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Chapter-584 くまのプーさんの頭の骨発見

「クマのプーさん」は1926年に発表されたアラン・アレクサンダー・ミルンの児童小説です。1960年代からは浦安の大きなネズミのあれによってアニメ化されて日本でも人気者になりました。擬人化アニメの元祖ともいえますので、艦これの源流と考えることもできます。

さて、このプーさんはモデルになったクマがいました。ロンドン動物園で飼育されていた雌のクマ「ウィニー」で、プーさん同様に来園者から蜂蜜を与えられていました。ウィニーは1934年に動物園で死んだのですが、その後、頭の骨は英国王立外科医師会で保管されていました。最近、その骨が再発見され、詳細に調べたところ、甘い物の食べ過ぎか、晩年はほとんど歯の無い状態だったことがわかりました。  人気者の人生も意外とつらいものですね



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2016-02-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ミドリムシ燃料を使いやすくする触媒の発見

新しい領域の産業というのは、いろいろな技術の複合だなというのを感じますね。今回は微生物学(培養工学)と触媒化学の融合のお話です。

石油由来のジェット燃料には芳香族、つまり亀の甲のような分子が20%程度含まれているそうです。芳香族が含まれていないと、ジェットエンジンのタンクや配管のつなぎ目のゴム製のシール材が硬化して、燃料漏れにつながるのだとか。国際規格で燃料には8.5~25%の芳香族を含むことが決められているようです。

一方で、ミドリムシなどが生産する植物や動物由来の油は、ほとんど芳香族を含んでいないため、そのままではジェット燃料には使えず、既存のジェット燃料に添加する方法で使用されています。

ユーグレナと信州大学、千代田化工建設は複数のゼオライト触媒によって、芳香族を含まないそれらの油をジェット燃料に使える芳香族を含む油に作り替えることができることを発見しました。含量は23~30%程度にも達しましたので、芳香族だけで見ればそのままジェット燃料に使用できるレベルです。

今回はミドリムシが生産した油を触媒で変化させるのですが、ミドリムシ自身が芳香族を含む油を生産できるような添加剤が開発できれば、遺伝子組み換え生物による汚染の心配も無く、良いような気がします。

以前、ミドリムシを培養しながら走るトラックのお話をしましたけど、優れた触媒が開発されれば決して夢物語ではなさそうな気がします。
http://obio.blog.fc2.com/blog-entry-343.html
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神経細胞1つでも記憶

ちょうど先日書き上げた新刊の内容とかぶるのですが、記憶というのは複数の神経細胞のシナプスを介したネットワークで形成されると考えられてきました。ところが、名古屋大学の研究者らは神経細胞は1つでも記憶を担うことを線虫で発見しました。

特定の温度で飼育した線虫から胚細胞を採取してバラバラにすると、温度を感じる細胞が飼育された温度で反応したのだそうです。このことは1個の細胞が温度を記憶していることを意味しています。

今回発見された単一細胞記憶は従来の定説とは異なる新たらしい記憶メカニズムです。これまで、記憶に重要なのは神経細胞同士の接合部分であるシナプスにおける神経伝達物質の活動で、これが低下することにより記憶能力が低下するなどと考えられていました。今回の発見はこれまでの知見を否定するものではありませんが、記憶の新しいメカニズムの発見であることは間違いありません。
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歯の数を増やすことに成功

理化学研究所と東京医科歯科大学の共同研究グループは実験動物マウスを使った研究で、歯のもととなる原基(歯胚)の分割を行うことにより、歯を増やすことに成功しました。

歯の喪失に対する治療として、入れ歯やブリッジ、インプラントといった人工物による代替治療が行われています。しかし、これらの治療法だけでは、歯の生理的機能を完全に回復することはできません。そのため、歯科再生治療の開発が進められています。

現在行われている歯科再生治療は自身の機能していない歯を歯の欠損部に移植し、歯の生理機能を回復する自家歯牙(しが)移植や幼弱な発生段階の自家歯胚を移植し、歯を発生させる歯胚移植治療です。

共同研究グループは、歯胚の分割操作を行うことにより、1つの歯胚から複数の歯胚を発生させる歯胚分割技術を開発しました。この技術を用いて実験を行ったところ、複数の歯胚が正常に発生し、天然の歯と同等の構造を持った歯が再生されました。これら再生歯は、歯の矯正によって歯並びを整えることが可能で、神経機能を持っており、機能的にも天然歯と同等でした。
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指がポキポキ鳴る仕組み

