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ネオテニー(幼形成熟)

ネオテニーとは、動物において、幼い姿のまま、生殖に関与する臓器が成熟し、繁殖する現象で、日本語では幼体成熟といいます。たとえばメキシコサンショウウオは陸上で肺呼吸しますが、原産地では変態を終えないまま成熟し、エラ呼吸の子供(幼生)の姿のまま生殖しますが、これがウーパールーパー、アホロートルです。アホロートルは環境の変化によりメキシコサンショウウオの大人に変態することもできますし、人為的に甲状腺ホルモンを与えると同様にメキシコサンショウウオの大人に変態します。アホロートルのネオテニーは甲状腺ホルモンの不足によるものと考えられ、多くのネオテニーを示す動物において共通であろうと考えられています。

ネオテニーは進化のうえで重要であるとの説があります。たとえば昆虫類は多足類 (多足類の幼生は昆虫同様に3対の脚しか持たない) のネオテニーによって生じたといわれています。

また、人間も幼児と大人の姿が似ていることから、ネオテニーではないかという説もあります。ただし、人間の場合はネオテニーに替えて、胎児化という表現が使われることもあります。胎児化とは哺乳類において祖先動物の胎児に近い形態を保持したまま成体化することによって進化することです。特にヒトについては類人猿の胎児または幼児に似た形態をもつことが指摘されています。たとえば体重に比して脳が重いこと、顔面が突出していないこと、体毛が少いことなどです。つまりヒトとオランウータンを比べた場合、赤ん坊同士はよく似ています。しかし、ヒトとオランウータンの大人同士を比較すると大きく異なる、ということです。

多くの生物は、不完全な状態で誕生し、成長するにつれて環境に適応した大人の姿になります。ところがネオテニーの場合は言い換えれば環境に適応した大人の姿になることなく、生殖機能を成長させるともいえます。成長がすなわち環境への適応だとすれば、成長して大人になることは、特定の環境で生きる姿に特化し、ダイナミックな環境変化への適応力を失う過程だと考えることもできます。このことから、環境変化に強い、あるいは、あらゆる環境で生活できる、より進化した種はより幼児的形態をとどめるという仮説が唱えられています。


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2019-07-15 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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