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セントロメアが進化のカギ

染色体は「X」字型をしたゲノムのかたまりです。染色体の4本の腕が交わった場所をセントロメアといいます。

セントロメアが進化のカギ

セントロメアは染色体の中心に位置することが多く、ヒトゲノムの場合は171塩基前後の配列が数千回から数万回繰り返している特徴的な構造をしています。セントロメア部分の遺伝的子としての機能はよくわかっていませんが、セントロメア以外の染色体の腕の部分と比べると、セントロメアの進化速度は非常に速く、5000万年以上前に分岐した生物でセントロメア配列を比較すると、25%しか一致しないほど変化が早い部位であることがわかっています。  

東京大学の研究グループは、セントロメアのDNA配列がどのように進化してきたかを解明するために、進化の系統が枝分かれした時期の異なる3種類のメダカのセントロメアDNAの一部を解読しました。3種類のうち2種類は日本産で、南日本由来および北日本由来のメダカ。これらは日本列島の分水嶺が生まれた約1800万年前に枝分かれしたと考えられています。もう1種類は約2500万年前に枝分かれした韓国産のメダカです。

セントロメアが進化のカギ

セントロメア遺伝子を構成するATGCの塩基レベルで見ると、セントロメアの塩基変異速度は他の領域より速く、種分化に関わるといる可能性があります。さらに、セントロメアが染色体の中心にある場合、つまり染色体の「X」字型の4本の腕が同じ長さである場合と、中心からずれている場合を比較すると、セントロメアが中心に近いほど変化しやすいことが明らかになり、セントロメアの位置が種の枝分かれに関わる可能性が示唆されました。

ヒトゲノムの約1~2%はセントロメア配列が占めていると考えられていますが未解明です。今回のメダカゲノムの研究は、その解明への手がかりになると期待されています。


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2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

体内に設置できる活性酸素クリーナー

国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究グループは3種類のタンパク質を組み合わせた、活性酸素を除去できる高機能なタンパク質マイクロマシンを開発しました。

体内で過剰に発生した活性酸素は細胞を傷つけたり、炎症を引き起こしたりしてさまざまな病気の原因になります。今回開発したタンパク質マイクロマシンは、直径0.1ミリメートルの平べったい円盤状で、
・活性酸素を除去する酵素「スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)」
・薬剤を結合する「血清アルブミン」
・細胞を捕まえる「抗体タンパク質」
が組み合わされています。抗体が活性酸素を分泌する細胞を捕捉し、SODが過剰な活性酸素を除去し、アルブミンに結合した抗炎症薬が放出されて細胞の活性酸素生成を抑制します。

体内に設置できる活性酸素クリーナー

現在は試験管内で活性酸素を放出する細胞に対して効果が確認された段階ですが、今後は動物体内での研究が続けられますが、形といい、機能といい、まるでZガンダムに搭乗するアナハイム・エレクトロニクス社(AE社)が所有する研究開発施設兼自走ドック艦ラビアンローズのようです。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)

国立研究開発法人情報通信研究機構を中心とした国内共同研究チームが、ゲリラ豪雨や竜巻の前兆現象を観測できる新型の気象レーダーを開発しました。

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)
雨を立体的に表示した様子

ゲリラ豪雨の積乱雲の発達は10分程度、竜巻は数分で発生するため、これまでの観測では発生しそうだとわかった時には避難が手遅れになることもありました。それらの兆候をより迅速に察知するために、今回開発されたマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダーは30秒で雨雲の3次元立体構造を観測すると同時に、雨量を正確に観測できる新システムです。  

この技術を用いて、通常のゲリラ豪雨の早期予測・浸水予測、強風予測の情報提供の他、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの効率的な競技運営、つまり、屋外競技の開始・中断・継続等の判断に活用したり、豪雨到来前に屋根がある場所に観客を誘導したりすることが可能になります。突然の竜巻で運動会のテントが飛ばされて大けがなど、急激な天候の変化が原因となるいろいろな事故が起きていますので、ポータブルタイプが開発されたり、スマホに内蔵されたりする時代が来るとさらに便利になりそうです。

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

心の中の独り言の科学

(日経サイエンス 2018年1月号より)


