FC2ブログ

セントロメアが進化のカギ

染色体は「X」字型をしたゲノムのかたまりです。染色体の4本の腕が交わった場所をセントロメアといいます。

セントロメアが進化のカギ

セントロメアは染色体の中心に位置することが多く、ヒトゲノムの場合は171塩基前後の配列が数千回から数万回繰り返している特徴的な構造をしています。セントロメア部分の遺伝的子としての機能はよくわかっていませんが、セントロメア以外の染色体の腕の部分と比べると、セントロメアの進化速度は非常に速く、5000万年以上前に分岐した生物でセントロメア配列を比較すると、25%しか一致しないほど変化が早い部位であることがわかっています。  

東京大学の研究グループは、セントロメアのDNA配列がどのように進化してきたかを解明するために、進化の系統が枝分かれした時期の異なる3種類のメダカのセントロメアDNAの一部を解読しました。3種類のうち2種類は日本産で、南日本由来および北日本由来のメダカ。これらは日本列島の分水嶺が生まれた約1800万年前に枝分かれしたと考えられています。もう1種類は約2500万年前に枝分かれした韓国産のメダカです。

セントロメアが進化のカギ

セントロメア遺伝子を構成するATGCの塩基レベルで見ると、セントロメアの塩基変異速度は他の領域より速く、種分化に関わるといる可能性があります。さらに、セントロメアが染色体の中心にある場合、つまり染色体の「X」字型の4本の腕が同じ長さである場合と、中心からずれている場合を比較すると、セントロメアが中心に近いほど変化しやすいことが明らかになり、セントロメアの位置が種の枝分かれに関わる可能性が示唆されました。

ヒトゲノムの約1~2%はセントロメア配列が占めていると考えられていますが未解明です。今回のメダカゲノムの研究は、その解明への手がかりになると期待されています。


スポンサーサイト
2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

体内に設置できる活性酸素クリーナー

国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究グループは3種類のタンパク質を組み合わせた、活性酸素を除去できる高機能なタンパク質マイクロマシンを開発しました。

体内で過剰に発生した活性酸素は細胞を傷つけたり、炎症を引き起こしたりしてさまざまな病気の原因になります。今回開発したタンパク質マイクロマシンは、直径0.1ミリメートルの平べったい円盤状で、
・活性酸素を除去する酵素「スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)」
・薬剤を結合する「血清アルブミン」
・細胞を捕まえる「抗体タンパク質」
が組み合わされています。抗体が活性酸素を分泌する細胞を捕捉し、SODが過剰な活性酸素を除去し、アルブミンに結合した抗炎症薬が放出されて細胞の活性酸素生成を抑制します。

体内に設置できる活性酸素クリーナー

現在は試験管内で活性酸素を放出する細胞に対して効果が確認された段階ですが、今後は動物体内での研究が続けられますが、形といい、機能といい、まるでZガンダムに搭乗するアナハイム・エレクトロニクス社(AE社)が所有する研究開発施設兼自走ドック艦ラビアンローズのようです。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)

国立研究開発法人情報通信研究機構を中心とした国内共同研究チームが、ゲリラ豪雨や竜巻の前兆現象を観測できる新型の気象レーダーを開発しました。

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)
雨を立体的に表示した様子

ゲリラ豪雨の積乱雲の発達は10分程度、竜巻は数分で発生するため、これまでの観測では発生しそうだとわかった時には避難が手遅れになることもありました。それらの兆候をより迅速に察知するために、今回開発されたマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダーは30秒で雨雲の3次元立体構造を観測すると同時に、雨量を正確に観測できる新システムです。  

この技術を用いて、通常のゲリラ豪雨の早期予測・浸水予測、強風予測の情報提供の他、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの効率的な競技運営、つまり、屋外競技の開始・中断・継続等の判断に活用したり、豪雨到来前に屋根がある場所に観客を誘導したりすることが可能になります。突然の竜巻で運動会のテントが飛ばされて大けがなど、急激な天候の変化が原因となるいろいろな事故が起きていますので、ポータブルタイプが開発されたり、スマホに内蔵されたりする時代が来るとさらに便利になりそうです。

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

心の中の独り言の科学

(日経サイエンス 2018年1月号より)


私たちはよく、心の中で自分に対して語りかけることがあります。たとえば、飛行機に乗り遅れそうな時、心の中で「遅れる、やばいやばい、あと何分!?」などと言っていることがあるはずです。それを口に出して叫びながらエスカレーターを駆け上る人はアニメの中だけの話だとは思いますが、羽田空港でエスカレーターダッシュをしている人の多くは心の中でそう叫んでいると思います。  

