タンタルプラチナナノ粒子触媒なの

ンタルプラチナナノ粒子触媒なの

物質・材料研究機構が東北大学と共同で常温常圧のエタノールから効率よく電力を取り出すことができるクリーンな新触媒「タンタルプラチナナノ粒子」の開発に成功しました。

サトウキビやトウモロコシを発酵して得たエタノール燃料は海外では普及が進んでいますが、従来のエンジン用燃料の代替として使用されるため、エネルギーを取り出す段階で二酸化炭素や酸化窒素を発生させてしまい、クリーンなエネルギー源とはいえません。

そこで、エンジンの燃料として使うのではなく、ポリマー電解質膜燃料電池(PEMFC)での利用が研究されています。エタノールは2個の炭素原子が結合した分子です。PEMFC用燃料としてエタノールを使用する場合にはこの炭素と炭素の結合を切断できれば最も効率が良いのですが、この結合は丈夫なのでなかなか切断できず、エタノール分子に含まれる化学エネルギーを利用し尽くすことはできていませんでした。

炭素-炭素結合を速やかに切断する触媒を開発することを目標として研究が続けられ、ついにタンタル(Ta)とプラチナ(Pt)を組み合わせた新触媒「タンタルプラチナナノ粒子」が開発されました。今回開発した触媒を用いたPEMFCは従来触媒型の10倍以上の電流密度を達成することに成功したということです。

写真は今回開発された新触媒の電子顕微鏡写真です。
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2015-05-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

【グロ注意】エウロパに関するNASAの実験結果がグロい件

木星の衛星エウロパには茶色の縞模様が多数あることがわかっています。この縞模様の成分が何なのかについてはわかっていませんでした。

エウロパに関するNASAの実験結果がグロい件

そこでNASAはエウロパの表面に似た環境を実験室で再現し、茶色い物質の候補と推定されるいくつかの物質をその模擬環境にさらす実験を行いました。その結果、塩化ナトリウムで実験い、塩化ナトリウムを宇宙空間の放射線に長時間さらすとエウロパのような茶色い変色が確認できたということです。

厚い氷で覆われたエウロパの内部は液体の水で満たされていることがほぼ確定していますので、その表面に縞模様ができるということは海が液体で流動性を保っていることを示唆しているのかもしれません。そうすると、海底には深海熱水噴出孔があり、エビやカニ、魚のような生物が生息しているのではないかと想像はふくらみますね。

ですが、NASAが発表している放射線で変質した塩化ナトリウムの写真がなんか化膿した傷口のようでグロいと話題になっています。

エウロパに関するNASAの実験結果がグロい件

画像は
NASA/JPL-Caltech/SETI Institute
NASA/JPL-Caltech
2015-05-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

武装強化したウイルスでがん治療

武装強化したウイルスでがん治療

鹿児島大学を中心としたグループが、がん細胞の中だけで増殖し、がん細胞のみを殺傷するウイルス医薬の開発・実用化に向けた臨床試験に着手します。

がんの治療方法としては外科手術、抗がん剤の時代が長く続き、現在の開発の中心はがん細胞と正常細胞の分子レベルでの明確な違いをターゲットとして副作用を提言しつつ効果を高めた分子標的治療薬に移っています。

今回臨床入りするのは「サバイビン依存性m-CRA」というウイルス医薬品です。分子標的治療薬の進化形で、遺伝子組換えによってがん細胞を破壊することを教え込んだウイルスを患者の体内に送り込むものです。
2015-05-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

食品に対する「提供禁止」規制広がるけどいいのかな

E型肝炎はウイルスで汚染された食品経由で感染し、腹痛、発熱、稀ですが最悪肝障害で死亡することもある病気です。

これがどうも(統計上は)急に増えているようで、国立感染症研究所の集計によると2014年は154人と過去最高だったそうです。統計上は。牛レバ刺しが禁止されて、ユッケも飲食店が対応しづらい提供上の調理条件が定められ、んじゃ、ということでみんなが豚肉をナマで食べ始めたのが原因なのではないか・・・とのことです。

で、厚生労働省が豚をナマ食用に提供することを禁止する規格基準を作る予定だとのことです。個人的には、SPFでさえ生焼けで食べるのははばかられるのに、普通の豚を生で食べるのは食べる側がどうかしてる・・・と思うのですけど、そこに規制をかけていこうということのようです。国立感染症研究所が豚の生肉が原因だと判断した根拠はあるのでしょうけれど、そこはわかりません。

基本的に、食べ物として一般的に、あるいは文化・伝統的に認められているものを食べて食中毒になるのは食べた人の責任でしょう・・・。日本ではありえないでしょうけど、米国だったら牛レバ刺しを国が禁止したから、出された豚を食べてE型肝炎になった、賠償しろ、って国を相手に集団訴訟が起こりそうなレベルですけど・・・。

わたしはもともとレバーはナマであれ焼いてあれ食べないので、どーでもいいといえばどーでもいいのですが、ただ、このようにわずか100人そこらの食中毒が出た程度の食材に次々に規制をかけていくとそのうち工場で作ったぶのぶにょに火を通した無菌野菜しか食べるものがなくなっちゃうんじゃないかと思うんですけど・・・。少なくとも好物の馬刺しはもちろんのこと、ホルモン焼肉や卵ごはん、淡水魚のナマ食が規制の対象になるのはかなり確率高い気がします。ま、家の外でどれほどの人が卵ごはんを食べているのかは知らないですけど、とろーり卵のオムライスとか、半熟卵のカツとじ丼のお店は消滅しそう・・・

