細菌は電気も発酵で作っていた

物質・材料研究機構と東京大学の研究チームは、微生物燃料電池に応用されている細菌「発電菌」が発酵を行っていることを明らかにしました。発酵はお酒やチーズ、ヨーグルト、ミソ、くさやなどの発酵食品からバイオプラスチックまで多様な物質生産に関わっている微生物によるもの作りのことです。

細菌は一般的に、呼吸と発酵の二種類の化学反応で生きていますが、発酵反応では電子が細胞の外へ出て行かないため、発電は呼吸によって行われていると考えられていました。

今回、研究チームは、シェワネラ菌という発電菌を用いて、発電時にどのような反応が起きているのかを調べました。シュワネラ菌の呼吸で働く酵素と発酵で働く酵素をそれぞれ欠損させ、発電効率を調べたところ、呼吸が欠損しても電流には変化が生じなかった一方で、発酵が欠損すると電流が大きく減少しました。

発電菌
細菌は電気も発酵で作っていた

つまり、細菌においては電気も発酵生産されているということになります。もともと、発電と発酵は同時にはできないものと思われていましたので、発電菌で発酵を起こすことができれば、発電しながら同時に多様な物質を生産できる技術を開発できます。


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2017-07-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

今週の人工衛星「ソクラテス」

近年は超小型衛星の進歩が著しく、機能ごとに見れば大形衛星と遜色ない性能を持つ超小型衛生も増えてきました。最近ではインドやロシアなどは70個から100個以上の小型衛星を一気に打ち上げてコスト削減を行い、衛星ビジネスでの競争力を高めています。

人工衛星の数が増えると多くの通信も必要になります。現在、衛星通信の主流である電波は使用できる周波数帯が足りなくなっており、通信の大容量化には限界があります。 これに対して、レーザを用いる衛星光通信は周波数帯も広大で電力効率も高いことから今後の衛星通信技術として期待されています。また、更なる長距離・高秘匿化を実現できる衛星量子通信の研究開発も世界各国で活発に行われています。

中国科学技術大学は2016年8月に打ち上げた大型量子科学技術衛星を使って2017年6月に1,200km離れた2つの地上局に向けて衛星から量子もつれ配信を行う実験に成功しました。  

日本の情報通信研究機構(NICT)は、超小型衛星(SOCRATES)に搭載された衛星搭載用小型光通信機器から、0と1のビット情報に符号化した信号を毎秒10Mbpsで地上局へ送信する実験を行いました。東京都小金井市にある口径1mの望遠鏡で信号を受光し、量子受信機で情報を復号しました。重量50kgの超小型衛星による量子通信としては世界で初めてです。

今週の人口衛星「ソクラテス」

今回開発した衛星量子通信技術は、これまで多額の予算と大型衛星が必要だった衛星量子通信を、より低コストの軽量・小型衛星で実現することを可能にし、超長距離通信に必要な電力量を著しく少なくすることができますので、探査衛星との深宇宙光通信の高速化も可能になります。


2017-07-27 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ウミグモは脚で呼吸し、腸で酸素を運ぶ

ウミグモは5億年前から存在する太古の姿を残したまま現在まで生き延びているほぼ脚だけのような奇妙な動物です。

ウミグモは脚で呼吸し、腸で酸素を運ぶ

8本脚で海底を歩き回る姿は陸生のクモの仲間のように見えますが、クモとは全く異なる種類の生物です。大きさは数ミリメートルのものから数十センチになるものまでさまざまです。いずれにしてもほぼ全身が脚で、そこに小さな胴体と頭があって、とがったクチバシのような構造で獲物の体液を吸います。

私達人間の足は主に骨と筋肉で、その役目は身体を支えたり移動したりすることですが、米国ハワイ大学の研究によると、ウミグモの足は身体本体と言っても良いほどの機能を担っているようです。

精巣と卵巣は脚の中にあります。また、ウミグモは呼吸のための肺もエラも持っておらず、足も含め身体の表面全体を覆う外骨格に無数にあいた小さな穴を通る水から酸素を得ています。腸も脚の先端まで伸びています。心臓は胴体にありますが、ほぼ役に立たないレベルの非力さですが、そのかわりに足の中の腸が収縮を繰り返して、足の表面から取り込んだ酸素を全身に行き渡らせていることも明らかになりました。


2017-07-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ハイパーループその後

米国の起業家イーロン・マスク氏が開発中の最高時速1200キロメートルの超高速チューブトレイン「ハイパーループ」はニューヨークとワシントンの間を地下方式での建設を目指しています。この計画が実現すれば両都市間を29分で移動することができます。現在の列車では3時間前後を要します。  

このたび、カリフォルニア州のイベントで最新型のハイパーループが公開されました。計画では28人乗りとなる予定ですが、開発は着々と進んでいるようです。

ハイパーループその後

断面は軽自動車よりも小さなミニマムなサイズのチューブに着座して移動します。ビジネスクラスで4万円前後のこの区間、果たして料金はいくらになるのでしょうか。
ハイパーループその後


