Chapter-475 アグリブレイク・カンパニー

 文部科学省がメタボローム解析とフェノーム解析と呼ばれるトレンドの生命科学研究手法を農業に取り入れ2014年から農作物の改良に最新の化学的手法で取り組むようです。農作物が生長する過程で、細胞の中ではいろいろな代謝反応がおきていますが、植物の状態の違いによってどのような代謝反応が活発になって、あるいは抑制されているか、そういった違いが出てきます。そのような分子レベルの変化と、葉の茂り方など生育の様子を関係づけます。さらに、そこにどれだけ太陽を浴びたかとか、どれだけ雨が降ったか、気温はどうか、などの環境因子をデータとして加えた上で詳細に解析します。その結果を品種改良に応用し、農業の競争力をよりいっそう高めようという戦略です。

一方で砂漠などこれまで農業のできなかった地域を農地に帰る取り組みも大古綯われています。パナソニックは京都大学と共同で砂漠を緑地化できる特殊な砂を開発しました。この砂は調理器具や洗濯機に汚れを付きにくくする撥水膜技術を応用したもので、砂を撥水加工した水となじまない砂です。この砂を層状に散布することによって水を蓄えることができるようになります。ビニールシートと異なり空気や水を適度に透過させ、大規模に施工することも容易です。砂で水を蓄えるというこれまでに無かった発想で環境負荷の少ない砂漠の緑地化が今後進むものと期待できます。

GPS衛星からの位置情報と農地の地図情報を合わせて利用する無人農機具によって、今日はこの区画に田植えをしよう、あるいはこの区画を収穫しようといったことが遠隔で可能になっています。将来は朝9時から夕方5時まで、スーツを着て東京のコンピューターの前で日本中の農機具を操作して農業をする、といった新しい農業の取り組みを生み出すかも知れません。


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2013-12-29 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

フォーマルハウト惑星系 その後

地球から25光年離れたところにあり、ハッブル宇宙望遠鏡によって発見されたフォーマルハウトにはちりのリングがあり、しかもその中に惑星が存在していることが確認されました・・・という話題を何度かトークライブなどでしているのですが、このフォーマルハウト惑星系、太陽系外惑星を人類が最初に直接撮影したものとして有名です。

フォーマルハウト惑星系

ところが、最近の観測によると、これまで惑星と思われていた「もの」が予想される軌道からだんだん外側にずれていることがわかってきました。下の写真が2012年の画像ですが・・・シロウト目には誤差範囲のように見えるのですが、その他の観測データと合わせて考えると、これはひょっとすると惑星ではないのかも知れない、という考え方が有力だそうです。

フォーマルハウト惑星系

一方で、これが惑星であることが完全に否定されたわけでもなく、今後も慎重な観測が続けられるとのことです。
これまで、おびおのトークライブで「人類が太陽系外惑星を撮影した最初の例、フォーマルハウト惑星系」の話を聞かれた方は「最近では疑念が持たれているので今後の観測が期待されている」と脳内情報をアップデートして下さいね。
2013-12-23 : 雑談 : コメント : 0 :

Chapter-474 ヴォイニッチ衛星部

ひさき

 JAXAが9月に新型小型ロケットイプシロンで打ち上げた人工衛星「ひさき」の運用が開始されました。ひさきは惑星分光観測衛星と呼ばれ、極端紫外線分光装置(EUV)を搭載し、世界で初めての極端紫外線を使った惑星の長期間観測を行います。それによって惑星の大気に関する詳細な情報を得ることが期待でき、太陽系形成直後は兄弟のように似た惑星だった金星、地球、火星がどのような出来事が原因で現在のような全く異なる性質を持つ3つの惑星に進化したのか、等の太陽系内惑星についての様々な研究を行います。

しずく

 2012年5月に打ち上げられてすでに運用中の衛星「しずく」ですが、しずくは第1期水循環変動観測衛星と呼ばれ、全地球規模で海面水温などを計測します。それらのデータを解析することによって天気予報の精度を向上させたり、漁船に良好な漁場情報を提供したり、北極海の氷の増減を観測したりします。

