Chapter-612 チョウの複眼はすごい

2016年7月30日 
Chapter-612  チョウの複眼はすごい

チョウはおいしい蜜のある花を見つけ出すために昆虫の中ではトップクラスの色を識別する能力を持っています。ですが、目の構造はその他の昆虫の複眼と大差ないように見えます。

Chapter-612 チョウの複眼はすごい

複眼はその名前の通り、小さな目(個眼)がたくさんあつまって、一つの大きな目を形成しています。人間は一枚の網膜に1億個くらいの視細胞が並んでいますが、チョウの場合、ひとつの個眼に並んでいる視細胞はわずか9個です。視細胞は感じ取る光の色によって何種類かに分けることができます。

人間は4種類ですが、アゲハでは6種類だと考えられています。つまり、6種類の視細胞から9個が選び出されて1個の個眼にセットされ、色に対する感度のことなる3タイプ個眼が出来上がることになります。これらがランダムに分布して配置され、大きな複眼を形成しています。

下の写真はアゲハの複眼を取り出し、内側から照明を当てて撮影した顕微鏡写真です。六角形の一つずつが個眼で、赤、ピンク、黄色に見える3タイプに分類でき、それらがランダムな配置になっていることがわかります。

Chapter-612 チョウの複眼はすごい

このようにチョウの複眼は非常に色を見分けることに特化した構造をしており、これはほかの種類の昆虫ではいまだ発見されていないチョウだけの優れた能力です。しかも遺伝子レベルでは人間も持っていない紫外線を見ることができる視細胞を形成する遺伝子も発見されていますので、チョウは美しい花を人間と同じように見分けられるだけではなく、より波長の短い青い光の世界・・・人間には見えない世界も見ている可能性があります。


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2016-08-29 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

Chapter-611 新型宇宙貨物船の開発に着手

2016年7月23日 Chapter-611  新型宇宙貨物船の開発に着手

2024年までの国際宇宙ステーション(ISS)運用延長への参加やその先の宇宙開発に必要な技術として、日本は新たな無人宇宙貨物船HTV‐Xの開発に着手します。

Chapter-611 新型宇宙貨物船の開発に着手

輸送能力の向上とコスト削減が最大の目標である新型機の開発においては、非常に安定した技術である現在のHTVを極力活用することが考慮されています。現行のHTVは先端部分から与圧部、非与圧部、電気モジュール、推進モジュールの4つのユニットを連結した構造になっています。そこで、新型では与圧部は現在のまま流用し、残りの非与圧部、電気モジュール、推進モジュールの三つを一体化したサービスモジュールを開発し、構造の簡略化による軽量化や信頼性の向上、貨物積載能力の拡大とコスト削減を行います。 その結果、輸送能力は質量にして現行の4トンが5.85トンに45パーセント増量、容積は現在の49立方メートルが78立方メートルに60パーセントも増量されます。  

下のイラストの緑色の部分は現在のシステムをそのまま転用する与圧部、灰色の動力・電気部分で、オレンジ色の部分が新規開発されるカーゴ部分です。 Chapter-611 新型宇宙貨物船の開発に着手

また、現行型は物質輸送に専念していますが、新型は地球観測センサーを搭載することによって、地球観測衛星のような観測機能を持たせたり、実験室を搭載して国際宇宙ステーションを使うこと無く宇宙実験を自動で行ったりすることも予定されています。将来的には着陸ユニットを開発してサービスモジュールに接続することにより、月などの天体に着陸する機能を付加し、ISSだけではなく、多の天体への物質輸送も可能にする計画です。  
なお、初号機の打ち上げは2021年の予定です。


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2016-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヘドニック・ハンガー

ヘドニック・ハンガー

実は、金曜日や土曜日の夜11時頃になると無性にカップラーメンが食べたくなるのですが・・・そのような、生命の維持の観点からは食べる必要が無い満たされた状態になっているにもかかわらず、おやつのようなものが食べたくて仕方がない状態をヘドニック・ハンガーといいます。ヘドニック・ハンガーは2007年に提唱された新しい言葉です。  

ヘドニック・ハンガーは性欲やギャンブル欲などと関係する脳回路が放出するホルモンによって生み出されていることがわかりました。この回路は空腹感とは関係なく、ジャンクフードを見ただけでも活性化するのでやっかいです。欲求に抵抗しきれずにジャンクフードを食べると今度は舌からの刺激で快楽物質であるドーパミンが放出され、脳は快楽を感じます。

ジャンクフードを頻繁に食べる生活をしているとドーパミンがいつも放出されっぱなしになり、ドーパミンに対する感受性が鈍くなって、より多くのジャンクフードを求めるようになり、それが病的な過食状態となります。

とはいっても、食べたいものは食べたいですよね? 慢性的なヘドニック・ハンガー状態にならないようにするにはそもそもがジャンクフードを家の中に持ち込まない、街でも看板さえ見ないようにするしかないようです。・・・つまり不可能ということで、精神力で乗り切るしかないのかもしれません。
2016-08-28 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