2017-07-26 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

日焼け止めの科学

紫外線は人間にとって非常に有害です。DNAやタンパク質を破壊したり、細胞の中で活性酸素を生み出したりします。

一方で私達の身体には生体防御機構として壊れたDNAを修復したり、活性酸素を除去したりすることもできますので太陽からの紫外線が降り注ぐ地表でも平気で生活することができます。ですが、あまりに紫外線が強くて修復が追いつかなくなると皮膚にしわができたりたるんだりする光老化が起きたり、皮膚がんが起きたりします。  

そこで活躍するのが日焼け止めです。日焼け止めは化学物質が水や油に溶かし込んであるのですが、その成分には大きく分けて2種類あります。

ひとつは紫外線を吸収する有機化学物質です。炭素が6個輪っか状に結合したベンゼン環は紫外線を吸収する作用がありますので、ベンゼン環を基本にしてより強く紫外線を吸収しつつ、肌に直接塗る化学物質ですのでより皮膚に優しい分子が研究されています。これらの分子には皮膚のシミやたるみの原因になるUVAを吸収する分子、日焼けの原因になるUVBを吸収する分子、その両方を吸収する分子が発見されています。いずれにしてもこれらの分子は紫外線のエネルギーを吸収して熱エネルギーに変換することによって紫外線が皮膚に到達することを防ぎます。  

もう一つの成分は紫外線散乱剤です。これには酸化チタン、酸化亜鉛などの金属がしばしば用いられますが、いずれも太陽光に対する屈折率が高く、紫外線も効率的に散乱します。  

皮膚のナノ粒子を皮膚に塗ることについてはこれまで皮膚の角質バリアがあるので体内には侵入しないとされていましたが、最近の研究では酸化チタンのナノ粒子をブタの耳に毎日塗り続けたところ、体内に取り込まれていることが確認されましたので、使いすぎに注意しなければならないと共に、化学メーカーでは体内に吸収されても蓄積せず効果的に紫外線を反射する物質の研究が必要です。


2017-07-25 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-663 DNAの不規則な塊を世界で初めて確認

DNAはひものような形状で太さはわずか直径2ナノメートルですが、長さは2メートルもあります。人間の細胞の大きさは様々ですが、おおよそ0.02ミリメートルとすると細胞の長さの10万倍もの長さのひもを細胞の中に押し込むことになります。しかも、必要なタイミングで必要な情報をDNAから読み出さなければなりませんので、絡み合わないようにする必要もあります。

そのため細胞はDNAを上手に折りたたんで収納していると考えられています。ところが、ここ数年の研究でこの規則正しい構造は存在せず、不規則に核のなかに収納されていることがわかってきました。

下右の図のようにDNAはまず「ヒストン」という糸巻きの形をしたタンパク質に巻きとられて、直径約11ナノメートルの「ヌクレオソーム」を作ります。ここまではいいのですが、今から40年以上前に提唱され、これまで信じられていた説では、このヌクレオソームがさらにらせん状に規則正しく折りたたまれることによって直径約30ナノメートルの「クロマチン線維」を形成し、またさらに、らせん状に巻かれるとされていました(下図左側)。

国立遺伝学研究所では2008年より電子顕微鏡やX線解析によって、規則正しいクロマチン線維は存在せず、ヌクレオソームが不規則に細胞内に納められていることを提唱してきました。ですが、クロマチン構造は数十から数百ナノメートルと非常に小さく、当時の顕微鏡技術では生きた細胞の中で本当にそのように不規則であるかどうかを見て確かめることはできませんでした。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-663 DNAの不規則な塊を世界で初めて確認

今回の研究で、ヌクレオソームの1個1個を観察できる超解像蛍光顕微鏡を構築することで、生きた細胞の中でDNAがどのように収納されているのかを観察することに成功しました。 その結果、クロマチン線維は予測通り存在せず、多数のヌクレオソームが不規則に折りたたまれて直径約160ナノメートルのDNAのかたまりであるクロマチンドメインが作られ、しかもこれが核内でダイナミックに動きまわっていました。

細胞が活動するときには多くの場合DNA上の遺伝情報を検索するところから始まります。しかし、核内において遺伝情報を検索する際、探す領域が膨大だと効率が悪くなります。そこで、情報単位でDNAの塊を作ることで情報検索の制御や効率化に関わっているのかもしれません。


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2017-07-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

PQQがもたらす寿命延長の仕組み

ピロロキノリンキノン、略してPQQという物質があります。1970年頃酢酸菌などの微生物が作り出していることが発見された物質で、細胞の生育促進、抗酸化作用、神経保護などの様々な有益な活性を持っていることがわかっています。

