FC2ブログ

失われた第三の銀河

失われた第三の銀河
アンドロメダ銀河に寄り添う伴銀河M32は失われた銀河のコアである可能性が指摘されました。この説によれば、かつては天の川銀河、アンドロメダ銀河、M32のもとになった銀河はいずれも同程度の大きさで三兄弟銀河だったとされています。

米国ミシガン大学によるシミュレーション研究から、かつてアンドロメダ座大銀河に大型の銀河が衝突し飲み込まれたことが示されました。現在のM32銀河のもととなったM32p銀河は、アンドロメダ銀河、天の川銀河と同程度の大きさだったと推測されます。さらに、M31を詳細に観測することによって、かつてのM32p銀河の名残として、アンドロメダ銀河を球殻状に取り囲む星々のうち、外側の星々はそのほとんどがM32pに由来することが今回の研究からわかりました。


スポンサーサイト
2018-08-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ナノシート上に集積型遺伝子回路

酵素などを電子回路のようにチップの上に実装し、それを液体の中で混合することで酵素反応や発酵生産をしようという技術が開発されました。

大阪大学、東京大学、京都大学などの研究チームは、ナノメートルサイズのシートの上に、遺伝子の活性化を調整する酵素などを適切に配置して固定し、シート上で酵素反応を連鎖的に起こすことができるナノチップを開発しました。異なる機能を持った数種類のナノチップを開発し、それらを混ぜ合わせるだけで、電子回路のように目的に応じた反応系を自由に構築できるようになります。

今回は、試験管内での実証実験ですが、今後、細胞や個体内での検証が期待されます。

ナノシート上に集積型遺伝子回路

ナノチップの模式図と電子顕微鏡写真


2018-08-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第719回 ディスプレイリボンの実用化

雑誌のように丸めたり、新聞のように折りたたんだりできるフレキシブルデバイスが普及するとディスプレイやIT機器の概念が大きく変わると期待されています。たとえば、家電量販店やデパートの店頭に飾られる七夕飾りがすべてフレキシブルデバイスで作られていたらさぞかし華やかだろうと思いますし、ポストイットもフレキシブルデバイスになれば、紙の曲がりなどによく追随して便利かもしれません。また、映画プラネタリアンでほしのゆめみさんが髪を束ねていたディスプレイリボンの実用化にも髪をくくれるほどしなやかなフレキシブルデバイスの開発が必須です。

ヴォイニッチの科学書 第719回 ディスプレイリボンの実用化
映画「プラネタリアン」より。主人公はデパートのプラネタリウムで働くアンドロイドの設定で、長いリボンに様々な情報を表示することができますし、暗い場所では照明にもなります。

東北大学の研究グループは、原子1個と同じくらいの厚さしかないシート材料であるグラフェンナノリボン(GNR)を用いて、耐環境性に優れた新型メモリの開発に成功したと発表しました。グラフェンナノリボンは炭素原子だけが集まってできた物質です。グラフェンは平らなシート状の二次元構造ですが、グラフェンナノリボンは原子数個分しか幅のない極細のリボンです。

シート状のグラフェンは電子が表面をすべるように移動するため非常に良く電気を通しますが、グラフェンナノリボンは半導体特性を示ことから半導体デバイス分野への応用が期待されています。

ヴォイニッチの科学書 第719回 ディスプレイリボンの実用化

光が照射された場所の電子状態が一時的に変化し、さらにその状態が光照射後も長時間維持されるパーシステント光伝導という現象が半導体材料では古くから知られています。パーシステント光伝導は原子の厚さレベルの薄膜でも発生することが確認され、パーシステント光伝導による光書き込み式超極薄不揮発性メモリの研究が進められています。このメモリはフレキシブルエレクトロニクスの基幹部品として重要で、フレキシブルディスプレイやフレキシブルトランジスタ等とともに次世代エレクトロニクス素子として期待がされています。

ほしのゆめみさんはリボンの両末端に回廊を内蔵した箱型のユニットが付属していましたが、このようなメモリが実現すればフレキシブル部品だけでディスプレイリボンが完成することになり、現実はSFを超えてしまいそうな勢いで進んでいます。

ヴォイニッチの科学書 第719回 ディスプレイリボンの実用化


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2018-08-30 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

銀河の中心に行ってみたい

天の川銀河の中心には超巨大ブラックホールがあるため、謎の天文現象や謎の天体が多数発見されており、地球が天の川銀河の中心近くにもしあれば、夜空はどんなににぎやかだっただろうか、と想像すると天の川銀河の中心に行ってみたくなります。 今回、米・カリフォルニア工科大学ロサンゼルス校の観測チームが、ハワイのW.M.ケック天文台の撮像分光装置「OSIRIS」によって得られた12年分の観測データから、あらたな謎天体「G天体」を発見したと公表しました。  

今回発見されたG天体は塵に富んだ恒星状の天体です。同様の天体はこの十年でいくつか発見されていますが、いずれも非常に大きな速度で運動しており、中心ブラックホールのすぐそばまで近づく軌道を持っています。  

下のグラフは5つのG天体G1~G5の移動を記録したものです。たとえばG5であれば2006年から2017年のわずか11年間で大きく居場所を変えたことがわかります。

銀河の中心に行ってみたい

今回見つかったG天体はG3、G4、G5と命名されました。ブラックホールに近づいても破壊されないほどの丈夫さを持っていることから考えてG天体は構成同士の合体によって巨大化した恒星の可能性があります。天体同士が衝突して新たな天体を作ることは非常に珍しいので、G天体を調べることによって、最近重力波観測で検出された恒星質量ブラックホール同士の合体現象についても何か手がかりが得られるかもしれません。