私たちはよく、心の中で自分に対して語りかけることがあります。たとえば、飛行機に乗り遅れそうな時、心の中で「遅れる、やばいやばい、あと何分!?」などと言っていることがあるはずです。それを口に出して叫びながらエスカレーターを駆け上る人はアニメの中だけの話だとは思いますが、羽田空港でエスカレーターダッシュをしている人の多くは心の中でそう叫んでいると思います。  

また、私はしばしば入浴中に次の原稿で使えそうなナイスなフレーズや、次のイベントのテーマがまるで天から降ってくるようにわいてきます。これは多くの作家で見られる傾向で、このようないろいろな考えやイメージ、感覚が頭をよぎった時には多くの人が、頭の中でアイディアが言葉として表現されるのを感じるといいます。 このような声に出さず、頭の中で自分に語りかける現象を心理学者は「内言(ないげん)」といいます。内言とは内語ともいい、発声を伴わずに自分自身の心のなかで用いる言葉のことです。通常の会話は内言に対して外言と呼ばれます。外言は他人との意志伝達のため、内言は思考の用具として自己の行動を抑制、統御、調整するためであるとされています。  

一方で、声に出して自分に語りかけることを「私的発話」といいます。何かおもしろいものをみつけたとき、「ツイートしなきゃ!」と自分に指示するような場合です。私的発話も内言と同様に、自分の行動の計画と監視、感情の調節、独創的発想の促進などの目的があると考えられています。  

1930年代ロシアの心理学者、ヴィゴツキーは私的発話について、言葉というものは本来、他者の行動に影響を与えるために用いるものであるが、私的発話では他者ではなく自分の行動に自分で影響を与えるために用いている、と表現しました。つまり、私的発話は自分との対話である、と考えたのです。  

英国ダラム大学の研究者らがこの点についてfMRIを使った研究を行っています。それによると、内言にも私的発話にも両方共に脳の中の言語系が活動していることがわかりました。つまり、言葉を発する私的発話はもちろんのこと、言葉を発しない内言においても脳の中では普通に言語として処理されている、ということです。 会話と内言・私的発話は人間の独創性の起源に大きく関与していると考えられています。

つまり、自分自身と対話することによって架空の誰かとの議論を内在的に具現化することができます。自分の中で議論することによって脳の引き出しの中に埋もれている情報をひっぱりだしたり、それらの情報同士を結びつけたりすることが、あたかも他の人と議論して新たな結論を導き出すことと同様に可能になるようなのです。 さらにこの研究は思考とは何なのか、という興味深い問題へアプローチするための方向付けであるともいえます。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

人類の火星移住が真剣に語られるようになってきました。米国のSpace-X社は具体的なプランを公表していますし、中国宇宙開発局も有人探査を踏まえて火星からのサンプルリターン計画を検討しています。

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

人類が火星で暮らすにあたって最も重要な問題の一つが食糧の確保です。持続的な人類の活動を目指すのであれば、火星で本格的な農業を行うことが必要かもしれません。農業を行うためには土の中に豊富な養分や細菌、真菌が含まれる必要がありますが、火星の土には今のところ生物は見つかっておらず、今のままでは農業は不可能です。

地球においてミミズは土壌を作り変えるために有効な生物ですが、オランダのワーヘニンゲン大学の研究者らはミミズを火星の土で育てることに成功した、と発表しました。ミミズは収穫後に土壌中に残った植物の茎や葉などを食べて分解し、さらにミミズの排泄物を微生物が分解して、それらが次に作物を育てるための栄養になります。また、ミミズが土の中を移動することによって、土の粒子と粒子の間にスキマを作り、水分が根によく行き渡るようにします。

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

NASAは火星探査機から得られた情報を元に火星の土に似せて配合した模擬土を作製し、ワーヘニンゲン大学がその中でミミズを生活させる実験を行いました。その結果、ミミズは無事に成育し、子ミミズが誕生できることを確認しました。  

ですが今後も引続き、ミミズの廃せつ物を分解する微生物集団を火星で形成させることができるかどうか、火星の土に含まれる有害物である過塩素酸塩類をどのようにして除去するか、などに関する研究が必要です。それにしても地球の気候変動や核兵器による汚染は致命的、地球生物は地球に残る側と火星に移住する側に別れ、一方は火星で最初からやり直し・・・ってことになるのでしょうか・・・ ガンダム鉄血のオルフェンズみたいです・・・


