眠って白血球をベースキャンプに帰してあげる

白血球は体内に侵入した外敵を破壊するために全身を巡っていますが、人間が起きて活動することにより全身に様々な異物の侵入が発生し、白血球は総動員状態にあります。戦いが終われば白血球の役目は終わるのですが、血液中の白血球濃度は高いまま維持され、一度出動した白血球部隊の一部そのまま戦場にとどまっているらしいことがわかっています。  

ところが、ドイツ、テュービンゲン大学の研究によると夜間に十分な睡眠をとると、血液中のある種の白血球量が就寝後3時間以内に低下することがわかりました。白血球がどこに帰って行ったのかはわかっていませんが、白血球のベースキャンプであるリンパ節に帰って行ったのではないかと推測されています。  

徹夜をすると白血球はベースキャンプに帰るチャンスがないため次第に疲弊し、感染症に対する抵抗力が弱まる可能性があります。健康維持のためには充分な睡眠が必要であることが白血球の活動からもわかってきました。


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2017-02-11 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

この週末の大雪は北極海のせいかもしれない

2月11日~12日にかけて日本海側では強烈に雪が降り、積雪量が平年の10倍というその地域の人にとっては見たこともない積雪に閉じ込められている地域も出始めました。  

この異常な雪と寒さは地球温暖化によって北極海の異変が発生しているためかもしれません。温暖化によって北極海の氷が減ると寒波をもたらすシベリア高気圧が発達しやすくなり、日本の冬は寒くなることが新潟大学の研究でわかりました。昨年(2016年)は北極の気温が高かったため、今冬は北極海の氷が記録的に少ない状態が続いています。
 
図は白い領域は2016年夏、最も氷が減ったときの海氷域。観測史上2番目に小さかったことが確認されています。貴色の線は1981~2010年で一番氷が多かった年の氷の到達ラインと一番少なかった年の氷の到達ラインの中間地点を線で結んだもの(中央値)です。
この週末の大雪は北極海のせいかもしれない

新潟大学の研究者らは36年分の北極圏の気象観測データを分析し北極海の氷の量と日本の冬の気候の関係を見つけ出しました。北極海は通常、氷で海水に蓋をしたような状態になっています。海水の温度は気温よりも高いため、氷の蓋が不十分だと氷のない海面から海の熱が大気に伝わって大気が暖かくなり上昇気流が発生します。上昇気流によって上空の気圧が高くなりることが原因で上空を流れる偏西風が大きく蛇行し、日本付近では西高東低の冬型の気圧配置がより強力にになって北から冷たい寒気が流れ込みやすくなるということです。  

地球温暖化の影響で、北極の氷は減り続けていますので、この変化は今後さらに強烈になる可能性があります。

2017-02-11 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

へこたれないロボットの開発

被災地や破壊された原子力発電所でのロボットの活用がいろいろと検討されていますが、テレビで模擬災害現場でテストとされるロボットを見て「なんと頼り無い・・・」と感じた経験のある方も多いと思います。空調が効いてフィルターを通した綺麗な空気が送られる快適な工場ではすでに人間をしのぐ大活躍のロボットも、何が起きるか予想もつかない環境では人間ほどには活躍できないのが現状です。  

そこで、東日本大震災、阪神淡路大震災などの極限環境においても災害復旧や人命救助ができるへこたれない「タフロボット」の研究が進んでいます。たとえば、東京工業大学とブリヂストンではロボットが活動するための筋肉となる「タフ油圧アクチュエータ」を開発しています。

多くのロボットでは筋肉の代わりにモーターを使っていますが、地球上で繁栄している生物においてモーターを使用しているのは細菌のべん毛スクリューくらいしかないことからわかるように、モーターは地球上で活動するのにふさわしいメカニズムではありません。その理由は
・重さと出力のバランスが悪い=重い割に力が出ない
・構造が複雑で作りにくいし壊れやすい
・強力さとしなやかさの両立が難しい
などです。そこで、大きな力を出すことができ、かつ作業に応じて柔らかく動くことも可能な人間の筋肉に着目して研究されているのが「ハイパワー人工筋肉」です。  

油圧で動くこの人工筋肉は同じ重さのモーターの10倍の出力を出すことが出来ますので、本体を大型化することなくハイパワー化、あるいはさらに本体を小さくして狭い倒壊建物の中でも充分な出力を得ることが出来ます。しかも油圧の特徴であるしなやかな動きと材質がゴムであるため外部からの振動や衝突を受け止めても壊れにくいメリットもあります。

へこたれないロボットの開発



2017-02-11 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-640 どこでもドアの誕生・・・の基礎技術

3Dプリンターは生命化学の領域でも活用が広がっています。  

たとえば、日本の独立行政法人国立病院機構は小児科医が開発した3D印刷可能な人工呼吸器を国際宇宙ステーションへ電子メールで転送する世界初の実験が成功したと発表しました。  

受け取り側に3Dプリンターとインターネット環境があれば宇宙中どこへでも人工呼吸器を転送できるようになったということです。スペースX社などのプロジェクトにより人類が火星においても生活するようになったとしても、現在は地球上のあらゆる先端機器を火星に持ち込むことは困難ですが、このような技術があれば必要な先端機器を火星で印刷で作ることが出来ます。なお、この人工呼吸器はすでに無重力環境下での動作実験にも成功し、実際に使用可能であることが確認されています。

インターネットで転送された人工呼吸器の部品が印刷される様子
ヴォイニッチの科学書 Chapter-640 どこでもドアの誕生・・・の基礎技術

さらに、スペインのマドリード・カルロス3世大学は人間の皮膚を印刷で作製できる3Dプリンターの試作機の開発に成功しています。重症のやけどで皮膚移植が必要な患者の治療や、化粧品の安全性試験などに用いる人工的な皮膚の作製を想定して試験が行われている段階です。この3Dプリンターは人間の細胞由来の成分で出来たインクを使って、人間の皮膚の構造や機能を再現した組織を印刷します。その再現度は本物の肉体にそっくりで、表皮やその内側の真皮、線維芽細胞まで再現可能です。  

また、3Dプリンターで細胞を印刷して移植用の臓器を作ることは当初より3Dプリンターの重要な用途の一つとして研究が続けられていました。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-640 どこでもドアの誕生・・・の基礎技術

今後、今回紹介したような技術が組み合わされて臓器や皮膚やセメントつまり石灰質の骨などが印刷できるようになれば、肉体だけであれば私達はそう遠くないうちにあたかもどこでもドアを使うように火星にさえ行けるかもしれません。3Dプリンターで印刷した脳が何を考えるのかはわかりませんが、すでに脳を装置で計測してその人が考えていることや見ている物が徐々にわかるようになってきています。そうすると脳の情報をダウンロード、アップロードすることも絶対に不可能とは言い切れず、インターネットで肉体の情報を送って身体を印刷し、そこにデータ化した脳の情報、あるいはアイデンティティと記憶のような物をダウンロードすることによって人類はどこでもドアを手にした、といえる時代が本当にくるのではないでしょうか。




この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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