 しずくの最大の特徴は直径2メートルの巨大なアンテナを持つ高性能マイクロ波放射計センサーAMSR2です。AMSR2のアンテナ部分は、1.5秒間に1回転のペースで回転して、地表の広い範囲からデータを収集します。それによって、わずか2日間で地球上の99%以上の場所を観測することができます。アンテナの直径は衛星搭載用の観測センサとしては世界最大の約2m、回転部分は高さが約2.7mで、重さは約250kgもあります。このような大きくて重いアンテナが、1.5秒間に1回転という速さで、1日24時間、5年以上も休まずに回転し続けることになります。

 しずくの技術は今後農業への応用が期待されています。耕作地の土壌の中の水分の計測をすることが可能なので、干ばつの予測や農耕管理の情報収集にデータは応用できそうです。また、北極海航路の開発に必要なデータの収集もできそうです。





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2013-12-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

人工衛星人気投票

12月28日の阿佐ヶ谷ダイナー・ヴォイニッチ「人工衛星男子は傷つかない」に向けて、人工衛星人気投票を試しに実施してみます。
投票よろしくね。





2013-12-18 : お知らせ : コメント : 0 :

Chapter-473 ちっちゃな地熱発電所とか、落差50センチの水力発電とか

 地熱発電は日本に適した発電方法ですが、建設地の調査に長い時間がかかることや、熱源の多くが発電所を建設できない国立・国定公園などの中にあること、また、日本ではこれらの熱源を観光資源として活用していることなどから地熱の利用は進んでいません。

 そのような中で東芝とオリックスが岐阜県で地熱発電所を建設すると発表しました。建設予定地も温泉地域である奥飛騨温泉郷の中ですが、発電所の敷地面積を国内地熱発電所の中で最小の300平方メートルとして小型にすることで地元との利害調整に成功しました。出力は最大2000キロワット、事業費用は20億円です。安価で小型の地熱発電所は日本にマッチした新たな取り組みとして注目を集めています。

 同様に小型化することによって新たな展開が期待されているのが水力発電です。これまでも小川や工場の排水路などに小型の発電水車を設置する取り組みは行われていましたが、九州工業大学が開発した超小型水力発電装置は特殊です。この発電装置は落差わずか50センチでも発電が可能ですので、農業用水路などに大がかりな工事を行うこと無く設置が可能です。

 従来の水力発電はモーターと同様の固定されたコイルの中で磁石が回転して発電していましたが、新たに開発されたこの小型水力発電装置は従来固定されていたコイルを水力で磁石とは逆方向に回転させる仕組みになっていて、コイルと磁石の相対速度が2倍になるためわずかな落差でも十分な出力を得ることができる世界初の方式です。

 また経済産業省は、福島沖で出力2000キロワットの浮体式洋上風車の試験運転を開始しました。来年度には、出力7000キロワットの世界最大の浮体式洋上風力発電設備2基も設置され、世界初の浮体式洋上ウィンドファームの実証事業として、浮体式洋上風力発電所の安全性・信頼性・経済性、漁業との共存、環境影響の軽減などの評価が行われる予定です。
2013-12-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

人工衛星男子は傷つかない

おいしい食事と楽しい科学を同時に楽しむ恒例イベント。
阿佐ヶ谷ダイナー・ヴォイニッチ2013年冬
「人工衛星男子は傷つかない」開催のお知らせ。

今回はダイナー・ヴォイニッチ初めて年の瀬の開催となります。
人工衛星の話で飲んで騒いでみんなで楽しく2013年を締めくくりましょう。

人工衛星男子は傷つかない

開催日時:2013年12月28日(土曜日)
     18時開場、19時開演、21時30分終演予定
会  場:阿佐ヶ谷LoftA
アクセス:JR中央線阿佐谷駅パールセンター街徒歩2分
チケット:前売¥2,000 / 当日¥2,500(共に飲食代別)
       前売り券はローソンチケット【L:39098】にて発売中!