哺乳類においては気がつかないうちに食品から多量のPQQを摂取しており、1980年代の研究ではエサに自然に含まれるPQQを完全除去したところ、発育不全、生殖能力低下などの早期老化症状に似た状態となりました。そのことから、PQQは哺乳類の正常な生育に必須のものであると考えられています  

PQQ欠乏が早期老化様症状を示すことから、名古屋大学などの研究者らはPQQの寿命に与える影響をこのような実験によく使われる線虫C.elegansを使って調査しました。その結果、成長した線虫にPQQを与えると寿命が30パーセント延長することがわかりました。

PQQがもたらす寿命延長の仕組み

PQQは細胞内に取り込まれた後に細胞膜の酵素に作用し、細胞外側表面で「活性酸素」を「ミトコンドリア活性酸素」と呼ばれる「低レベル活性酸素」に変換し、生体防御機能を活性化させることによって長寿命化現象を起こしているものと思われます。  

低レベル活性酸素という考え方は最近のものであり、かつての活性酸素はとにかう悪者である、タンパク質やDNAを破壊する有害物質、という考え方から一歩進んで、ミトコンドリアが生み出す「低レベル活性酸素」は寿命延長効果があるとされています。

ですが、今回のPQQの作用はミトコンドリアではなく、細胞膜での作用でしたので、これまで知られていなかった新しいメカニズムであると思われます。

かつて活性酸素を除去する抗酸化剤に寿命延長効果があるのでは、と盛んに研究されていましたが、不思議なことに活性酸素を除去しても寿命は延長しないことが定説となっており、それに代わってPQQが活性酸素に対して重要な役目を担っていることがわかりつつあります。


2017-07-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

今週の人工衛星「マヤーク」

今週の人工衛星「マヤーク」

ロシアの科学者たちが超小型衛星「マヤーク」を7月14日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げました。マヤークは太陽、月、金星に続いて4番目に明るく輝く天体となります。

マヤークは打上げ時は食パン一斤と同じくらいの大きさしかありませんが、打上げ後、宇宙空間で大型の反射フィルムをピラミッド型に展開します。この人間の髪の毛の20分の1の薄さいかない反射フィルムで太陽光を反射し、最も明るい人工衛星となるはずです。


2017-07-23 : 人工衛星 : コメント : 0 :

末梢組織の糖利用を促進する神経細胞

脂肪細胞から血液中に分泌されるレプチンというホルモンがあります。レプチンは脳の神経細胞に作用して、食欲を抑え、食べたものを熱に変え、さらに骨格筋などでインスリンの働きを高め、糖の利用を促進することがわかっています。

脂肪萎縮症という脂肪細胞が消失する病気があります。レプチンは脂肪細胞で作られますので、患者の血液中のレプチンは減少し、重症の糖尿病となります。この病気はインスリンによる治療もほとんど効果がありませんが、レプチンを投与すると糖尿病は著しく改善します。

生理学研究所の研究者らはレプチンの作用を解明するため、脳の中で代謝調節に関わっているSF1という神経細胞の関わりをマウスを使って調べました。

その結果、SF1を刺激するとマウスはエサを食べる量が減り、全身の糖利用が促進しました。つまり、あたかも運動をしたかのような肥満抑制効果が見られたということです。SF1 ニューロンがどのような命令信号を出しているのかはまだわかっていませんが、今回の発見は肥満や糖尿病の新しい治療法の確立に繋がることが期待されます。


2017-07-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ペットはなぜ人になつくのか

野生動物は人を見ると逃げるのが普通ですが、イヌのように自ら人に近づいてくる動物もいます。このような人間に対する振る舞いの違いはどのような遺伝的しくみで生じているのでしょうか。

野生のマウスも人にはなつきませんが、国立遺伝学研究所は世界8 か国から収集した野生マウスの中から少しでも人に近づく性質のあるもの同士を繰り返し交配させ、本来はいるはずのない人に好んで近づくマウスを作り出しました。

それらのマウスのゲノム解析をおこなったところ、脳の中の神経伝達物質セロトニンの量を調整している部分の遺伝情報が大きく変化していることがわかりました。この変化はイヌにおいても同様でした。セロトニンは感情をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。


2017-07-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-662 4Dプリンター

米軍が4Dプリンターの研究に投資を始めています。3Dプリンターは三次元、つまり縦横高さのある立体的なものを印刷しますが、4Dプリンターはそこにさらに時間的変化が加わります。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-662 4Dプリンター

米軍は立体的な印刷物が自律的に変化して戦闘の状況に適応する印刷手法の研究を行っています。戦場での3Dプリンターの活用はすでに考えられていますが、戦況に応じて武器や資材を戦場で印刷し始めるのは現実的ではありません。そこで印刷物の性質や形状が変化するような素材を使って、状況に応じて作り直す必要をなくそうとしているのです。

