Chapter-463 マイクロ波化学

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 マイクロ波化学というのは電子レンジなどに使われる電磁波を使って化学品の製造を行う技術のことです。化学反応は一般的には熱や圧力を加えることによって反応の速度や反応でできる物質を制御して行いますが、マイクロ波化学は電磁波が物質を短時間で効率よく加熱することができる点を応用しているので、既存の化学反応よりもエネルギー効率が高いのがメリットです。20年ほど前から研究が行われてはいるものの、マイクロ波は到達の深さや強度などの制御が難しいため大型プラントへの適用が難しく、量産工場にマイクロ波化学が導入されている例はありませんでした。

 大阪大学のビジネスベンチャーで、直径80センチ、長さ3メートルの世界最大のマイクロ波反応炉を持つマイクロ波化学社は2009年から実証装置を製作し改良を続けてきましたが、今年中に世界初の量産工場が稼働する目処となりました。

 マイクロ波化学反応では原料物質にマイクロ波を照射するだけでは効率が悪いため、マイクロ波を吸収して熱くなる性質を持つ触媒が使用されています。触媒を使うことによって投入するエネルギーの多くを化学物質の加熱に利用することができるようになります。そのため、化学反応時間を10分の1に短縮することができます。しかも、ボイラーでスチームを作って加熱する従来の化学反応よりもエネルギー効率が高いため、3分の1の燃料で反応が進行します。スチームよりもコンピューター制御との相性が良いというメリットもあり、人件費の削減もできます。特にハイテク製品の材料に使用するような高純度品の製造に向いており、国内での化学品生産が海外製品に対して競争力を失いつつある中、マイクロ波化学による高機能品の製造は国内製造でも十分な競争力を持つことができます。


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2013-09-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

サイエンスアゴラ2013用のおやつを発注しました

 11月9日(土曜日)に東京お台場日本科学未来館周辺で開催されるサイエンスアゴラ用のおやつを発注しました。今日注文したのは第一弾。300個注文しましたので開演までに会場に来て頂ければゲットして頂けるのではないかと思います。

 去年まではオリジナルデザインのキャンディでしたけど、今年はちょっと違うオリジナルデザインのおやつにしてみました。おたのしみに。

 あー早く配布したい・・・

サイエンスアゴラ2013
ヴォイニッチの科学書の出展は・・・・

2013年11月9日(土曜日)13時~14時30分
日本科学未来館7階 みらいCANホールです。
入場無料、事前申込み不要です。
記念品には数に限りがありますのでご了承下さい。
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/2690321634.html

2013-09-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

The SAED-002 ヨハネス・ケプラー

 ヨハネス・ケプラーは1571年に生まれ、1630年に没したドイツ生まれの天文学者です。惑星の動き方を法則化した「ケプラーの法則」でよく知られています。

 28歳の時に天文学者ティコ・ブラーエの研究室に助手として招かれ、ティコのウラニボリ天文台で観測を行いました。ケプラーの法則はこの時の観測結果が基になっているものと思われます。

 1609年に執筆した「新天文学」の中でケプラーの第一法則と第二法則を発表しました。次いで、1618年に第三法則を発表しその後は大きな発表もなく1630年に病死しました。先週紹介したコペルニクスは地動説には気づいたものの、宇宙は神が作った完璧なものだという考えからは抜け出すことができず、真円で構成された宇宙にこだわりましたが、ケプラーは天文学者としてそこから初めて脱出することに成功し、惑星の軌道は楕円であることを提唱しました。

 ティコは火星などのいくつかの惑星の逆行現象を発見していましたが、ケプラー以前の天文学者は周転円という複雑な考え方を導入してこの現象を説明しました。これに対してケプラーは、惑星の軌道が楕円であればティコの観測結果を説明できることを発見し、これがケプラーの法則となりました。ケプラーは惑星の運動の解析から惑星が太陽に引っぱられていることも発見しました。
2013-09-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

The SAED-001 ニコラウス・コペルニクス

 太陽系の概念を考え出した人 1473-1543

 ポーランドの天文学者。イタリアに留学して医学や法律について研究を行いましたが、やがて天文学や数学を好んで研究するようになりました。科学者と言うよりもその生涯は牧師として歩んだ人生でしたが、プトレマイオスの作り上げた地球中心説に疑念を抱き、太陽を宇宙の中心におく地動説の体系を作りあげました。