G3、G4、G5は発見されたばかりで、超巨大ブラックホールに最接近したときに何が起きるかはわかりません。今後これらのG天体の軌道の追跡観測を続け、天体が超大質量ブラックホールに接近した際に何が起きるかを調べることで天体の真の正体を明らかにできるのではないかと思われます。G3が超巨大ブラックホールに接近するのは約20年後、G4とG5はそれよりさらに数十年先です。


2018-08-29 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

高速で自転するレグルス

しし座で白く輝く1等星レグルスは、約79光年彼方にある星で、表面温度が約1万3000度もあります。ちなみに太陽の表面温度は6000度くらいです。仮に、こうした高温星が高速で自転していると、星が歪んだりつぶれたりして、星からの光は偏光するという予測が約50年前になされています。


高速で自転するレグルス

オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学の研究チームがサイディング・スプリング天文台の高精度偏光計を用いてレグルスを観測したところ、この予測されていた偏光が検出されたのでレグルスは超高速で回転する星であることがわかりました。レグルスの自転速度は秒速約320kmと非常に速く、星の破壊を引き起こす角速度の96.5%にも達していることがわかりました。

下のCGは自分の回転で自分が引きちぎられそうになっているレグルスの想像図です。こんな星の周辺に知的生命体の住む惑星があれば、その惑星の住民はいつレグルスがちぎれて破片がまき散らされるか、気が気ではないことでしょうね。

高速で自転するレグルス


2018-08-29 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

胸の大きさと関連する遺伝子領域を発見

東京大学大学の研究グループは、胸の大きさなど、女性特有の体質と強い関連を示す遺伝子領域を新たに発見したと発表しました。この研究は女性特有の疾患治療や予防に役立ちます。  

人の遺伝子は誰でもほぼ同じですが、局所的に変化が生じて個性を生み出しています。遺伝子の一か所が変異することを一塩基多型(SNP)と呼びます。研究者らが、女性実験ボランティア1万1,348人の唾液から採取したDNAを解析し、女性特有の22の体質に関するアンケートの結果と照合しました。その結果、胸の大きさと強く関連するSNPが、6番染色体のCCDC170、8番染色体のKCNU1/ZNF703と呼ばれる遺伝子領域に存在することが明らかになりました。


2018-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

どこでもドアの基礎技術

言ってみればどこでもドア、そんな装置で今ここにいる自分が一瞬で別の場所に移動できればどんなに楽しいことでしょう、そんな夢の技術の基礎となるかもしれない、世界初の生体転送機が米国サンディエゴのシンセティック・ゲノミクス社によって開発されたかもしれません。この装置はデータ転送装置と連動した、ウイルス自動作成装置のようなものです。

シンセティック・ゲノミクス社の科学者たちは別の場所からこの装置に送った遺伝子情報を使って、インフルエンザウイルスの遺伝子を自動的に再現し、そこから細菌に感染するウイルスを作成したのです。自動的にウイルスを作成する装置が開発されたのはおそらくこれが世界初と思われます。  

シンセティック・ゲノミクス社はかつて、ヒトゲノム計画で米国政府のゲノム解読に単独企業として挑んだセレラ・ジェノミクスのクレイグ・ベンター博士が設立した会社で、博士は将来は生物のデジタル転送が可能になると予測していました。  

この装置の中心となるのは同じくシンセティック・ゲノミクス社がすでに販売している商用DNAプリンターBioXP 3200(次写真)です。この装置に遺伝情報の受信機を追加し、遺伝情報を送信すると、装置はあらかじめ用意された化学物質を使って遺伝子の合成を開始します。

どこでもドアの基礎技術

シンセティック・ゲノミクス社は大手製薬メーカーでスイスに本拠地を置くノバルティス社とこの装置の実用化研究に以前から取り組んでいました。  

中国で鳥インフルエンザが猛威を振るった頃に、中国当局はH7N9インフルエンザのDNA配列データをネットで公開しました。シンセティック・ゲノミクス社はその2日後、自社製のDNAプリンターを使って、中国が公表したデータだけを使ってインフルエンザウイルスを合成し、ノバルティス社に提供しました。ノバルティス社ではこの遺伝情報を含むウイルス株をもとにワクチンを製造したのですが、これがデジタル・生体変換器を初めて実用的に使用したケースとなりました。  

人類に脅威を及ぼすような未知の感染症が発生したとき、研究機関が病原体の遺伝情報を解明し、デジタル化して、抗体を作成するために世界中のすべての病院のデジタル・生体変換器に流されるようになるかもしれません。  

ただし、この装置をどこでもドアと呼ぶのは大げさです。この装置で転送できる最大のウイルスであっても一般的には生物とはみなされていません。ましてや多細胞生物を転送するのは夢のお話です。ですが、このまま技術開発が進めばそう遠くない将来に生物をデータとして転送できる日が来るかもしれません。  

シンセティック・ゲノミクス社が考えているのはDNAを読み取ってデータに変換するDNAシ-クエンサを火星に運び込んで火星の生物を調べることです。現在のロケット技術では未知の生物を調べるために必要な多数の分析機材を火星に運び込むのは困難です、そこで、DNAを解析する装置のみを火星に送り込み、火星で発見された生物のDNAをデータにして地球に転送し、地球の設備が充実した研究室でその生物を再現して研究を行うのです。ただし、この実験で火星の生物を地球上で再現し、それが環境中に放出されたとき、何が起きるかはわかりません。


