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Chapter-506 アクティブ・ケミカル・ディフェンス

 体内に毒素を持つことによって外敵から身を守っている生物はたくさんいます。海綿動物の仲間にも毒を持っている種類があることが知られています。
 
 海綿動物は原始的な多細胞動物で、スポンジのような生き物です。そのため、毒素を作っているのは海綿動物自身ではなく海綿動物の体内に共生している細菌であろうと長年想像されていました。

 東京大学の研究グループは、相模湾に生息する海綿動物を丸ごとすりつぶして、その中から毒素の生産に関わっている遺伝子を特定し、その遺伝子を持っている微生物を探し出すという手法で海綿の体内の微生物を特定することに成功しました。この微生物が作り出すのは、完成品の毒素ではなく、あとわずかの化学変化で毒素に変わる物質でした。海綿動物はこのギリギリ無害な毒素を体内に蓄えさせられ、外敵に襲われたとき、海綿動物の組織が傷つくと、それが一瞬で強力な毒に変化し、外敵を撃退していたのでした。

 このような手間のかかることをする理由は、海綿の体内で毒素を作ってしまうと、自分の住みかである海綿自身がダメージを受けるからです。海綿が外敵にかじられるなどして細胞が傷つくと、細胞から流出した酵素と反応し、脱リン酸化という反応を受けることによって瞬間的に毒性が急上昇する仕組みになっていたのです。このような化学物質の構造を巧みに変化させて身を守る方法をアクティブ・ケミカル・ディフェンスといいます。


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2014-07-25 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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おびお

Author:おびお
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
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