 コペルニクスの考えた太陽系は現在明らかになっている太陽系と比べると依然として理念的な美しさを求めたものでしたが、地球中心の階層秩序的宇宙観を打破し、近代的宇宙観・自然観への道を開く上に決定的な役割を演じました。コペルニクスの考えた宇宙体系の総まとめである著書“天球回転論"(De revolutionibus orbium coelestium、6巻、1543)はコペルニクスが亡くなる直前の1543年に公開されました。

 この著書の中では宇宙の中心は太陽とされ、惑星はすべてそのまわりを公転するとされました。地球も惑星の1つであるとした点は画期的で、月が地球の衛星で地球のまわりをまわっていることも正しく表現されています。ただし、宇宙は神が作ったものと考えていましたので完全無欠であるはずで、すべての軌道はわずかなゆがみもない完全な円とされました。その結果、現実の惑星運行とはずれが生じてしまい、それを解決するために周転円が導入されました。この宇宙観は当時の社会および思想界に非常に大きな衝撃を与えました。
2013-09-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-462 イグノーベル賞2013

 イグノーベル賞は1991年に創設された、ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる賞ですが、その授賞式がアメリカのハーバード大学で行われました。イグノーベル賞には10の部門があるのですが、今年は2つの部門を日本の研究チームが受賞し会場を沸かせました。日本人が授賞するのは7年連続のことで日本の科学研究が独創性という点においては依然として世界トップにあることを示しています。

 イグノーベル化学賞にはたまねぎを切ると涙が出る原因となるメカニズムを酵素レベルで突き止めたハウス食品株式会社が。またイグノーベル医学賞を帝京大学などの研究グループが授賞しました。オペラを聴かせることが心臓移植治療後の延命効果があるという研究です。

 イグノーベル化学賞を受賞したハウス食品株式会社の研究ですが、授賞理由は「タマネギを切ったときに涙が出るという反応は実は非常に複雑なプロセスによって生まれていたことを発見」です。
タマネギを包丁で切ると涙が出ます。これは切断されたタマネギから何らかの分子が飛び出していることを示唆していますが、この涙を発生させる成分を催涙成分と呼びます。ハウス食品はこの催涙成分が新たに発見した催涙成分合成酵素、LF synthaseによって作り出されることを発見しました。

 タマネギの中には分子の中に硫黄の左右に3個ずつ炭素原子をくっつけたちょっと変わった形をしたPRENCSOという成分が含まれています。タマネギが刻まれるとこの分子がアリイナーゼ(Alliinase)という酵素の触媒で片方の炭素3個が切り離されて、つまり加水分解されます。タマネギからほのかに香るアンモニアの臭い箱の反応の副生成物としてアンモニアが生成するためです。そして、この硫黄原子に炭素が三つくっついた分子に今回発見されたLF synthaseが作用して催涙成分LF、本名propanthial S-oxideが生成します。

 もともとこの研究はタマネギとニンニクのペーストを混合するとどうして緑色になるのだろう、という研究の過程でLF synthaseが発見されたそうです。

 もう一つのイグノーベル医学賞は心臓移植手術をしたマウスにオペラの「椿姫」を聴かせたところ、モーツァルトなどの音楽を聴かせたマウスよりも拒絶反応が抑えられ生存期間が延びたという研究成果です。

 心臓移植手術をしたマウスは免疫を抑制しないと拒絶反応が起き、平均7日で死んでしまいますが、帝京大の研究では移植後7日間にわたりオペラ「椿姫」を聴かせると、平均で26日間も生存したそうです。一方で聴かせた音楽がモーツァルトなら20日間、エンヤだと11日間でした。地下鉄の雑音には延命効果はありませんでした。

 また、鼓膜を壊すとオペラの延命効果も失われることから、音楽が脳を介して免疫反応に影響していると考えられます。さらに、長生きしたマウスの体内では、免疫を抑制する細胞が増えていることも確認されました。



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2013-09-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-461 原子ナンバー115 

 元素周期表の115番の場所には「Uup」と書かれています。これが115を意味するラテン語とギリシャ語から暫定的に「ウンウンペンチウム」と呼ばれている新元素です。正式な呼び名はまだなく仮の名前です。