その一例としてハーバード大学が米軍の資金で研究しているのは生物の特徴を模して、形状や性質、機能を変化させることができるような複合素材です。例えばタコやカメレオンなどが自らの体の色を自在にプログラムして保護色をその都度作り出すように、色や柄を変えて兵士の存在をカモフラージュするような戦闘服などが考えられます。


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2017-07-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

体内時計は、複数の遺伝子が活性を調節して睡眠覚醒のタイミング、ホルモン分泌のタイミングなどを1日周期で制御しています。

遺伝子活性リズムは化学反応です。化学反応の速度は温度が高いほど速くなり、10℃の上昇で反応速度は2~3倍になります。であれば、体温が低いときの変温動物は体内時計がゆっくり進み、病気で熱を出した人は体内時計が早く進むはずです。

ですが、体内時計のリズムは温度にかかわらず一定であることがわかっています。これは科学者にとってはとても不思議なことです。

理化学研究所によるコンピューター解析で温度にかかわらず体内時計の周期を一定に保つためには、温度上昇とともにリズムの化学反応の振れ幅を大きくする必要があることを見つけました。一般的な化学反応においては温度上昇とともに化学の周期は短くなって結果として化学反応が早くなります。温度が高くなったときに、振れ幅を大きくすれば、周期が短くなる傾向を相殺することができます。


体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

理化学研究所は振れ幅を大きくして化学反応の早さは維持しつつ、進行を抑えるという仮説に対し、「温度-振幅カップリング」と名付けました。

この仮説を検証するため、ラットの培養細胞を用いて、体内時計で重要とされている7つの遺伝子の活性リズムを異なる温度で計測しました。その結果、遺伝子活性リズムの周期は、温度が変わってもほぼ一定でした。それに対して、遺伝子活性リズムの振れ幅は、多くの遺伝子で温度上昇とともに大きくなっており、仮説が培養細胞では正しいことが確認されました。

下の図はラット培養細胞で遺伝子の活性化状態を調べたグラフです。Cry1、Per2は体内時計に関わっていることで有名な遺伝子です。青線は35度、赤線は38度ですが、温度が高くなると活性が高くなりつつも、グラフの山と谷の位置が一致していることから体内時計の周期には変化が起きていないことがわかります。

体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

現在のところ、温度-振幅カップリングがラット培養細胞特有のものか、多くの生物種に普遍的な仕組みなのかはわかっていません。ほかの動物で同様の研究を行うことは体内時計の進化を明らかにすることにもつながり、今後の研究が期待されます。


2017-07-19 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

出来事の順序を記憶する仕組みの発見

理化学研究所と同志社大学の共同研究チームは、日常の出来事を記憶するとき、その出来事の内容と順序の情報が脳回路の中でどのように表現されているかを、ラットの脳の海馬での神経細胞の活動を観測することで明らかにしました。

私たちは日常の出来事を記憶するとき、それぞれの出来事の内容に加えて、その出来事の起きた順序も無意識のうちに覚えています。自らが経験した出来事に関する記憶は「エピソード記憶」と呼ばれ、脳の海馬 が関わっていることが知られていますが、どのような仕組みで経験した出来事の内容や順序を記憶しているかは、解明されていませんでした。

今回、同志社大学と理化学研究所の共同研究チームは神経細胞の活動を記録する電極を装着したラットにまず音を聞かせ、次に匂いをかがせる実験を行いました。 その結果、海馬の神経細胞の中に音や匂いなどそれぞれの情報に対して選択的に活動する細胞を発見し、これを「イベント細胞」と名付けました。  

また、海馬では、8Hzぐらいの周波数の強い脳波である「シータ波」 を出すことが知られています。シータ波は神経細胞の集団が同期して活動をすることによって発生します。イベント細胞の活動とシータ波がどのように同期しているかを調べたところ、シータ波の山から谷に向かうタイミングでは過去の情報、谷では現在の情報、谷から山に向かうタイミングでは将来の情報が表現されていることが分かりました。

出来事の順序を記憶する仕組みの発見

これは、海馬のイベント細胞はシータ波の位相によって、過去・現在・将来の出来事の順序を圧縮して表現しているといえます。海馬の個々の神経細胞は、その活動の強さによって出来事の内容を表現し、その活動のタイミングによって出来事の順序を表現していることが明らかになりました。


2017-07-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

植物に酢酸を与えると乾燥に強くなる

地球温暖化などの環境変動による急激な乾燥や干ばつの発生は、トウモロコシやコムギをはじめとする作物生産量の低下や砂漠化の拡大など、世界規模で大きな問題となっています。これまでに、植物の乾燥耐性を強化するための方法として、遺伝子組み換え技術が用いられてきましたが、遺伝子組み換え作物に抵抗を感じる人も多く、開発に時間もお金もかかるので、もっと簡便かつ安価に利用できる植物への乾燥耐性強化技術の開発が求められています。

