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温暖化で動物が小さくなっている

(日経サイエンス 2018年11月号より)

古生物学の研究領域では過去、地球気温が上昇した時代には、動物が小さくなっていたことが化石などの研究からわかっています。そして、現在、多くの生物種で小型化が進行していることが明らかになり始めました。体が小さくなりつつあることがわかった動物は、カエル、ウミイグアナ、ヘビ、カメ、サンショウウオ、ネズミ、ハエ、チョウなど多様な動物種に広がっています。

地球上に、それらの小型化する動物と、人間のように小型化が今のところみられない動物が混在することになると、食物連鎖が乱れます。食物連鎖の乱れは、小型化の波に乗り遅れた人類の生存を脅かします。たとえば、世界の魚の多くが今後30年でかなり小型化する可能性が示されており、そうなれば、食料としての魚の供給が今よりもかなり減少することを意味します。

身体サイズの小型化は動物の代謝の変化とそれに伴う食物の必要性の変化に関係があると考えられています。動物を温めて育てる実験によると、暖かい環境で育った動物は、早い段階で性成熟することが多くの動物種で観察されています。結果として、低温環境で育った場合よりも小さめの身体となります。

リバプール大学の研究によると、陸生と水生の動物169種について成熟と温度の関係を解析した結果、温度が高いと90%の種が小ぶりの身体サイズで成熟に達することがわかりました。 成熟までの時間は代謝と密接に関連しています。代謝は化学反応なので、温度が上がると反応速度が上昇します。代謝が速いと、より多くの食物が必要になります。代謝が増えた分は食料で賄わなければなりませんが、それが十分にできないなら、食事から得たエネルギーを成長と繁殖に振り分けざるをえなくなり、たいていは繁殖が優先され、その動物は以前よりも小さな身体サイズで成熟に達して繁殖することとなります。  

一方で、この変化は地球の気候変動ではなく、人類の活動が原因だとする説もあります。人間は大きな魚を捕まえることで、魚の小型化につながる進化圧を生じうる、という考え方です。魚の小型化傾向がこのまま続けば、様々な魚種の最大重量の平均値が地球全体で2050年までに14~24%下がる可能性があると考えられ、これでは増え続ける人口を養うことができません。人類が存続するには、人類自身も小さくなって、必要な食料を減らす必要があります。


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2018-11-06 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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