 原子番号は原子核の中に入っている陽子の数と同じですが、陽子は電気的にはプラスですので、小さな原子核の中に大量にプラスが集まると核をひとまとめにする力を上回ってお互いに反発し、原子核が分裂してしまうので安定に存在できません。その結果、自然界で最も重い元素は92番のウラン(U)です。

 従って、それ以上大きな元素は人工的に作り出された元素と言うことになりますが、それらは核融合によって作ることができます。

 話題の115番元素はロシアの原子核研究所で10年ほど前に初めて作り出されました。新しく作り出された元素が正式に認められるためには他の研究チームによる確認実験が必要ですが、このたびスウェーデンの研究者らが確認実験に成功し115番元素を作り出しました。今後、「国際純正・応用化学連合(IUPAC)」の委員会によって正式に命名されます。

 重い元素はある原子核に別の原子核を加速器で勢いを付けて衝突させて作ります。このとき、ほとんどのケースでは原子核同士が衝突しても跳ね返ってしまうのですが、非常に低い確率で元素同士が合体し、両方の陽子の数を合計した新元素が誕生します。

 衝突させる元素を上手に選ぶことも新元素を作り出す際には重要ですが、115番元素ではアメリシウム(Am:95)とカルシウム(Ca:20)原子を使いました。核融合では小さな原子核を大きな原子核に衝突させますが、両原子核の番号が大きく異なるほど核融合が起きる可能性が高くなります。一方で標的とする原子核の番号が大きくなると標的自体の安定性が悪くなるので原子番号が大きくなるほど人工的に作り出すことが困難になります。今回は95+20=115という核融合が行われました。



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Chapter-460 音楽が存在する理由とその歴史について考える

 人類はいったいいつ頃音楽を生み出したのか、ということが気になりますが、明確に楽器の形をしている世界最古の楽器と考えられているのは2008年にドイツの研究チームがドイツ南部のホーレ・フェルス洞窟遺跡で発見したハゲワシの骨で来た4万年前のフルートだという説が有力です。つまり、ヨーロッパに定住した初期の現生人類は音楽を奏でることができたようなのです。

 このフルートは直径8ミリメートル、長さは34センチ程度で、5つの指穴が開けられ楽器としてほぼ完全な形をしています。この地域では他にも近い時代の学区が多く発見されています。ヨーロッパに定住した初期の現生人類(ホモ・サピエンス)は生き残り、近縁のネアンデルタール人は絶滅しましたが、その違いの一つが音楽だったと考えている学者もいます。つまり、当時の現生人類はコミュニケーションや社会的結び付きを強める手段として音楽を使って仲間同士の結びつきを強め組織的行動、戦略的行動を取ることができたため、それができなかったネアンデルタール人よりも生存に有利に働いたというのです。

 ちなみに、この世界最古の楽器のレプリカをプロの演奏家が演奏したところ、低音が良く聞く心地よい音がしたそうです。



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Chapter-459 シーラカンスはすでに上陸の準備をしていた

 1938年に南アフリカで生存が確認され、生きた化石と呼ばれているシーラカンスですが、東京工業大学や国立遺伝学研究所、東京大学などの研究チームによる5頭分(タンザニア産3頭、コモロ産1頭、インドネシア産1頭)のゲノム解析を行いました。

 シーラカンスはこれまでの研究で、脊椎動物の進化の過程において陸上化を果たしたグループともっとも近縁である種の1つであることがわかっていますが、今回の研究でシーラカンスは水中で生息する魚類であるにも関わらず、そのゲノム中には陸生の四足動物、つまり魚類には存在せずカエルや哺乳類などに特徴的な遺伝子がすでに数多く存在していることも明らかになりました。

 手足は生物が上陸したことによって、新たな環境により適応するためにダイナミックな進化を遂げたことが知られていますが、その前段階における祖先のゲノム、一例として今回解析が行われたシーラカンスのゲノムの中ではすでに陸上化に必要な遺伝子が存在していたことが分かり、これは大規模な適応進化を可能にするDNAレベルでのメカニズムを明らかにする上で非常に重要な知見を与えるものだということです。



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Chapter-458 鉄の足を持つ深海の巻き貝スケーリーフットはどのようにして生命を維持しているのか