2018-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第718回 二酸化炭素をエネルギーに変換する

ガソリンのような燃料を使うということは、地下に封じ込められていた炭素のかたまりともいえる化石燃料を取り出して、燃やすことによって大気中に二酸化炭素として放出することですので、地球環境に大きな影響を与えます。その結果、大規模な気候変動が起きたり、海水に二酸化炭素が溶け込んで海水の酸性化が起きて海洋生物に大きなダメージを与えたりすることが報告されています。本当にこれは何とか対策を打たなければ人類がこれまで経験したことのない恐ろしく過酷な地球環境の中で私たちはサバイバルしなければならない時代がすぐにやってくると思われます。

ヴォイニッチの科学書 第718回 二酸化炭素をエネルギーに変換する

二酸化炭素は元素レベルで見ると、食べ物や樹脂などの素材原料などいろいろと使い道はあるのですが、二酸化炭素を他の物質にするには非常にお金がかかったり、大量のエネルギーが必要だったりして、大気中の二酸化炭素をわざわざ回収して利用する技術はあまり実用化されていません。  

そんな昨今ですが、カナダのカーボン・エンジニアリング社は、低コストで大気中の二酸化炭素を水素と化学反応させ、液体燃料に変換することに成功したと発表しました。カーボン・エンジニアリング社は二酸化炭素の回収にかかる費用を1トン100ドルにまで下げることを目標として技術開発を続けてきました。二酸化炭素をもともと安価な樹脂製品の材料にするのであれば、より一層のコスト削減が必要ですが、出来上がるものが燃料であれば付加価値は高くなりますので、ある程度のコスト高も市場に受け入れられる可能性があります。

今回の燃料製造プラントでは水力発電で作った電気で水を電気分解して得られた水素を大気中の二酸化炭素と合成します。合成された燃料はガソリンや軽油に添加して化石燃料の消費を抑制することができます。  

今のところは原油から精製するよりもコストがかかりますが、今後各国で炭素税などが燃料に上乗せされるようになれば、ビジネス上の勝算はあると考えられています。たとえばカナダのブリティッシュ・コロンビア州では、二酸化炭素放出1トンにつき35カナダドルの炭素税が徴収されており、2022年には50ドルへと引き上げられることになっています。  

カーボン・エンジニアリング社は、低コストの再生可能エネルギーを使って1日に200バレル(32,000リットル)の合成燃料を製造する大規模工場を建設中で、2020年の操業開始を見込んでいます。この技術をライセンス化することも検討中だそうですので、日本の鉄鋼や化学工業など二酸化炭素排出型の企業は検討してみてはどうでしょうね?


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。



2018-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

男脳・女脳を決定する遺伝子を特定

男性と女性では、脳の構造や機能に生まれつき違いがあります。国立精神・神経医療研究センター、筑波大学などの研究グループは、脳の男女差が発生するにあたって、「Ptf1a遺伝子」が重要な役目を担っていることを明らかにしました。  

哺乳類の脳は、胎児の中で形成される最初の段階では男女差はありません。ところが、「臨界期」と呼ばれる時期に男性ホルモンの一種であるテストステロンによる刺激を受けると男性化し、その刺激を受けないと女性化します。Ptf1aという遺伝子が胎仔マウスの視床下部で活性化していることが発見されています。  

今回、研究グループが胎仔マウスのPtf1a遺伝子活性化についてさらに詳細に調べたところ、初期発達段階の脳で男女差が現れる前に一時的に、視床下部の神経前駆細胞でPtf1aが発現することが発見されました。 その役目を調べるために、視床下部のPtf1a遺伝子を破壊したノックアウトマウスを作製したところ、雄のノックアウトマウスはメスマウスに興味が無くなり、通常の雄マウスが別の雄マウスに対して示す攻撃的な行動がなくなり、雄特有の行動が失われました。

一方で、雌でこの遺伝子を破壊すると基本的な子育て行動をしなくなりました。いずれも「臨界期」でのテストステロンの刺激は通常のマウスと同じでしたので、この遺伝子の活動が無いだけで、脳が正常に男女に分かれることができなくなることがわかりました。  

胎児の脳はテストステロンの刺激・非刺激によって男性脳(雄脳)・女性脳(雌脳)へと性分化するのですが、その前段階としてPtf1a遺伝子が活性化して準備を整える必要があるようです。


2018-08-18 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

火星に地下湖、大量の水が存在か

欧州宇宙機関(ESA)のイタリア研究グループは、火星の南極付近の表面下約1.5キロに、幅約20キロの湖を発見したと発表しました。研究グループは、ESAの無人探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」に搭載された地下探査レーダー「MARSIS」から電波を照射して湖を発見しました。電波は土は通過しますが、液状の水分を含む物質と氷や岩盤との境界面からの反射は特に強いことを利用した発見です。  

科学者は、湖の水が氷ではなく液体の状態なのは、地下深くにあるため高い圧力を受けて0度以下でも凍結しなくなっていることと、マグネシウムやカルシウムなどでできた塩水のため、寒い火星でも凍っていないのだろうと推定しています。


2018-08-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

エンドサイトーシスの撮影に成功

細胞は細胞膜で外の世界と細胞の内側を隔離しています。ですが、完全に隔離してしまうと細胞が必要とする物質を取り込むことができませんので、細胞にはいくつかの外部物質を細胞の中に運び込む仕組みを持っています。京都大学、東北大学、オリンパス株式会社らの研究グループは、細胞が外界の物質を取り込む際のエンドサイトーシスという現象を写真撮影することに成功しました。エンドサイトーシスは細胞膜が細胞の内側に泡のように分離する際に、細胞の近くにあった物質をそのまま取り込むことによって、細胞が細胞の外の物質やシグナル分子を取り込む仕組みです。

エンドサイトーシスの撮影に成功

研究グループは、生きた細胞の細胞膜を観察できる特殊な顕微鏡を開発し、エンドサイトーシスを行っている細胞膜の様子を撮影することに成功しました。その結果、細胞内部で膜を支えるタンパク質骨格がエンドサイトーシスに重要なはたらきをしていることを明らかにしました。  

