボヤジアン星周辺からは赤外線が観測されないため、チリはなく太陽系のように周辺は晴れ渡っていることがわかっていますし、ケプラーの故障についても十分な検討が成されていてデータは正確であることがわかっています。

科学的に考えられる説は主に2つで一つはコロンビア大学とカリフォルニア大学バークレー校の共同研究チームによる、大型の惑星あるいは褐色嬢星がボヤジアン星に衝突したという説です。衝突によってボヤジアン星は一時的に明るさを増すはずで、現在観測されている長期的な減光は星が以前の明るさに戻りつつある過程であるというものです。このような過程で不規則な光度の低下が起きることはありうることです。

2つめの説はペンシルベニア州立大学の研究者による宇宙空間を漂流しているブラックホールが地球とボヤジアン星の間に存在するという説です。そのようなブラックホールが太陽系よりも大きな、土星の環に似た円盤に包まれており、その円盤の外側部分は希薄で内側領域は密度が高く、過去100年間に、ほぼ透明な外側領域に続いて高密度の内側領域が地球からボヤジアン星を見る視線を遮ったとすると、ケプラーが観測した長期的な減光が説明できます。不規則な減光についても移動する円盤内部のリングや隙間その他の構造が投げかけた影と考えることができます。

そして最後の説がダイソン球の存在です。つまり宇宙人による巨大建造物の可能性です。 ある宇宙人文明が多数のエネルギー収集パネルを建造し、それらのパネルの大きさは統一されておらず、それらのパネルが恒星を周回するように配置したとする考え方です。現実的に建造が可能なほど小さなパネルでも大量であれば星の光の一部を遮る効果が生じるはずです。このエネルー収集パネルが高度な科学によって非常に高い効率で電波やレーザーに変換でき、無駄な廃熱が無ければ赤外線が観測されないことも説明がつきます。

今後、ボヤジアン星の近辺から明らかに人工的な信号電波が発信されているのが検出されれば、 この説は有力になります。すでにボヤジアンのいるルイジアナ州立大学とウエストバペンシルベニア州立大学の共同研究チームは米国バージニア州グリーンバンク望遠鏡で信号探しを始めています。

こんな巨大構造物で中心星のエネルギーを熱として放出すること無く100%の変換率で使用しているのかも。
ヴォイニッチの科学書 第686回 ダイソン球をまとう恒星?
https://thewire.in/179155/kic-8462852-wtf-alien-megastructure-star-tabetha-boyajian/



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2018-01-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第685回 324種のがん遺伝子変異を一度で検査

米国で使用される医薬品や医療器具は米国食品医薬品局(FDA)で審査や承認が行われますが、このたび米国ファウンデーション・メディシン社が開発した324種の遺伝子変異を一度に探索できる検査法「ファウンデーション・ワン CDx (F1CDx)」が承認されました。

ヴォイニッチの科学書 第685回 324種のがん遺伝子変異を一度で検査

F1CDxは、固形がん、つまり臓器や組織で腫瘍塊をつくる胃がん、肺がん、子宮がんなどの細胞から取り出したDNAを分析することによって324種のがんに関連する遺伝子情報を得ることができる体外診断用医薬品です。  

現在普及しているのは「コンパニオン診断薬」と呼ばれる遺伝子診断方法ですが、コンパニオン診断薬は、がん治療に使用する薬剤とその薬剤が有効かどうかを調べる診断薬の組みあわせが決まっているため、多くの種類の診断薬が必要となる問題がありました。  

今回承認を受けたF1CDxでは既存のコンパニオン診断薬で測定可能ながん関連の遺伝子変異を1回の検査で95パーセントの正確さで調べることができ、最も有効な遺伝子治療方法を患者に提案することができます。


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2018-01-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第684回 昆虫の脳と哺乳類の脳は共通の祖先から進化したか

東京大学の研究チームは、キイロショウジョウバエを使って昆虫が体で感じる感覚(体性感覚)を伝達する神経回路の構造を解明し、それが哺乳類と非常に似ていることを明らかにしました。

視覚・聴覚・嗅覚・味覚の神経回路の構造が哺乳類と昆虫で非常に似ていることは過去の研究でわかっていましたが、体性感覚の神経回路についても、哺乳類と昆虫で似ていたことから、五感全ての神経回路構造が哺乳類と昆虫で共通であることがわかったことになります。

このことから推定されるのは、先カンブリア時代(46億年前の生物誕生~6億年前まで)、つまり地球上での生物の誕生の非常に初期に五感の基本を備えた脳を持つ生物が誕生し、その共通の祖先から、私たち哺乳類を含む脊椎動物と昆虫を含む節足動物が分かれてきたというストーリーです。

