シーラカンスは陸上生活の準備をしていた

ヴォイニッチの科学書
2012年1月14日
Chapter-375
シーラカンスは陸上生活の準備をしていた  

 シーラカンスはデボン紀、つまり古生代の約4億1千万年前から3億6千万年前に現われた硬骨魚です。白亜紀(約1億4千万年前から6500万年前)末に絶滅したと信じられていましたが、1938年に南アフリカ共和国のカルムナ川河口で発見され、インド洋西部のマダガスカル島およびアフリカ大陸東南部コモロ諸島近海に大きな集団を形成して生きていることが明らかになっています。最近の研究で卵が母体内で発育・孵化する卵胎生であることがわかりました。また、脳・神経の化学的な組成は現生の魚類よりも両生類に近いこともわかっています。

 そんな生きた化石シーラカンスの全ゲノム塩基配列を東京工業大学大学院生命理工学研究科、国立遺伝学研究所、東京大学大学院新領域創成科学研究科の研究チームが解読しました。その結果、ゲノムの大きさは人間と大きな違いはないものの、パターンは魚類タイプと四足動物タイプの共存になっていることが明らかになりました。シーラカンスの外見は魚類に似ていますが、系統的にはむしろ四足動物と近縁であり、体の構造を詳細に調べると魚類と四足動物のちょうど中間段階を示すものが多く見受けられます。シーラカンスは魚類と四足動物をつなぐミッシングリンクであることがゲノムレベルでも示されたことになります。

 今後は、今回の研究で明らかになった全ゲノム塩基配列を、魚類、両生類、哺乳類と比較することで、陸上進出へのカギとなった四肢獲得のメカニズムを明らかにしたいと研究者らは考えています。
スポンサーサイト
2012-02-19 : トップニュース : コメント : 0 :

さよならベテルギウス

ヴォイニッチの科学書
2012年1月7日
Chapter-374
さよならベテルギウス

 ベテルギウスはオリオン座の左肩に位置する赤くて明るい星です。地球からの距離がわずか640光年しか無いこの星は非常に年老いた星であることは以前から知られていましたが、最近の高性能な望遠鏡による観測で、そう遠くないうちに超新星爆発しそうな状況にあるらしいことが分かってきました。大きく重い星はその一生の最後に大爆発を起こしてよりいっそう明るく輝く超新星となりやがて光を失います。もしベテルギウスが爆発したならば、冬の夜空を代表する赤い星ベテルギウスは私たちの視界から消えてしまうことになります。

 ベテルギウスの直径は太陽の約1000倍もあるので、ハッブル宇宙望遠鏡などを用いれば表面の様子を観測することができます。ベテルギウスの大きさは、太陽の位置にベテルギウスを置くとその表面は木星軌道付近に到達するほどの大きさです。ベテルギウスの表面を観測した結果、表面はでこぼこに波打っていて、ガスとチリを三方向に吹き出している様子も観測されました。また、原因は分かっていませんがベテルギウスの大きさが15年間で15パーセントも小さくなっていることも分かりました。

人類が超新星爆発を起こす直前の星を観測するのはこれが初めてのことですので、実はこれらの異常な現象が超新星爆発とどのように関係しているのかはよく分からず、超新星爆発が起きる時期についても、明日起きても不思議は無いものの1万年後のことになるかもしれないと言います。

 ベテルギウスで起きていることをより詳細に観測するために、ヨーロッパ南天天文台がチリに建設した大型望遠鏡VLTを使ってベテルギウスの表面のスペクトルを観測しました。VLT干渉計は非常に高い性能を持っているので、ベテルギウスの表面のドップラー効果を測定することに成功、つまり表面の特定の領域のガスが地球に近づく側に動いているか地球から遠ざかるように動いているかを測定することができ、その結果、ベテルギウス表面ではガスがダイナミックに上昇したり下降したりして動いていることが確認されました。そのような激しい動きは太陽では見られないものです。

 ベテルギウスがいつ爆発するのかというのが大変な興味であることは間違いないのですが、爆発したベテルギウスが地球からどのように見えるのかもとても興味があることです。

 この点についても多くの研究者が予想を立てています。超新星爆発の直前に放出されたニュートリノが光の速さで地球に到達しニッポンの検出器スーパーカミオカンデで検出され、私たちはベテルギウスが爆発したことを知ります。星が明らかに輝きを増すのはそれから1~2日後。それから3時間後にはたとえ昼間であっても空の一点がギラギラと輝いて見えるほどの明るさにまで増光します。現在は赤いベテルギウスは爆発直後の一時的に温度が急上昇し青く輝きますが、その後は次第に暗くなります。明るさがピークを迎えるのは爆発から7日後。日中でもベテルギウスが見えるほど輝き続ける期間は3ヶ月と予想されています。4ヶ月目には明るさは100分の1に、15ヶ月後には金星と同じくらいに、二年半後には北極星くらいにまで暗くなって4年後にはついに肉眼では見えなくなって事実上夜空からベテルギウスは消えてしまいます。

2012-02-19 : トップニュース : コメント : 0 :

カブリIPMU発足へ

科学新聞
2012年2月17日
トップ記事
「カブリIPMU発足へ」

 IPMUというのは、東京大学にある数物連携宇宙研究機構の略称です。数学、物理学、天文学の世界トップレベルの研究者が連携して暗黒エネルギー、暗黒物質、統一理論などの研究を精力的に進めようという組織です。

 カブリは産業用センサーの世界最大企業カブリコ・コーポレーションのことです。ここの創業者フレッド・カブリさんが株の売却益を使って科学、特に宇宙物理、ナノサイエンス、脳科学、理論物理学の四分野の進歩のための様々な支援活動を行っています。

 カブリの活動は広範ですがその中に研究内容には一切口を出さずに、基金だけを既存の研究所に提供してその研究を支援する活動があります。今回、東京大学のIPMUが世界で16番目、日本の研究所としては初めての支援対象となり、750万ドルの基金が提供されることになりました。

 カブリの支援を受けると言うことは、研究資金が得られると言うだけではなく、世界で超名門の研究所のひとつであることを広く認められたことにもなり、国際的な認知度の向上や、世界トップレベル研究者のリクルーティング、また、同じくカブリから支援を受けている研究所とのコラボレーションなど様々なメリットがあります。

 ちなみに、選ばれた超名門研究所に与えられるのは一定金額の基金です。今回、IPMUはフェーズ1として750万ドルの基金を得ましたが、受け取った研究所はこの基金を運用して運用益で研究を推進することになります。日本の大学は国際など限られた運用しかできない規則があるため、これでは1%程度の運用益しか期待できません。そこで、カブリ財団では新たな支援方法として、この基金をカブリ財団自身が運用し、運用益を年に1回IPMUに送金する方法を開始しました。より高度な研究レベルにある研究所であることが認めらるとフェーズ2として2000万ドルまで基金が積み増されます。

IPMUの記者会見→ http://www.ipmu.jp/ja/node/1230
2012-02-19 : トップニュース : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
ホーム

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

02 | 2012/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 - - -

QRコード

QR