今回用いた顕微鏡は「走査型プローブ顕微鏡」と呼ばれる特殊な顕微鏡です。先端が数ナノメートルしかない、非常にとがったプローブ、つまり針先で細胞を「なぞる」ことでその形状を画像にします。次の図はそのイメージです。この仕組みを使った顕微鏡は以前からありましたが、細胞膜は油でできた膜なのでとても柔らかく、従来の同じ仕組みの顕微鏡では観察ができませんでした。この研究では、オリンパス株式会社と共同で生きた細胞の細胞膜を観察するための高速走査型プローブ顕微鏡の開発に取り組み、細胞に与える力を大幅に弱くすることで、細胞膜の形状を数ナノメートル(1 ミリの 100 万分の 1)の解像度で画像化する事に成功しました。


エンドサイトーシスの撮影に成功

それによって、細胞膜周辺のタンパク質の様子が明らかになり、エンドサイトーシスにおける画期的な発見としては、細胞膜が泡のように内側に入り込み、最終的に細胞膜から切り離されて完全な泡、専門家が言う細胞小胞を形成する際には、周辺に細胞内骨格が一時的に集合し、細胞膜に大きな力を及ぼすことが分かりました。


2018-08-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第717回 海馬の記憶エングラムを明らかにする

理化学研究所の研究チームがマウスを使って海馬の「記憶エングラム 」の役割について調べました。記憶というのは単なる情報で、物理的な形のあるものではありません。ですが、それが脳に記憶される際には、保存される細胞が決まっていたり、記憶に際して神経細胞の変化が生じたりという物理的な構造で保存されることがわかっています。ある情報の記憶に関係して活性化状態や形状の変化が生じる神経細胞集団のことを記憶エングラムと呼びます。つまり、記憶はその記憶エングラムに属する神経細胞のみによって保持されていると考えられます。

記憶が脳の中に形成される際には特定の神経細胞で遺伝子が活性化します。さらに、その記憶を思い出す際には、記憶の形成に関わった神経細胞群が再び活動することによって記憶の想起がなされます。しかも、人為的にその神経細胞を活性化することで記憶を無理矢理呼び起こすこともできます。

実験中のマウスの様子、頭の外側から脳の神経細胞を活性化しています
ヴォイニッチの科学書 第717回 海馬の記憶エングラムを明らかにする

海馬には自分の居場所を把握するGPS細胞が存在し、経験は場所情報とセットで脳に保存されることがわかっています。  

理化学研究所の研究チームは、マウスに新しい経験をさせ、その時に「いつ、どこで、何が起こった」というエピソード記憶が形成される記憶エングラムを特定しました。その結果、海馬では位置情報とエピソードは別々の場所に異なる仕組みで保存され、情報の本体は大脳皮質に、海馬にはそのインデックスが保存されることを明らかにしました。これまでの研究で、海馬の記憶エングラムにはエピソード記憶の物理的痕跡が含まれることが示されてきましたが、その痕跡にどのような情報が保存されているかは不明でした。本成果は、それが目次の役目をする情報であることを解読した画期的な成果です。


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2018-08-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

眠気の実体

眠気は睡眠に対する欲求です。眠気は覚醒時間が長くなるにつれて蓄積していき、眠ることで消えていきます。しかし、眠気が起きている時、脳で何が起こっているのか、その実体は全くわかっていません。  筑波大学はSleepy 変異マウスを使って眠気のメカニズムの解明を試みました。Sleepy 変異マウスは睡眠量が正常マウスより大幅に増えているにも関わらず、いつも眠いと感じているマウスで、SIK3 と呼ばれる蛋白質リン酸化酵素の遺伝子に変異が起きていることがわかっています。Sleepy 変異マウスと、長時間無理矢理寝ることを妨害した2種類の眠いマウスを比較しました。  

すると、眠いマウスは両方とも脳の特定のリン酸化酵素群による80種類の蛋白質のリン酸化が強まっていることがわかりました。また、眠気が強いほどリン酸化度合いも高いことがわかりました。そこで、このタンパク質の活動を阻害する薬を投与したところ、眠気が抑えられることがわかり、SIK3遺伝子が眠気に重要な役目を担っていることが確認されました。



2018-08-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

自然環境音で平均寿命が最大17%延長

国立精神・神経医療研究センターなどの研究でマウスに自然環境音を聴かせながら飼育することによって、平均寿命が最大17%延長することを世界で初めて発見しました。動物の生活環境は動物に大きな影響を与えますが、これまでは有害物質や放射線などの影響が主な研究対象でした。今回、音が新たな因子として確認されたことになります。

また今回の実験では音環境が人間を含む動物に与える影響を考えるときには、音として聴覚で感じることのできる成分だけに注目するのではなく、意識で捉えることのできない波長の成分にも同じように注意を払う必要があることもわかりました。音環境を豊かにすることは、社会的な緊張関係を緩和して、攻撃やいじめなどによるストレスを減少することにより、皆が仲良く長生きする「ピンピンコロリ」の状態を導く可能性が示唆されます。


2018-08-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヒトの脳は「脂質+糖質」を好む

米イェール大学の研究によると、ヒトの脳は、本能的に脂質と糖質の組み合わせを好むようにできている可能性があるそうです。脳の報酬系の神経細胞の活性化を観察すると、脂質(ミートボール)と糖質(キャンディー)のどちらか一方を多く含む食品よりも、ファストフードや加工食品などの両方を含んだ食品の方が、報酬系神経細胞がより活性化したということです。  

つまり、カロリーは同じであっても、脂質と糖質の両方を含む食品の方が脳は高い報酬と考え、それを欲するように本能に働きかける、脳内の報酬系は単純にカロリー量の増加に応じて活性化するわけではないということです。科学者にとっては驚きなのだそうです。

ヒトの脳は「脂質+糖質」を好む
http://www.recipe-blog.jp/profile/66737/recipe/843062  

この研究では、糖質が多い食品の代表としてキャンディー、脂質の多い食品としてミートボールやチーズ、両方を多く含む食品としてケーキを使ったそうですが、私ならミートボールを選ぶと思うので、まぁ、このへんは人それぞれ、ということで。


2018-08-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ネッシーを科学的手法で探す

イギリス、スコットランドのネス湖にネッシーはいるか?

