医薬品の薬物動態研究が著しく進展するかもしれない技術

血液脳関門と小腸をiPS細胞で作製することに成功しました。

脳は非常に繊細で重要なので、有害物が入り込まないように強固なバリアで守られています。これを血液脳関門(BBB:ブラッド・ブレイン・バリア)といいます。BBBは血液と脳を隔てるバリアですが、酸素や栄養分などは通過させ、それ以外の脳に必要ない物質を通過させない特殊な構造をしています。ここでやっかいな事は医薬品でさえ必要ない物質と判断されてしまう点です。

アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症などの病気は脳の神経が損傷する事によって起きると考えられています。それらの治療薬の研究・開発は盛んですが、研究が失敗する理由の一つがBBBを薬が通り抜けられない事にあります。  

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所はBBBを試験管内で再現するために必要な血管周皮細胞という細胞をiPS細胞から作ることに成功しました。この細胞と血管細胞を組み合わせることによって試験管内でBBBを作りだし、BBBを通過して脳に届く医薬品を探す研究方法を今後開発する予定です。  一方で、立命館大学の研究者らはヒトの腸管の構造を再現する技術を開発しました。小腸は飲み薬が身体の中に入っていく部位ですので、それを試験管内で再現する事が出来れば、吸収されやすくてよく効く薬の研究・開発に役立てる事が出来ます。  

開発したのは空気の通り道がたくさん内部にあるシリコン樹脂のシートです。これに空気を吹き込むと風船のように膨らんで平らなシートが筒状になります。表面に小腸の細胞を付着させておけば、実験で使える筒状の小腸になります。この人工的な小腸は非常に丈夫で細胞が剥がれ落ちる事もありませんでした。また、小腸内側の特徴である粘膜層もこれまでの培養細胞よりも実際の人体の状態に近かったため、非常に正確な実験を行う事が出来そうです。


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2017-03-29 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
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