ナショナルジオグラフィック 2017年12月号 本当のイエス
ナショナルジオグラフィック、2017年12月号読みました。特集は「本当のイエス」。
キリスト教徒ではないですし、考古学者でもないのですがとても興味深く読めた特集でした。
イエスキリストが実在したかどうかについて、日常生活で思いをめぐらせることはほぼありませんが、考古学者においてもイエスの史実を疑う人はいないようで、「証拠の不在は、不在の証拠ではない」という考古学の鉄則がイエスについても言えると考えられています。そもそもが、イエスキリストとはいえ、2000年前のある特定の一人がそこにいたかどうかを示す証拠が残っている方がむしろ捏造っぽくて、この点についていろいろな考古学的事実からイエスの足取りの真実性を探究している、というお話。
たとえば福音書に「大勢の人が癒やしを求めてイエスの元にやってきた」という記述があれば、2000年前のある特定の一人の前に無名の人々が集まった証拠はなくて当然だけれど、イエスにこだわらない一般的な考古学的調査によれば、イエスが生きていたと想定される頃のパレスチナでは重篤な皮膚病や結核が蔓延していたという事実はわかり、おそらくはその両者は結びつくのであろう、と。
日本では平家落人伝説、あるいはオリジナルの信濃前司行長の平家物語ではなく、吉川英治の新平家物語を史実として捉えて、そこに現在調べうる事実を充てていく的な、まるで推理小説を読む、あるいはフレームのあるガンプラを組み立てていくような面白さのある記事でした。やっぱ、歴史とか考古学とか面白いです。
今日読んだ雑誌「日経ものづくり」2016年3月号

今日読んだ雑誌は「日経ものづくり」2016年3月号です。
62ページからの「数字で見る現場 成功のカギは顧客ニーズにあり」で、新規事業のきっかけや成功・失敗について266社のアンケート結果がまとめられています。全部で6つの質問が掲載されているのですが、3つほど紹介しますね。
しつもん:新規事業開発のアイディアはどこからか得ましたか?
顧客の要望 ・・・ 63%
社外セミナーや異業種交流会 ・・・ 41%
トップの考え ・・・ 34%
しつもん:新規状がうまくいった理由は?
顧客ニーズとの適合性 ・・・ 50%
トップの意識 ・・・ 40%
技術力 ・・・ 39%
しつもん:新規事業が失敗した理由は?
顧客ニーズとの不適合 ・・・ 31%
トップの意識の低さ ・・・ 26%
技術力の低さ ・・・ 29%
もう、成功するのも失敗するのも全部理由がおんなじやん・・・
新規事業が成功するか否かのカギって、確度の高いテーマをどれだけたくさん出せるかにあると思うのですが、そのスタート地点とも言える「アイディアをどこから得たか」の質問の回答のほとんどがアイディアは他人任せ、よそから持ってくるという回答が多くて、社内からのアイディア出しで新規事業がうまくいったという回答は13%しかない惨状です。
アイディアを顧客やトップが考え出して、成功するのも失敗するのも顧客やトップのせい、とまとめると強引すぎるかもしれませんがそんなふうにこのアンケート結果は読めてしまいます。記事のタイトルは「成功のカギは顧客ニーズにあり」ですが「失敗の落とし穴は顧客ニーズにあり」であっても成り立つ記事です・・・。
日経のアンケートなので対象は多くが大企業だと思うのですが、それであれば社内に必ずアイディア出しを得意とする人がいるはずで、でもそういった人たちが企業の隅っこで目先の仕事に追われながらひっそりと無駄に時間を過ごしているのだろうなぁ・・・と思うととても残念です。
・アイディアはあるけど、どうやって上に上げたら良いかわからない
・主業務に関係ないアイディアを口にするのがいろいろな意味で怖い
・アイディアを口に出しても、勉強不足の中間管理職が勝手に却下する
・飛び抜けたアイディアを企画管理部門が担当者の理解の範囲で凡庸なものに変えてしまう
・誰もが良いアイディアと思ってもそこにリソースを回す企業の余裕が無い
そんな悩みを抱えている人、組織がたくさんあることがアンケートからチラチラとのぞいてます。人や組織が変わることは簡単なことではありません。でも、一人一人が少しずつで良いから変わることで、時間をかけて大きな変化につながっていくので、組織の隅っこでひざを抱えている人は、本当に少しずつで良いので、出すぎた杭にならないようにバランス感覚を持って変わり続けて欲しいな、と思います。そうすればまわりも変わります。
よく「出すぎた杭は打たれない」と言われますが、日本の企業はまだそこまで至っていないと思うので、ちょっとずつ出ましょう。そしてある時、気がついたら自分はいつの間にか出すぎた杭になってたけど、まわりもみんな出っぱった杭になっていた・・・。それが日本式の理想かな、と思います。
今日読んだ本「軍艦島の生活」
「軍艦島の生活」<1952/1970> 創元社