今回、ニュージーランド、オタゴ大学を中心とする国際研究チームが、ネス湖の水に含まれているDNA断片の配列を片っ端から決定することで、この湖にネッシーがすんでいる(あるいはすんでいた)かをめぐる論争に決着をつけようとしています。 この方法は環境DNAと呼ばれます。つまり、生物がある環境で生活している限り、皮膚の細胞がこぼれ落ちたり、死体が分解されたりしてその生物のDNAが生息環境中に散らばるので、それを分析して元の生物が何なのかを明らかにしよう、という研究手法です。  

研究チームは、今年、2018年4月からネス湖の水のサンプルを採取していて、現在解析中です。調査結果は2019年1月までに発表される予定です。  

現在ではあらゆる生物のDNAパターンがデータベースに収載されているので、その中に存在していないDNAパターンを探し、そのようなものがあればそれは未知の生物かもしれない、というものです。

ネッシーを科学的手法で探す

実用的には、たとえばシカゴ周辺の運河で、そこにいるはずのないアジア産のコイのDNAが見つかり、侵略的外来魚が五大湖まで広がろうとしていることを明らかにしたりしています。また、ナショナルジオグラフィックの記事によると、現在、ナショナル ジオグラフィック協会のチームは、1930年代に行方不明になった米国の女性飛行士アメリア・イアハートが不時着して死亡したと考えられている南太平洋のニクマロロ島で、採集した土から環境DNAを抽出し、彼女のDNAが含まれていないか確認しようとしているのだそうです。  

ネッシーの形は典型的な首長竜ですが、化石に基づいた研究では首長竜は6600万年前には絶滅したことになっています。


2018-08-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第716回 ルービック・キューブの解き方を自ら学ぶAIついに完成

ルールを教えるだけで問題を解決したり、ゲームに勝つ方法を編み出したりするAIが注目を集めています。囲碁ソフト AlphaGo Zero はそのもっとも有名なものです。2015年に人間のプロ囲碁棋士に初めて勝利したコンピュータープログラムAlphaGoは膨大な過去の棋譜データを解析することによってゲームを展開するシステムでしたが、2017年に発表されたAlphaGo Zeroは囲碁のルールを教えるだけで、既存の棋譜を参照することなく自分同士の対戦を繰り返し、3日間で490万回対戦することによって最強の囲碁プログラムに自ら成長しました。  

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究者が開発したルービック・キューブを解くシステムも、自ら学ぶことによって、ランダムに混ぜられたキューブを平均30手で解くことができるまでに成長して話題になっています。ハンガリー人の発明家エルノー・ルービックが1974年に開発した3次元パズル「ルービック・キューブ」については、数学者による解析で、あらゆる状態からパズルを解くために必要な最も少ない手数は、2014年に26手だと証明されました。  

今更自己学習AIに注目が集まっているのは、自己学習AIにルービック・キューブを解かせることは囲碁や将棋以上に困難だからです。というのも、将棋であれば自らの一手が勝負に対して有利だったか不利だったかを判定することができます。機械学習において重要なのは、そのとき取った行動が有効であったかどうかを判定することです。


ヴォイニッチの科学書 第716回 ルービック・キューブの解き方を自ら学ぶAIついに完成


ところが、ルービック・キューブでは判別が難しいという問題があります。ルービック・キューブをランダムに動かしても、新しい配置が解決により近いのかどうかの判断が難しいためです。研究チームは、人間の手助けなくルービック・キューブの解き方を学習できる「独学反復法」という新しい深層学習手法を開発し、「ディープキューブ(DeepCube)」というルービック・キューブを解くシステムを完成させました。独学反復法では、完成したキューブからさかのぼって、その動きが完成に近づくものであるかどうかを判断するのがポイントで、直近の操作が、その地点での最善の動かし方ではなくても、一連の動きで完成に近づけば、その動作は有効な判断とされる仕組みです。囲碁や将棋には棋譜にゴールはありませんが、ルービック・キューブのゴールは必ずすべての面がそろってゴールする、という点を利用した解法です。  

システムの完成度としては、解けないパターンはゼロ、解決までの平均回転数は30手。この研究のゴールはルービック・キューブだけではなく、同様に立体的な配置が重要となる、薬と病気の原因タンパク質との組み合わせ解析などに応用できるそうです。


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2018-08-13 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

生のアルマジロは食べない方がいい

アルマジロの肉は鶏肉に似ています。日本ではあまり食べませんが南米などでは食用にされています。特にココノオビアルマジロ(別名:ニワトリアルマジロ)は栄養を大量に与えて豚のように太らせて食用に販売されていることもあります。

ところが、アルマジロの肉はハンセン病を引き起こす可能性があるという報告が米コロラド州立大学から出てザワザワしています。この論文によるブラジル西部のパラー州で採取されたニワトリアルマジロの62%が、ハンセン病の原因菌であるらい菌(マイコバクテリウム・レプラ)を保有していることが明らかになったというものです。特に、アルマジロの生のレバーを玉ねぎとあえた有名料理のアルマジロのレバー・セビーチェはらい菌は肝臓と脾臓に集中する性質があるため要注意です。実際に、現地の住民を検査したところ、半分上の人でらい菌の抗体が検出され、それはすでに感染していることを意味しています。