理化学研究所の研究グループは、植物の実験でよく用いられるシロイヌナズナを観察したところ、乾燥環境では細胞内で酢酸(食酢と同じもの)の合成量が増加していることを発見しました。そこで、シロイヌナズナに酢酸を与えてみると乾燥耐性が向上することがわかりました。

植物の中で何が起きているのかを調べたところ、植物が傷ついたときに放出される酢酸が植物ホルモンであるジャスモン酸を増やしていることがわかりました。さらに、イネ、トウモロコシ、コムギ、ナタネなどの有用作物についても、酢酸を与えることにより乾燥耐性が強化されることを確認しました。  

下の写真はシロイヌナズナに対して、さまざまな酸性の液体を与えて乾燥状態にさらしたところです。酢酸のみが強い乾燥耐性を示しました。
植物に酢酸を与えると乾燥に強くなる

今回の発見は酢酸が植物ホルモンを介して植物が乾燥に耐えられるように細胞の内部の代謝経路を変化させていること、そのメカニズムは多くの農作物に共通であることを示しています。この研究成果は、遺伝子組み換え植物に頼らず、植物に酢酸を与えるだけで、急激な乾燥や干ばつに対処できる簡便・安価な農業的手法として役立つことが期待されます。


2017-07-17 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

よくかんで食べないと神経細胞が減る

よくかんで食べると老化の防止につながると以前から言われていましたが、そのメカニズムが科学的に確認されました。 たとえば、朝食にご飯とサラダとカリカリベーコンを食べる人と、流動食をチューッと吸い込んで済ませる人、晩ご飯に厚切りステーキを食べる人とソバで済ませる人とでは1日あたりに食べ物をかむ回数、つまり咀嚼回数は大きく異なります。

よくかんで食べないと神経細胞が減る

代人は全体的に咀嚼回数が劇的に減っていますが、成長期に咀嚼回数が低下すると、顎の骨や噛むための筋肉だけでなく脳の発達にも悪影響を及ぼすことが知られています。また、加齢に伴い歯を失うことによって咀嚼機能が低下すると、認知症のリスクが高まることも分かってきました。

実験用に飼育されているマウスのエサはカチカチに固められた粒状であることが普通ですが、離乳期から成長期にかけてあまりかむ必要の無い粉末飼料を与えて育てる実験を東京医科歯科大学の研究者らが行いました。その結果、粉末飼料を与えたマウスでは、通常の固形飼料を与えたマウスと比べ、顎顔面の骨や噛むための筋肉の成長が抑制され、記憶・学習機能も顕著に障害されることがわかりました。そこで、記憶・学習を司る脳領域である海馬を解析したところ、あまりかまずに育ったマウスでは神経細胞の数が少ないこと、神経活動レベルが低下していることが明らかになりました。  

下の写真は実験で使ったラットの海馬で上段(a)は神経の活動、下段(b)は神経細胞数です。いずれも粉末食のラットは少ないことがわかります。 
よくかんで食べないと神経細胞が減る

この結果は認知症の予防において咀嚼機能の維持または強化が有効であることを示唆しています。今後はどのような分子が関わっているのか、どのような遺伝子制御が関わっているのかをヒトを対象とした研究で取り組む必要があります。


2017-07-16 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい

太陽系外縁天体の軌道の調査から、未知の惑星質量天体(下はその想像図)が太陽系外縁部に潜んでいる可能性を示唆する研究成果が発表されました。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい
Heather Roper/LPL

惑星の中で一番外側を回る海王星までの距離は太陽から45億キロメートルで、太陽から地球までの距離の30倍もあります。ですが、太陽系はそこで終わりではなく、海王星の軌道のさらに外側に太陽系外縁天体と呼ばれる小さな天体が遙か彼方まで広がっています。

米国アリゾナ大学月惑星研究所の研究者らが太陽系外縁天体600個以上の軌道を調べました。その結果、太陽に近い軌道は地球や火星の軌道と同じ平面上にありましたが、あるところから遠くは軌道が約8度ゆがんでいることを発見しました。  

アリゾナ大学の研究者らはこのゆがみは未知の天体の作用によるものと考えています。未知の天体がどのような性質であれば観測結果のつじつまが合うかを計算したところ、火星と同じくらいの大きさの惑星が、地球から太陽までの距離の60倍離れたところに約8度傾斜した公転軌道を持っていればこの歪みを説明できることがわかりました。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい
Heather Roper/LPL

この天体は地球から見て天の川と方向が重なるため現在は観測が難しいのですが、2020年の観測開始を目指してチリで建設中のLSST大型シノプティック・サーベイ望遠鏡であれば確認可能なのではないかと期待されています。

LSSTの完成予想図
ヴォイニッチの科学書 Chapter-661 未知の惑星の影響で太陽系はゆがんでいるらしい


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2017-07-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