米カリフォルニア大学デイビス校の研究者らによると、指をポキポキ鳴らすとき、関節内では気泡が形成され、それにより超音波画像では「関節内で花火が破裂するような」明るい閃光がみえることが知られています。超音波画像と音声をあわせて確認した結果、閃光がみえる前にポキっと音が聞こえることから、関節の音は泡が形成される音であることがわかりました。音が聞こえてから閃光がみえるまでの間隔はわずか10ミリ秒でした。

米国では25~50%の人が、、指を伸ばすなどで普段から習慣的にポキポキと指を鳴らしているそうです。米マサチューセッツ総合病院の医師によると、この気泡は関節の潤滑液に溶け込んでいる気体から生成されるものだということです。指を伸ばすことで陰圧が生じるために、泡が生じ、たくさんの微小な気泡が一気に融合して1つの大きな泡となることで音が発生するらしいです。

指を鳴らすことによる直接的な有害性はないようですが、長期的な有害性はまだわかっていません。むしろ、指を鳴らした後は関節の可動域が著明に増加する傾向がみられます。また、指を鳴らす習慣のある人は指を鳴らすと気持ちいいと感じていて、これは関節液に溶け込んだ気体による張力が軽減された感覚なのだそうです。

ちなみに、下の写真はポキ。ハワイの伝統料理ですが、生魚の切り身を使うので日本人も大好きな一品ですね。

ポキ
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水素は使うけど水素社会は来ない

よく「水素社会ってホントに来るの?」という質問を受けます。

不思議なことに、質問されるのは有名な企業の経営者さんとか、科学の最先端にいる方ばかりです。いろいろなシチュエーションで「水素社会」が語られ、実際にトヨタ自動車のミライなどは街を走行しているわけですが、やはり水素は扱いにくく、「高圧ガスタンク」が生身の人間のすぐ近くにあるというのは「チョットね・・・」と思われる方が多いようです。

ただ、エネルギー源の選択肢が多いことそのものを否定する人はおらず、水素の本当の可能性を考え、水素キャリアの研究が盛んです。水素キャリアというのは、水素は常温常圧では扱いにくいので、水素原子を多数含む扱いやすい分子を見つけ出し、そこから必要に応じて水素を取り出して使用しようとするものです。アンモニアは分子の密度あたりの水素含量が高いので水素キャリアとして有望視されていますが、ギ酸についても多くの研究が行われています。

ところが水素キャリアにも問題があり、ここから取り出した水素はいわゆる「圧力が立たない」という状態になります。単に「もわん、もわん・・・」と水素が発生してもそれを利用することは難しく、高圧に圧縮する必要があり、現在は圧縮機を使用しています。そうすると、圧縮機の騒音や振動、故障リスク、せっかくのエネルギーの一部を圧縮機の駆動で消費してしまう、小型化できない、など様々な解決すべき問題が生じてしまいます。

産業技術総合研究所は圧縮機を用いないで、ギ酸から高圧水素を連続的に供給する技術を開発しました。今回開発した技術では、イリジウム錯体を触媒に用いて、ギ酸を水素と二酸化炭素に分解する化学反応によって、圧縮機を使わずに簡単に40MPa以上の高圧水素を連続的に発生できます。

また、既存の水素キャリアを利用する水素製造技術では、原料や不純物などを除くため、多段階の精製が必要ですが、今回の技術では、精製する水素と二酸化炭素が高圧であることを利用して、そのまま二酸化炭素を液化させて気体の水素と分離して高圧水素を製造できます。更に、理論上化学反応だけで200MPa以上の高圧水素が得られるので、燃料電池自動車等への高圧水素(70MPa)の供給も十分可能で、将来、水素ステーション構築の大幅なコストダウンが図れると期待されます。

冒頭の質問の答えとしては、今現在もお風呂のお湯を沸かすために、電気を使う家庭もあれば、ガスを使う家庭もあり、灯油を使う家庭もあり、太陽熱温水器を使う家庭もあるように、水素も単なるエネルギー源の選択肢の一つとなり、いわゆる「水素社会」は来ない、ということになりますでしょうか。
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光も一方通行になることがありうることを発見