軍艦島の写真集はたくさん発行されていますが、これは廃墟写真ではなく、島が生きていて、その上で多くの人々の暮らしが動いていた頃の写真に限定した写真集です。最盛期の1952年(当時の4,931人)と閉山3年前の 1970年(当時の人口 2,732人) の風景を同じアングルで撮影した写真が比較できるように多く掲載されている点が新鮮です。
過酷だけれど裕福な暮らしが美しいカラー写真で紹介されています。また、、多数の間取り図が同じ縮尺で掲載されていて、当時の島の住居が炭鉱長社宅を頂点とする強烈な階層社会になっていたことがよくわかります。
軍艦島の写真集は何冊も買いましたが、そろそろ当時の写真は出尽くしたかな、、感がありますね。
今日読んだ本「モモノフミ」

今日読んだ本「モモノフミ」
Twitterでつながっている詩人桃ノ原レイさんの詩集です。
私自身は文学的作品を創り出す側にはちょっと縁が無いのですが、言葉が巧みに練られて芸術に昇華した詩や俳句は好きです。
とは言いながら、純粋な詩集を手にするのは久しぶりです・・・。
私は高校時代、文系クラスにいましたが、ひょんなことから山口大学の農学部に飴山實先生(故人)なる、日本の文人100人のお一人である先生がおられることを知りました。しかも、科学の世界でも工業的発酵生産においては、超有名な神様のような先生だとか。
「俳句の世界でも有名で科学者でもスゴイとかなんかおもしろい人」
と思ったわたしは、その瞬間に理転して山口大学を目指したという経緯がありました。高校3年の途中で理転という無茶をしたせいで先生には疎まれ、クラスメイトが世界史をやっている間にせっせと数学の問題を解いていた私はカンペキにぼっちになっていました・・・。
話がそれました・・・
「モモノフミ」を漢字で書くと「百の書」なのだとか。あらゆることを書き記すことを意味しているそうで、まるで学天則みたいですが、世界のあらゆること、楽しいことも悲しいことも、戦争も平和も、科学も自然も、詩の世界で一つに昇華するとしたらすばらしいことですね。
足りないこと、足りてますか?
今日読んだ本「がっこうぐらし!7巻」「極めるひとほどあきぽい」他

今日読んだ本
「極めるひとほどあきっぽい」窪田良先生著(日経BP)
タイトルと中身は(私が思うに)全然関係がなくて、むしろ逆に基地外な程に子供の頃から「眼」に執着し、世界中の人を失明から救うという決して揺るぎない信念で創薬を続けてきた著者の半生の物語です。研究者→医師→経営者としての変遷において何を考え、どう行動したかが非常に明快に語られています。
私自身がかつては眼に関する創薬の場にいましたのでサイエンスや実務の部分で書かれていることは良く理解できますが、本書でもっとも強烈だったのは最後の方にさらっと書かれている、経営者としてすでに大成功を収めている時代の筆者が優秀な科学者に対して 「2年で奇跡を起こしてくれて本当にありがとう。でも、明日からもう職がありません」 と告げて解雇するシーンでした。 「経営するってこういうことなんだな」と雷に打たれたような刺激を受けた瞬間でした。
「がっこうぐらじ!」7巻 千葉サドル/海法紀光 芳文社
例の4人(+妹的ななにか)もついに大学生に(みーくんは飛び級か・・・)。大学の先輩として大勢の登場人物が一気に登場し、ストーリーは新しいステージへ。今回はグロいシーンはほぼ無し進行です。新たな登場人物たちもみな魅力的で「みんな悪い人じゃないといいな」と思いながら読み進めました。
ちなみに、4人が「進学」した聖イシドロス大学工学部の喜来比嘉子(きらいひかこ:愛称ヒカ)さん。もう、反則レベルのキャラデザです。これはもう、応援せざるを得ないw