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

太陽は安定している

太陽の活動は約11年の周期で活発な時期と静かな時期を繰り返しています。半世紀以上にわたる太陽観測のデータから、太陽の活動度は極大期では周期ごとに大きく変わるのに対し、極小期では過去5回ほぼ同じだったことを日本の国立天文台が発表しました。

今回使用されたデータは 太陽から放射される電波のうち、特にマイクロ波とよばれるデータで、太陽の活動と強度が相関することがわかっています。 極小期のマイクロ波スペクトルが50年以上にわたって変化がないということは、太陽周期が異なっても極小期の活動は全く変わらないことを示しています。つまり、太陽が極大期にどれほど荒れ狂っても、極小期が来れば前の太陽周期の静かな時期と同じ状態にレベルが初期化され、太陽は非常に安定しているということです。

太陽は安定している
上のグラフは太陽の活動の上下をいろいろなエネルギー領域で調べたものです。グラフが下に下がるたびに、同じ位置まで下がって活動レベルがリセットされていることがわかります。

太陽は安定している

とはいっても、こんなにあらぶっている太陽の写真を見ると、太陽がちょっと心変わりして、すこし活発に活動しただけで地球はイチコロだってことがわかります・・・。


2017-12-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

医療用深層学習アルゴリズムの研究は重要

患者の病状の診断は様々なデータの解析によって行われますので、AIの得意領域ともいえます。AIによる画像解析で医師では見つけにくい疾患の発見例も続いており、すでにAIは医師の支援になくてはならない存在ですが、今回は危険な肺疾患の診断に成功しました。

スタンフォード大学研究チームが開発した診断システム「CheXNet」の成果を発表しました。このシステムでは10万枚以上の胸部X線画像のデータをもとに患者を診断します。同じデータを使った診断を4人の放射線科医とCheXNetが行ったところ、CheXNetは肺炎の発見において放射線科医より優れていました。 2017年10月に日本の厚労省が発表したデータでは日本人における死因別死亡数で肺炎は第3位、9.4パーセントと悪性新生物(がん)、心疾患についで死者数の多い疾患です。

現在のシステムは医師の診断結果を学習して画像処理で診断を行っていますが、深層学習アルゴリズムの開発も進んでおり、今後は医師による診断情報の無いデータを使って、医師に代わって診断を行うことも可能になりそうです。

診断をAIに任せれば、お医者様は治療や回診に時間をその分割り振ることができるので素晴らしいことだと思います。骨折した足の定期検診に先日行ったのですが、2時間待ち時間があって、先生はレントゲン写真を見て「まだくっついてませんね」の一言でした。レントゲンを自動で撮影して、レントゲンビッグデータと個別の患者のレントゲン写真の経時変化についての画像の相関で治療度合いを出すのとか、すごくAIは得意そうですよね。


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恐竜が絶滅したのは13%の不運だった

東北大学と気象庁気象研究所は、約6600万年前に起きた恐竜絶滅の原因は巨大隕石の衝突で発生した大量のすすが長期間大気を漂い続けたためだとする分析結果をまとめました。地下に油田地帯に似た生物の堆積層がある場所に隕石が衝突すると大量のすすが発生しますが、そのような場所は地球全体の13%しかありません。衝突場所が数百キロメートルずれていたら、すすの発生は少なくなり、恐竜は絶滅していなかったかもしれません。

恐竜の絶滅は直径約9キロメートルの巨大隕石が現在のメキシコ・ユカタン半島に衝突、その後に発生した地球規模の気候変動が原因と考えられています。これによって当時大繁栄していたアンモナイトや翼竜など生物の75%以上が絶滅しました。 衝突によって舞い上がったちりが日光を遮って寒冷化し、植物が枯れて食物連鎖のバランスが崩れたためだとの説が有力視されていましたが、ちりは重いため、日光を遮った期間は数カ月程度で、大量の絶滅は起こりえず、すすであれば微小で軽いため長期間成層圏を漂い、日光を遮り続けたであろうと考えられます。