物  販:ヴォイニッチの科学書音源ディスク、ヴォイニッチの科学書オリジナルトレーディングカードを
     会場で販売します。お気軽にお声をおかけ下さい。

ご質問など:不明な移転がありましたらお気軽に obio@c-radio.net または Twitter @cradiobio へおたずね下さい。

お願い
※ご入場料のほかに、必ず1オーダー以上のご注文が必要です。夕食時間帯の開催ですので、ぜひ夕食も兼ねてお腹をすかせてご来場頂き、飲食しながら軽い気持ちでトークライブに耳を傾けて下さいね。
※イベントは19時からですが、入場は18時からです。ご入場順は・・・
  1)LOFT Aチケット・プレイガイドチケット(整理番号順・同時入場)
  2)LOFT A web予約(整理番号順)
  3)LOFT A電話予約
  4)当日券の方 となります。

※会場は狭いので大きな荷物は駅のコインロッカーなどに預けてご来場下さい。
※キホン相席となります。譲り合ってお楽しみ下さい。
※ご入場後、非常口をご確認下さい。
2013-12-10 : お知らせ : コメント : 0 :

Chapter-472 帆を持つ恐竜はカッコイイ

 1965年にモンゴルで両腕だけが化石で発見されていた恐竜の胴体部が、同じくモンゴルで発見されました。その結果、デイノケイルス・ミリフィクス「尋常ではない恐ろしい手」と名付けられたこの恐竜は背中に帆のような背ビレをもつ植物を食べる7000万年前の恐竜だったようです。「尋常ではない恐ろしい手」というのはなんとも妙な学名ですが、全長2.4メートルの巨大な両腕には指が3本あり、鉤爪が付いていることからこの名前が付きました。

ディノケイルス

 いろいろな研究の結果、胴体が見つからなかったのは実はデイノケイルス・ミリフィクスはひ弱い草食恐竜で、タルボサウルスという巨大な肉食恐竜のエサだったため、骨は粉々に砕かれて化石としては残らなかったようなのです。

 肝心の胴体骨格ですが、2006年と2009年にそれぞれほぼ完全な形で見つかったということですが、残念なことに頭や脚は既に盗掘されていたそうです。が、胴体部はほぼ完全な状態で手に入り、全長はおよそ11メートル、直立時の全高は5メートルにも達する巨大恐竜だったようです。そして、何よりも特徴的なのが帆のような背ビレを持っていたことでした。グラブロはオルニトミモサウルス類に属しますが、これらの仲間の中には穂を持っている恐竜はいません。ワニのような姿のスピノサウルスは背中の帆を持っていましたが、デイノケイルス・ミリフィクスとは系統的には大きく離れています。

恐竜


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2013-12-08 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

新聞の活用

こないだのサイエンスアゴラの質問コーナーで情報ソースの話題が出てましたのでちょっと補足。

新聞を情報ソースにすることは一般的に嫌われていて、それは著作権の問題を別にしても少なくとも科学の記事に関しては「えっ!?」っていう、それって何か変じゃない? みたいな質の低い記事が時々出てきたりするからだと思うのです。

でも、新聞にはすごくメリットがあると思うのでおびおは日経と日経産業新聞を購読しています。どういうメリットかと言えば、あれだけ多種多様な情報を毎日届けてくれて、しかも、一覧性が高いので大量な情報の中から自分の希望する情報を一瞬で取捨選択でき、そんなメディアは他には見つからないからです。とにかく「大量に情報が届くけど、不要な物は一瞬で捨てられる」というのは最大のメリットです。

その他のメディアだと、全体像を把握するのに時間がかかったり(1時間のテレビニュースだと全体像を把握するには1時間かかる)、入手する情報にフィルターがかかったり(興味の無いジャンルの話題をネットでわざわざ見に行くことは少ない)してしまいますよね。

新聞には電子版と紙版がありますけど、おびおは
・通勤電車の中で紙ベースの電子版を読む
・自宅に帰って、紙版を切り取ってスクラップする
を毎日繰り返しています。

電子版だと記事を読みやすく見出しで一覧表示してくれる機能がありますけど、あれはあまり使いません。だって、あれだと記事の重要性の比較ができないから。紙ベースの電子版なら見出しの文字の大きさとか、記事の面積で序列を付けることができますし。

