今年もノーベル賞コンテンツが公開されました

2017年のノーベル賞は
生理学医学賞=体内時計のメカニズムの発見

物理学賞=重力波望遠鏡の建設と重力波の観測
化学賞=タンパク質が見えるクライオ電子顕微鏡

でしたが、恒例の日本教育公務員弘済会ライフサポート倶楽部「子供たちに聞かせてあげたいノーベル賞」2017年版が公開されています。聴くだけでわかる音声コンテンツ、わかりやすく解説した読み物、スライド資料がセットになっていて、無料でどなたでもダウンロードできます。

ぜひ、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

http://www.nikkyoko.net/nobel.html

今年もノーベル賞コンテンツが公開されました
あなたの体内時計、元気に動いてますか?


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2017-10-27 : お知らせ : コメント : 0 :

茶色くならない遺伝子組み換えリンゴ

米国の合成生物学分野の複合企業が、2017年秋から遺伝子組み換えリンゴを販売する予定です。アークティックと呼ばれるこのゴールデンデリシャスの遺伝子を組み換えたリンゴは変色を抑制するように遺伝子操作がされており、まずは米国中西部と南カリフォルニアの店舗で袋入りカットリンゴとして販売されます。  

遺伝子的には果肉を茶色く変色させる原因となる酵素ポリフェノール・オキシダーゼ (PPO)の生成を減らすようにDNAが改変され、このリンゴのスライスは3週間にわたって茶色く変色せずに保たれるということです。  

最近は日本でも自動販売機で袋入りカットリンゴが売られていますが、あれはカルシウムとビタミンCを混ぜたもので保存加工されて変色を抑えた商品です。米国では生産された果物と野菜は、およそ45%が捨てられているという調査があり、変色しない果物は食品の廃棄を減らすことが期待されています。

茶色くならない遺伝子組み換えリンゴ
神保町の有名な焼きリンゴも将来はナマと同じ色に!?


2017-10-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

人食いバクテリア

2017年8月に米国テキサス州をハリケーン「ハービー」が襲い、ヒューストンの街は洪水により甚大な被害を受けましたが、この時にいわゆる人食いバクテリアの被害も発生していたことが明らかになりました。  

人食いバクテリアは人間の筋肉内に侵入した後に毒素を出して、筋肉を液状化させる微生物です。医学的には「壊死性筋膜炎」と呼ばれます。米国疾病予防管理センターによると、米国では年間およそ1000件の症例が報告されているようです。  

人食いバクテリアと呼ばれる細菌は数種類います。最も一般的なのはA群連鎖球菌で、もともとは私たちの身の回りに普通に存在する菌で、人間の喉にもよく生息していますが、普段は何の害も及ぼしません。たまに、のどの奥を腫れさせる程度です。

人食いバクテリア
A群連鎖球菌

DNAの解析結果によると、普通の雑菌が人食いバクテリアに変化したのは過去数十年の間に起きた遺伝子変異が原因らしく、この間になんらかのウイルスが菌に2度感染し、菌が病原性を持ったようです。それはあっという間の変化でした。 人間への侵入は切り傷のような深い傷はもちろん、トゲによる小さな傷口、虫刺されの跡も侵入経路になります。ですが、まったく傷のない皮膚でも通過できる可能性もあります。ひとたび侵入すると菌は1時間に2.5センチの速度で拡大し、短時間で敗血症や多臓器不全を引き起こし、3人に1人は死に至ります。  

主な症状は体の奥深くで組織が破壊されることに伴う激痛で、痛む時には既に大変なダメージを受けていることが多いことがわかっています。治療方法は初期であれば、抗生物質の投与や、手術による感染部位の除去と細菌の酸素接触が行われます。人間の免疫や発症しやすい患者の遺伝子タイプについては研究中でわかっていません。専用のワクチンはありませんが、A群連鎖球菌ワクチンは複数種類が他の疾患用に開発されていますので、それらが効果を発揮することが期待されています。


