海洋堆積物中化石DNAの解読に成功

高感度な分析装置を使って池の水や土壌中などの環境中のDNAを分析し、その地域にどのような生物が住んでいるのかを推定することができます。水の中に住んでいる生物から剥がれ落ちた細胞や糞便の中に含まれる細胞からDNAが流出するので、自然環境の中にはDNAがたくさん紛れ込んでいます。それらのDNAを「環境DNA」と呼びます。

過去の海洋生物を調べる場合、これまでは化石を調べるなどの研究が中心でしたが、海洋底堆積物中の古い環境DNAを調べることができれば、化石を探し出すこと無く、当時の海洋に生息した生物がどのようであったかがわかるはずです。

ですが、DNAは自然環境では微生物によって分解されてしまいますので、太古のDNAを分析するのは非常に困難と思われていました。微生物の生息しにくい環境であればDNAが残存している可能性が高まることを予測した東京大学の研究グループは、海底でメタンハイドレートの形成を伴う冷水湧出地域に着目して環境DNAを調べました。メタンが湧き出す海底ではDNAの分解をするような普通の菌の活動が抑えられていると考えたためです。

上越沖の3地点の地下40 mまでの地層中のDNAを調べた結果、10万年前の試料から、珪藻、放散虫、海藻、陸上植物等を起源生物とする化石DNAの配列を取得することに成功しました。

3万年前の地層からは当時が寒冷な気候だったことを示す寒い地域に生息する珪藻のDNAが珪藻化石と共に検出されました。3万6000年前と6万年前の温暖期の試料からは広葉樹であるハンノキとニレがそれぞれ検出されました。分析装置が高感度になったことによって実現した太古環境DNA解析は過去の生物や生息環境を復元するのに強力な武器となると期待されます。


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。


関連記事
スポンサーサイト
2017-05-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

QRコード

QR