 インド洋の中央海嶺、水深2400メートルを超える深海底にはスケーリーフット、和名をウロコフネタマガイというカタツムリの仲間の不思議な巻き貝が大量に生息していることがわかっています。この巻き貝は足の表面が硫化鉄の鱗がまるでヨロイのように形成されているのが特徴で、体の一部が金属でできている今のところ唯一の珍しい生物です。おそらくは捕食性の動物から身を守るためにこのような進化を遂げたのだろうと推定されています。

 スケーリーフットが米国の研究者によって発見されたのは2001年のことでしたが当時は滅多にいない非常に珍しい生物であると考えられ、研究は進んでいませんでした。ところが、2009年11月に日本のJAMSTEC海洋研究開発機構の有人潜水調査船「しんかい6500」が熱水噴出口の表面に群がるかにやエビを除去したところ、その下にスケーリーフットの大集団が発見され、大量の個体を収集することができましたので、解剖や遺伝子解析の研究が急速に進展しました。

 スケーリーフットを解剖してみたところ、食道の細胞が巨大化していてそこに大量の共生微生物が住み着いていることがわかりました。スケーリーフットは深海底熱水活動域と呼ばれる暗黒、高圧、超高温の有毒熱水が噴き出す極限環境に生息しています。北海道大学を中心とする研究者らがこれらの共生微生物について、全ゲノム配列の解読を行いました。その結果、二酸化炭素から栄養分を作り出す特殊な共生微生物を体内に住まわせていること、共生微生物同士で水素からエネルギーを取り出す仕組みの一部を遺伝子をやりとりすることによって能力の水平伝播を行っていたこと、共生微生物が作り出した栄養分をスケーリーフットへ渡す仕組みが存在することなどが明らかになりました。

 また、硫化水素などのエネルギー源がない環境に置いたスケーリーフットも活発な代謝活動をすることができました。これは、共生微生物がスケーリーフットが必要なエネルギーを作って供給するだけではなく、エネルギー源を備蓄する機能も担っているためだと考えられています。




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Chapter-457 火星の風景はかつて雪景色だった

 アメリカのブラウン大学が「かつて火星は雪景色だったのかもしれない」という新雪ならぬ新説を提唱しました。火星にかつて水が流れていたことは今では疑いようのないことですが、この水が地面から湧き出たものなのか、上空からの降水に由来するのかについてはよくわかっていませんでした。

 そこで、火星の山やクレーターの縁などの特に標高が高い4カ所を対象に、火星の大気における風の循環や降水パターンをコンピューターシミュレーションしました。その結果、かつての火星では、湿気を含んだ風が山の斜面に吹き付けることによって生じる雪や雨が発生していたらしく、特に、クレーターの縁などの標高の高い地点においては降水量が多くなる傾向があったようです。

 火星の表面には水が流れた跡が多くの谷として刻まれていますが、これらの谷はクレーターに関連して降水量が特に多かった地域に集中しているため、地中から湧き出した水が谷を刻んだのではなく、気象現象によって大量に降った雨や雪が流れた跡が谷となったらしいと言うのです。

 では、火星に降ったのは雨だったのか、雪だったのかという点ですが、はるか昔の火星の大気組成の推定ではかつての火星は現在同様気温が低く、少なくとも雨が降るほど暖かくはなかったようです。けれど、この点については気温を推定するために必要なデータの中にはよくわかっていない因子も多く、雨が降るほどの気温だったという説も根強くあります。




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Chapter-456 ガラスは歪んだ20面体で埋めつくされている

 人間やプラスチックのなどの分子構造を解析する装置はかなり高性能になってきましたが、ガラスは分析が難しく、小さな20面体が無数に集まってできているのではないかと想像されていましたが観察には成功していませんでした。ガラスの構造的な特徴は食塩のように繰り返し構造を持つ結晶とは異なり、原子配列に規則性を持っていないことです。

 今回、東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究者らがオングストロームビーム電子線解析法という手法を使って長年の謎だった分子構造の観察に世界で初めて成功しました。その結果見えたのは、その形が非常に歪んだ20面体しかも、エネルギー的に安定な正20面体ではなく、正20面体よりも少しゆがんでエネルギー的には不利だけれども、全体としてぎゅうぎゅうに詰まりやすい構造、つまり、不規則で密な構造をとっているようでした。