2017-10-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第676回 海底下2キロメートルの細菌

10月21日配信のヴォイニッチの科学書(有料版)第676回は最近回となってます。
地底には細菌アンダーグランドとも呼べる未知の世界が広がっていることがわかっています。

海底下2キロメートルの細菌
拙著「マンガでわかる菌のふしぎ」(SBクリエイティブ サイエンス・アイ新書)100ページ

今年で就航10周年を迎えた 地球深部探査船「ちきゅう」などを用いた国際的な科学掘削調査により、海底下に生息する微生物の多くが特異な進化を遂げた未知の微生物であることが明らかになりました。

2012年「ちきゅう」による青森県八戸市の沖合80 kmの地点の掘削で、当時の世界最高到達深度、海底下2,466 mまでの土砂の採取に成功し、このような地中深くでも微生物が集団で生きていることが確認されました。地球内部の地下環境は、空陸、海洋とは特性が大きく異なる「第三の生命圏」だと言われており、ここに住む微生物は天然ガスの生成等、地球規模の物質循環に重要な役割を果たしています。

このような深い場所で生きる微生物の生態を調べるために、八戸沖から採取された土砂に、天然ガス成分のメタン(メタノール)などを添加し、現場環境に近い温度、37°Cや45°Cで暗所に30ヶ月静置しました。

あらかじめ、特殊な重い炭素原子と水素原子(安定同位体)を入れておいたところ、それら安定同位体が微生物の作り出すメタノールや二酸化炭素に組み込まれていることがわかりました。このことは地下深くの微生物も外部から栄養を取り込み、排泄をする新陳代謝をしていることを示しています。さらに詳細に分析したところ、これらの微生物は数十年から数百年に1度程度の割合で細胞分裂していることがわかりました。大腸菌は数時間で分裂しますのでそれに比べると非常にゆっくりと生きていることになります。

これらの微生物からDNAを抽出し調べた結果、これらの多くは約2000万年前には陸上や陸地に近い浅い海の海底で暮らしている地下微生物だったことがわかりました。それらが長い年月で地底のマグマによる高温環境を好んだり、過酷な環境を生き抜くために胞子を作ったりする性質を獲得したか、あるいは選別されて生き残ったようです。

海底下2キロメートルの細菌




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2017-10-25 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

記憶素子に忘れる機能

東京工業大学の研究者らは一定期間たつと忘れるコンピューターメモリの基礎技術を開発しました。蓄電池のように充放電することによって情報を記録し、感電に放電してしまうと覚えていたことを忘れます。 忘れるまでの時間は約2週間で、この間に情報が使用されると充電された状態になり、記憶しておく期間が延長されます。不要な情報を忘れることで、より人間らしい判断をするAIが実現できるかもしれません。


2017-10-25 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

地球最古の生命

地球上に生命が存在した証拠をどこまで古い年代に遡ることができるかという試みは、生命の起源を明らかにすることであり、科学者のみならず多くの人の興味をひく問題です。

東京大学の研究者らは、39億5千万年前の堆積岩中に有機物の残骸微粒子を発見しました。グラファイトと呼ばれるこの微粒子は当時の海底に降り積もった生物由来物質だと考えられます。

質量分析計で放射性同位体を測定したところ、発見されたグラファイトは鉱物のような無生物的なものではなく、TCAサイクルやカルビンサイクルといった細胞内生命反応を経て形成されたことが明らかになりました。 今回の発見により、世界最古の生命の痕跡は従来の記録より1億5千万年以上遡ることになります。


2017-10-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

漆黒の惑星

漆黒の惑星

カナダ、マギル大学の天文学者らが、ハッブル宇宙望遠鏡を使ってぎょしゃ座の方向約1400光年の距離にある系外惑星「WASP-12 b」を観測しました。この惑星は木星の1.7倍の巨大惑星ですが、太陽に似ている主星からの距離が太陽~地球の約45分の1しかないため、昼側の気温は2500度、夜側でも1400度もあるホットジュピター(熱い木星)と呼ばれる種類の惑星です。  

