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出来事の順序を記憶する仕組みの発見

理化学研究所と同志社大学の共同研究チームは、日常の出来事を記憶するとき、その出来事の内容と順序の情報が脳回路の中でどのように表現されているかを、ラットの脳の海馬での神経細胞の活動を観測することで明らかにしました。

私たちは日常の出来事を記憶するとき、それぞれの出来事の内容に加えて、その出来事の起きた順序も無意識のうちに覚えています。自らが経験した出来事に関する記憶は「エピソード記憶」と呼ばれ、脳の海馬 が関わっていることが知られていますが、どのような仕組みで経験した出来事の内容や順序を記憶しているかは、解明されていませんでした。

今回、同志社大学と理化学研究所の共同研究チームは神経細胞の活動を記録する電極を装着したラットにまず音を聞かせ、次に匂いをかがせる実験を行いました。 その結果、海馬の神経細胞の中に音や匂いなどそれぞれの情報に対して選択的に活動する細胞を発見し、これを「イベント細胞」と名付けました。  

また、海馬では、8Hzぐらいの周波数の強い脳波である「シータ波」 を出すことが知られています。シータ波は神経細胞の集団が同期して活動をすることによって発生します。イベント細胞の活動とシータ波がどのように同期しているかを調べたところ、シータ波の山から谷に向かうタイミングでは過去の情報、谷では現在の情報、谷から山に向かうタイミングでは将来の情報が表現されていることが分かりました。

出来事の順序を記憶する仕組みの発見

これは、海馬のイベント細胞はシータ波の位相によって、過去・現在・将来の出来事の順序を圧縮して表現しているといえます。海馬の個々の神経細胞は、その活動の強さによって出来事の内容を表現し、その活動のタイミングによって出来事の順序を表現していることが明らかになりました。


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2017-07-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

植物に酢酸を与えると乾燥に強くなる

地球温暖化などの環境変動による急激な乾燥や干ばつの発生は、トウモロコシやコムギをはじめとする作物生産量の低下や砂漠化の拡大など、世界規模で大きな問題となっています。これまでに、植物の乾燥耐性を強化するための方法として、遺伝子組み換え技術が用いられてきましたが、遺伝子組み換え作物に抵抗を感じる人も多く、開発に時間もお金もかかるので、もっと簡便かつ安価に利用できる植物への乾燥耐性強化技術の開発が求められています。

理化学研究所の研究グループは、植物の実験でよく用いられるシロイヌナズナを観察したところ、乾燥環境では細胞内で酢酸(食酢と同じもの)の合成量が増加していることを発見しました。そこで、シロイヌナズナに酢酸を与えてみると乾燥耐性が向上することがわかりました。

植物の中で何が起きているのかを調べたところ、植物が傷ついたときに放出される酢酸が植物ホルモンであるジャスモン酸を増やしていることがわかりました。さらに、イネ、トウモロコシ、コムギ、ナタネなどの有用作物についても、酢酸を与えることにより乾燥耐性が強化されることを確認しました。  

下の写真はシロイヌナズナに対して、さまざまな酸性の液体を与えて乾燥状態にさらしたところです。酢酸のみが強い乾燥耐性を示しました。
植物に酢酸を与えると乾燥に強くなる

今回の発見は酢酸が植物ホルモンを介して植物が乾燥に耐えられるように細胞の内部の代謝経路を変化させていること、そのメカニズムは多くの農作物に共通であることを示しています。この研究成果は、遺伝子組み換え植物に頼らず、植物に酢酸を与えるだけで、急激な乾燥や干ばつに対処できる簡便・安価な農業的手法として役立つことが期待されます。


2017-07-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
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