こんな、いままで問題なく自己責任でやれていた些細なことを規制するために東大出の人が時間をかけて規制文章を考えていられるほどヒマなのなら海外から入ってくる食品の検査の厳格化(基準的にも検査率的にも)とか規制とかをしてくれたほうが国民としてはありがたいのですけど・・・。
2015-05-31 : 雑談 : コメント : 0 :

サイエンスアゴラ、今年もエントリしました

今年のサイエンスアゴラの日程は
○ 2015年11月13日(金)~15日(日)
○ 場所:東京 お台場地域
です。

ちょうど今、企画の公募受付中で今年も「ヴォイニッチの科学書」としてエントリしました。
例年通り、審査がありますので出展できるかどうか決まるのは6月末の予定です。
出展できた場合には、14日(土曜日)と15日(日曜日)2日間終日のブース出展になります。
都合のつく日、都合のつく時間にフラッとお立ち寄りしていただければと思います。
今年もトークライブ(講演会)は行わず、皆さんとのコミュニケーションの場として出展したいと思っています。
2015-05-31 : 雑談 : コメント : 0 :

Chapter-547 二つの人工衛星の終わり

磁気圏観測衛星「あけぼの」(1989年打ち上げ)

「あけぼの」は、オーロラを光らせている高エネルギー電子を調べるための科学衛星で、磁気測定装置、プラズマ測定装置、放射線測定装置、オーロラ撮影カメラなど9種類の観測装置を搭載していました。

ヴァン・アレン帯の強烈な放射線に耐えながら26年間に渡り観測を継続し、オーロラや地球周辺の放射線領域を観測し、太陽の活動と地球磁場、オーロラ現象の関係の解明に重要な成果をあげました。

ですが、観測装置の半数以上が故障し、衛星軌道の高度が低下しているために、地球から遠く離れた場所にあるヴァン・アレン帯の十分な観測が出来なくなり運用を断念したものです。  運用期間が26年に達したことによって太陽の活動周期11年の2周期以上観測でき、長い年月における太陽活動の変化に伴う地球磁場の反応を非常に高い信頼性で観測することができました。  

人工衛星あけぼの

熱帯降雨観測衛星「TRMM(トリム)」(1997年打ち上げ)  

「TRMM」はモンスーンや台風による雨の様子を観測するための衛星で、3年の設計寿命の6倍近い17年半近く稼働し、天気予報の精度向上や途上国の洪水予測精度が大きく向上しました。  

トリムは街を走るミニバンの幅と高さをそれぞれ1.5倍にしたほどもある大型衛星でアメリカ製の衛星本体にアメリカ製と日本製のセンサーが搭載されていました。地球を縦割りにするように92分周期で周回することによって地球全体の観測をしていました。

衛星は大気との摩擦や地球の重力で高度が少しずつ下がりますが、TRMMの軌道は既に衛星としてはほぼ最低高度の地上300キロ付近にあり、今後は大気の影響を受けて急激に高度が低下することが予想され、2016年11月頃に大気圏に突入して燃え尽きる見通しです。

なお、衛星を制御する燃料はまだ残っていますが、スペースデブリと衝突して破壊され、破片をまき散らすことを防ぐために落下までは衛星の軌道修正が可能な状態で保たれています。立つトリム跡を濁さず、とはこのことですね。

人工衛星TRMM



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2015-05-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

スマホで天気と病気の関係を解明

環境コンサルティング会社のいであはスマートフォンを経由して多くの生体データを集められる計測器を開発したと発表しました。

心拍数や体温、運動量、周囲の気圧や温度などの情報を集め、スマホの位置情報と気象庁の観測データなどの情報と合わせて、気象と生体反応の相関関係をビッグデータとして蓄積し、天気と病気の関係の解明に取り組みます。

これまでも医師は天気によってある特定の疾患の患者数が増えることを経験的に知っていました。私たちの身の回りにおいても、気温が高くなると熱中症患者が増えることは当然のこととして知られていました。このような天気に依存する重篤な疾患はその個人の周辺環境と気象データから発症を予防することが理屈状は可能ですが、「暑いと熱中症が増える」という漠然とした相関では、どこにいるどの人が次の熱中症患者なのか、ということまでは予測できませんでした。

位置情報付きのスマホからのデータをを使用した個人個人のコンディションと気象の相関を解析することにより、疾患の発症しやすいパターンを発見し、疾患の予防を試みるのが目的です。これが実現すれば、ある特定の個人に対して「あなたは熱中症の危険があります」と警告を発することが可能になると期待されます。

工場などの現場では夏場の熱中症対策は現在非常に重視されていて「体調が悪いと感じたらためらわずに休憩すること」というのが徹底され、休憩所や給水設備の充実と合わせて事故の件数は減ったように思います。

そこにさらに、クラウドコンピューティングの目線で「あなた、あぶないですよ」と本人が気づく前に警告を出してくれると、もっともっと事故を減らすことが出来そうです。あるいは、監督者の端末に「ここで作業している人はこのままだと30分後に熱中症になります」という警告を発するシステムも良い感じかもしれません。

この調子でいろいろな急病の発症が予測できるようになるといいな、と思う一方で、街を歩いていて自分のスマホからいきなり「あなたは30分以内に心臓発作を起こしますので気をつけてください」とか警告された時の絶望感もはんぱない気がします・・・



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2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

静かな超音速飛行への挑戦

音速を超えて航空機が飛行すると機体から発せられる衝撃波が落雷に似た爆音を発生させるソニックブームという現象が発生します。かつての超音速旅客機コンコルドもこれが原因で住宅地上空などでは超音速飛行が出来ませんでした。

現在世界各国で航空機の形状を工夫することによってソニックブームを低減し、より短時間で長距離を移動できる航空機の開発を進めています。日本ではJAXAが中心となって研究が進められていますが、試験飛行自体成功する段階に達してません。

