Chapter-436 イヌは人目を盗んで食べる

イヌを家の中で自由にしておくと、不思議なことが起きることが知られています。

 たとえばいつの間にかクツがなくなっていたり、テーブルの上に置いておいたはずの食べ物がなくなっていたり。基本的にはイヌを飼うときには飼い主はしつけようとしますので、してはいけないことをしたときには叱ります。それを繰り返すうちにイヌの側もいろいろなことを覚えてお行儀良くなるのですが、どうもイギリス、ポーツマス大学の最近の研究によるとイヌには陰ひなたというか、裏表があるらしいのです。

 イヌに食べ物を勝手に取って食べないように命令したとき、部屋が暗いと、その命令に従わない可能性が高くなるという研究結果があります。

 その実験は84匹の大人のイヌを使って行われました。これらのイヌはいずれも食欲があり、知らない人と暗い部屋を怖がらないことをあらかじめ確認してあります。次に、研究チームは実験用の照明が調整できる部屋を用意し、人がそこに入り、床の食べ物を食べないようイヌに命じました。この命令実験を、部屋が明るい状態から暗い状態まで、さまざまな光の条件で繰り返しました。

 すると、イヌが食べ物を盗み食いする確率は部屋が暗い時が4倍も高かったのです。イヌから人間が見えているかどうかはあまり関係がないようで、食べ物が明るい場所にあるかどうかでイヌの行動が変わるようでした。このことは、自分が食べ物に近づく姿が人間に見えるかどうかに基づいてイヌが判断していることを示唆しています。さらに解釈すると、イヌは他人には自分とは異なる視点、知識、および感覚がある、つまり人間から自分がどう見えているのかを推測できる能力を持っている可能性があります。これまで、このような人間のような能力はチンパンジーなどのサルがぎりぎり持っているかもしれない程度に推定されていたので、イヌを使った知能の実験が行われ始めたのはこの15年程度のことだそうです。ですが、今では動物認知の研究者はイヌが、模倣、問題解決などを行える能力を持つことに注目しています。

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2013-03-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

渋皮のむけにくいニホングリは実は渋皮のむける遺伝子を隠し持っていた

 日本原産のニホングリは、栽培しやすく果実が大きいものの渋皮がむけにくいために消費者から敬遠されてしまっているそうです。

 2007年に品種登録されたニホングリ新品種「ぽろたん」は、渋皮がむけやすいという画期的な特徴を持っており、国内のクリ産地に広く普及することが期待されています。しかし、その遺伝の仕方や由来などの情報は不明であったため、渋皮のむけやすい品種を計画的に育成することは難しい状況でした。

 そこで、農業・食品産業技術総合研究機構は渋皮がむけやすいという性質が遺伝する仕方や、交配でできたクリの木が渋皮のむけやすい遺伝子を持っているかを判別できるDNAの目印を開発しました。

 この目印を用いて「ぽろたん」の祖先品種・系統について渋皮のむけやすい遺伝子の有無を調査した結果、その性質は渋皮のむけにくいニホングリ在来品種に由来することが明らかになりました。つまり、もともと日本のクリが持っていたステルス遺伝子だったのです。品種改良でこのステルス遺伝子が実際に機能するようになったのが渋皮がむけやすい「ぽろたん」だったということです。
2013-03-27 : 雑談 : コメント : 0 :

変電所と架線の間を超伝導でつなぐ

 鉄道を超伝導で走らせると言えば、やはりリニアモーターカーですが、もう一つの方法として変電所と架線の間を超伝導電線でつないで従来型の電線でロスしている電気を減らそうという試みが行われています。

 国分寺市にある鉄道総合研究所はJR各社の研究開発を担っていますが、ここで超伝導送電を使って電車を走らせる世界初の実験が始まります。電線を超伝導状態にするには液体窒素でマイナス200度近くまで冷却する必要がありますので、架線を超伝導にすることはできませんが、変電所と線路の間を超伝導で送電することによって、電線冷却のために消費される電力を加味しても電力消費を5%ほど減らせる見込みだそうです。

 使用される超電導電線は鉄道総研の独自開発品で、液体窒素の流れる直径10センチメートルの中に超伝導素材で作った電線が納められています。

 架線が超伝導で送電できるともっと効率は良くなるのでしょうけどね。
2013-03-20 : 雑談 : コメント : 0 :

1万メートルの深海底でも菌は元気だっ

 海洋研究開発機構を中心とした研究チームは世界で最も深い太平洋マリアナ海溝の水深1万900メートルの海底を調査し、原始的な微生物が活発に活動していることを確認したそうで、このような特殊な環境に適応した生態系が存在しているようです。