観測結果によると、この惑星は光をほとんど反射しない漆黒の惑星であるらしく、惑星へ降り注ぐ光は惑星大気の奥深くまで届き、水素原子に吸収されて熱エネルギーに変換されていると思われます。


2017-10-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

身体感覚を伝送する双腕型ロボット

慶應義塾大学などの研究者らは、高度なセンサー技術で、ロボットが触れた感覚を人間に伝送し、あたかもその人が直接触ったかのように感じさせる双腕型ロボット技術を開発しました。用いられた技術は主に次の三つです。
・ロボットが物体に触れた感覚を操縦者に伝送する高精度力触覚技術
・視覚、聴覚情報を伝送するための、ヘッドマウントディスプレイとステレオカメラからなるビジョンシステム
・ロボットの移動を、操縦者の足の筋肉の収縮から判断するシステム

身体感覚を伝送する双腕型ロボット

本ロボットは、操縦用のシステムであるマスターと作業用のシステムであるスレーブで構成されます。 操縦者がマスターを装着し、ロボットを動かすとその動きをスレーブが再現します。また、スレーブが何かに接触した場合にはその触れた感覚を、マスターを通じて操縦者に伝え、あたかも直接触れているかのような感覚を操縦者に提示します。さらに、ビジョンシステムにより、操縦者の頭の動きに連動して視界が変化します。これによって、操縦者は、あたかもその場にいるかのような視覚情報を得ることができます。スレーブには移動機構も備わっており、マスターに備わっている筋収縮測定システムに連動して移動を行うことが可能です。

さらに、これまで困難であった人間の力加減の情報を測定し、それに合わせてロボットを制御し、人間の動作を再現することができます。 このシステムを搭載したロボットにより、放射線環境や深海中といった人間が直接立ち入ることのできない環境での作業、多品種少量生産や軟弱なものを取り扱う生産ラインの自動化、バーチャル観光などが可能になることが期待されます。


2017-10-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ワイル磁性体

東京大学物性研究所の研究グループは世界で初めてワイル粒子を磁性体の内部で発見しました。ワイル粒子とは、1921 年にドイツの数学者ヘルマン・ワイルが提唱したワイル方程式で説明される粒子のことです。物質内でワイル粒子は磁石の「N 極」と「S 極」に相当するワイルポイントを対で形成します。

今回、磁性体の中で発見されたワイル粒子は今までにない全く新しい量子機能を持っていますので、磁気メモリや熱電技術開発に関する革新的な進展が期待されます。

ワイル粒子が世界で始めて発見されたのは2015年のことで、この時はヒ素化タンタルという半金属状態の物質中での発見でしたので、この粒子はワイル半金属と呼ばれます。100年前の数式で説明されるだけの存在だったワイル粒子が現界した歴史的な大発見以降、ワイル粒子を有した物質探索や その特性を利用したデバイス開発が世界中で行われています。


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2017-10-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

蒸発駆動エンジン

コロンビア大学の研究チームが、水の自然蒸発作用を利用して発電する技術の研究をしています。理論上は有効性の高い再生可能エネルギーだと考えられています。

蒸発駆動エンジンは、フィルムに固定したバチルス・サブティリス(枯草菌)などの細菌の芽胞が空気中の湿気を吸収したり放出したりする際に、膨張したり収縮したりする動きを利用して電力を生成します。  

細菌の大きさの変化を電気に変換する部分については、細菌の大きさの変化に伴って開閉するシャッターを開発し、湿気を含んだ空気を出し入れすることで、シャッターの開閉が連続して起きる振動を発電機に伝えることなどが考えられています。  理論上は8センチ四方の水面は平均で2マイクロワットの電力を生産できると考えられています。再生可能エネルギーの最大の問題は太陽光発電は夜には発電できず、風力発電は風のない日には発電できないように、環境によって発電量が大きく変化することです。一方で、暖かく乾燥した地域であれば、水の蒸発は常に起きますので電力を生産し続けます。