ユカタン半島は世界有数の油田地帯で、衝突によって15億トンのすすが発生して成層圏にまで到達し、地球の気温を16度も下げたと試算されます。


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ひとり飲みは離婚に通じる

最近、あらゆるジャンルのお店で一人でお酒を飲んで過ごす「ひとり飲み」が増えています。ひとり飲みの理由は様々です。単身赴任で相手がいない場合、ストレスを自力で解決しようとする場合、パートナーがお酒を飲まない場合、そもそも一人が好きな場合、などなど・・・ プレーリーハタネズミは北米の草地にすむ小動物ですが、一夫一婦制でアルコールが好きな動物です。人間の体重換算で1日にワイン15本分のアルコールを飲むこともできます。

ひとり飲みは離婚に通じる

今回は人間のカップルの一方だけが酒好きな場合に起きる夫婦関係の悪化をプレーリーハタネズミで研究しました。

夫婦の両方が大酒飲みの家庭ではさほど問題は起きないのですが、夫婦のうちひとりだけが酒を大量に飲み、もう一方は飲まない家庭ではしばしば家庭の崩壊が起きます。 米国オレゴン健康科学大学の研究者らは100匹を超えるつがいのプレーリーハタネズミに酒を与えて酒を飲む家庭を再現しました。  

その結果、オスだけに酒を飲ませたペアではオスが本来のパートナーと一緒に過ごす時間が短くなることがわかりました。そのオスの脳の様子を調べたところ、愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンが反応する領域に異常が発生していることがわかりました。オキシトシンはパートナーとの結び付きを強めるホルモンです。つまり、今回の実験では夫婦のうち一方だけが酒を飲むと、夫婦関係を悪化させる生物学的な基盤がある可能性を示しています。

ただ、この研究結果がそのまま人間に適用できない問題点は、「プレーリーハタネズミに自主的にパートナーを作らせてすぐに実験した」という点ではないかと思われます。人間におけるパートナーとの関係も最初は自主的だったものの、年月が経つうちに「社会的責任」だとか「ただなんとなく」だとか「別れるのがめんどくさいから」といった理由で関係が続くケースも少なからずあるはずです。その場合に、この研究結果が当てはまるでしょうか・・・。

プレーリーハタネズミにパートナーを自主的に作らせ、そのまま寿命の半分くらいの年月をムリヤリ一緒に過ごさせた後に同様の実験をしたケースを対照群として準備するべきだ・・・と思われる、独り飲みは気が楽だ派酒豪の紳士淑女の皆さんも多いはずです(?)



2017-12-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第682回 JWSTの進捗

NASA、ヨーロッパ宇宙機関、カナダ宇宙庁による国際プロジェクトでハッブル宇宙望遠鏡(HST)の後継機であるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の開発が進んでいます。

ヴォイニッチの科学書 第682回 JWSTの進捗

当初、2011年打上げ予定で開発が進められていましたが、開発の遅れが相次ぎ、開発コストも4倍以上となり、NASAの他のチームからは開発中止を要望する声が上がるほどでした。2016年11月に大型の折りたたみ式反射鏡が完成し、現在は2019年3~6月打上げ予定で開発が進んでいます。

JWSTの反射鏡は口径約6.5mでハッブル宇宙望遠鏡(2.4m)の2.5倍、光を受け取る面積ではハッブルの7倍にもなり、ハッブルよりも弱い光を観測することができます。 反射鏡は18枚の六角形の鏡に分割されており、打ち上げ後に宇宙空間で展開されます。上の写真は展開状態です。

JWSTが観測するのは赤外線です。宇宙誕生初期の銀河や星、太陽系外惑星を観測するのに適した設計になっています。赤外線による観測は装置の温度が高まるとノイズが大きくなってしまうので、反射鏡を低温に維持するための装備を持ち、さらに地球が放出する熱の影響を受けず、地球の日陰で太陽光が遮られるラグランジュ点(L2)に配置されます。

今回新たにJWST打上げ直後の初期観測プログラムの観測ターゲットが発表されました。それらは生まれたての星の周囲で形成される有機分子探し、銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールの質量の計測、初期宇宙に存在するこの宇宙で最も初期の形を残す遙か彼方の銀河を捜すことなどです。

ヴォイニッチの科学書 第682回 JWSTの進捗

地上の大型反射望遠鏡は鏡の精度を維持するために、鏡の裏面に鏡の位置や曲がりを物理的に(鏡を変形させて)補正するための装置が付いていますが、JWSTはそのような装置はなく、軌道上に打ち上げて鏡を展開した時点で精度が出るのだそうです。だいじょうぶなんですかね・・・