 今回の調査ではすさまじい水圧に耐えられる観測装置を新開発し、海溝の底の泥に電極を突き刺したり泥を採取したりして分析しました。この結果を水深約6千メートルにある深海平原の海底と比較したところ、むしろ海溝の底の泥の方が酸素の消費が2倍も多いことがわかりました。海溝の底には生物の死骸がたい積し、菌のごはんになる有機物の量が多いらしく、深海平原よりも7倍も多くの菌が生息していると見積もられたということです。
2013-03-20 : 雑談 : コメント : 0 :

Chapter-435 熱電発電

 熱電発電は金属または半導体の両端に温度差をつけることにより、その両端間に電圧が発生する「ゼーベック効果」を応用した発電のことです。ゼーベック効果はいろいろな物質で生じますが特に半導体では効果が大きく、電圧は温度差に比例して大きくなります。もともとそれほど効率の良い発電方法ではありませんが、燃料コストをかける必要なく膨大な量の未利用廃熱を有効活用できる熱電発電は注目を集めています。特にニーズが高いのは、使われることなく捨てられている自動車や工場の高温排気です。これらの温度は300~500℃ですが、ゼーベック効果に用いる材料によって効率の良い温度が変わりますのでこれらの温度領域で効果的に発電する材料の研究は世界各国で意欲的に進められています。

 北陸先端科学技術大学院大学などの研究者らが自然界に存在する銅と硫黄を多く含む鉱物のテトラへドライトが、400 ℃付近で高い熱電変換性能を示すことを発見しました。これまで知られていた400℃付近で使用できる熱電材料は鉛などの有害元素を多量に含有していましたが、新たに発見された材料は環境にやさしい熱電発電の実現に大きく寄与するものです。

 テトラへドライトの高い熱電変換性能は、シリカガラスの半分程度という極端に低い格子熱伝導率に起因します。低い熱伝導率の理由を明らかにするため、大型放射光施設SPring-8の放射光を用いた粉末X線回折実験を行い、結晶構造と原子の振動を詳しく調べました。その結果三角形に結合した硫黄の中心に位置する銅原子が、三角形面に垂直な方向にゆっくりとした大振幅振動することを明らかにしました。この結果から、Cuの異常大振幅原子振動が低い熱伝導率の理由だと考えられます。

 テトラへドライトが高い熱電変換性能を持つ理由が明らかになったことから、この性能を向上させると共に、高性能熱電材料の発見を目指して、今後は類似構造をもつ物質にも注目して材料開発・探索を進められることになります。

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記事補足
2013年3月16日 日本経済新聞朝刊より
パナソニック、排熱で発電する実証実験 京都で開始 18年度実用化狙う
 パナソニックは京都市のゴミ処理施設で排熱を使って発電する「熱発電チューブ」の実証実験を始めたと発表しました。焼却炉の熱で温めた水を熱電発電機能を備えたチューブに流し、チューブの外側を水で冷却することによって大きな温度差を作り出し、電気を取り出します。排熱のうち1%を有効活用できれば、メガソーラー並みの電力を生み出せるとのことです。容積あたりの発電効率は太陽光発電の2倍と見積もられています。
2013-03-20 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-434 アシュワガンダ

 インド原産のハーブ「アシュワガンダ」に含まれる生薬成分が抗ガン剤として非常に有効だという研究結果がいくつか報告されています。アシュワガンダは原産地インドでは民家の庭にも生えているような植物で高さは1.5メートルくらいになり、臭いが独特で、果実はサクランボに似ています。インド古来のアーユルヴェーダでは滋養強壮や長寿を含めあらゆる病気に効く万能薬として使用されていた記録が残っています。

 アシュワガンダの薬効成分は少なくともウィザフェリンA、ウィザノンという2つの物質が確認されています。ウィザフェリンAはアシュワガンダの根から取り出すことに成功していて、乳がん細胞の浸潤・転移阻害、前立腺がんや子宮頸がんではアポトーシス誘導作用が観察されました。しかも、いずれも正常細胞にはまったく影響を与えなかったと言います。

 ウィザフェリンAの作用機序ですが、細胞にも実は骨格があって、細胞膜の内側から網目状に細胞膜を裏打ちすることによって細胞の形を保っています。また、細胞が移動するときにも細胞骨格が組み替わって動くことによって細胞が変形しています。ウィザフェリンAは細胞骨格の成分を粉々に切り刻んでしまってがん細胞が形を維持したり、移動したりすることを妨害しているようでした。その結果、乳がん細胞は周辺の細胞の中に広がっていったり転移したりすることができなくなってしまいます。