2015年6月より新たな飛行実験をスウェーデンの実験場で実施するための準備に着手したことが発表されました。試験飛行では上空30キロメートルまで気球で持ち上げたエンジンの無い機体を落下させ、落下速度でマッハ1.3まで加速し約50度の角度で降下させながら超音速飛行を維持しソニックブームを計測する計画です。

下の写真はJAXAの試験機です。左上に写っている階段などから大きさを想像してください。

静かな超音速飛行への挑戦
http://www.jaxa.jp/press/2015/05/20150512_dsend2_j.html

JAXAの試験機は主翼の形状などなかなかかっこよいです。
短時間で移動できる交通機関は料金が高いという相関がありますので、ハワイまで3時間で行けるようになってもちょっと料金を払えそうに無いので、従来の「鈍行」で行くことになるであろうことが容易に想像できてちょっと残念です。
2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

内臓脂肪も遺伝子で決まる

自治医科大学は花王との共同研究で内臓脂肪を蓄積しやすい遺伝子の特徴的なピンポイント変異を発見しました。この変異があるのは血糖値を調節するホルモンに関係する遺伝子で、この遺伝子には、6カ所のピンポイント遺伝子変異が起きる可能性がある場所が特定されています。

このような遺伝子変異を一塩基多型といいますが、一塩基多型が1つの人の内臓脂肪が平均して約85平方センチだったのに対し、5つ以上の人は同約98平方センチと、一変異多型の数が多いほど内臓脂肪が蓄積されることが確認されました。

内臓脂肪の蓄積は糖尿病や動脈硬化などのリスクを高めますので、健康診断などで一塩基多型が調べられるようになれば、生活習慣の改善に対してより注意を払うようになるきっかけになると思われます。

そうは言っても内臓脂肪の蓄積しやすさが遺伝子レベルで決められてしまうとなると
「あなたの一塩基多型は6カ所でした」
などと診断されると、もう絶望するしかない気がしますね・・・
知らずにダイエットの努力するのが幸せなのか、知ってあきらめて食べたいものを食べるのが幸せなのか・・・・
2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

柔らかな発電ゴム

株式会社リコーは、柔軟な発電ゴムの開発に成功したと発表しました。

環境中のちょっとしたエネルギーを電気に変換する研究は用水路の水を使った水力発電や工場のパイプの熱を使った熱電発電などさまざまなエネルギー源の活用が考えられていますが、圧力による発電技術も環境発電(エネルギーハーベスティング)の1つとして注目を浴びています。

現在の圧力を電気に変換する素子はセラミックスや高分子樹脂などが実用化されています。ですが、セラミックスは重くて壊れやすい、高分子樹脂は薄くすると取り出せる電力は微量になるなどの改善を必要とする点があります。今回リコーが開発した発電ゴムは、柔軟性が高く、しかもセラミックス圧電材料と同等の高い発電性能を有する新規材料です。

身の回りにあるゴム製品を置き換えることができるのでいろいろと使い道はありそうですけど、髪をツーサイドアップに束ねるゴムをこのリコーの新素材で作ってついでにLEDも内蔵して、髪が揺れるたびに発電してLEDが光るヒカリ物系髪ゴムとかどうでしょうかね?
2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

トリケラトプスはスタスタ歩いていた!?

チラノサウルスがゴジラのような直立姿勢では無く、やじろべいのように上半身としっぽで水平にバランスを取っていたことがわかったことに端を発し、恐竜についての古い見方を改めなければならないケースが増えています。たとえば、羽があっても飛べなかった翼竜や、カラフルな羽毛をもつ恐竜などがそうです。

博物館のトリケラトプス骨格は両足をしっかりと踏ん張って姿で再現されていて、その身体の大きさからもノシノシと歩いていたイメージがあります。

トリケラトプスはスタスタ歩いていた!?

ですが、名古屋大学博物館の研究者らが関節の付き方や、現生動物との比較で筋肉の様子を推定したところ、ほ乳類のようにもっとシュッとした足の付き方で、意外とスタスタと軽快に歩いていた可能性があることが指摘されました。
ちょっと太めの牛や馬のようなイメージの生物だったのかもしれません。

でも、こんな強そうなツノを3本も持って大きなえりまきを付けた恐竜がこっちに向かって軽快に走ってくるとちょっとコワイ・・・
2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

アルコール依存症の兆候

アルコール依存症の兆候

米ジョージア・リージェンツ大学の研究者らが発表したアルコール依存症の兆候です。

・たくさん飲んでも酔わなくなって、結果として飲酒量が増加する。
・飲酒をしていないときに不安、震え、神経質、発汗、吐気・嘔吐、不眠、過敏性、抑うつ、疲労、頭痛、食欲不振がみられる。
・生活の中で飲酒のためにつかう時間が増え、かつて重要だった活動に費やす時間が減る。
・仕事のトラブルや人間関係での問題が生じても飲み続ける。
・やめたくても飲酒をやめられない。

お酒は美味しいし、飲むことは楽しいのですがたしかにお酒を飲むのには時間がかかりますので、そのぶん何かもっと大切なことができる時間を失っているであろうことは間違いないので以後気をつけます。
2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

iPS細胞臨床試験その後

2014年秋にスタートした眼の難病、加齢黄斑変性症のiPS細胞を用いた世界初の臨床研究は患者本人の皮膚からiPS細胞を作る移植医療でしたが、がん化などは起きず、順調に振興していることが明らかになりました。

iPS細胞による再生医療の安全性が非常に高いようであることがいろいろな研究からわかってきており、2016年には神経難病のパーキンソン病の臨床研究が開始されますし、そのほか、iPS細胞から移植用血小板を作成する研究や脊髄損傷、重症心不全などの臨床計画が続いています。