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e-ラバー

豊田合成が筋肉のように動く新素材を開発しました。2020年実用化を目指します。  

e-ラバーと名付けられたこの新素材は電気を通す特殊な誘電ゴムを伸び縮みする電極で挟んで作製し、電気を流すと電極同士が近づこうとしてゴムが横に伸びることによって筋肉のように動きます。今後はe-ラバーを何層にも積み重ねて筋力を高める研究に取り組み、2センチ程度積層することができれば、医療用の手術訓練シミュレーターやロボットの動力源として使用が可能だと思われます。


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中国版GPS精度向上計画の展開が速い

日本では数センチの精度でナビゲーションが可能な準天頂衛星みちびき4号機の打上げに成功し、独自の衛星システムが本格運用される段階に来ましたが、中国も産官学軍が一体で開発してきた独自の衛星測位システム「北斗衛星導航系統」の測位精度を従来の2~3倍に引き上げた新システムの打上げを開始します。北斗3号と呼ばれる次世代の衛星シリーズを2020年に35基体制として世界全体をカバーしたい計画です。  

まずは北斗3号衛星シリーズを2018年には18基体制として、中国と欧州を結ぶ陸路と海路の広域経済圏構想「一帯一路」に衛星測位サービスを提供する予定です。 なお、北斗シリーズは1994年に軍が防空システムとして開発に着手し、2000年に初号機の打上げと運用開始、2011年末に民間に開放されました。現在は北斗2号シリーズが23基体制で主に中国と西太平洋をカバーしていますが、位置精度は10メートル前後のため、GPS同等の2.5メートルクラスの高めた北斗3号シリーズの開発を進めていました。  

現在は精度不足のため、中国国内でも北斗の利用比率は約3割にとどまり、米国のGPSが主に使用されています。それにしても、すでに運用している北斗2号シリーズ23基をわずか1年強で新型18基体制に切り替える中国の開発力のすごさが伝わって着る話題です。


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宇宙線ミューオンラジオグラフィ

ミューオンは、1キロメートルの岩盤でもすり抜ける極めて高い透過力を持つ素粒子で、大気上層部で生成され、1平方センチメートルあたり1分間に約1個の割合で、常に地上に降り注いでいます。

物体の内部を調べるにはX線がよく用いられます。病院でのレントゲン撮影も空港での手荷物検査もすべてX線です。ですが、X線よりもミューオンの方が透過性が高いため、X線では測定不可能な巨大な物体でも、ミューオンであれば対象物を通過してくるミューオンを計測し、レントゲンのような写真を撮影することができます。

宇宙線ミューオンラジオグラフィと呼ばれるこの手法を使って名古屋大学とNHKのグループは、4500年前に建造されたクフ王のピラミッドの中心部に、これまでに発見されていない未知の巨大な空間を発見しました。

宇宙線ミューオンラジオグラフィ
クフ王のピラミッド(北側から撮影)  

今回見つかった空間は、クフ王のピラミッド中心部に位置する女王の間内部にミューオンの検出器を設置し、ピラミッドの上空からそこに到達した1100万個のミューオンのエネルギーを画像化して見つかったものです。大回廊の上にあるその空間の長さは30メートル以上で、規模は大回廊に匹敵します。今後は、発見された新空間に近い場所に検出器を設置することで、新空間の詳細な構造を特定するための観測を継続していく計画です。

宇宙線ミューオンラジオグラフィ
クフ王のピラミッドの断面図と今回の解析に用いた検出器を設置した場所。 黄色で示す範囲(天頂方向から±45度)を観測して発見しました。

宇宙線ミューオンラジオグラフィ

将来は宇宙線ミューオンラジオグラフィでカップラーメンの出来具合がわかるようになる?
宇宙線ミューオンラジオグラフィ



2017-12-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第681回 ジェネラリストとスペシャリストはどちらが有利なのか?