SNSの画像を解析して流行の伝播を探る

米国コーネル大学の研究者がインスタグラムに投稿された写真1億枚をAIで自動分析して衣服スタイルの変遷を世界規模で解析しました。そのスタイルは白いTシャツとメガネを着用する人、赤いVネックのトップスや黒いドレスを着ている人など約400種類に分類することができました。

撮影場所データと照らし合わせることで特定の色が周期的に流行することなどを見いだしました。また、サッカーワールドカップが開催された2014年の6月と7月のデータからはコロンビアとブラジルで黄色いシャツの人気が急上昇したことが確認されました。


2017-07-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

手洗いに水温は関係なかった

手をきれいに洗うには水温はあまり関係なく、時間をかける方が重要であることが米国ラトガース大学の研究でわかりました。実験協力ボランティアの手を高濃度の無害な細菌で汚染させた後、15℃、25℃、38℃の水で手を洗ってもらったところ、温度には関係なく、10秒以上の手洗いで細菌を除去できることが分かりました。石鹸の使用量も結果に影響しなかった、ということです。

手洗いに水温は関係なかった


2017-07-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

木星は太陽系で最も古い惑星だった

木星は太陽系で最大の質量を持っているため、太陽系の誕生の過程においても大きな影響を及したと予想されます。 太陽系の進化にも大きく関わったはずの木星は太陽系誕生の比較的初期に形成されたことがシミュレーションから予測されていますが、その形成年代は明らかになっていませんでした。

木星は太陽系で最も古い惑星だった

米国ローレンス・リバモア国立研究所とドイツミュンスター大学の研究チームは小惑星由来の鉄隕石中に含まれるモリブデンとタングステンの年代を測定することによって木星がいつ誕生したのかを推測しました。

木星軌道の内側と外側の由来の鉄隕石を調べたところ太陽系形成後の100万年から300~400万年の間に太陽系内に異なる領域に二分して存在していたことがわかりました。これらの隕鉄が混じり合うこと無く別々の場所に存在していた理由を考察してみると、形成直後の原始太陽系円盤のガスが、木星の誕生によってできた円盤のすき間で分断され、すき間の内側と外側を行き来することができず、そのまま現在に至ったと考えれば説明がつきます。

であれば、木星の核の形成年代は太陽系形成後から100万年以内と推定できます。


2017-07-07 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-660 人間の影響を受けた細菌が自然界に拡散している

食中毒の原因になるサルモネラ菌、肺炎の原因になるブドウ球菌などは人間にとっては困った存在ですが、ある意味私達にとって身近な存在です。

サルモネラ菌
人間の影響を受けた細菌が自然界に拡散している

ブドウ球菌
人間の影響を受けた細菌が自然界に拡散している

米国西海岸でシャチが劇的に減少している原因を調査していた米海洋大気局(NOAA)が、シャチが呼吸で噴き出す水の中にこれらの細菌が存在していることを発見しました。本来はこれらの菌はシャチにはいないはずの菌です。しかも、このような一般的な菌ばかりではなく、抗生物質耐性病原菌も見つかりました。耐性菌は人間が使用す抗生物質によって生み出されますので、シャチの生態系に人間が影響を与えていることは明らかです。  

都市の生活排水などが河川から海へ流れ込むと海面を覆う膜のように広がっていきます。これを「海面ミクロ層(SML)」と呼びますが、SMLは人間環境で生息している菌が本来は苦手なはずの海水の中で生きていける環境を細菌に提供し、シャチが呼吸することによって、シャチに取り込まれます。  

今回の観察で発見された細菌はシャチを病気にするほどの量ではなかったものの、人間に対しては高い病原性を示す菌も含まれていました。シャチが激減している原因はこのような細菌の影響でシャチが病気にかかりやすくなった可能性もあり、そうであれば人間の活動が大きく関わっていていることになります。


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2017-07-07 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

CRISPR/Nickase(ニッカーゼ)システム

ノーベル生理学・医学賞の最有力候補として話題になっているゲノム編集技術、CRISPR/Cas9システムですが、このシステムの最大の問題点は正確にゲノムを編集できる領域はCas9が認識できるNGG配列とそれに続く20塩基のみで、ゲノム中の60%程度にしか相当しないことです。

遺伝病の多くはたった1個の塩基が異常になっていることが原因であることが多いため、その異常がゲノム上のどこで発生していても正確かつ自在に編集できるゲノム編集技術の発展が望まれていました。

京都大学の研究者らは一本鎖切断酵素Cas9 Nickaseを用いる方法を開発しました。このCRISPR/Nickaseシステムは理論上ほぼゲノム全域を編集できます。その結果、ゲノム上のほぼすべての場所で修復編集が可能になり、ゲノム医療は大きく発展するものと思われます。