また、負担の大きい透析治療から患者を過褒する腎臓病についてもiPS細胞を使って慢性腎不全の進行を遅らせる研究などが進んでおり、マウスを使った実験ではiPS細胞から作成した腎臓細胞による治療に成功しています。

ちなみに、iPS細胞を用いた加齢黄斑変性症の治療費は5000万円から1億円とのことです。
2015-05-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

今日読んだ雑誌「化学 2015年6月号」

今日読んだ雑誌 「化学」 2015年6月号

今日読んだ雑誌「化学」2015年6月号

55ページからの「シャンプーとコンディショナー」の記事がおもしろかったです。

シャンプーやコンディショナーって一体どれを買えばいいのかわからないほどものすごい種類が売られていますけど、記事によるとあれらは化学技術の粋が凝縮した製品の一つなのだそうです。

シャンプーとコンディショナー、それぞれ化学的な役目ってご存じですかね?

シャンプーは加齢臭などの原因にもなる皮質を取り除きます。ところが、シャンプーはアニオン性界面活性剤なので髪の毛が負に帯電して髪のあちこちが反発し合うのでキューティクルがパッカーンって開いた状態になります。こうなると髪がごわごわしたり、髪が汚れやすくなったりいろいろな問題があるので、コンディショナーで電気的に安定させてキューティクルを閉じて、元のいい感じに戻すわけです。

記事の方ではシャンプーを実際に調合してみよう! 的な話もあって、普通に購入できる化学品でシャンプーが作れることが紹介されてます。

最近はお店でいろんなものをカスタマイズするのは普通になってきましたので、シャンプーもひとりひとりの髪質に合わせてカスタマイズできるような商品を発売して「ツーサイドアップにしやすい髪質を作る配合」とか「アイラみたいな髪型になる配合とか」 こう、いろいろ出ると楽しくないですかね?




2015-05-19 : 今日読んだ・・・ : コメント : 0 :

14冊目の科学書籍制作中です

いまちょうど、次に出す本の文章やイラストがレイアウトされた試し刷りの確認をし終えたところです。
このように原稿を修正することを「校正」、試し刷りのことを「校正刷」といいます。今回が初めての校正なので特に「初校」と呼びます。

本文は私がすべて書きますが、挿絵は私が下書きをしたものをイラストレーターさんが仕上げます。両者を統合して本の体裁にするのが出版社の編集さんのお仕事です。文字と絵が一緒になったものを私が見るのはこれが最初ということになります。ですので、初校の校正はとてもわくわくします。

この段階で日本語の用法のチェックや、読みやすさのチェック、場合によっては一部書き換えたりもします。また、編集さんに「何百文字でこれこれについて加筆してください」という指示を頂くこともあります。校正には校正記号という決まった書き方がありますので、だいたいそれに準じて赤ペンで記入していきます。

14冊目の科学書籍制作中です

赤ペンと言いながら、私は無印良品のゲルインキボールペン 0.5ミリの「ピンク」を使ってます・・・
イラストも科学的に正しいかどうかを確認して、下の写真のようにペンで修正したり、修正テープで消したり、いろいろします。
右上に見えているキャラクターマグカップは Angel Beats! の立華さんです。


14冊目の科学書籍制作中です

これをだいたい2回から3回行います。
次に出る本は非常に不思議な生命現象に関する本です。
まだまだ研究途上の分野で不明なことも多いので、同じテーマで書かれた一般向けの本がほとんど存在していないテーマに挑戦しました。こんかいもできるだけわかりやすく、読みやすくなるよう注意を払ったつもりです。出版まではあと数ヶ月かかりますが、どうぞお楽しみに。







2015-05-18 : 雑談 : コメント : 0 :

肥満防止薬の新ターゲット

みなさん、肥満対策は何をしておられますかね?

そもそも、そういう概念に縁の無い方は良いのですが、いろいろと思案しておられる方は多いのではないかと思います。個人的には薬で何とかなるといいな、と思うのですが、少々の肥満では薬は出してもらえません。生活習慣の改善とかいって、したくない運動をムリヤリさせられたり、食べたいものを我慢させられたりすることによる生活の質の低下は、はたして生活習慣の改善なのか? と思うこともたまにあります。

肥満の治療のための薬といえば、食欲を失わせる薬などが知られていますが、肥満のメカニズムそのものをターゲットとした安全でよく効く肥満の治療薬はありません。

京都大学の研究者らは肥満治療薬の新たなターゲットとして、内分泌系に関係している新規な因子として発見された「neudesin」と名付けられた遺伝子が有効であることを発見しました。

マウスの実験でneudesin遺伝子を破壊しても正常に誕生し、外見に特に異常は認められませんでした。ところがneudesin遺伝子を働かなくしたマウスは体やせており、しかも普通のマウスでは肥満になってしまうような高脂肪食を与えても極めて太りにくいことが分かりました。下の図は普通のマウス(左)とneudesin遺伝子を働かなくしたマウス(右)に高脂肪食を与え続けた結果です。

肥満防止薬の新ターゲット

・・・左のマウスもぽっちゃりとしてなかなかカワイイかな、とも思います。

このマウスではえさの摂取は普通でしたが、エネルギーの消費量が増えており、比較的体温が高く消費量が更新しているために肥満にならない元推測されます。この遺伝子ターゲットは、生活の質を落とすこと無く肥満に特徴的な症状を抑える効果的な薬を開発するためのターゲットでとして有効である可能性があります。
2015-05-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