で、電子版には記事のスクラップ機能がありますけどあれもあまりつかいません。昔ながらに紙の新聞をハサミで切り取ってます。これはスキャンしてpdfにして資料の一元管理をするため。このあたりはまたそのうち。

【結論】
・紙の新聞を読もう
  興味の無い話題も毎日大量に届くからそれが良い
  一覧性が高いので不要な情報は一瞬でスキップできるし
・電子版は紙レイアウトで読もう
  見出しの大きさや記事の面積で重要度が一瞬で判別できる
・スクラップは紙の新聞を切ろう
  スキャンして資料を一元管理すると便利だから
  切るときに記事の内容のおさらいもできて記憶の定着に役立つし

新聞の活用
2013-12-01 : 雑談 : コメント : 0 :

Chapter-471 すざくの活躍

 日本のエックス線天文衛星「すざく」が100億年以上前に鉄が宇宙空間に大拡散した時代があったらしいことを発見しました。宇宙の年齢は138億年であることをESAの宇宙マイクロ波背景放射観測衛星プランクが明らかにしています。その歴史の中で100億年以上前に鉄などの重元素が宇宙全体にばらまかれた時代があり、それが現在宇宙に存在するほとんどの重元素の起源であるらしいのです。
 
 元素は最も軽い水素が最初に作られ、超高温高圧環境での核融合によって重い元素が順に作られますが、宇宙誕生直後の超高温高圧時代は短かったので、その間には水素しか元素は作り出されることは無かったと考えられています。したがって、今私たちの身近にある鉄などの重元素は138億年前の宇宙には存在しておらず、その後に生まれた星々の内部で形成され、星が最期を迎える超新星爆発とともに周囲にまき散らされたはずです。けれど、超新星爆発という非常に局所的な出来事で放出された元素が本当に宇宙全体に広がって次の恒星系の材料になるのでしょうか。

 宇宙に星や銀河が大量に誕生したのはビッグバンから30億年後のことでした。これらの大量の星の中心部では核融合によって鉄などの重元素の多くも生成されました。米国スタンフォード大学の研究者らがすざくでおよそ2.5億光年彼方にあるペルセウス座銀河団を調べたところ、銀河団内の1000万光年にも及ぶ広い範囲にわたって、鉄の割合がほぼ一様であることがわかりました。もし、鉄が宇宙に広がったのが最近の頃であれば、かつて星が存在していた周辺に鉄が大量に存在するような村が見えるはずです。このことから、銀河団が誕生したとされる100億年以上前のころには、すでに鉄のほとんどは銀河からの強い風に乗って宇宙に大きく広がり、よく混ざっていたと考える研究者もいます。


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2013-12-01 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-470 ネアンデルタール人に関する最新事情 

 ネアンデルタール人は今から20万年から4万年前の中期旧石器時代と呼ばれる時期に、ヨーロッパから中近東、さらには中央アジアに分布した旧人類です。ホモ・サピエンスとの関係についてはかつては人類の祖先だと言われていましたが、その後、遺伝子の解析から別系統の人類だったという説が有力になり、現在ではまた、人類の祖先との混血も存在していたなどいう説も有力になってきていて正直なところよくわかっていません。

 スペインIPHES:人類の古生態学と社会進化のカタロニア研究センターの研究によると、ネアンデルタール人は爪楊枝を使っていたようなのです。楊枝で食べカスを掃除しながら、歯周病の痛みも和らげていたようなのです。

 その証拠というのは、スペイン、バレンシアのコバ・フォラダ遺跡で発掘された頭蓋骨の上あごで、5万~15万年前のこの骨には歯が残っていました。その歯には木の枝のような物を楊枝のように使っていたことが推測される痕跡とともに、骨が溶けるほどの重症の歯周病の証拠が残っていました。そのため、爪楊枝は歯の掃除だけではなく、歯周病による痛みや炎症を緩和する目的でも使われていた可能性があります。ネアンデルタール人が薬草を使用していたという証拠も存在しているといいます。もし事実であれば、ネアンデルタール人は歯周病の痛みを和らげる方法を編み出し、また薬草も利用する当時としては高度な医療技術を持っていた可能性があります。

おめでとう10億。ありがとう2000万
2013-12-01 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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