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ワイル粒子を用いた不揮発性メモリ素子の原理検証


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東京大学、トランススケール量子科学国際連携研究機構、理化学研究所の共同研究グループは、反強磁性体中において、幻の粒子「ワイル粒子」の電気的制御に成功し、ワイル粒子の作る巨大電圧信号を利用した不揮発性メモリの動作原理を実証しました。

磁性体は「スピン」と呼ばれる電子の自転運動に起因した微小な磁石を有する物質です。スピン1個1個の力は弱いのですが、マクロな空間でスピンが集合して、秩序だったふるまいをすると、磁気秩序を示します。磁気秩序はスピンの向きによって2種類に分けられ、一つは強磁性体で、これはスピンが同じ方向に揃ってで磁石のように大きな磁化を示す磁性体です。もう一つは、反強磁性体と呼ばれ、隣り合うスピンが互いを打ち消しあうように配列することで正味の磁化がゼロもしくは非常に小さくなっている磁性体です。

1921年にドイツの数理物理学者ヘルマン・ワイルが提唱したワイル方程式に従って記述される質量ゼロの粒子(ワイル粒子)を持つ物質はワイル半金属と呼ばれています。ワイル半金属において、磁性によって創出され、磁石のN極・S極の対に相当するワイル点を持つ磁性体をワイル磁性体といいますが、ワイル磁性体では磁場などの外部からなんらかの作用を与えることで、磁気秩序を制御することが可能です。そのため、ワイル点の制御を介して、仮想磁場の制御が可能で、これはまさに磁気メモリに相当します。

反強磁性体はスピンの応答速度が、既存のメモリのベースとなっている強磁性体に比べて2〜3桁早いピコ秒オーダーであるため、メモリ素子に反強磁性体を用いると、超高速の情報処理を行える可能性があります。この超高速性はビヨンド5Gに必要とされる性能であり、すでに応用されている強磁性体を用いた不揮発性メモリでは到達不可能な領域です。
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2020-05-12 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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