2017-07-06 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

涙もろくなったのは感受性が豊かになったのではない

歳を取ると涙もろくなるのは、感受性が豊かになったのではなく、中枢神経系の機能が低下していることが原因のようです。  

若い頃は大脳の中の背外側前頭前野が行動や感情を制御しています。ところが、歳を取ると背外側前頭前野の機能が低下してしまいます。駅で暴れる高齢者においても同様の中枢機能低下が起きている可能性が指摘されています。つまり、涙もろくなるのもキレやすくなるのもメカニズムは共通と言うことです。


2017-07-06 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

今週の人工衛星 CANON CE-SAT-I

キヤノン電子がインド南東部のシュリーハリコータにあるサティシュダワン宇宙センターから、同社初の超小型衛星CE-SAT-I の打上げに成功しました。

今週の人工衛星 CANON CE-SAT-I

カメラの技術を応用して、上空600キロメートルから6キロメートル×4キロメートルの範囲を分解能1メートルで撮影できる光学地球観測衛星です。レンズは3720mm超望遠。検出器にはEOS 5D mkⅢを使用しています。また、広域撮影用にPower Shot S110、焦点距離24mm~120mmも搭載しています。

サイズはレンズの開口部側が一辺50センチメートル、焦点距離方向に70センチメートルで重さは50キログラム、こんなに小さいのに三軸姿勢制御を搭載しています。一方で太陽電池パネルの翼は持っておらずサイコロのような衛星です。

打上げ2ヶ月後から撮影を開始し、運用期間は2年間です。価格は一基10億円以下で、同様の衛星を100基打ち上げることによって観測網を構築する計画です。


2017-07-06 : 人工衛星 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-659 ギャンブル依存症の神経メカニズム

ギャンブル依存症を治療するための神経科学的な研究が進んでいます。依存症は意志が弱いからだ、などといった性格の問題として解決することはできません。

人は状況によってリスクを取るか取らないかの判断をしばしば行っています。そこで、京都大学の研究者らはギャンブル依存症の人は状況に応じてリスクの取り方を切り替える能力に障害があるという仮説を立ててそれを検証する研究を行いました。

たとえば、ギャンブル依存症の人はサッカーの試合の前半のように比較的安全な戦略が必要な状況でも、試合終了間際で負けている場合と同じような過剰なリスクを取っていると考えました。

ギャンブル依存症の人とそうではない人に実験協力ボランティアとして参加してもらい、リスクのない簡単なギャンブルからハイリスク・ハイリターンを狙わなければ勝てないギャンブルまで、実験的に考え出された課題に取り組んでもらいました。

その結果多くの人は難易度が高いミッションほどハイリスク・ハイリターンを選択するというリスクの取り方の変化が生じます。ところが、ギャンブル依存症の人は全体的にハイリスク・ハイリターンのギャンブルを選択する傾向が強いことがわかりました。

特に、リスクを取らなくてもクリアできる可能性が高い条件で不必要にリスクを取っていることがわかりました。多くの人が柔軟にリスクの取り方を切り替えているのに対して、ギャンブル依存症を治療していない人はその切り替えが上手くできていないことを示しています。

これらの実験中の脳の活動をfMRIのデータを解析するとリスク選択の切り替えには前頭前野背外側部と前頭前野背内側部の結合が重要であり、ギャンブル依存症患者の場合は前頭前野背外側部の活動が低下していることがわかりました。

ギャンブル依存症の神経メカニズム

今後はこのデータを用いてニューロモデュレーションの開発を目指すとしています。ニューロモデュレーションとは電気刺激、磁気刺激などの物理的な方法で脳に直接、介入を加え、脳の機能を変容させ、精神神経疾患の治療に応用する方法のことです。


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2017-07-06 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

NASA、太陽探査機を開発

意外なことにこれまで地球から最も近い恒星である太陽へ探査機を直接送り出したことはありませんでした。太陽は強力な熱やエネルギーを放出しているために探査機がそれらに耐えられないからです。太陽自体の表面温度は5500度ですがコロナと呼ばれる一番外側の大気層の温度はさらに加熱されて約200万度にもなっています。ところが、この太陽にNASAが探査機を送り込む計画を進めています。  

このNASAの太陽探査ミッションは「パーカー・ソーラー・プローブ」プロジェクトと名付けられました。たとえば、太陽の最大の謎の一つである太陽の表面よりも外層大気の方が温度が高いという温度逆転現象などの解明に挑みます。


2017-07-05 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

センサーを使わない技術

IoTの進展であらゆるものにセンサーがつけられて情報を取得していますが、住友ゴム工業は自動車の路面の状態を調べるにあたって、センサーを使わずにタイヤの回転のわずかな回転速度のムラや振動、タイヤと路面の摩擦、ABSに伝わるブレーキのききやすさ等から解析するソフトウエアを開発しました。2020年頃までの実用化を目指すということです。  

