Chapter-610 脳もゴミ出しをしている

人間の脳の重さは1400グラム。体重に占める割合は2%程度ですが、エネルギーは全身で使用される4分の1を消費しています。

それらのエネルギーは血管を介して脳に供給されますが、それであれば大量のゴミも出るはずです。これまでの推定では毎日7グラムのタンパク質ゴミが排出されているであろうと計算されていますが、どのように処理されているのか全く不明でした。  

また、米国ロチェスター大学の研究者らがアルツハイマー病患者ではゴミタンパク質が脳に大量に溜まっていることを発見し、そのような病気では脳のゴミ出しがうまくできないことが発症に関係あるのかもしれないと推測しました。拙著「身体をめぐるリンパの不思議」(技術評論社)の中でリンパシステムの重要な役割はゴミの回収だ、と書きました。この本の中でも既に脳がリンパシステムを使って老廃物を回収する仕組みを図解しています(88ページ)。

Chapter-610 脳もゴミ出しをしている


脳の血管は外側に血管周囲腔を持つ二層構造になっていて、内側を血液、外側をリンパ液が流れています。血管周囲腔の外壁には腎臓と似たタンパク質構造を持つことが発見されました。腎臓は血液中の老廃物を尿として排出する臓器です。脳は外部からの衝撃を防ぐために脳脊髄液という液体の中に脳を浮かべるようにして保護しています。脳ではゴミが脳脊髄液の中に排出されて腎臓のような機能を併せ持つ脳の血管を介してリンパ系に排出されているようなのです。  

腎臓のような機能はアストロサイトと呼ばれる細胞に存在しています。アストロサイトは脳の細胞骨格、神経細胞のメンテナンスやイオン濃度の調整、エネルギーの調整などたくさんの重要な役目を併せ持っていることがこれまでの研究で分かっていますが、脳における尿排泄(=腎臓細胞)のような役目まで担っていたのです。このシステムはグリンパティック系と命名されました。


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tag : リンパ

2016-08-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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