軌道エレベーターの軌道耐久予備試験開始

地上と宇宙をつなぐ乗り物として将来有望視されているのが軌道エレベーターです。

宇宙ステーションと地上駅の間にケーブルを渡し、エレベーターのような乗り物がロープウェイのようにそのケーブルを車輪でつかんで昇降するしくみが想定されています。ロケットのような過酷な上昇をしませんし、燃料消費量もわずかであるため、これが実現すれば訓練を積んでいない一般の人が宇宙旅行することが可能になりますし、大量の物資を宇宙空間に運び上げることも可能になります。

かつて軌道エレベーターは夢物語とされていました。その最大の理由は宇宙と地上を結ぶケーブルの開発が不可能と思われていたためです。ですが、炭素原子が非常に規則正しく並んで例の紐状になったカーボンナノチューブの発見によって軌道エレベーターは一気に現実味が増しました。カーボンナノチューブは非常に軽くて非常に丈夫なので軌道エレベーターのケーブルの材料として最適なのではないか、と考えられたためです。

ですが、カーボンナノチューブが軌道エレベーターの材料として適切かどうかはまだほとんどデータが無い状況です。当然、カーボンナノチューブの宇宙空間での耐久性もわかっていません。

株式会社大林組と静岡大学は共同で国際宇宙ステーションの実験モジュールきぼうを使用しカーボンナノチューブを宇宙空間に1年間または2年間暴露させる実験に着手しました。暴露後は回収して機械的強度や、その変化をもたらす結晶欠陥密度の変化などを観測することにより、宇宙環境における原子状酸素、放射線、紫外線などの影響を調べます。

下の図は国際宇宙ステーション/「きぼう」の宇宙曝露実験スペースで、青丸の実験装置にカーボンナノチューブを設置します。

軌道エレベーターの軌道耐久予備試験開始

今回の実験では下の写真のような直径約20ナノメートルの多層カーボンナノチューブ繊維をより合わせて長い糸状にしたものが使用されます。

軌道エレベーターの軌道耐久予備試験開始

先日の遺伝子操作の話とも似ていますが、本当に軌道エレベーターができるのかどうかは今後さらに、技術、必要性、費用などの点から検討せざるを得ないかと思います。ですが、大林組は2013年に「2050年を目標として宇宙エレベーター(=軌道エレベーター)を建設する」と発表しています。なんかこれって楽しいですよね。誰か一人が大きな目標をぶち上げると、なんとなくみんな自分の手元にある技術を使えないかな?って考え始めますよね。特に材料メーカーとか。そうやって夢は実現していくのだと思います。

単なる夢で終わるのかもしれないですけど、それでも今できることから着実に取り組んでいく、っていうのは日本の物作りらしくていいと思います。1980年代、まさに生命科学の新しい時代が始まろうとしているその時に、当時の大御所が若い人の意見を抑えつけて、斬新な研究に予算が付かなくなったり、優秀な科学者が海外に流出したりしました。その結果として遺伝子や創薬の領域で日本は追いつけないほど海外に遅れてしまい、景気の悪い時代の日本を支えられるはずだった知的産業を失ってしまった、その二の舞になることだけは避けないといけないと思います。
2015-05-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

巨核球ぱっか~ん

血液中には白血球、赤血球、血小板の3種類の細胞成分が含まれています。血小板の役目はケガなどで血管から血液が流出した際の止血です。白血球の数は炎症時には急激に増加することがわかっています。

血小板のもとになっているのは骨髄にある巨核球という細胞です。巨核球から血小板が作り出されるとき、巨核球は非常に長い足をのばしてその先端からポロポロとちぎれて血小板になります。

ですが、この方法だけでは炎症時に必要な大量の血小板をまかなうことはできないため、これ以外の第2の血小板の生成方法があるのではないかと思われていました。

自治医科大学と京都大学の研究チームは生きたマウス体内での骨髄細胞を観察する顕微鏡技術を開発し、空間解像度0.0003ミリメートルで毎秒30コマの三次元動画撮影を行ったところ、巨核球から血小板が生成する様子を血小板1個ずつのレベルで捉えることに成功しました。

その結果、これまでの血小板の生成もたしかに確認されましたが、これとは別に巨核球が破裂して血小板を短時間かつ大量に作る過程があることを発見しました。この血小板生成のメカニズムはこれまでまったく知られていないものでした。この破裂型造血は普段はそれほど起きておらず、炎症時などに一過性に増加するようです。

さらに、炎症時に巨核球を破裂させるメカニズムを調べたところ、IL-1αという物質が制御していることが確認されました。このメカニズムを利用して血小板が不足している患者にIL-1αの作用を誘導することによって輸血すること無しに治療を施したり、血小板をiPS細胞から大量に製造する技術の開発などに応用できそうです。
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人間の受精卵の遺伝子を精密に改変する技術の必要性

中国中山大学(広州市)の研究グループが世界で初めてヒトの受精卵の遺伝子を改変したと発表しました。

今回の研究では不妊治療において不要となった86個の受精卵を使って血液の病気の原因となる遺伝子の変異を直すことを試みました。改変方法は世界中の科学者によって広く採用されている手法でしたが、狙い通り改変に成功していることが確認できたのは4個だけでした。細胞分裂後に異常を発生するものや狙いと異なる遺伝子が改変されていた受精卵もあり、受精卵レベルの遺伝子治療は解決しなければならない技術的問題が山積みのようです。

受精卵の遺伝子改変は重大な遺伝子疾患を治療するために有効な技術であると考えられる一方で、受精卵に人為的な改変を施せば子孫に受け継がれるため様々な倫理的問題を抱えています。そのため、日本、EU各国も認めていないようです。学会ではリスクも不明な状態での研究先行に警鐘を鳴らしています。