下の写真は発電をしてくれるかもしれないバチルス・サチルスです。
蒸発駆動エンジン


2017-10-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

あくびが伝染する理由

英ノッティンガム大学の研究者らが、近くにいる人があくびをすると自分もあくびをしてしまうメカニズムの研究をしています。まだ研究は途中段階ですが、今のところ、あくびの伝染を引き起こしているのは、脳の「一次運動野」と呼ばれる運動機能を司る領域である可能性が示されています。  

今回の研究では、実験ボランティアに「あくびをしたくなっても我慢する」または「あくびをしたければしてもよい」のどちらの対応をするかをあらかじめ指示した上で、あくびのビデオを見てもらいながら、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて参加者の脳の運動野における興奮性を測定しました。


2017-10-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第674回 2017年ノーベル賞 自然科学三賞概要

10月7日配信の第674回ではノーベル賞自然科学三賞の概要をお話しました。ノーベル賞については今年も詳細と子供たち向け解説を日教弘ライフサポート倶楽部から配信準備中です。こちらもご期待下さいね。

▼生理学・医学賞 体内時計のメカニズムの解明

 2017年ノーベル生理学・医学賞は地球上のあらゆる生物が地球の自転周期と一致した24時間周期の生命現象を営む、サーカディアンリズムを制御する分子メカニズムの発見でした。
 生物は体内に時計機能を持っていることは古くから知られていました。それによって開花、行動、ホルモンレベル、睡眠、体温、代謝などの生理現象はほぼ24時間の周期で繰り返されています。ですが、体内時計がどのような仕組みで働いているのかは長年のナゾでした。
 今回ノーベル賞を受賞したジェフリーC.ホール、マイケル・ロスバシュ、マイケル・W・ヤングらはショウジョウバエを使った遺伝子レベルの実験によってその仕組みを明らかにしました。 ショウジョウバエの様々な遺伝子について、1日周期で活動が変化する遺伝子を探したところ、ある遺伝子が昼間に活性化し、夜間に沈静化する24時間周期の振動をしていることを発見しました。この遺伝子が突然変異を起こすと、そのショウジョウバエは1日のリズムが壊れることから、この遺伝子は体内時計に大きく関わっていることがわかりました。
 さらに遺伝子を詳細に調べたところ、受賞者らがピリオド遺伝子、タイムレス遺伝子と名付けた2種類の遺伝子がそれぞれPERタンパク質とTIMタンパク質と名付けられたタンパク質を作りだし、この2種類のタンパク質が結合したり離れたりすることによって細胞に24時間の周期性が表れることを確認しました。両者が結合することによって、自分たち自身の設計図であるピリオド遺伝子とタイムレス遺伝子の活動をフィードバック制御していたのです。
 また両タンパク質の結合は朝になってショウジョウバエが光を浴びると分離することもわかりました。このような朝の光によってリセットされるタンパク質の結合と分離のメカニズムが体内時計として私達の生活に1日周期を作り出していたのです。光の全く当たらない部屋で長い時間生活すると次第に体内時計がずれることがわかっていますし、海外旅行などで時差ぼけがおきるのは体内時計の周期と外界の昼夜の不一致が起きることが原因です。