 また前立腺がん細胞を使った研究では別の作用メカニズムが発見されています。

 前立腺がん細胞が活発に増殖するきっかけとしているのはアンドロゲン受容体と呼ばれるタンパク質です。このタンパク質は細胞質に存在しています。普段は不活発な状態なのですが、ジヒドロテストステロンという物質が結合すると核を刺激して遺伝子を活発化させ細胞増殖を促す作用があります。ここでウィザフェリンAと共に前立腺がん細胞を培養すると細胞増殖を活性化するシステムが抑制されると同時に、がん細胞でアポトーシスを誘導する因子が活性化され細胞は死滅してしまいます。

 もう一つの抗がん作用物質ウィザノンは細胞分裂が起きるときに細胞の中に形成される紡錘体を破壊する作用です。これによって細胞分裂が失敗してがん細胞の増殖が抑制されます。

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2013-03-20 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

阿佐ヶ谷ダイナー・ヴォイニッチ無事終了です

 3月16日に開催されました阿佐ヶ谷ダイナー・ヴォイニッチ「南方熊楠」にたくさんのご来場を頂きましてありがとうございました。レポはぼちぼち書きますが、とりあえずすでにブログなどで紹介して下さっている方がおられますので、リンクを張っておきます。

ゲストの魔王女シオーヌ様
日々平穏様 
サチアキ様 
Ayayalan's Note様
Amazing Foods様
Ayayalan's Note様

「わたしも書いてる~」と言う方はお知らせ下さい。

 あと、当日の写真はこんな感じ・・・
IMG_9187.jpg
IMG_9203.jpg
IMG_9257.jpg
20130317_160392[1]
2013-03-18 : 雑談 : コメント : 0 :

Chapter-433 意外とわかっていなかった眠い時に脳の機能が低下するメカニズム

 眠くなるといろいろなものを見落としたり、素早い反応ができなくなったりしますが、脳科学的には見えているものが同じなのになぜそういう反応の違いが起きるのかについては解明されていませんでした。

 九州大学医学研究院の研究者らがはっきり目覚めている時と少しウトウトしている時に、機能的磁気共鳴画像(fMRI)と脳波を同時に計測して、それぞれの状態で脳の中で情報が伝達される効率を解析しました。その結果、何もせずぼんやりしている時でも脳では複数の領域が協調しながら活動して情報をやりとりして、ウトウトし始めるとこれらの脳の中での情報伝達の効率が落ちることが明らかになりました。

 ボンヤリしているときでも脳の領域感で活発な情報のやりとりが行われて何をしているのかについてはまだよくわかっていませんが、短期記憶の整理や、いざ刺激が入ってきた時に、脳内で素早く正確に情報の受渡しをするために重要な役割をしていると考えられています。今回の研究の着目点はfMRIを使って、ウトウトした状態でこのネットワークがどうなるのかを調べた点にあります。けれど、fMRIでは、脳の状態を計測している実験ボランティアがはっきり目覚めているのか、眠たいのかを知ることができません。というか、生きているのか死んでいるのかさえも判断は困難です。そこで、特別な脳波計測装置を用いて、fMRIと同時に脳波を計測し、はっきり目覚めている状態とウトウトしている状態を判定してfMRIのデータと紐付けした点に新しさがあります。

 さらに、脳全体を3,780ヶ所の小さい領域に分割して、fMRIのデータからどの領域とどの領域が連鎖的に反応するのかを測定し、脳全体のネットワークのつながり方を数値解析して情報伝達の効率を算出しました。

 その結果、ウトウトした状態ではネットワークの情報伝達効率が低下していること、さらに、「意識」との関連が深いとされる、前頭連合野・頭頂連合野で特に情報伝達効率が低下していることも分かって、このことがウトウト状態では、脳内のネットワークのつながり方が変化し、素早く正確な情報の受渡しができにくい状態になっているようです。この発見はfMRIの中でも正確に脳波を測定できる特殊な脳波計の開発に成功したことがブレイクスルーとなりました。

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2013-03-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-432 伝書バトが迷子になる謎に新説

 伝書バトの方向感覚を狂わせるらしい場所が希にあることが知られています。ある説では、伝書バトは超低周波の音をたどってルートを決定しており、この帰り道を「聞く」能力が狂うと迷ってしまうとされています。このような低周波音は人間には聞こえないほど低い周波数です。どうやら伝書バトはその音を聞くことによって、あたかも人間が眼で自分の帰り道を確認できるように、音の地図を頭に思い描けるようなのです。