生のアルマジロは食べない方がいい
これは卵をスモークしたアルマジロの肉で包んだもの、アルマジロに限らず野生動物は火を通して食べましょう。


2018-08-13 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

空気を推准剤にする人工衛星用エンジン

人工衛星は様々な高度で地球を周回していますが低い軌道を周回する衛星の高度は200キロメートル程度です。これくらいの高さには希薄な大気が存在するため、人工衛星は、空気抵抗を受けてブレーキがかかり、やがて高度を維持できなくなり落下します。

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)は、「ラム電気推進器」という新型エンジンを開発しました。このエンジンは、前方から取りこんだ気体分子を帯電させ、電気的な力で加速してから後方に噴出することで推力を得ます。高度200キロメートルの環境を再現した実験によって、このエンジンが適切に動作することが確認され、衛星に搭載すれば低軌道衛星の寿命延長や、さらに低い軌道での人工衛星の運用が可能になります。また、地球以外の天体でも運用可能なので、火星周回する探査衛星にも適用できます。

空気を推准剤にする人工衛星用エンジン

空気を推准剤にする人工衛星用エンジン


2018-08-12 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

高エネルギーニュートリノ

高エネルギーニュートリノ

南極点の地下約1600メートルに建設された施設、アイスキューブ・ニュートリノ観測所が高エネルギーニュートリノを検出することに成功しました。高エネルギーニュートリノは1900年代初頭に当時の物理学者のヴィクトール・ヘスが宇宙のどこからか地球に地球に降り注ぐ高エネルギー粒子、つまり宇宙線として発見しましたが、その発生源が何なのかを突き止めることはできていませんでした。  

光は宇宙空間を直進しますので、光を発している星の方向を特定するのは容易ですが、高エネルギー粒子は磁場があると曲がるので、どこから飛んできたのかを特定するのが困難です。そこで、科学者はあらゆる物質と相互作用せずに地球さえ貫いてまっすぐ進むニュートリノに着目しました。  

アイスキューブ・ニュートリノ観測所は、南極の氷の中深く、体積1立方キロメートルの南極の氷に5160個の光センサーを埋め込んだ検出器で、猛スピードで地球を通り抜けるニュートリノが、氷の中の原子核と相互作用するときに生じる小さな閃光をとらえます。これまでにも、太陽や近くの超新星残骸から飛来するニュートリノをとらえていましたが、それらはいずれもエネルギーが小さく、高エネルギーニュートリノとは言えない、発生源が近隣にあるニュートリノばかりでした。この度初めていくつかの高エネルギー宇宙ニュートリノの発生源を特定することに成功し、それが銀河系の外側の、はるかかなたの銀河であることを特定しました。  

2017年9月22日にアイスキューブで検出されたニュートリノは290TeV(テラ電子ボルト)ものエネルギーを持ち、素粒子研究の最先端で使用されている大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の高エネルギー陽子ビームの約50倍も強力で、つまり、人類がいまだ作り出す技術を持っていないレベルの発生源から放出されたエネルギー粒子でした。このニュートリノの進路を逆にたどると、オリオン座の近くの領域から飛来していたことがわかり、その領域には40億光年かなたに「ブレーザー」と総称される巨大楕円銀河があり、中心部分の超巨大ブラックホールがときどき活発化して高エネルギー粒子を撒き散らしていました。エネルギー粒子のジェットを噴き出す方向は常に変化しますが、今回、たまたま地球の方向に向かってエネルギー粒子を噴き出したようです。

高エネルギーニュートリノ
ブレーザーの一例、マルカリアン501銀河

2018-08-12 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第715回 ジュラシック・パーク/ワールドをもう一度考える

ヴォイニッチの科学書 第715回 ジュラシック・パーク/ワールドをもう一度考える
©Universal Pictures

7月13日に劇場公開された「ジュラシック・ワールド/炎の王国」ではパーク崩壊後のイスラ・ヌブラル島で生きている恐竜達を火山噴火が襲います。ジュラシック・パークシリーズ第5作目となる本作、第1作の小説が出版されたのが1990年のことでした。恐竜をDNAを使って復活させるというコンセプトについては、この18年の間に遺伝子を操作する技術は著しく進歩しています。1990年の時点では恐竜を復活させることは100%不可能でしたが、現在の技術であれば恐竜をよみがえらせ、1億年の時を超えて地球上で共存が可能なのでしょうか。

ジュラシック・パークシリーズでは、琥珀の中に閉じ込められた蚊が吸っていた恐竜の血液から恐竜のDNAを採取して復活させました。虫が閉じ込められた琥珀は博物館の売店などで容易に購入することができますが、最近では恐竜の皮膚が封入された琥珀も見つかっています。

ですが、残念なことに1億年も前の琥珀から、恐竜を復元できるほどきれいなDNAが抽出される可能性はないと考えられています。DNAは分解されやすく、現時点で化石記録に残っている最古のDNAは約100万年程度前のものです。バラバラに分断されたDNAをコンピューターで解析して復元する研究も進んでいますが、完全に失われた部分は鳥などのDNAを流用せざるを得ず、非常に困難な問題です。とはいっても、このまま遺伝子編集の技術が進展し、恐竜を含む多くの生物のDNA標本がデータベースに登録されていけば、100年後くらいには恐竜を復活させる技術が誕生しているかもしれません。