受精卵を操作して病気の治療をする時代が来るのか・・・技術的な問題では無く、親の感情の問題として、そういう時代は来ないのではないかと思います。ですが、現実問題として遺伝子に由来する難病に苦しんでいる患者さんは多くいます。にもかかわらず・・・の学会での議論にはこの分野を事実上容認している米国、そして今回少なくとも表向きは米国に対しても先行している中国に対する科学者のあせりも感じ取れます。

リスクが不明だからゲノム編集のモラトリアム(一時中止)をというのは、誤動作やクラッキングが怖いから自動車の自動安全装置は研究しません、と言っているのと同じです。こういった先端領域では管理された状態でできるだけ多くの実験を行って技術を確立すると共に、リスクを抽出してそれに対する対策を立てるべきです。評論をしているだけではリスクをつぶすことは出来ません。

今回の中国の発表で、世界中の科学者の持つ技術や生命に対する理解が要求されるレベルにまったく達していない事が明らかになったわけですから、やめろやめろ、ではなくて、では足りない技術は何なのか、なぜ中国の実験は成功率が著しく低かったのか、そういった問題の解明を実験を繰り返しながら進めるべきじゃないかな、と記事を読みながら思いました。

資源の無い日本が最先端技術でリードしていかなかったら・・・今、そういった重要なことを決定している世代が生きている間は大丈夫でしょう、でも私たちの子供たちの時代はどうする? 日本は世界の最貧国になってるかもよって思うのですけど。考えすぎですかね? 農業と遺伝子に関する技術開発はどんなに大きなリスクを取ってでもやらないといけない気がします。
2015-05-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

野菜工場が未来的でカッコイイ

機能性を追求したミニマムなデザイン、LEDによる照明、美しく栽培された野菜。
これは、今後や再生産の中心となるかもしれない、野菜工場の中です。

野菜工場が未来的でカッコイイ

株式会社スプレッドと株式会社大林組がスプレッドが開発した完全人工光型植物工場”Vegetable Factory”の事業提携とフランチャイズ事業に関する協議を開始することについて基本合意書を締結したとのこと。スプレッドは全人工光型植物工場のリーディングカンパニーなのだそうです。

世界的な人口増加による食糧不足は深刻ですし、気候の世界的な変化によってこれまでは農耕に適していた地域が急激に高温化乾燥化しており、今後は屋外での野菜の生産はピンチに陥ることが予想されます。すでにみかんやリンゴの栽培地の北へのシフトは始まっているようです。

植生が北へシフトした場合、日本のは農業に適した土地の面積は急激に減少することが予想されますので植物工場の低コスト化、省エネルギー化は非常に重要なテーマです。

一方では、このように綺麗な工場で生産されたものばかりを食べることによる免疫力の低下も少し気になります。今は植物工場製野菜といえば、無菌野菜さえ作れるクリーンさがウリですが、そのうち畑の雑菌を再現し、あえて汚した野菜を生産できる植物工場なども登場するといいですね。



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2015-05-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

世界初のマラリアワクチン実用化は目前

マラリアはマラリア原虫の寄生によって起る病気で、感染者を刺した蚊が別の人を刺すことによってヒトからヒトに伝染する感染症です。2013年のマラリア患者数は約2億人です。

現在、世界初のマラリアワクチン候補物質RTS,S/AS01(以下,RTS,S)の臨床試験が最終段階にあり、開発をしている製薬メーカー、グラクソ・スミスクラインこのたび一定の発症予防効果があることが報告しました。

アフリカのマラリア流行地域で出生した乳幼児約1万5,000人を対象とした臨床試験で、初回接種から18カ月後に追加接種した乳幼児では3~4年間に26~36%でマラリア発症を予防できたということです。有効率が示されたのは3分の1程度ではありますが、計算上数百万人の子供たちが感染から逃れられることになり、このワクチンを接種することには明確なメリットがあると判断されています。

今後、関係当局による試験結果の評価を受け、早ければ2,015年中に世界初のマラリアワクチンとして流行地域に導入される見通しです。



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2015-05-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

系外惑星の可視光スペクトルを初めて直接検出

20年前に太陽系外惑星第1号として発見された「ペガスス座51番星b」の可視光スペクトルの直接検出にヨーロッパ南天天文台が成功しました。

現在の観測技術で得られる情報は軌道に関する情報や反射率などわずかですが、惑星のスペクトルはその惑星の大気や地表の元素組成を反映していますし、究極の観測性能を持つセンサーが開発されれば、宇宙から地球を人工衛星で観測するのと同じ事ですので、植物の存在や場合によっては産業活動、都市の活動まで推定できるのではないかと期待されています。

系外惑星の可視光スペクトルを初めて直接検出



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2015-05-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

CTA北半球望遠鏡アレイ建設

宇宙をより詳細に、より遠くまで観測するための新たな超巨大望遠鏡の建設が始まります。

この望遠鏡は国際宇宙ガンマ線天文台(CTA)と呼ばれ、23メートルもの巨大なガンマ線望遠鏡群を建設しようというもので、スペインカナリア諸島のラパルマ島で2015年9月に建設着工することを東京大学宇宙線研究所が発表しました。宇宙全体を地上から観測するためには北半球、南半球にそれぞれ天文台を建設する必要がありますが、南半球ではメキシコ、ナミビア、そしてチリのヨーロッパ南天文台への併設など建設候補地の検討が行われています。

CTA北半球望遠鏡アレイ建設

CTA計画の観測対象となるガンマ線を放出する天体は銀河系内外に100以上発見されていますが、CTAが実現すれば、1000を超える天体が期待できます。それによって、銀河系内外の様々な高エネルギー天体についての情報が得られる他、銀河の形成と進化、さらには暗黒物質や量子重力理論の検証などの基礎物理に関する情報も得られることが期待されています。

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2015-05-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」

ハッブル(HST)宇宙望遠鏡が打ち上げられたのはなんと1990年4月のこと。HSTが打ち上げられたときに生まれた赤ちゃんはもう25歳です。なんか「ドキッ」とする人、多いのではないですか?

