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体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

体内時計は、複数の遺伝子が活性を調節して睡眠覚醒のタイミング、ホルモン分泌のタイミングなどを1日周期で制御しています。

遺伝子活性リズムは化学反応です。化学反応の速度は温度が高いほど速くなり、10℃の上昇で反応速度は2~3倍になります。であれば、体温が低いときの変温動物は体内時計がゆっくり進み、病気で熱を出した人は体内時計が早く進むはずです。

ですが、体内時計のリズムは温度にかかわらず一定であることがわかっています。これは科学者にとってはとても不思議なことです。

理化学研究所によるコンピューター解析で温度にかかわらず体内時計の周期を一定に保つためには、温度上昇とともにリズムの化学反応の振れ幅を大きくする必要があることを見つけました。一般的な化学反応においては温度上昇とともに化学の周期は短くなって結果として化学反応が早くなります。温度が高くなったときに、振れ幅を大きくすれば、周期が短くなる傾向を相殺することができます。


体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

理化学研究所は振れ幅を大きくして化学反応の早さは維持しつつ、進行を抑えるという仮説に対し、「温度-振幅カップリング」と名付けました。

この仮説を検証するため、ラットの培養細胞を用いて、体内時計で重要とされている7つの遺伝子の活性リズムを異なる温度で計測しました。その結果、遺伝子活性リズムの周期は、温度が変わってもほぼ一定でした。それに対して、遺伝子活性リズムの振れ幅は、多くの遺伝子で温度上昇とともに大きくなっており、仮説が培養細胞では正しいことが確認されました。

下の図はラット培養細胞で遺伝子の活性化状態を調べたグラフです。Cry1、Per2は体内時計に関わっていることで有名な遺伝子です。青線は35度、赤線は38度ですが、温度が高くなると活性が高くなりつつも、グラフの山と谷の位置が一致していることから体内時計の周期には変化が起きていないことがわかります。

体温が低いときの変温動物の体内時計はゆっくり進み、病気で熱を出している人の体内時計は早く進むのか?

現在のところ、温度-振幅カップリングがラット培養細胞特有のものか、多くの生物種に普遍的な仕組みなのかはわかっていません。ほかの動物で同様の研究を行うことは体内時計の進化を明らかにすることにもつながり、今後の研究が期待されます。


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2017-07-19 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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