そこから先も大変です。復活させた恐竜に巨大な身体を満足させるエサとして何を与えればよいのでしょうか、復元された恐竜の代謝系は1億年後の現在の食べ物を食料として利用できるのか。地球上のどこで飼うのか、1億年前と同じ環境の場所など地球上には残っていません、そもそも、大気の組成さえ違います。あるいは倫理上の問題を無視して檻の中に閉じ込めておくのか。逆に考えれば、恐竜の子孫の鳥を人間は食べているので、復元された恐竜は結局、人間の巨大な食料になるのか・・・


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2018-08-11 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

フォーン・ウォーキング

イリノイ大学シカゴ校の研究者らがスマホを手にもって歩く行動について研究し、パリを歩く成人約3000人の22%がスマホを手に持って歩く「フォーン・ウォーカー」であることを明らかにしました。

男女差についてみると、男性のうち約20%がフォーン・ウォーカーであったのに対し、女性の場合は33%でした。また、一人で歩いている男性の30%、女性の37%がスマホを持っていたのに対し、男女のペアの場合はわずか18%しかスマホを持っていませんでした。

フォーン・ウォーキングの理由は、メッセージを受け取った時、一定時間内に返信をしなければならないという社会的なプレッシャーだと考えられますが、一部の人は、他人からのメッセージなどめったに届かないにもかかわらず、コミュニケーション上の必要性を通り過ぎて、自分のスマホに精神的に依存し過ぎているためだとされ、そのような人が増えてきていることが新たなタイプの依存症、あるはスマホ無し恐怖症のような社会的問題だと指摘されています。


2018-08-11 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

50億年後、太陽が死ぬと何が起こるのか

50億年後に太陽が寿命の終わりを迎えると何が起こるのかは、これまでは様々な可能性が指摘され、明確ではありませんでしたが、ニュージーランド・ニコラウス・コペルニクス大学、英・ジョドレルバンク天文台の研究チームによる最新の研究によると、太陽系は暗い惑星状星雲となって最期を迎えるようです。 太陽と同程度か、太陽より数倍大きい程度の星は一生の最終段階でガスや塵の外層を放出します。放出されたガスや塵が、あとに残った高温の中心核に照らされて輝いて見えるのが惑星状星雲です。太陽は比較的軽いので、惑星状星雲としてはそれほど明るく輝かないと考えられます。研究チームの計算によると、太陽の質量は、暗いながらも見ることができる惑星状星雲を作り出す下限近くであり、太陽が今よりも数パーセント軽いだけで、惑星状星雲を輝かすことはできなくなるだろう、と算出されています。

50億年後、太陽が死ぬと何が起こるのか
これは地球から7000光年かなたにある暗い惑星状星雲です。太陽も50億年後にはこのような姿になるのかもしれません。その時に地球はどうなるのかはいろいろな説がありますが、このガスのボールの中で暗く小さくなった太陽の周りを人類文明の大都市の遺跡を残したまま公転しているかもしれません。


2018-08-10 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ニューロンがつくられるのは子供だけ

記意をつかさどる脳の海馬では子供のころにニューロンが次々と生みだされています。少し前までの研究では大人の海馬でも同様にニューロンの新生は行われているだろうと考えられていました。ところが、カリフォルニア大学の研究者らがさまざまな年齢のヒトの脳の海馬を調べたところ、新たなニューロンを生み出すために必要な神経幹細胞の数は、ヒトの生後1年で急激に減少し13歳を過ぎると残っていないらしいことを発見しました。

今回の結果は、 これまでの定説とは異なり、霊長類の海馬のニューロンの新生は、生後1年間で急速に減少し、成体ではほとんどおきない可能性を示しています。


2018-08-10 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ホンオと人間の歩行は共通

韓国料理ではしばしば登場するホンオ、つまりガンギエイですが、生物学的には歩く魚として有名です。ガンギエイはエイらしい大きなヒレを持っていますが、これとは別に小さなヒレが生えていて、これを人間と同じように左右交互に動かして歩き、走るときのヒレの曲げ方も人間の足の曲げ方にそっくりです。

ラトガーズ大学ピスカタウェイ校の研究者らがガンギエイの歩行に関係する遺伝子や神経を調べたところ、歩行に関係している神経細胞や遺伝子は、哺乳類の歩行で使われるものと同じであることがわかりました。

陸上動物が現れたのは4億年前ごろですが、それよりも2000万年以上前の海の中ですでに陸上生物の歩行に必要な身体の構造が出現していたことになります。また、原始的なガンギエイ類が人間が歩くのと同じ遺伝子、神経系でヒレを動かして人間と同じように歩いていることがわかったのは科学者にとっては興味深い発見です。


2018-08-09 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第714回 鳥の離婚率

独マックス・ブランク鳥類学研究所の研究者らが鳥の離婚率について調査を行いました。動物は多くの場合、結婚の概念がなかったり、強い一頭のオスを頂点にしたハーレムを形成したりしているので、離婚のカウントが難しいのですが、特定のパートナーとつがいを形成する鳥については、離婚率調査が可能です。オオアオサギは繁殖期ごとに離婚するので実質100%。コウテイペンギンは約85%が離婚。マガモは9%でアホウドリは離婚しません。

今回はドイツ南部の保護林で数百羽のアオガラを8年間観察しました。アオガラは人間をあまり恐れず、都会暮らしに適応したスズメの仲間で、配達された瓶牛乳を勝手に飲んだりするなじみ深い鳥で、都市環境での生態はとても興味があります。

ヴォイニッチの科学書 第714回 鳥の離婚率

その結果、アオガラは64%のつがいが1年以内に離婚することがわかりました。研究者らは離婚することが繁殖上有利である可能性があると考え、育てたヒナの数も併せて検討しましたが、むしろ、離婚しないつがいのほうが多くの卵を産み多くのヒナを育てたので、離媚に繁殖上の利点はないこともわかりました。