HSTはこれまで息をのむほど美しい天体の姿を送り届けてくれました。HSTはもともとスペースシャトルでの有人修理、アップグレードを想定した設計になっていましたので25年間で5回の修理&機能UPミッションが行われています。ですが、2009年5月の部品交換を最後に、HSTに宇宙飛行士を運ぶスペースシャトルも運用を終え、すでにこれ以上の修理は不可能で、もし何かあれば運用終了もやむを得ない段階となっています。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
NASA, ESA, and M. Livio and the Hubble 20th Anniversary Team

2004年、NASAはついにHSTへの有人ミッションをやめ、HSTの修理を行わない決定を下しました。その後、続々と観測装置が故障し、もはやこれまでかと思われたHST。米国を中心に世界中で延命嘆願運動や費用捻出のための募金活動が行われ、後継機の開発が遅れていることもあってNASAはHSTに最後の修理と大規模な部品交換による延命工事を行うことを決定しました。

ですが、HSTに宇宙飛行士が向かうためのスペースシャトル・アトランティスもこの時点で初飛行から24年も経過し、退役間近の機体でしたし、ミッションの難易度も著しく高くなり、HSTが本当に無事に復活するのか、世界中が固唾をのんでそのミッションを見守りました。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
HSTのハッチ内に入って最後の修理中(NASA)

2009年5月に行われたハラハラドキドキの5回目にして最後の修理ミッションも完璧に終わり、HSTは打ち上げ以降最高の性能に到達しました。その後、あっという間に月日は流れ、既に6年が経過しています。

ここで開発が急がれているのが次世代大型宇宙望遠鏡ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)です。当初の計画では既に打ち上がっていなければならなかったものの、開発は遅れに遅れています。現在、2018年の打ち上げを目指して急ピッチで開発が進められており、なんとかHSTが生きているうちに娘のJWSTの観測を開始したいと科学者は思っているのです。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
NASA/MSFC/DAVID HIGGINBOTHAM

人間の眼と同じ可視光・紫外線領域を得意とするHSTに対し、暗くて遠い天体、生まれたての天体や星間物質の観測を得意とする赤外線領域の得意なJWSTは対照的な性格を持つ姉妹です。私たちの見えている宇宙をもっと詳しく、もっと美しく、決して私たちの感性から離れること無く良妻のように寄り添っているHST。一方で、今まで見えなかった世界へ、もっと遠くへ、もっと未知の世界へと振り返りもせずに飛び出してゆく探究心旺盛な妹。二人が同時に同じ天体を観測したとしたら、その時に得られた映像が私たちに与える感動単に科学的な価値によるものだけではないはずです。

満身創痍になりながら、全身に絆創膏を貼りながら30年近くもの長きにわたりがんばってきたHSTに今度こそ本当に「今までありがとう」と言えそうな気がしますね。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
NASA/MSFC/DAVID HIGGINBOTHAM






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2015-05-13 : 人工衛星 : コメント : 0 :

準惑星ケレスの「例の点」

この写真は探査機「ドーン」が上空1万3600キロメートルから撮影した小惑星ケレスです。

準惑星ケレスの「例の点」
NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA

1ピクセルが1.3キロメートルに相当しますが、真ん中あたりの白い部分は何が写っているのかよくわからず「例の点」として科学者の間でも話題になっています。何かが太陽光を反射して光っているのは間違いないらしく、科学者は氷ではないかと考えています。

何かの金属とか、ものすごいものだと楽しいな、と思うのですけど・・・



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2015-05-13 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-546 10年以内に地球外生命体を発見できるか?

地球外生命探索のキーポイントは液体の水が存在していることなので、今のところ有力候補は木星の衛星エウロパ、土星の衛星エンケラドス、火星などに絞られます。

特に液体の水の海があるエウロパとエンケラドスについては、着陸そして衛星の表面を覆う氷を割ってその下の海底まで潜水できる宇宙・海中兼用探査機の投入が期待されます。火星は生命がいるとしてもあの過酷な環境では微生物限定かもしれませんが、エウロパとエンケラドスではチューブワームのような貝、カニやエビのような生物が海底の熱水噴出口周辺から発見されるかもしれません。

エウロパ  
エウロパはガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の第2衛星です。直径は3,138キロメートル、表面積は30,900,000平方キロメートル。表面は3キロメートル以上の厚さの氷で覆われています。木星に非常に近く近くをイオやガニメデも公転しているために大きな潮汐力を受け常に激しくもみくちゃに変形しているため内部は温度が高く、水深百キロメートル以上の海が存在し、海底には深海熱水噴出口もあると思われます。

エンケラドス  
エンケラドスはウィリアム・ハーシェルによって1789年に発見された土星の第2衛星です。直径は500キロメートルです。エンケラドスも内部は比較的温度が高いようですが、熱源は不明でエウロパ同様の潮汐力であろうと思われています。カッシーニ探査機による観測の結果、エンケラドスの表面は非常に新しい氷で覆われており、氷を吹き出す氷の火山や水蒸気の大気、地殻変動が起きた子を示す亀裂も確認されていることから内部には液体の水があってそれが衛星の表面に供給され続けているようです。また、深海熱水噴出口で90度以上の水温で特徴的に作られる粒子も観測しているため、エウロパ同様、海の底には生物が活動できる環境がありそうです。