東京大学と東北大学の共同研究チームはメタホウ酸銅という青色の結晶が、ある向きに進む赤外光に対して透明なのに対して、逆向きに進む同じ波長の光に対して不透明であることを発見しました。

光は物質中をある向きに通り抜けることができれば、逆向きにも通り抜けることができることが当然です。科学的には「一つの物質中を互いに逆向きに進む同じ波長の一対の光は同じ割合だけ吸収される」と言います。ですが、近年、この一対の光の吸収に差が生じる場合が見いだされました。これを方向二色性と呼びます。これまで発見された中ではメタホウ酸銅の方向二色性が最も大きく、一対の光の吸収の強さの比が最大で3倍でした。これを無限大にしたものが一方向透明現象です。

今回発見され一方向透明現象は、低温強磁場下という極端な条件下ではありますが、これまで全く知られなかった特殊な現象で光通信、光コンピューター、マジックミラーに変わる特殊な窓材などへの応用が期待されます。
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新型「しんかい」議論開始

科学者が乗り込んで海底を探査する有人潜水調査船については、現在日本には海洋機構が運用中のしんかい6500があります。

しんかい6500

この調査船は水深6500メートルまで潜れますが、フランスやロシア、米国も同程度の性能の潜水調査船を持っていますし、2012年に中国が有人潜水調査船「蛟竜(こうりゅう)」(下写真)で水深7020メートルまで潜り、日本の優位性はありません。

中国有人潜水調査船「蛟竜(こうりゅう)」

また、深海6500は初潜水が1989年で老朽化が進んでおり、船の構造も直径約2メートルの耐圧部分に3人が乗り組んで身動きもとれない状態の中でモニターテレビと小さな窓か観察するしかできず旧式の潜水艇となっています。

そこで、文部科学省が海洋研究開発機構が計画する次世代の有人潜水調査船「しんかい12000」の建造について検討を開始することになりました。「しんかい12000」は世界で最も深い海底にも到達できる、12000メートルまで潜れる性能で、休憩スペースやトイレなども船内に設置し、合計6人が最長2日間潜水できるようになる計画です。開発が内定すれば、17年度予算の概算要求に盛り込まれ、完成は2020年代後半になりそうです、

有人探査では1960年に米国海軍の有人探査艇がマリアナ海溝の1万911メートルまで潜った記録があるほか、日本は1995年に無人潜水機「かいこう」で、マリアナ海溝の底まで達したことがあります。

探査装置も最新鋭の装備が搭載され、ロボットアームには圧力センサーや温度センサーを取り付け、操作する人が実際に触っているような感覚を伝えることが可能になります。費用は2014年の見積もりでしんかい12000の建造費が約300億円、母船が約200億円の予定で、トヨタ自動車の連結純利益の1週間分に相当します。
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ネコと人間のアルツハイマー病は同じだった

アルツハイマー病では、脳の神経細胞に変化が生じ、記憶に重要な役目を担う海馬の神経細胞が減ってしまうことによって認知症を発症します。東京大学の研究者らが人間以外の生物で初めて人間同様のアルツハイマー病と同じ神経変化が起きることを発見しました。

ペットとして飼育されているネコも歳をとると人間と同じような脳の神経細胞の変化が生じることを発見し、さらにネコの脳にできるアルツハイマー病特有の異常なタンパク質が人間のアルツハイマー病と同じタウ蛋白質であること、そして人間同様に海馬の神経細胞が失われることを明らかにしました。

これまで、人間以外の動物で発見されていなかったアルツハイマー病がネコでどうして発症するのかという点についてはアルツハイマー病の発病初期に関与するβアミロイドと呼ばれる蛋白質がネコ科の動物では他の動物種と異なり、人間と似ているためのようです。
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くしゃみ力学

インフルエンザもピークを迎え、患者さんが減る頃になってこういう話題で恐縮ですが、街中や職場で気になるのが人混みでの他の人のセキやクシャミです。人がクシャミをすると、雲のようなものが高速で出て、2、3分で部屋を汚染しまうことが米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究でわかりました。