また、離婚したつがいの2羽が以前の繩張りにほぼ同時期に戻ってきた場合はなんのためらいもなく再婚することもわかりました。戻るタイミングが合わない場合はそれぞれ、近場にいる別の異性と結婚しました。繁殖のことを考えると、前の相手にこだわることは繁殖のチャンスを減らすことにつながるので、これは理にかなった行動に思われます。特に都会で暮らすアオガラは猫に襲われたり、車にぶつかったりして成烏の死亡率は約50%と極めて高いので、パートナーにこだわっても、相手は次に会う前に死んでしまっている可能性が高いのです。


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2018-08-09 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

古代の墓から新種の類人猿の骨を発見

中国の秦の始皇帝の祖母「夏太后」の墓で宝石や工芸品とともに見つかった動物の骨が、絶滅した新種の霊長類のものであることがわかりました。この墓にはツキノワグマやヒョウ、ヤマネコ、ツルなどの動物も副葬されていましたがそれらに交じって発見された骨は当初、何の骨か特定することができず、米アリゾナ州立大学が骨格のレーザー測定を行い、現在ではすでに絶滅した新種のテナガザルの骨であることが推定されました。

この新種は今から2000年ほど前に、現在の中国陝西省(せんせいしょう)の森で暮らしていたものの、人口の増加とともに広大な農地が必要になり、森林が伐採され、樹上生活を好むテナガザルは数百年前に絶滅したと考えられます。


2018-08-08 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ビールの苦味成分が手足の痛みや痺れ、腹痛を抑制することを発見

近畿大学の研究グループは、ビールの苦味や香りづけなどに使用されるホップの成分が、リウマチの痛みや神経損傷による痛みなど幅広い痛みの治療に応用できることを動物実験で確認しました。特に、モルヒネをはじめとする麻薬性鎮痛剤が効かない神経障害性疼痛、つまり、糖尿病の合併症や抗がん剤の副作用が原因となる痛みにも有効である可能性があります。作用メカニズムはCav3.2T型カルシウムチャネル阻害であることも確認されています。

ビールの苦味成分が手足の痛みや痺れ、腹痛を抑制することを発見


2018-08-08 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

若い星の周りに生まれたばかりの惑星

恒星の周りに惑星が誕生する仕組みについて、これまでの観測では若い星の周りに何本ものガスや塵のリングが見られることがあり、通説ではこのリングは形成中の惑星によって作られていると考えられています。

オーストラリア・モナシュ大学などの国際観測チームは、若い星を取り巻く円盤のガスの動きをアルマ望遠鏡で詳細に調べ、星の周りに誕生直後の惑星が3個存在する確かな証拠を発見しました。研究チームが観測したのは、いて座の方向330光年の距離に位置する「HD 163296」を取り巻く円盤です。HD 163296の質量は太陽の約2倍。年齢は約400万年で、太陽の約50億年と比較すると非常に若い星です。(次写真)

若い星の周りに生まれたばかりの惑星

惑星存在の証拠を発見するために、観測チームは、星の周りの円盤に含まれる一酸化炭素分子が放つ特定の波長の電波を観測するという新しい手法を採用しました。一酸化炭素分子が動くとドップラー効果が起こり、波長にわずかな変化が生じます。もし円盤内に惑星が存在していれば、惑星の重力によって局所的にガスの動きが乱され、ドップラー効果にも乱れが生じるはずで、それが惑星発見の決め手となります。この手法では、惑星の質量までも正確に求めることができ、惑星の存在を確実に把握することができます。

今回観測した惑星の軌道は中心星から120億、210億、390億kmの距離に惑星があることが確認され、太陽と地球の距離のそれぞれ80、140、260倍の位置に相当し、惑星の質量は木星の1~2倍程度とみられます。


2018-08-07 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :

ヴォイニッチの科学書 第713回 筋肉と機械が融合したバイオハイブリッドロボットを開発

東京大学の研究者らは生きた骨格筋細胞を樹脂製の骨格上に培養することで、人間の関節と同じように動作する、バイオハイブリッドロボット関節の作成に成功しました。この骨格筋細胞は電気刺激によって収縮し、人間そっくりの動作をします。

ヴォイニッチの科学書 第713回 筋肉と機械が融合したバイオハイブリッドロボットを開発

ロボットの関節にモーターではなく、骨格筋を使ったことによって、生物のように柔らかい運動を再現できますので、再生医療への応用も期待されています。このような細胞と人工物を組み合わせたバイオハイブリッドロボットはすでに数多く試験機が作られていますが、本機の特徴は人間の関節と同様に筋肉2本を搭載し、1本の筋肉を伸ばし、もう1本を縮めることによる関節の動きの再現に成功した点です。 これにより、常に一方の骨格筋組織がもう一方から引っ張られるため、単一組織の培養時に起こる硬直が起きなくなり、従来の類似関節では3日後にはほぼ動かなくなるのに対して、7日間という長期間、収縮性能を維持できるようになりました。


今回の発表ではロボットの筋肉を電気信号で駆動しましたが、東京大学の研究グループはすでに、電極の代わりに運動神経を接続することによって神経刺激による骨格筋組織の収縮にも成功しており、今後は、神経刺激によって駆動するバイオハイブリッドロボットとしての発展も期待されます。


ヴォイニッチの科学書 第713回 筋肉と機械が融合したバイオハイブリッドロボットを開発



この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
無料版は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。
有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


2018-08-07 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
ホーム  次のページ »

おびおのプロフィール

おびお

Author:おびお
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
ツイッターアカウント:@cradiobio
ものことごはん:http://obio2.blog.fc2.com/

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

07 | 2018/08 | 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

QRコード

QR