人間社会において、ジェネラリストとスペシャリストの適材適所はしばしば問題となりますが、自然界全般を見ても、様々な環境に対応できるジェネラリスト戦略をとる生物がいる一方で、特定の環境に特化したスペシャリスト戦略をとる生物もいます。ですが、どちらの戦略が有利なのか? なぜ2つの戦略をとる生物が共存するのか? といった根本的な疑問はナゾのままです。

東京大学の研究者らは61種類の多様な環境から採取した微生物群集を調べ、ジェネラリストは種の多様性を生み出す力が強く、絶滅への耐性を持ち、子孫を繁栄させる上で有利であることを明らかにしました。

一方で、ジェネラリストは進化の過程で容易にスペシャリストへと変わる傾向があることがわかりました。その結果として、ジェネラリストよりも生き残るのに不利なスペシャリストが常に共存していたのです。

近年の生物学では、生物のゲノムの膨大なデータ(バイオビッグデータ)に基づいた生物情報科学的解析を行うことが可能になってきました。 今回の研究は61種類の環境から集めてきた微生物を含む試料について、微生物由来の遺伝子を解析し、それぞれの環境にどのような微生物が存在するかを網羅したカタログを作成しました。続いて、61種類の環境を11種類の環境に再分類し、そのうち1種類にしか現れない微生物をスペシャリスト、5種類以上に現れる微生物をジェネラリストと定義し、解析しました。  

その結果、微生物にもスペシャリストとジェネラリストがいること、スペシャリストの方が量は圧倒的に多いこと、を確認しました。微生物の進化系統樹を考慮した進化解析を行ったところ、ジェネラリストは多く絶滅するもののそれを上回る亜種を生み出すことによって結果として絶滅の圧力に耐える力が強く、スペシャリストは絶滅率が高いことがわかりました。つまり種の保存としてはジェネラリストの方が明らかに有利ということです。

では、なぜ微生物はジェネラリストばかりにならないのか、について検討したところ、ジェネラリストが進化の過程でスペシャリストに変わる速さの方が、スペシャリストがジェネラリストに変わる速さよりも速いことが推定されました。このことは、ジェネラリストは有利ではあるけれども「ジェネラリストであり続ける」ことが難しいことを意味しています。それぞれの環境における厳しい生存競争に勝つために、ジェネラリストはスペシャリストにならざるを得ないのかもしれません。

ヴォイニッチの科学書 第681回 ジェネラリストとスペシャリストはどちらが有利なのか?
食品界のジェネラリストポテトサラダと食品界のスペシャリスト辛子明太子のハーモニー


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2017-12-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

CRISPR-Cas9がDNAを切断する瞬間が見えた!

金沢大学の研究者らが東京大学と共同で、CRISPR-Cas9 という遺伝子編集方法の過程において、編集の第一段階としてDNAの切断が行われるシーンを動画撮影することに成功しました。日本で開発された世界最速の原子間力顕微鏡を用いて初めて実現できた成果です。

CRISPR-Cas9 では酵素を使ってDNAの狙った部位を切断し、別の遺伝子を組み込むなどして遺伝子の編集をおこなう技術です。この方法は基礎研究から臨床応用に至る多岐にわたる生命科学分野において広く利用されています。 下の動画において、28秒あたりのシーンで白い矢印が画面に出ますが、矢印の指した先でDNAが切断されていることがわかります。

CRISPR-Cas9がDNAを切断する瞬間が見えた!

CRISPR-Cas9がDNAを切断する瞬間が見えた!

CRISPR-Cas9がDNAを切断する瞬間が見えた!
http://obio.blog.fc2.com/blog-entry-1289.html

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H7N9鳥インフルエンザの現状

人類が滅ぶとすれば原因は何でしょうか?小天体の衝突? 地球温暖化による食糧危機? 某近くの国の核兵器????

多くの人に忘れられている可能性の一つに高病原性鳥インフルエンザがあります。その代表H7N9型は現状は中国でたまに流行する程度ですが、米国ウィスコンシン大学の研究者らは今後この高病原性ウイルスが世界へ拡散する可能性を報告しています。

H7N9鳥インフルエンザの人から人への感染について、これまではよくわかっていませんでしたが、最近新たに発見された亜種では哺乳類から哺乳類へくしゃみなどをきっかけとした飛沫感染することが明らかになりました。ニワトリから人への感染は2013年の発見以来すでに1,600人に及んでいます。このなかで約600人が死亡し、非常に致死率の高いウルスとして恐れられています。