 大きなスケールで方向感覚を持つ動物は東西南北を知るセンサー、つまりコンパスのようなものと地図データのようなものを併せ持っていると考えられています。人間は地図情報はある程度機を区することができますが、コンパスは全く機能していません。一方で、ハトではこの両者が機能しています。動物のコンパスシステムについてはかなり詳しく解明されているのですが、地図システムについては未解明な部分が多数残されています。

 伝書バトを様々な地点で放って巣に帰れるかどうかを調べる実験の過程で、ある特定の地点から放つと巣に帰ることができる日と出来ない日があることに気づきました。その理由を調べたところ、巣の周辺の低周波音がハトを放つ地点で聞こえていると無事に帰り着くことができ、聞こえていない日には帰ることが出来ないことがわかりました。低周波音が遠くに届くかどうかは風のパターンの変化や気温の逆転によって変化します。また、低周波音は地形によって反射されるなどして実際の音源とは違う方向から伝書バトを放つ場所に届くことがあることもわかりましたが、このような地形条件では若く経験の浅い伝書バトは帰り道に迷うことも確認されました。

 伝書バトの優れた帰巣能力の解明は生物の謎を明らかにする知的好奇心的観点だけではなく、米軍も関心を持っていると言います。米軍はナビゲーションに衛星を使ったGPSシステムを使用していますが、衛星システムが攻撃を受けるとナビゲーションに大きなダメージを受け、米軍は敵地で大混乱に陥ることが想定されます。そのため、伝書バトがどのようにして地球環境を利用して地図を作り出しているのかを解明し、そのメカニズムを海軍と空軍のナビゲーションシステムに応用しようとしているということです。

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2013-03-06 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

惑星分光観測衛星 SPRINT-A

SPRINT-A
惑星分光観測衛星

開発国:日本
打ち上げロケット:イプシロン
打ち上げ日:2013年夏
搭載機器:EUV(極端紫外線)分光器

仕様
 望遠鏡本体全長4メートル
 太陽電池パネル 幅6メートル×2
 質量 320キログラム

軌道
 傾斜角 31度
 近地点 950 km
 遠地点 1,150 km
 周期 106 min

金星・地球・火星、3つの太陽系地球型惑星は太陽系誕生時にはそっくりの惑星だったと考えられています。けれど、誕生から10億年が経過した頃までに金星からは大気が逃げ出してしまい、二酸化炭素を大気の主成分とする強烈に温暖化した灼熱の惑星となりました。火星は逆に大気中の二酸化炭素が宇宙空間に逃げ出してしまって、太陽からの熱を大気中にとどめておくことができなくなり寒冷化してしまいました。このような違いがなぜ生じたのか、SPRINT-A は世界初の惑星観測衛星として大気が宇宙空間に逃げ出すメカニズムの解明や、太陽風が惑星大気に与える影響などを調べます。

惑星分光観測衛星 SPRINT-A

URL:http://www.jaxa.jp/projects/sat/sprint_a/index_j.html


2013-03-03 : 人工衛星 : コメント : 0 :

Chapter-431 かつて地球はガンマ線バーストにさらされたことがある

 地球というのは非常に穏やかな環境で、それが数十億年も続いているので生物が十分に進化する時間を確保できたと言われています。少なくとも地球に於いては知的生命体が現れるまでに50億年物時間がかかったわけですので。とはいっても、50億年間全くの平穏無事ではなかったようです。

 2012年の6月に名古屋大学の研究チームが、屋久杉の年輪を用いた同位体測定結果から日本の奈良時代にあたる西暦775年ごろに、大気中の放射性炭素14の濃度が急激に増加していることを発見しました。炭素14は、地球外から飛来する宇宙線が大気と反応して生じた中性子によって窒素原子が変化して作られるので、太陽系に比較的近いところで何かとんでもないことが起きたのかもしれない、ってことを発表しました。けれど、文献的には775年に対応する天文現象は記録が無く、原因は特定されていませんでした。

 その後の研究で、このように何の記録も残さずに、強力なエネルギーを地球に降らせたのはブラックホールや中性子星、白色矮星などのコンパクトな天体同士が衝突合体して発生したガンマ線バーストだという説をドイツのイエナ大学宇宙物理学研究所の研究者等が提案しました。こうした現象で発生したガンマ線バーストは強力ですが短く、たいていは2秒以下しか続きません。ただ、この説も完璧では無くて、こうした短いガンマ線バーストは可視光も発するという別の研究もあって、その場合でもわずか数日間の発光とは思われますが、可視光で空が輝けば記録に残る可能性は高く、当時の記録を再度調査してみる価値はあるかもしれません。

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2013-03-02 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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