この方法はセンサーなどの新たな電子部材を搭載する必要がなく、車両の重量増を伴わないメリットがあります。  

ソフトウエアが滑りやすい路面などを感知すると自動車内のモニター画面などに表示するなどして運転手に注意を促すことができます。また、それらのデータをネットにアップロードして滑りやすい道路がある場所を、カーナビゲーションの画面などに表示するような仕組みも作ることができます。また、自動運転自動車におけるブレーキのかけ方の制御などにも使えそうです。


2017-07-05 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

腎臓チップ

群馬大学の研究者らが腎臓を樹脂のチップの上で再現することに成功しました。腎臓は握りこぶしくらいの大きさで、形はソラマメに似ていて腰のあたりに左右一組あります。その主な機能は血液を濾過して老廃物を尿として排出することです。腎臓の機能が損なわれると体内から老廃物を排出することができなくなり、尿毒症になります。

腎臓チップは医薬品の研究をするために開発されました。医薬品が腎臓から血液中に出て行く様子を2.5センチ×3.5センチの樹脂チップ上で再現し、体内にどのくらい長く留まる性質があるかを調べることができます。もちろん、チップ上で尿に出て行かない薬の方が長時間作用が続きます。  

人体の臓器をチップ上に再現して医薬品の研究を効率化する取り組みは広く行われており、すでに胃、小腸、肝臓、血液脳関門などが同様の小さなチップで再現されています。将来的にはそれらのチップを配管で接続することにより、薬を飲んでから分解されて排出されるまでをチップ上で再現できるようになるものと思われます。


2017-07-05 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

カエルは暗いところでも色がわかる

人間は暗いところでは色が判別できません。人間の目には網膜に赤、緑、青色の光を感じとる3種類の細胞があって、それらの細胞の反応を合成することによって様々な色を認識します。これらの細胞は錐体(すいたい)細胞と呼ばれますが、色を識別できる一方で感度が低いので明るい場所でしか機能しません。

人の目にはこれとは別に桿体(かんたい)細胞という光に反応する細胞があります。桿体細胞は1種類しかなく、感度は高いものの色を識別できません。そのため、私達は暗がりでは明暗はわかるものの色を識別できません。

ですが、カエルは暗がりでも色覚を持つと言われていました。人間は一種類しか持っていない高感度の桿体細胞を、カエルは緑色を吸収する桿体細胞と青色を吸収する桿体細胞の2種類持っているからです。ですが、2種類の桿体細胞のうちのひとつには本来は明るい場所でしか役に立たない青色感受性の錐体視物質が含まれていることは矛盾しており、この桿体細胞が暗い場所での視覚を担っているメカニズムはナゾでした。

試行錯誤の過程で研究者らがカエルの青色感受性の錐体視物質のノイズを測定したところ、カエルの青色感受性の錐体視物質は、通常の桿体細胞物質と同様にノイズが著しく低いことがわかりました。つまり、カエルは本来は昼用の錐体視物質の感度を高めるのでは無く、ノイズを下げることによって相対的に感度を高め、暗い場所でも色が見えるようになっているようです。カエルの多くは夜行性ですので、このような暗がりでの色覚の獲得は生存にとって有利になったはずです。


2017-07-05 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

NTT系研究所、人と議論できるAI開発

NTTコミュニケーション科学基礎研究所は人間に対し、賛成や反対などの意見を表明して議論できるAIシステムを開発しました。ロボットからの意見の表明はロボットと会話で信頼関係を築くために必要なプロセスだと考えられ、ロボットを人間の相談相手として活用できる可能性が出てきます。  

これまで、ロボットの性能を高めることによってより人間との親和性、人間が求めるロボットのあるべき姿を追い求める研究が中心でしたが、もともと不完全である人間のような曖昧で適当なロボットを作ることによって、人間とロボットのよりよい共存を目指そうとするものです。

2017-07-05 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 Chapter-658 ロボットにとって「今言ったことがわかりません」ということは難しい

米国ロードアイランド州のブラウン大学の研究者らは、人間の指示が理解できないとき「わからない」ことを認識し、聞き直すロボットを研究しています。人間の指示が曖昧でロボットが混乱したような場面では人間に助けを求めることによって指示者の意図を理解することが必要です。人間同士が共同作業をするときには声を掛け合うことによって意思の統一を図りますが、それと同じことができるロボットの開発を目指します。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-658 ロボットにとって「今言ったことがわかりません」ということは難しい

人間の生活環境や仕事場にロボットを持ち込んだ時、ロボットが自分の期待と異なる行動を取った時に人間は苛立ちを感じ、それがロボット導入の障害になるケースもありました。ロボットに助けを求めさせることによって、ロボットの行動がより人間的になり、協調作業の効率を高めるのに役立ちます。

下の写真は記事とは関係ないですが日本の産総研が人間との共同作業を想定して2003年に開発したヒューマノイドHRP-2です。

ヴォイニッチの科学書 Chapter-658 ロボットにとって「今言ったことがわかりません」ということは難しい


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。

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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
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