この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。
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2015-05-10 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

接近しすぎた2つのブラックホール

米国メリーランド大学の研究者らが巨大ブラックホール同士がぶつかりそうになっていると発表しました。
そのブラックホールがあるのは銀河同士が衝突している天体「PSO J334.2028+01.4075」です。

接近しすぎた2つのブラックホール

この二つの銀河の中心にはどちらも巨大ブラックホールがあり、規則正しい光の変化の周期から予測された両ブラックホール間の距離は0.02光年、わずか2000億キロメートルで、太陽から冥王星までの距離の40倍程度です。現在はお互いの周りをまわっているブラックホールですがやがては衝突してしまうと考えられています。

衝突の時期については予測は非常に難しいのですが、21年後という説もあります。



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2015-05-04 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-545 全球凍結は生への飽くなき探求だった

地球はかつて、完全に氷で覆われたとする衝撃的な説「スノーボールアース」が1992年にカリフォルニア工科大学の研究者によって発表されました。その後の地層調査などから、少なくとも2回、約24億5000万年前から約22億年前と、約7億3000万年前~約6億3500万年前に地球は氷で閉ざされたとする説が有力となっています。

地球が完全に凍ってしまうと、液体の水は失われ、火山活動やそれに伴う物質循環もなくなってしまうため、地球上の生物にとっては完全絶滅と紙一重のピンチです。ですが、現在の地球に多くの生物がいるということは私たちの祖先はこの2回もの大ピンチをなんとか耐え抜くことができたことを意味しています。

それどころか、最近の研究では全球凍結が酸素呼吸をする生物を生み出すチャンスにもなっていたようなのです。 酸素は太古の地球には大気中には存在していませんでしたが、原生代初期の全球凍結イベント直後に酸素濃度が上昇したことを示唆する証拠が見つかっています。東京大学の研究者らが全球凍結イベントからの脱出直後には、火山活動による大量の二酸化炭素放出をきっかけとする地球環境変動の結果として大気中の酸素濃度が急激に上昇することは必然であったことを明らかにしました。

このとき、二酸化炭素の温室効果によって地球全体が50度にも達する高温環境となって地上は氷の世界から一転して地表の風化が進み、海洋に微生物の栄養となるリンなどが大量に流れ込みました。

海洋が栄養豊富なスープ状態となると光合成を行うシアノバクテリアの爆発的な大繁殖が引き起こされ、大量の酸素が生産されて一気に放出されました。その結果、地球環境は酸素のない環境から酸素に富む環境へとわずか1万年で激変しと推定されます。

1万年は生物が遺伝的変異によって環境変化に順応していくことのできないハイペースの環境変化だったので、本来、細胞にとって有毒物質である酸素の無い環境に適応していた当時の生物にとって、酸素に富む環境への変化は破局的な環境変化となり、酸素呼吸を行う生物の大躍進がおきたのかもしれません。

硫化物は現在の多くの地上の生物にとって有害ですが、深海底では硫化物に由来する物質で形成された生態系もあります。地球が火山活動の激化によって酸素の時代から硫黄の時代に変わると私たち人間は硫黄で呼吸するように適応することが出来ず絶滅してしまい、今は海底でひっそりと暮らしている硫黄を使う生物が劇的な進化を遂げて、人間のような知的生命体をも生み出すかもしれない、そういう空想もできますね。



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2015-05-03 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書有料版配付資料遅延のお詫び

本日配信の「ヴォイニッチの科学書」(有料版)「Chapter-547 ふたつの人工衛星の終わり」ですが、システムトラブル(?)で配付資料の配信設定ができていません。
お急ぎの方はお手数ですが、下記からダウンロードをお願いいたします。

http://www.obio.jp/voy/20150502/voi20150501.pdf



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2015-05-02 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

水星探査機メッセンジャーが任務を終えて水星に墜落しました

メッセンジャーは2004年8月にNASAが打ち上げた太陽系の最も内側の惑星水星を探査する探査機です。
マリナー10号以来、33年ぶりに水星に接近した探査機となりました。水星周回軌道での観測は4年間にわたりましたが、徐々に軌道を下げながら観測を続け、日本時間で2015年5月1日、水星に落下しました。

水星探査機メッセンジャーが任務を終えて水星に墜落

下の写真はメッセンジャーが2008年1月に撮影した水星の表面です。画像の横幅は370キロメートルに相当し、大小様々なクレーターが密集した天体であることがわかります。

水星探査機メッセンジャーが任務を終えて水星に墜落

このような詳細な写真撮影の他、北極周辺の広い範囲に火山性の堆積物を確認し、すでに噴火口は埋もれているものの過去に活発な火山活動があり、堆積物は現在も地表に残っている証拠をつかみました。

また、これまで鉄が多いと思われていた水星の推定組成を否定し、意外なことにカリウムに富む元素組成をしており、水星の組成は原始的な隕石に似ているのではないかという新たな提案を行いました。

さらに2014年には地球の皆既月食をはるか彼方の水星軌道上からの観測にも成功しています。
下の写真は水星周回中のメッセンジャーから見た地球(中央)と月(右)です。この写真は月食直前の写真でメッセンジャーは月が地球の影に消えていく一部始終の写真撮影に成功しました。

水星探査機メッセンジャーが任務を終えて水星に墜落

メッセンジャーの収集したデータの解析は現在も続いていますので、今後も新たな発見が期待されますし、メッセンジャーのデータは2016年度に打ち上げ予定のJAXAとESAによる「ベピ・コロンボ」探査機の活動にも役立てられることになっています。

(画像はいずれもNASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington)



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2015-05-02 : 人工衛星 : コメント : 0 :
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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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