体性感覚が視聴覚と大きく異なる点は目や耳のような特定の感覚器官が無いことです。体性感覚は体中に分散したさまざまな感覚器官からの情報が脳に伝えられ、それらを統合して感覚を生み出す複雑な構造をしています。

今回の研究ではショウジョウバエの特定の感覚細胞の遺伝子を操作した、体性感覚神経がそれぞれ異なる遺伝子組み換えハエを多種類作製し、感覚器官から脳にいたる神経回路の全体構造を明らかにしました。

視覚、嗅覚、聴覚、味覚、舌触りや熱さは体性感覚の一部・・・ハイボールに手を伸ばして謝ってフライパンに触れるとその他の体性感覚までもフル活用することに・・・
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2018-01-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

セントロメアが進化のカギ

染色体は「X」字型をしたゲノムのかたまりです。染色体の4本の腕が交わった場所をセントロメアといいます。

セントロメアが進化のカギ

セントロメアは染色体の中心に位置することが多く、ヒトゲノムの場合は171塩基前後の配列が数千回から数万回繰り返している特徴的な構造をしています。セントロメア部分の遺伝的子としての機能はよくわかっていませんが、セントロメア以外の染色体の腕の部分と比べると、セントロメアの進化速度は非常に速く、5000万年以上前に分岐した生物でセントロメア配列を比較すると、25%しか一致しないほど変化が早い部位であることがわかっています。  

東京大学の研究グループは、セントロメアのDNA配列がどのように進化してきたかを解明するために、進化の系統が枝分かれした時期の異なる3種類のメダカのセントロメアDNAの一部を解読しました。3種類のうち2種類は日本産で、南日本由来および北日本由来のメダカ。これらは日本列島の分水嶺が生まれた約1800万年前に枝分かれしたと考えられています。もう1種類は約2500万年前に枝分かれした韓国産のメダカです。

セントロメアが進化のカギ

セントロメア遺伝子を構成するATGCの塩基レベルで見ると、セントロメアの塩基変異速度は他の領域より速く、種分化に関わるといる可能性があります。さらに、セントロメアが染色体の中心にある場合、つまり染色体の「X」字型の4本の腕が同じ長さである場合と、中心からずれている場合を比較すると、セントロメアが中心に近いほど変化しやすいことが明らかになり、セントロメアの位置が種の枝分かれに関わる可能性が示唆されました。

ヒトゲノムの約1~2%はセントロメア配列が占めていると考えられていますが未解明です。今回のメダカゲノムの研究は、その解明への手がかりになると期待されています。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

体内に設置できる活性酸素クリーナー

国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究グループは3種類のタンパク質を組み合わせた、活性酸素を除去できる高機能なタンパク質マイクロマシンを開発しました。

体内で過剰に発生した活性酸素は細胞を傷つけたり、炎症を引き起こしたりしてさまざまな病気の原因になります。今回開発したタンパク質マイクロマシンは、直径0.1ミリメートルの平べったい円盤状で、
・活性酸素を除去する酵素「スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)」
・薬剤を結合する「血清アルブミン」
・細胞を捕まえる「抗体タンパク質」
が組み合わされています。抗体が活性酸素を分泌する細胞を捕捉し、SODが過剰な活性酸素を除去し、アルブミンに結合した抗炎症薬が放出されて細胞の活性酸素生成を抑制します。

体内に設置できる活性酸素クリーナー

現在は試験管内で活性酸素を放出する細胞に対して効果が確認された段階ですが、今後は動物体内での研究が続けられますが、形といい、機能といい、まるでZガンダムに搭乗するアナハイム・エレクトロニクス社(AE社)が所有する研究開発施設兼自走ドック艦ラビアンローズのようです。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)

国立研究開発法人情報通信研究機構を中心とした国内共同研究チームが、ゲリラ豪雨や竜巻の前兆現象を観測できる新型の気象レーダーを開発しました。

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)
雨を立体的に表示した様子

ゲリラ豪雨の積乱雲の発達は10分程度、竜巻は数分で発生するため、これまでの観測では発生しそうだとわかった時には避難が手遅れになることもありました。それらの兆候をより迅速に察知するために、今回開発されたマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダーは30秒で雨雲の3次元立体構造を観測すると同時に、雨量を正確に観測できる新システムです。  

この技術を用いて、通常のゲリラ豪雨の早期予測・浸水予測、強風予測の情報提供の他、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの効率的な競技運営、つまり、屋外競技の開始・中断・継続等の判断に活用したり、豪雨到来前に屋根がある場所に観客を誘導したりすることが可能になります。突然の竜巻で運動会のテントが飛ばされて大けがなど、急激な天候の変化が原因となるいろいろな事故が起きていますので、ポータブルタイプが開発されたり、スマホに内蔵されたりする時代が来るとさらに便利になりそうです。