手を培養して育てる

手を培養して育てる

米国の芸術家が3Dプリンターで骨を作り、それを足場に幹細胞を育てて手を作ることに挑戦しています。骨はもともと細胞の培養にも使用されるポリエチレングリコールジアクリレートを素材として骨の格子細工を印刷し、細胞は本当は自分の幹細胞を使いたかったものの、いろいろと難しい問題があるので、市販されているヒト間葉幹細胞を使用しました。これをバイオリアクターの中で培養します。

関節機能もないし、適切な細胞の種類の変化に必要な試薬も(あえて?)添加されていないので、本物の手になることはありませんが、細胞が育った後はたぶん、培養開始前ほど美しくはない芸術策人になりそうな気がします。
2016-08-28 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

Chapter-610 脳もゴミ出しをしている

人間の脳の重さは1400グラム。体重に占める割合は2%程度ですが、エネルギーは全身で使用される4分の1を消費しています。

それらのエネルギーは血管を介して脳に供給されますが、それであれば大量のゴミも出るはずです。これまでの推定では毎日7グラムのタンパク質ゴミが排出されているであろうと計算されていますが、どのように処理されているのか全く不明でした。  

また、米国ロチェスター大学の研究者らがアルツハイマー病患者ではゴミタンパク質が脳に大量に溜まっていることを発見し、そのような病気では脳のゴミ出しがうまくできないことが発症に関係あるのかもしれないと推測しました。拙著「身体をめぐるリンパの不思議」(技術評論社)の中でリンパシステムの重要な役割はゴミの回収だ、と書きました。この本の中でも既に脳がリンパシステムを使って老廃物を回収する仕組みを図解しています(88ページ)。

Chapter-610 脳もゴミ出しをしている


脳の血管は外側に血管周囲腔を持つ二層構造になっていて、内側を血液、外側をリンパ液が流れています。血管周囲腔の外壁には腎臓と似たタンパク質構造を持つことが発見されました。腎臓は血液中の老廃物を尿として排出する臓器です。脳は外部からの衝撃を防ぐために脳脊髄液という液体の中に脳を浮かべるようにして保護しています。脳ではゴミが脳脊髄液の中に排出されて腎臓のような機能を併せ持つ脳の血管を介してリンパ系に排出されているようなのです。  

腎臓のような機能はアストロサイトと呼ばれる細胞に存在しています。アストロサイトは脳の細胞骨格、神経細胞のメンテナンスやイオン濃度の調整、エネルギーの調整などたくさんの重要な役目を併せ持っていることがこれまでの研究で分かっていますが、脳における尿排泄(=腎臓細胞)のような役目まで担っていたのです。このシステムはグリンパティック系と命名されました。


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tag : リンパ

2016-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

スローン・デジタル・スカイ・サーベイ

スローン・デジタル・スカイ・サーベイ

宇宙は直径が1億光年もある無数の泡で満たされ、泡の表面だけに銀河が集まっています。宇宙空間にはこうした銀河が作る巨大な泡構造が見渡す限りどこまでも続いていると言います。

銀河が宇宙に不規則に分散して存在しているのではなく、このような意味のある構造を持っていることは1980年前後に発見され、宇宙の大規模構造と呼ばれています。当時の天文学者が観測可能な銀河までの距離を一つずつ計測し、三次元地図上にマッピングしていくという地道な作業を続けた末の大発見でした。これは1989年にマーガレット・ゲラーによって報告さ、当時の日本企業のテレビコマーシャルで一日何度も紹介されていました。

現在ではそれも自動化され、スローン・デジタル・スカイ・サーベイというプロジェクトによって100万個以上の銀河がマッピングされ、1980年代には天の川銀河周辺の構造しかわかっていませんでしたが、現在では宇宙の果てまでどこまでも繰り返し続いていることがわかっています。

tag : スローン・デジタル・スカイ・サーベイ マーガレット・ゲラー

2016-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

フェルミ・バブル

フェルミ・バブル

NASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡を使って米国マサチューセッツ工科大学などの研究者らが2010年に初めて発見したことから「フェルミ・バブル」と呼ばれ、銀河の泡は最初に天の川銀河で発見されました。

銀河の中心にある超大質量ブラックホールは活発に周辺の天体やチリを飲み込みながら高エネルギー粒子のジェットを約2~3万光年の距離まで噴き上げていることが知られています。それがこの巨大バブルの発生源だと推定されています。

ただし、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールは、現在はたまたま周辺に吸い込むべき星や宇宙のチリが少ないため、ほとんど活動していません。そのような静かなブラックホールからも強烈なバブルが放出されていることは、まだ知られていない新たな物理現象なのかもしれません。

私たちは可視光線で宇宙を見ていますので、夜空に点々と星が輝くのが夜空だと思っています。蝶など紫外線が見える昆虫はまた違った夜空を見上げているはずですし、おそらくはこの宇宙のどこかにはガンマ線が見える生物もいるはずですので、その生物が見た宇宙は上の写真みたいなものも見えるはずで、その星の天文学者は地球の天文学者とは全く異なる宇宙の物理を見出しているかもしれないですね。
2016-08-28 : トップニュース : コメント : 0 :