 1952年に提唱された説では、ガラスの局所的な構造はエネルギー的に安定な20面体であるとされていました。けれど、正20面体だけをつなげると隙間ができてしまい密な構造をとることができません。、一方でガラスは非常に密な構造をしています。この矛盾はガラスの局所構造を直接観察することでやっと解決されました。



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Chapter-455 神経ダーウィニズム仮説

 「神経ダーウィニズム仮説」というものがあります。人間の脳は非常に効率的に情報処理をする能力を進化の過程で獲得しましたが、これはダーウィンの進化論と同様に、神経細胞の多様化と自然選択によってなしえたものだ、というものです。

東京大学 先端科学技術研究センターの研究者らは、ラットに対して音学習という実験を行って、そこから得られたデータを情報理論という手法で解析することにより、大脳皮質の表面積に占める割合と神経細胞の多様性が連動して変化することを発見しました。

 音学習の途中段階のラットの聴覚野では、音に反応する神経細胞の数が増えることが確認できましたが、その内訳を見てみると細胞の量が増大するのに伴って、様々な音に反応する細胞が現れ、神経反応の多様性が拡大しました。一方、学習終盤、つまりラットが十分に学習した段階では、音に反応する神経細胞が減り、その多様性も減少しました。

 これらの結果から、脳にとっての学習とは、多くの神経細胞を情報処理に参加させて、神経活動の多様性を増やすことで、どのような細胞を使いこなせば効率的に情報を処理できるか、その方法を発見することであると考えられました。また、最適な情報処理の方法が見つかると、無駄な神経細胞の活動を排除することがわかりました。



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2013-09-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

iTunes Storeで提供しているPodcastの購読数が10億本超え

おめでとう10億。ありがとう2000万

 ちょっと気づくのが遅れたのですけれど、iTunes Storeで提供しているPodcastの購読数が7月下旬に10億本を超えたそうです。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1307/23/news052.html

 ヴォイニッチの科学書が 旧iTMS で配信を開始したのが2005年11月19日から(ひょっとするとこの翌週からかも知れないけど)。この時が Chapter-86 でした。で、最新が Chapter-462 で配信回数は 376回。

 各回の配信数は 2006年の8月に70,000ダウンロードを突破して、さすがに最近は減っていて直近の1週間で 45,000 ダウンロード。この中にはくりらじのホームページから手動でダウンロードした場合もカウントされているので、少なめに毎週平均 50,000ダウンロードとすると、376*50,000=1880万!!

 ヴォイニッチの書棚と初音ミクのサイエンスを加算してもちょっとさばを読んでますけど、Podcast 10億というめったにないタイミングのご祝儀として(!?)2000万ダウンロードとしても良いよね。

 思えばと遠くへ来たものです。
 たくさんの購読、ほんとうにありがとうございます!!
2013-09-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-454 レドックス・フロー電池

 大規模実証実験が行われているレドックスフロー電池。redoxはreduction-oxidation reaction の略です。レドックス・フロー電池は充放電の繰り返しが可能な電池の一種ですが、構造上の最大の特徴は電池に2台の循環ポンプが搭載されている点です。このポンプで溶液を循環させてイオンの酸化還元反応を進行させます。

 1980年代に実用化研究が進んでおり、二次電池としては比較的古い技術で、最新のリチウムイオン電池と同じ量のエネルギーを蓄えるためには数倍の大きさが必要ですが、1万回以上の充放電が可能なため、耐用年数が圧倒的に長く、メガワット級の太陽光や風力発電の付帯設備として最近改めて注目を集め始めています。

電池の基本構造は2種類のイオン溶液それぞれに電極を入れ、両者を水素イオンのみが行き来できる膜で隔て、電極上で酸化反応と還元反応を同時に進めて充放電を行うしくみですので既存の二次電池と大きくは異なりません。イオンとしては長年の研究の結果、現在ではバナジウムイオンと硫酸イオンのペアが使用されています。電池の酸化還元反応が起きる部分の他にイオン溶液を蓄えたタンクが設置され、循環ポンプによってタンク内から未反応のイオンが供給されることによって発電し続けることが可能です。

 レドックスフロー電池のメリットは酸化還元反応が室温で十分に進行すること、爆発する可能性がないこと、特殊な設備が必要ないこと、レアメタルなどを使わないこと、タンクを増設すればいくらでも電池容量を増やすことができることなどです。
2013-09-08 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ダイオウイカもいいけど、デメニギスもね

 上野の国立科学博物館で開催中の特別展「深海-挑戦の歩みと驚異のいきものたち-」はもうご覧になりましたか?