これは、ひとがクシャミをする様子をビデオを分析した結果判明しました。クシャミで放出される飛沫が高速で飛び散ることはこれまでも知られていましたが、今回の研究では推進力の高いクシャミの雲が形成して崩壊する過程まで追跡され、こういったクシャミ力学の研究は世界的なパンデミックのときに疾患の広がりを予防するための新たな方法につながる可能性があるのだそうです。

当たり前のことですが、人間のクシャミは無色透明なので見えません。もし、クシャミの飛沫が発光するように人類が進化していたら、混雑の電車の中など他の人のクシャミ由来の空中浮遊物が気になってノイローゼになってしまいそうですね。
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ヒト体細胞がiPS 細胞に変わる瞬間の可視化に成功

京都大学の研究チームがヒトiRS(intermediately Reprogrammed Stem)細胞を発明しました。この細胞は、ヒト体細胞からiPS 細胞へ再プログラム化される中間段階にある細胞です。iRS細胞の特徴はiPS細胞とは大きく異なり、再プログラム化が一時停止で保持された状態から培養条件を変えることでiPS 細胞への再プログラム化を効率よく再開し、1個のiRS細胞からクローンを作成することができ、ゲノム編集などの遺伝子操作技術の応用が容易です。

iRS細胞はゲノム編集技術を応用し、ヒトiRS 細胞のある遺伝子の後ろに特殊な遺伝子を挿入することで作成されました。
ヒト体細胞のiPS 細胞への再プログラム化は1 万分の1以下の頻度でおこる確率の低い現象であることと、iPS細胞は単一細胞からクローン細胞を作成することが難しいので遺伝子改変技術応用による病気のモデル細胞を大量に作成することなどに向いていませんでした。
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RS細胞でゲノム編集を行って、それのクローンを量産すれば遺伝子改変されたiPS 細胞の作製が簡易になり、遺伝性疾患の病因解明や創薬開発に貢献することが期待されます。

下の写真は難しい説明は全部省略しますけど、左から右に順に細胞の理プログラミングが進んでいます。きれいですよね。
ヒト体細胞がiPS 細胞に変わる瞬間の可視化に成功
京都大学プレスリリースより引用
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iPS細胞ででがん免疫療法

iPS細胞でがん治療が可能になるのか?

京都大学iPS細胞研究所は、がん細胞を攻撃する性質のある免疫細胞をiPS細胞を使って大量生産することに成功しました。武田薬品工業と共同で、増やした免疫細胞を患者に投与する新たながんの免疫療法の臨床試験を5年以内に開始することを目標としています。

健康な人から作成したiPS細胞から免疫系細胞の一種、ヘルパーT細胞を作成し、がん細胞を認識することに関係する遺伝子を導入組み込んで、その他の免疫系細胞のキラーT細胞、樹状細胞と混合しました。そうすると、ヘルパーT細胞が樹状細胞を介して作用し、がんを認識して攻撃するタイプのキラーT細胞が増殖することがわかりました。

大量に得られたヘルパーT細胞をがん患者に投与することによってがんを治療する新たな細胞療法が開発できるかもしれません。
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Chapter-583 ダカール・ニーニョ現象の発見

2016年1月9日 Chapter-583 ダカール・ニーニョ現象の発見

 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が西アフリカのダカール沿岸に発生するあらたな大規模気象現象を発見しました。名称は「ダカール・ニーニョ/ダカール・ニーニャ」といいます。  

 ダカールは西アフリカの地名ですが、沿岸は、貿易風と地球の自転の影響によって海水が常に沖合に運ばれ、それを補うように海底から冷たい海水が上昇しています。海底からはプランクトンの死骸などで栄養豊富な深海の水が上昇しますので豊かな漁場となっています。ですが、数年ごとに海面水温が大きく変動し、栄養豊富な海水の上昇量が減少するなどして生態系に大きな影響を及ぼすことがあります。これはまさによく知られているエルニーニョと同じ現象です。  

JAMSTECは1982年以降30年間の海水温データを解析し、ダカール沿岸の海面水温が温かくなるダカール・ニーニョ現象が6回、冷たくなるダカール・ニーニャ現象が5回発生していることを発見しました。このような現象が発生すると上空の大気が暖められたり冷やされたりするため、海の上の風の強さや風向きに影響をおよぼし、周辺の気候に大きな変化が出ることも突き止めました。



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Author:おびお
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
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