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植物自身に窒素固定能をもたせる

(月刊化学2018年11月号より)  

植物は大気中の窒素をそのまま取り込んで栄養とすることはできませんので、野菜が生育するには肥料として窒素が必要です。  

窒素肥料は、空気から作られるのですが、現在の製造方法はハーバー・ボッシュ法と呼ばれる古い方法で500~600℃の温度と、200~500気圧という高圧条件で窒素分子に水素分子を反応させてアンモニアに変換します。窒素肥料の製造に大量の化石エネルギーが使われている点は技術革新が必要です。

それだけの環境負荷をかけて生産された窒素肥料も利用効率、つまり、使用した量に対する野菜が取り込んだ量は非常に低く、農場にまいたほとんどの窒素成分は環境中に流出し、飲料水の汚染や土壌の酸性化、川や湖の富栄養化という問題を引き起こし、生物多様性の低下を助長しています。また、土壌中にとどまった肥料も、微生物の働きで分解され、一酸化窒素という、二酸化炭素の300倍もの温室効果をもつガスとして大気中に放出されます。

そこで、最新の研究として、野菜の遺伝子を組み替えて、空気中の窒素を栄養として使えるようにしよう、という研究が進んでいます。作物に空気中の窒素を取り込ませるには、空気中の窒素を利用できる原核生物が持つニトロゲナーゼという酵素を利用するのが最も良いと考えられています。

この遺伝子組み換え研究は日本では名古屋大学など。また、イギリスと中国のグループは、大腸菌でのニトロゲナーゼの活性発現系をすでに確立しており、この大腸菌を使って、野菜の中でニトロゲナーゼを機能させるために必要な遺伝子を特定する研究を進めています。アメリカ・モンサント社の研究グループは、タバコの葉緑体DNAに導入することで、酵素活性が検出されたことを報告しています。


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2018-11-07 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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