うつ病を回復させなくても自殺は防げる

厚生労働省「自殺者の推移」データによると(こちらをクリック)、日本の自殺者数は1998年に突然、年間1万人近く増加し、その後2011年まで毎年3万人以上、1日に100人近くが自殺している異常な事態が続いていました。近年は漸減傾向にあると言っても2万人を超える人が自ら命を絶っています。

自殺の直接的原因は過労、失恋、失業、お金がない、様々ですが、多くの場合においてその背後にある神経メカニズムとしてはモノアミンの枯渇などによる意欲低下、そこから発症するうつ病だと思われます。

スウェーデン・ルンド大学の研究者らがうつ病になって自殺企図をしながらも生き抜く力を回復した人たちに対して追跡調査を行いました。入院が必要なほど重度なうつ病を発症しながらも自殺を回避できた患者13例を対象にした調査で、患者本人からいろいろな回想(告白)を得ることが出来ました。それによると・・・・
・自殺を考えたときには自分では死ぬ以外に回避するすべがないと感じる状況に追い込まれた
・他社による心のケアが自殺回避に有効だった
・「この人のために生きよう」といった自分自身の強い意志による決断が重要だった
つまり、コントロール不能になった精神状態を外部の支援を得ながら、自分を取り戻す力を自ら回復した人が自殺を回避できたと言うことです。また、この調査でわかった注目すべきは、自殺の回避とうつ病の治癒は実は関係がない、自殺回避のためにはうつ病完治は必要がなかった、ということです。

研究者らはうつ病治療とは別の問題として、長い時間をかけて家族や医師などのプロが自殺回避を目的としたケアを根気よく続けることによって自殺を防げる可能性を指摘しています。

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2017-03-20 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
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