ちなみに、知人に見せたところ
「なんか、昔のマンガから来た人みたい」
と言われました・・・いや、確かにその通り・・・
「メガミマガジン」 2016年2月号(学研プラス)
要するに表紙買いですが、付録のごちうさメモリアルブックがとても良かったです。本誌制作とアニメ進行のタイミングのせいで10羽以降がテキトーになってるのがちょっと残念ですが。
「週刊エコノミスト」 2015年12月15日号
フィンテックとか仮想通貨とかの勉強。会社でもこういうことを知っている人が周りにいないので、せめて自分だけでも理解しておこうか・・・と。仮想通貨は電力の投入の裏付けがあるので金やプラチナと同じ扱い、むしろ信用通貨(銀行券)の方がウンヌンカンヌンは勉強になりました。
今日読んだ本「中国輸出静止通信衛星概覧」
今日読んだ本「FOREST 廃墟は森へと還る」

植物に飲み込まれつつある廃墟の写真集です。
冒頭の、植物に半分くらいすでに飲み込まれている巨大なジェットコースターが圧巻です。何をどう放置すればこんな立派な(?)廃墟になってしまうのか・・・。ジェットコースターも最近よくある華奢にも見えるおしゃれなものではなく、複雑に鉄骨が組まれた無骨なもので、できればアウトフォーカスではなくて、鉄骨の一本一本への植物の絡みつき具合まで観察したかったです。
また、工場の事務所などは机の上に書類が普通に積まれ「じゃ、今日はおつかれさん、またあした」とごく普通の日常の後に何の前触れもなく放棄されたかのような廃墟っぷりに「どうしてこうなった」と疑問を抱かずにはいられません。
今日読んだ本「県境ですっ!2」
著者はぱとタシオさん。昨年の冬コミに1が出て早くもその続編です。

前作には私の住んでいた下関と北九州市の県境・・・海底トンネルの中に県境があり、海の底の県境を歩いて通り抜けることができるというヘンタイ的な県境も紹介されていましたが、2はウイスキーで有名な山崎です。京都府と大阪府の府境で駅のホームに県境のある珍しい場所なのだそうです・・・知りませんでした。
一ヶ月をかけて描かれた美しいイラストがいい感じです。
特に、印刷も綺麗なのでイラストの緻密さが際立っている感じです。
今年の年末には「3」を期待したいところですね。
表紙も推しなので、吹雪の県境で「ひょぇ~」ってなってるみたいな表紙とか見てみたい気がします。
今日読んだ本「鉄道少女倶楽部弐」
日本全国北から南まで、駅、鉄道車両、車内、鉄道博物館、鉄橋などなど、鉄道のサブカテゴリーを問わずいろいろな風景写真の寄せ鍋です。

この写真集の良いな、と思う点は一人のモデルさんがすべての写真に、あるときは点景として、あるときはアップで主人公として、あるときは車内の乗客として写っているところ。この人と一緒に各地の鉄道をめぐっている気分になる、と言うと言い過ぎかもしれませんが、全国の鉄道風景を訪ね回っている様子を追体験できるような不思議な気分になります。

旅行好きな方で、よく自分の分身として小さなぬいぐるみやフィギュアを持ち歩き、風景写真を撮るときには必ず写真のどこかにそれを写し込んでおく、という方を複数知っていますし、自分もよくします。それと似ているんですよね。でもそれは、実際に自分がその場に行って自分の分身を置いて自分でシャッターを押さなければならないので、行ける範囲には限界があります。なんだか、この写真集はそれを代行してくれているような、そんな気がしてきます。
タイトルロゴや表写真からはなんとなくJKを扱った際物っぽい雰囲気が漂いますが、決してそうではなくて、一本筋の通った良質の鉄道風景写真集だと思います。「参」も楽しみです。
今日読んだ本「団地ブック」

実は団地の定義をよく知らないので、そこら辺に今もできつつある集合住宅群を団地と呼んで良いのかどうかわからないのですが「団地ブック」で紹介されているのは昭和30年代から40年代に一般的に建設された団地でしょうか? とにかく紹介されている団地に懐かしい雰囲気があってすばらしいです。自分が子供の頃暮らしていた近所にもこんな団地が並んでいました。 今はすべて取り壊され、戸建ての住宅地になっています。
創刊準備号と創刊号を夏コミ C88 で購入したのですが、特に創刊号(1号)の団地間取り列伝の記事は良かったです。今では絶対に見られないような古い間取りを紹介しているのですが、バルコニーに出る出口が浴室の中(脱衣場ではないですよ、まさに浴室の中!!!)にあって、しかもそのバルコニーが隣の家と共用で仕切りもないとか。もう、これに萌えずにいったい何に萌えれば良いのか、というレベルです。
それ以外にも多数収載された古い団地の写真を見ると、これって自分が子供の頃には普通の景色だったよね・・・とか思ったりとか。制作された皆様、ありがとうございました。