また、私はしばしば入浴中に次の原稿で使えそうなナイスなフレーズや、次のイベントのテーマがまるで天から降ってくるようにわいてきます。これは多くの作家で見られる傾向で、このようないろいろな考えやイメージ、感覚が頭をよぎった時には多くの人が、頭の中でアイディアが言葉として表現されるのを感じるといいます。 このような声に出さず、頭の中で自分に語りかける現象を心理学者は「内言(ないげん)」といいます。内言とは内語ともいい、発声を伴わずに自分自身の心のなかで用いる言葉のことです。通常の会話は内言に対して外言と呼ばれます。外言は他人との意志伝達のため、内言は思考の用具として自己の行動を抑制、統御、調整するためであるとされています。  

一方で、声に出して自分に語りかけることを「私的発話」といいます。何かおもしろいものをみつけたとき、「ツイートしなきゃ!」と自分に指示するような場合です。私的発話も内言と同様に、自分の行動の計画と監視、感情の調節、独創的発想の促進などの目的があると考えられています。  

1930年代ロシアの心理学者、ヴィゴツキーは私的発話について、言葉というものは本来、他者の行動に影響を与えるために用いるものであるが、私的発話では他者ではなく自分の行動に自分で影響を与えるために用いている、と表現しました。つまり、私的発話は自分との対話である、と考えたのです。  

英国ダラム大学の研究者らがこの点についてfMRIを使った研究を行っています。それによると、内言にも私的発話にも両方共に脳の中の言語系が活動していることがわかりました。つまり、言葉を発する私的発話はもちろんのこと、言葉を発しない内言においても脳の中では普通に言語として処理されている、ということです。 会話と内言・私的発話は人間の独創性の起源に大きく関与していると考えられています。

つまり、自分自身と対話することによって架空の誰かとの議論を内在的に具現化することができます。自分の中で議論することによって脳の引き出しの中に埋もれている情報をひっぱりだしたり、それらの情報同士を結びつけたりすることが、あたかも他の人と議論して新たな結論を導き出すことと同様に可能になるようなのです。 さらにこの研究は思考とは何なのか、という興味深い問題へアプローチするための方向付けであるともいえます。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

人類の火星移住が真剣に語られるようになってきました。米国のSpace-X社は具体的なプランを公表していますし、中国宇宙開発局も有人探査を踏まえて火星からのサンプルリターン計画を検討しています。

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

人類が火星で暮らすにあたって最も重要な問題の一つが食糧の確保です。持続的な人類の活動を目指すのであれば、火星で本格的な農業を行うことが必要かもしれません。農業を行うためには土の中に豊富な養分や細菌、真菌が含まれる必要がありますが、火星の土には今のところ生物は見つかっておらず、今のままでは農業は不可能です。

地球においてミミズは土壌を作り変えるために有効な生物ですが、オランダのワーヘニンゲン大学の研究者らはミミズを火星の土で育てることに成功した、と発表しました。ミミズは収穫後に土壌中に残った植物の茎や葉などを食べて分解し、さらにミミズの排泄物を微生物が分解して、それらが次に作物を育てるための栄養になります。また、ミミズが土の中を移動することによって、土の粒子と粒子の間にスキマを作り、水分が根によく行き渡るようにします。

ヴォイニッチの科学書 第683回 火星でミミズは育つ

NASAは火星探査機から得られた情報を元に火星の土に似せて配合した模擬土を作製し、ワーヘニンゲン大学がその中でミミズを生活させる実験を行いました。その結果、ミミズは無事に成育し、子ミミズが誕生できることを確認しました。  

ですが今後も引続き、ミミズの廃せつ物を分解する微生物集団を火星で形成させることができるかどうか、火星の土に含まれる有害物である過塩素酸塩類をどのようにして除去するか、などに関する研究が必要です。それにしても地球の気候変動や核兵器による汚染は致命的、地球生物は地球に残る側と火星に移住する側に別れ、一方は火星で最初からやり直し・・・ってことになるのでしょうか・・・ ガンダム鉄血のオルフェンズみたいです・・・


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2017-12-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
ホーム

おびおのプロフィール

おびお

Author:おびお
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
ツイッターアカウント:@cradiobio
ものことごはん:http://obio2.blog.fc2.com/

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

11 | 2017/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

QRコード

QR