ところが、2016年に中国で発見されたさらに致死率の高い高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは、翌2017年に人へも感染することが確認されました。今のところ、この高病原性ウイルスの人から人への感染例は見つかっていませんが、ウイルスの遺伝子は容易に変異するため、いつ人から人への感染能力を獲得した変異種が出てきても不思議ではない状態に至っています。実際に、マウスを使った動物実験ではマウスの体内で急速に増殖する能力をすでに獲得しており、フェレットを使った動物実験ではフェレットからフェレットに飛沫感染した後に脳でウイルスが増殖しフェレットが死に至ることも確認されました。

また、このウイルスには現在使用されているオセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビルなどのインフルエンザ治療薬の効果があまり出ず、人から人への感染が始まるとタイヘンなことになる可能性があります。


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医薬品を脳に送り届ける画期的な手法

アルツハイマー病などの神経疾患の治療薬には決定的に効く医薬品がまだ存在しません。その理由は脳の構造や機能が複雑で病気の原因が十分に解明されていない点もありますが、脳に薬を送り届けることが非常に難しいので、試験管内の実験で効果が確認できても、実験動物では薬が脳に到達せず、効果が出ないことも大きな原因の一つです。  

服用した薬は小腸などから吸収されて血管に入り、全身を循環する過程で脳の血管から脳へ入ります。ところが、脳には血管から脳へ物質が入ることを制限する血液脳関門というバリアがあります。関門を通り抜けられるのはアミノ酸などの脳が本当に必要としている物質だけで、医薬品もこのバリアを通り抜けることが非常に難しいのです。

東京医科歯科大学発のベンチャー企業ブレイゾン・セラピューティクスが新たに開発した方法では、脳の内部まで医薬品が到達する確率が数十倍に高まることが期待されています。この方法では医薬品を高分子でできたウイルスと同じくらいの大きさのカプセルに封入し、脳が栄養を取り込む仕組みを利用してカプセルごと脳内に送り込みます。 ブドウ糖は血液脳関門を越えて脳に到達しますが、それは脳がブドウ糖を取り込む仕組みを備えているからです。その仕組みとはグルコーストランスミッター1と呼ばれるグルコースを運搬するタンパク質の存在です。グルコーストランスミッター1は空腹になると血管の内壁に集まり、満腹になると内側に戻っていきます。  

高分子カプセルにブドウ糖を結合させておくとグルコーストランスミッター1が内部に戻る際に、このカプセルを引き連れていくことを発見し、これを応用したのです。

医薬品を脳に送り届ける画期的な手法
図:脳血管の断面図
脳の血管を様々な細胞が取り囲み、不要物の侵入を防ぎ、大量に消費されるエネルギー源となるアミノ酸などを積極的に取り込みます。


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デジタル錠剤が米国で初承認

米国食品医薬品局(FDA)は米国初のデジタル錠剤を承認しました。大塚製薬などが開発したエビリファイ・マイサイト(Abilify MyCite)と呼ばれるこの錠剤は、統合失調症や躁うつ症の治療に使われる抗精神病薬です。錠剤には食べても問題が無い小さなセンサーが内部に組み込まれており、定期的に服薬状況をチェックできます。  

薬を服用すると胃の酸性にセンサーが反応し、患者の身体に貼り付けたスマート・パッチのシグナル検出器に情報を伝え、データをスマートフォンなどのデジタル端末に送ります。医師や家族がデータを確認することも可能です。

デジタル錠剤が米国で初承認


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人間の体内で遺伝子編集する初の試み

以前このブログで紹介した表皮水疱症は少年から健康な細胞を取り出し、細胞に対して遺伝子治療を行いましたが、人間の体内で遺伝子編集する初の治療が実施されるようです。  

治療の対象となった患者は肝臓疾患のハンター症候群という病気を発症しています。サンガモ・セラピューティクス社が開発した治療法では、「ジンクフィンガー」として知られる手法を用いて、患者のDNAを切り取り、修復遺伝子を挿入する計画です。この手法は治療を迅速に行うことができ、組み替え遺伝子の作用も確実、さらに高額な遺伝子治療医療費も安価に抑えることが可能ですが、編集を誤るとさらなる疾患の発症を招くリスクを伴います。


