へこたれないロボットの開発
被災地や破壊された原子力発電所でのロボットの活用がいろいろと検討されていますが、テレビで模擬災害現場でテストとされるロボットを見て「なんと頼り無い・・・」と感じた経験のある方も多いと思います。空調が効いてフィルターを通した綺麗な空気が送られる快適な工場ではすでに人間をしのぐ大活躍のロボットも、何が起きるか予想もつかない環境では人間ほどには活躍できないのが現状です。
そこで、東日本大震災、阪神淡路大震災などの極限環境においても災害復旧や人命救助ができるへこたれない「タフロボット」の研究が進んでいます。たとえば、東京工業大学とブリヂストンではロボットが活動するための筋肉となる「タフ油圧アクチュエータ」を開発しています。
多くのロボットでは筋肉の代わりにモーターを使っていますが、地球上で繁栄している生物においてモーターを使用しているのは細菌のべん毛スクリューくらいしかないことからわかるように、モーターは地球上で活動するのにふさわしいメカニズムではありません。その理由は
・重さと出力のバランスが悪い=重い割に力が出ない
・構造が複雑で作りにくいし壊れやすい
・強力さとしなやかさの両立が難しい
などです。そこで、大きな力を出すことができ、かつ作業に応じて柔らかく動くことも可能な人間の筋肉に着目して研究されているのが「ハイパワー人工筋肉」です。
油圧で動くこの人工筋肉は同じ重さのモーターの10倍の出力を出すことが出来ますので、本体を大型化することなくハイパワー化、あるいはさらに本体を小さくして狭い倒壊建物の中でも充分な出力を得ることが出来ます。しかも油圧の特徴であるしなやかな動きと材質がゴムであるため外部からの振動や衝突を受け止めても壊れにくいメリットもあります。
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