▼物理学賞  重力波の確認

 重力波とは100年前にアインシュタインによって存在が予言されていた宇宙空間に発生するさざ波です。海にさざ波があるのと同様に宇宙空間にもさざ波があるとアインシュタインは予言していたのです。  
 重さのある物体はすべて周辺の空間をゆがませます。ゆがみ方はそこにある物体が重いほど大きくなりますが、非常にわずかなゆがみなので太陽ほど重くなければ人類の観測技術では検出が不可能です。
 空間をゆがませている物体が移動すると周辺の空間のゆがみも一緒に移動するために、ゆがみの波が発生します。これが重力波です。波はさらに観測が難しいので、巨大ブラックホールの衝突のようなとてつもなく重い物が、急加速しながら宇宙空間を移動するすさまじい天文現象が起きなければ観測することは出来ません。  
 人類が初めて重力波の観測に成功したのは2015年(報告は2016年)のことでした。この時には2個のブラックホールが衝突するという、すさまじい天文現象によって放出された重力波を地上に設置された重力波望遠鏡LIGOがキャッチしました。LIGOは長さ4キロメートルの観測装置2基を組み合わせて空間のゆがみを測定する望遠鏡です。  
 重力波は光と同じように天体観測に使用することが出来ます。LIGOが重力波の観測に成功したことによって、人類は新しい宇宙観測手段を手に入れたと言えます。  LIGOは、20カ国以上の1000人以上の研究者との共同プロジェクトで、今回受賞した研究者らはほぼ50年、研究者人生のすべてを重力波検出にかけてきました。



▼化学賞 クールな電子顕微鏡の発明

 2017年のノーベル化学賞はみずみずしい生体分子を観察できるクライオ電子顕微鏡技術の開発でした。 百聞は一見にしかずというフレーズがあるとおり、写真のインパクトは強烈です。かつて、美味しい料理を「シャッキリポンと、舌の上で踊るわ!」なんて複雑なセリフで語っていたところも、最近のインスタ映えに一蹴されてしまいました。
 科学の領域でも、今まで見ることが出来なかったものが画像化された時に知識が大きく前進することはよくあることです。これまで材料工学のような非生物の領域では電子顕微鏡観察技術は著しい進歩を遂げていました。 ところが、たとえば医薬品がタンパク質に結合する場面などの生化学領域においては、人類の映像化技術は分子レベルにまで到達していませんでした。
 電子顕微鏡は観察したいものを真空中において拡大観察するのですが、細胞のほとんどは水のため、電子顕微鏡の真空状態では水が蒸発してしまって干からびてしまうので、その状態で見える物は細胞が生きている時とは違う物になってしまっている可能性が高いのです。
 1990年に電子顕微鏡を用いて原子レベルの解像度でタンパク質の3次元画像を生成することに成功し、これがブレイクスルーとなり、水を急速冷却してガラス化することによって、生体分子が崩壊することを防ぎ、生体分子が真空中でも自然な形を保つようになりました。  
 今ではタンパク質はもちろん、ウイルスの表面の様子までが増加することが出来ます。


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2017-10-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

DNAから顔を推定できるか?

かつて、セレラジェノミクス社でヒトゲノム解析を行ったクレイグ・ベンター博士の新論文です。

合成生物学者であり実業家でもあるJ・クレイグ・ベンター博士がDNAから顔を推定できるという論文を発表して話題になっています。この論文にはDNAから3人の顔を推定した例が掲載していますが、似ているかどうかは賛否両論あるようです。下の写真はそれぞれ左側が本人の顔写真、右側がDNAから推測した顔のCGIです。

20170930-06.jpg

研究チームはゲノムデータを使用して顔の形状、目や髪の色、そして声の印象までも予測し、個人を特定できる顔を復元できたと語っています。一方で今回の結果はゲノムのバリエーションに大きな影響を与える人種差を表現しているに過ぎないという他の科学者からの意見も寄せられています。そのため「この顔は誰さんの顔です」と言われれば似ている気もするけれど、顔を見せられて「これは誰でしょう」と問われるとその個人を特定できる再現レベルには到達していないという意見もあります。  

生命科学者からは冷ややかな目で見られているこの論文も、ビッグデータ、機械学習の研究者は非常に大きな関心を寄せているようです。私達の見た目がDNA情報に大きく依存していることは間違いないのですが、現在の科学ではDNAのどこがどうなっていれば、顔がどう変わるかはわかっていません。生命科学者は多くの場合、ゲノムの変化と顔の変化の相関を解析してDNAの意味を探るアプローチをすると思いますが、そこをビッグデータと機械学習でやってしまえるのではないか、と思っている研究者がいるのです。