2017-12-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

映像印象を脳活動から推測

情報通信研究機構とNTTデータは映像から受けた印象を脳活動から読み取り、1万通りの単語で表現するシステムを開発しました。

脳の活動を画像化する機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を使い、テレビCMを見ている実験ボランティアの脳の活動を観察し、そのときにボランティアが受けた印象を記録しました。 印象を1万通りの単語の中から選んで表現し、脳の活動と単語との関係式を構築した上で、逆に特定の脳の活動から、印象を1万語の中からコンピューターで抽出したところ、本人が受けた印象に近い単語を的確に選び出せたということです。 これまでも類似システムは存在していましたが、今回のシステムは単語数が数十倍に拡張されているため、より微妙なニュアンスの違いをうまく表現することができます。  

この仕組みを利用すれば、言葉を使わなくても人の考えていることを読み取ることができます。現状はfMRIで脳の活動を読み取らなければならないので、生活空間での利用にはまだ技術開発が必要です。

あなたは美味しそうな料理を見た時、何通りの表現でそれを伝えることができますか?
ひょっとすると、自分が言葉を選ぶよりも、自分の脳の活動をコンピューターに見てもらって言葉を選んでもらった方が、より表現が豊かになる可能性もありますね
映像印象を脳活動から推測


2017-12-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

50量子ビットの量子コンピューター

現在の量子コンピューターの性能はスーパーコンピューターレベルで、量子演算の特長を生かしているとは言えません。通常のコンピューターは情報を1か0かのビットで扱いますが、量子コンピューターはそれとは異なった方法、状態の重ね合わせと量子もつれという2つの現象を用いて処理します。真の性能を持つ量子コンピューターの実用化には、49量子ビットを実装したシステムが必要だとされています。

50量子ビットの量子コンピューター

IBMが2017年11月10日、先頭を切って量子コンピューター実用化の最低クリアラインである50量子ビットの量子コンピューターを発表しました。 とはいっても、量子コンピューターが一気に身近になるわけではありません。量子状態はこれまで最長の90マイクロ秒は保存されますが、データを扱うにはまだ極端に短い時間です。


2017-12-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第680回 表皮水疱症の決定的治療法

表皮水疱症という遺伝性の病気があります。治療薬は無く、死に至る可能性も高いこの病気を発症したドイツの7歳の少年に対して、大がかりな皮膚の再生手術が行われました。

水疱症は皮膚の細胞と細胞を強く結びつける結合組織(タイトジャンクション)に異常が生じ、皮膚のバリアが壊れるため、そこから雑菌が侵入し、細菌感染を起こします。この少年は全身の6割を水疱が覆っており、非常に危険な状態でした。

ヴォイニッチの科学書 第680回 表皮水疱症の決定的治療法


治療に際してはまず、少年の皮膚の健康な部分から皮膚幹細胞、つまり、新たな皮膚細胞を再生する能力を持っている細胞を採取します。この少年の病気の原因は遺伝子の突然変異によって、LAMB3遺伝子が異常になっていることがわかっていましたので、LAMB3遺伝子を修正する遺伝子治療を施しました。LAMB3遺伝子は、皮膚の最も外側の表皮の強化に必要なタンパク質の生成に関係している遺伝子です。この遺伝子を修正することによって皮膚のバリアが形成され、雑菌が侵入できなくなります。

次に、遺伝子が正しく治療された皮膚幹細胞をシート状の皮膚細胞に育て、体に移植しました。

この手術により、少年の皮膚の水疱は手術前には全身の6割を覆っていたものが、2割まで減らすことができました。同様の皮膚の再生手術はやけど治療のために小さなシートを使用することは行われてきましたが、今回のようにほぼ全身にわたるほど広い面積を遺伝子操作した細胞シートで治療をしたのは初めてのことです。  

表皮水疱症を患う患者は、活性化ランゲルハンス細胞がむきだしになるため、皮膚が非常に敏感になり、普通の人にとっては何でも無い皮膚への接触を凄まじい痛みとして感じます。病気は慢性的で皮膚には治療不可能な傷ができ、そこから感染症を起こして、最終的にはがん化します。表皮水疱症の患者は、世界中でおよそ50万人います。  

今回の治療の効果は、これまで行われたやけど治療における皮膚細胞シートの実施例から予測すると、少なくとも30年は続くと思われ、おそらくは完全治癒ができたと考えられます。


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