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

心の中の独り言の科学

(日経サイエンス 2018年1月号より)


私たちはよく、心の中で自分に対して語りかけることがあります。たとえば、飛行機に乗り遅れそうな時、心の中で「遅れる、やばいやばい、あと何分!?」などと言っていることがあるはずです。それを口に出して叫びながらエスカレーターを駆け上る人はアニメの中だけの話だとは思いますが、羽田空港でエスカレーターダッシュをしている人の多くは心の中でそう叫んでいると思います。  

また、私はしばしば入浴中に次の原稿で使えそうなナイスなフレーズや、次のイベントのテーマがまるで天から降ってくるようにわいてきます。これは多くの作家で見られる傾向で、このようないろいろな考えやイメージ、感覚が頭をよぎった時には多くの人が、頭の中でアイディアが言葉として表現されるのを感じるといいます。 このような声に出さず、頭の中で自分に語りかける現象を心理学者は「内言(ないげん)」といいます。内言とは内語ともいい、発声を伴わずに自分自身の心のなかで用いる言葉のことです。通常の会話は内言に対して外言と呼ばれます。外言は他人との意志伝達のため、内言は思考の用具として自己の行動を抑制、統御、調整するためであるとされています。  

一方で、声に出して自分に語りかけることを「私的発話」といいます。何かおもしろいものをみつけたとき、「ツイートしなきゃ!」と自分に指示するような場合です。私的発話も内言と同様に、自分の行動の計画と監視、感情の調節、独創的発想の促進などの目的があると考えられています。  

1930年代ロシアの心理学者、ヴィゴツキーは私的発話について、言葉というものは本来、他者の行動に影響を与えるために用いるものであるが、私的発話では他者ではなく自分の行動に自分で影響を与えるために用いている、と表現しました。つまり、私的発話は自分との対話である、と考えたのです。  

英国ダラム大学の研究者らがこの点についてfMRIを使った研究を行っています。それによると、内言にも私的発話にも両方共に脳の中の言語系が活動していることがわかりました。つまり、言葉を発する私的発話はもちろんのこと、言葉を発しない内言においても脳の中では普通に言語として処理されている、ということです。 会話と内言・私的発話は人間の独創性の起源に大きく関与していると考えられています。

つまり、自分自身と対話することによって架空の誰かとの議論を内在的に具現化することができます。自分の中で議論することによって脳の引き出しの中に埋もれている情報をひっぱりだしたり、それらの情報同士を結びつけたりすることが、あたかも他の人と議論して新たな結論を導き出すことと同様に可能になるようなのです。 さらにこの研究は思考とは何なのか、という興味深い問題へアプローチするための方向付けであるともいえます。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

人類の火星移住が真剣に語られるようになってきました。米国のSpace-X社は具体的なプランを公表していますし、中国宇宙開発局も有人探査を踏まえて火星からのサンプルリターン計画を検討しています。

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

人類が火星で暮らすにあたって最も重要な問題の一つが食糧の確保です。持続的な人類の活動を目指すのであれば、火星で本格的な農業を行うことが必要かもしれません。農業を行うためには土の中に豊富な養分や細菌、真菌が含まれる必要がありますが、火星の土には今のところ生物は見つかっておらず、今のままでは農業は不可能です。

地球においてミミズは土壌を作り変えるために有効な生物ですが、オランダのワーヘニンゲン大学の研究者らはミミズを火星の土で育てることに成功した、と発表しました。ミミズは収穫後に土壌中に残った植物の茎や葉などを食べて分解し、さらにミミズの排泄物を微生物が分解して、それらが次に作物を育てるための栄養になります。また、ミミズが土の中を移動することによって、土の粒子と粒子の間にスキマを作り、水分が根によく行き渡るようにします。

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

NASAは火星探査機から得られた情報を元に火星の土に似せて配合した模擬土を作製し、ワーヘニンゲン大学がその中でミミズを生活させる実験を行いました。その結果、ミミズは無事に成育し、子ミミズが誕生できることを確認しました。  

ですが今後も引続き、ミミズの廃せつ物を分解する微生物集団を火星で形成させることができるかどうか、火星の土に含まれる有害物である過塩素酸塩類をどのようにして除去するか、などに関する研究が必要です。それにしても地球の気候変動や核兵器による汚染は致命的、地球生物は地球に残る側と火星に移住する側に別れ、一方は火星で最初からやり直し・・・ってことになるのでしょうか・・・ ガンダム鉄血のオルフェンズみたいです・・・


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おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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