2017-10-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

東北大学がD-waveの利用を開始

東北大学は、世界初の商用量子コンピューターを実現したカナダのD-Wave Systems 社と提携して、量子コンピューターをクラウドで利用した研究開発を開始すると発表しました。量子コンピューターの潜在的可能性を追求する基礎研究と実社会問題への適用をする応研究の両者を推進します。

東北大学がD-waveの利用を開始

現在、世界各国で量子コンピューターの研究資金が増加しており、欧州連合の研究プロジェクト「量子情報フラッグシップ」では予算は1200億円、中国では2015年に中国科学院量子計算実験室が設置され、その投資額は数千億円にもなると推測されています。

量子コンピューターは未来の話と多くの人が思っていたところに、2011年突然カナダのD-wave systems社が商用機「D-wave」を発売しました。D-waveは量子コンピューターの中でも量子アニーリング型と呼ばれるもので、たとえば、複数の拠点を通過する最短経路を探す「巡回セールスマン問題」などが得意だとされています。


2017-10-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

運動嫌いも遺伝子が決める

会社帰りにスポーツジムに通ったり、水泳に行って2000メートル普通に泳いで帰ったりする人がいますが、そういうのが苦手な人もいます。オランダのVUメディカルセンターの研究者らは運動嫌いは遺伝子が決めているらしいことを発見しました。 12歳から25歳の「一卵性双生児」「二卵性双生児」「双生児ではない兄弟姉妹」を対象として、自転車こぎマシンとランニングマシンの課題に取り組んでもらい、同時に情緒的反応を調べました。情緒的反応が、一卵性双生児で特に似通っていれば遺伝的素因による影響が大きいと考えることが出来ます。

その結果、運動に対する情緒的反応の個人差の12~37%は遺伝的素因によって説明できることが分かりました。


2017-10-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

内臓脂肪型肥満が、免疫老化を加速

運動不足や食べ過ぎで内臓のまわりに脂肪がつくと内臓脂肪型肥満となります。お腹だけがぽこっと出ている内臓脂肪型肥満の人は糖尿病や高血圧が原因で、心筋梗塞、脳卒中、心不全などによる死亡の危険性が数倍高まり、平均余命も短くなることがわかっています。これは内蔵の老化が起きていると考えられています。

内臓脂肪型肥満が、免疫老化を加速

内臓の老化の原因は蓄積した内臓脂肪細胞の中で免疫系が過剰な炎症反応を引き起こし、その影響が全身に及ぶためであることがわかってきました。このような老化を、見た目の老化に対して免疫老化といいます。

慶應義塾大学の研究グループは若いマウスに脂肪分を多く含むエサを数ヶ月与え続け、免疫老化状態を作り出したところ、CD153陽性「PD-1」陽性Tリンパ球という普段は見られない種類の免疫細胞が現れていることを発見しました。PD-1とは免疫が過剰に反応しないようにするブレーキとして働く受容体です。免疫老化になって異常な細胞が誕生するとPD-1によるブレーキが効かず、全身に過剰な炎症を引き起こしてしまいます。このことから、PD-1のブレーキが正常に効く状態に回復させることにより、内臓脂肪型肥満に関係する生活習慣病の発症予防をめざす治療法の開発の可能性があります。


2017-10-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発

特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発
印刷で作った橋

株式会社大林組は、特殊なセメント系材料を用いて、型枠を使わずに建築物や土木構造物の部材をさまざまな形状で自動製造できる3Dプリンターを開発しました。今回開発した3Dプリンターは、7軸制御のロボットアームからインクを吐出し積層造形することで、建築物や土木構造物の部材を自動で製造します。  

一般的に建築物や土木構造物にはコンクリートをはじめ多くのセメント系材料を用いますが、これらは十分な強度に達するまでに一定の時間を要することから、所定の形状と寸法を保つための型枠が必要となるなど、3Dプリンターの利用には多くの課題がありました。