国立科学博物館「深海」

 この特別展、「ダイオウイカ」がやはり一番注目を集めていてダイオウイカノ展示の手前では大渋滞、その先はみなさん物販へと急ぐのかわりとスカスカな感じですね。

国立科学博物館「深海」

 ダイオウイカも確かに貴重な展示なのですが、ダイオウイカの展示の手前には「黒スケ」「白スケ」こと「スケーリーフット」が。そして、ダイオウイカの展示の先には「デメニギス」がそれぞれ標本で展示されていて、おびお的にはこちらの方がとても楽しく観察できました。

 下の写真がスケーリーフットです(白)。「黒スケ」はカタツムリのような巻き貝なのですが足が鉄のウロコでできています。磁性細菌などの一部の微生物では細胞内に金属粒子を含むものはありましたが、多細胞の生物で本格的に体の一部分が金属製になっている動物は今のところ黒スケーリーフットだけです。

 深海底で300度くらいに加熱された地下水が噴き出す熱水噴出口で硫黄などを利用できる細菌を体内に共生させて生きている不思議な生物です。生息数的にはそれほど貴重ではないですが、住んでいる場所が局所的なのでそういう意味ではとても珍しい生物です。

 足が硫化鉄でできた黒い仲間と生身の白い仲間がいて、それぞれ「黒スケ」「白スケ」の愛称で呼ばれています。「深海」展では両方が標本で展示されてます。

国立科学博物館「深海」

 それから、ダイオウイカの展示も見学してみなさんお疲れになってわりとスタスタと通り過ぎるあたりにさりげなく展示されているのが「デメニギス」です。おびおが大好きな動物の中の一つで、水深10メートル超~1000メートルの深海に住んでいる魚ですが、その特徴は頭の上半分が透明になっていてまるで深海潜水艇のような外観になっていることです。

 残念ながら標本になると透明部分が崩れてしまってその特徴が見えにくくなっているのですが、それにしてもなかなかにすばらしいです。

国立科学博物館「深海」

 ちなみに、生きているデメニギスの写真が下。
 頭部の上半分が透明なのがわかりますよね?
 頭部の先端に2つ、目のように付いているのは実は「鼻」です。
 目は頭の透明な中に2つの緑色の傘のようについている構造体がそれです。深海では前方を見ても暗いだけなので少しでも光が届く上の方がよく見えるようにこのような進化をしたと学者さんは考えています。予備知識無く見ると、なんだかグチャグチャに崩れたメイボか何かのように見えますけど、こんな不思議な生物なんですよ。

 これから深海展に行かれる方は是非、足を止めて頭部の透明部分を脳内補完して観察して下さいね。

デメニギス
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2009024001
より引用。

2013-09-01 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

HeLaのゲノムが大変なことに

 HeLa(ヒーラ)細胞はいろいろな実験に頻繁に利用されるヘンリエッタ・ラックスさんの腫瘍細胞から樹立された無限に増殖を続ける細胞です。実験室で増殖させることができた最初の人間由来細胞です。

 このたび、ドイツの研究者らがHeLa細胞のゲノムを解読しました。その結果、HeLaのゲノムは大変なことになっていることがわかりました。

・正常な細胞では2本で対になっている染色体がほとんどが3本になっている
・5本に増えている染色体もある
・正常な細胞では2コピーある遺伝子が4コピー、5コピー、6コピーもある
・いくつかの染色体ではトランプをシャッフルしたように遺伝子の配置がぐちゃぐちゃに入れ替わっている

 ヘンリエッタさんの正常細胞のゲノム情報はありませんし、初期のHeLa細胞のゲノム情報も無いのでこのような大規模な改変が元々あったものなのか、実験室で50年以上にわたり培養され続けたことによって生じたのはわかっていません。
2013-09-01 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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