バブルネット・フィーディング

バブルネット・フィーディング

ザトウクジラはバブルネット・フィーディングと呼ばれる特殊な方法で狩りをすることで知られています。バブルネット・フィーディング、つまり、バブルのネットでエサを捕まえる、ということで、夏場のザトウクジラは水中で細かな泡を吹き出して、獲物となるイカナゴを囲い込み、魚たちが密集したところで大きな口で海水もろともひと飲みにしています。

tag : バブルネットフィーディング ザトウクジラ

2016-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書[無料版]2016年8月13日



自動車の新しいブレーキシステム

曙ブレーキが電気駆動液体ブレーキを開発しました。この新ブレーキシステムは電磁石による磁力で固くなる特殊な液体が使用されています。2020年をメドに商用化したいとのことです。  

このブレーキには厚さ1ミリメートル程度の5枚のディスクが内蔵されています。ディスクとディスクの間には0.5ミリメートル程度の隙間があり、その隙間にこの特殊な液体が流れています。 この液体をMR流体と呼び、通常は液体の状態でディスクの隙間を流れています。コイルに電気を流して磁場を発生させると、MR流体の中の鉄のイオンの力が一方向に向いて分子と分子がつながり、固体に変化します。

この方式は電動で駆動しますので、今後普及する電気自動車と非常に相性の良いブレーキメカニズムです。また、摩耗するパーツがないことや音が出ないことも特徴で、ソフトウエアによってドライバーの好みに応じたブレーキの利き具合を調整することもできますし、自動運転のソフトウエアでブレーキを緻密に制御することも可能です。

自動車の新しいブレーキシステム

2016-08-15 : トップニュース : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書[無料版]2016年8月6日



スポーツ観戦による感動のメカニズム

早稲田大学スポーツ科学学術院の研究グループは、他人の努力や頑張りに感銘を受ける脳の神経基盤の謎を解く発見をしたと発表しました。
他人の行動を理解するための神経回路は2種類が知られています。

ひとつは「ミラーニューロン」でほかの人の行動の理由を理解する回路です。たとえば、子供がピーマンの肉詰めから肉を取り出そうとしていれば、その子供はピーマンが嫌いなのだな、ということを理解する神経回路です。

もう1つは他人の感情を理解する神経回路で、父親とその教え子の手作りドーナツを子供が満面の笑顔で食べてるのを見れば、その子供は幸せを感じているのだろうと感じることができます。問題はこの二つのメカニズムをどうやって統一した神経の働きとして解析するかにありました。

たとえばゲームが上手そうな若者がUFOキャッチャーで遊んでいてもさほど気には留めませんが、不慣れな小さい子供が悪戦苦闘していれば、取ってあげましょうかと手を差し伸べるかもしれません。また、重そうなトートバッグを肩からかけている人がいたとしてもそれが屈強な男性なら気にも留めないかもしれませんが、お年寄りであれば荷物を持ちましょうかと言いたくなる、そのような行動様式ではなく、それを行っている人の内面感情について、私たちの脳は他の人の努力や頑張りを理解・評価する回路を持っていると考えられます。  

そこで、今回の研究では、他者の努力度の理解に関連する脳領域を特定するために、行為者の頑張り(努力度)が異なる映像を実験協力者に見てもらい、その時の脳活動を計測しました。 その結果、行為者が努力を要する動作の映像を観察した際には右側の側頭頭頂接合部(TPJ)と呼ばれる脳部位が活発に活動することがわかりました。 私たちはスポーツの観戦時に、選手が全力でプレーをしているのを見て、選手に共感し、思わず声援を送ることがあります。他者の頑張りの理解に関連する脳領域を特定したことで、このような他者の頑張りに共感するメカニズムの解明につながると考えられます。さらに、コミュニケーションが苦手である人にとっては、コミュニケーション能力向上につながる方法の開発に貢献できると期待されます。
2016-08-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書[無料版]2016年7月30日



わずかな湿度の揺らぎを動力源とする新技術
理化学研究所と東京大学の共同研究グループは、環境中の湿度の揺らぎをエネルギー源として半永久的に駆動する薄膜アクチュエーターを開発しました。このようなエネルギー源の開発は、モバイル機器やウェアラブルデバイスの発展が著しい昨今、特に重要になっています。このような身の回りにある未利用のエネルギーを集めその場でエネルギーに変換する技術のことを「エネルギー収穫技術」と呼びます。
水分の吸着量に応じて曲がり方が鋭敏に変化する薄膜を新たに開発し、この高速な屈伸運動からエネルギーを取り出します。薄膜を駆動しているのは湿度そのものですが、湿度は環境中の熱や光で変化するので、間接的には熱や光も薄膜の運動エネルギーに変換していることになります。
2016-08-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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