特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発

大林組の開発した建設用3Dプリンターのセメント材料は同じく国内メーカーのデンカ株式会社が開発した特殊なセメント系材料で、建築物や土木構造物に必要な強度と耐久性を持つとともに、印刷直後でも形状が崩れることなく維持される性質があることから、型枠を使わずに部材を製造することができます。  

これによって、曲面や内部が空洞の構造などさまざまな形状の部材を自動で製造することが可能となります。大林組では、実際にこの3Dプリンターを使って中空の曲面形状のモルタルブロックを複製製造する実験を行い、これらを組み合わせたアーチ状の橋を製作することに成功しました。

日本は印刷建設においては海外に大きく出遅れており、すでに世界各国で多くの住居や橋が印刷されています。ですが、それらのほとんどはセメント材料の印刷の可能性を示す試作品位置づけがほとんどでした。ところが、ついに、オランダで人や自転車が普通に通行できる橋が印刷で完成しました。

特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発 特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発

アイントホーフェン工科大学が建設したこの橋は全長8メートル、強化コンクリートを800層印刷して3ヶ月かけて工場で作製し、現場に運んでクレーンで架橋したものです。2トンまでの重量に耐えます。この橋の印刷に使用されたのは工場用天井クレーンを改造してセメント用ヘッドを装着したプリンターです。今後はさらに長い橋や住居の印刷の研究が進められます。

特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発 特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発


2017-10-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第673回 iPS細胞 最近の話題

これまで輸血に頼っていた血小板 をiPS細胞から大量生産する技術を日本の大学発ベンチャーや製薬メーカーなど16社による研究チームが確立しました。外科手術時や交通事故の被害者など止血が必要な患者に使うことを想定し、2018年に臨床試験を開始する予定です。

下の電子顕微鏡写真は左から赤血球、血小板、白血球
ヴォイニッチの科学書 第673回 iPS細胞 最近の話題


血小板は現在は全て献血でまかなっていますが、人口減などにより将来的に不足することが予測されています。さらに、iPS細胞から量産した方が献血で得た血液から取り出すよりもコストが低く、感染症の危険もありません。保存期間も献血血小板が4日しか保存できないのに対して、iPS細胞から作った血小板は無菌なので2週間くらいは保存できるようです。  

もとよりiPS細胞の用途として最も有用と考えられていた、患者数は少ないものの、重篤な難病治療薬の発見も成果が出始めています。

京都大学iPS細胞研究所が筋肉の中に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬候補を7000種類の物質の中からiPS細胞を使って選び出し、臨床試験に入ることを決定しました。

この病気は200万人に一人の割合で発症し、日本国内には80人しか患者がおらず、治療薬は存在していません。患者数の少ない病気は研究方法の開発が難しく、コストもかかるためこれまで大手製薬メーカーでは積極的に取り組まれていませんでした。iPS細胞を使えば試験管内で病気を再現できるため、研究効率が著しく向上することが期待されていましたが、期待通りの成果が出始めました。  

iPS細胞を使う再生医療においては、iPS細胞から作り出した臓器細胞を患者に移植しますので、輸血同様に拒絶反応が起きる可能性があります。そのため、多くの人にiPS細胞を使った再生医療を提供するため、輸血における血液型と同じように多くの細胞のバリエーションを揃えることが必要です。京都大学を中心に細胞のストックが進められていますが、このたび日本人の30パーセントカバーにめどが立ったと言うことです。  

心筋梗塞の治療に使うような筋肉細胞はすでに実用化されていますが、沈黙の臓器、体内の化学工場と呼ばれる非常に複雑な肝臓をiPS細胞で再現することに東京大学の研究者らが成功しました。ヒトのiPS細胞から3種類の肝臓細胞を作り、さらに血管の細胞などを加える工夫をして人体の肝臓と同様の代謝機能を持つ肝臓を培養皿の上で作り出したということです。


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2017-10-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
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