マウス用VRシステム開発成功

現実と区別が付かない仮想体験はゲームの世界で急速に普及していますが、バーチャルリアリティ(VR)を利用できるのは人間だけではなく、マウスやラットなどの小動物でもVRを認識できることが近年明らかになってきました。

マウス用VRシステム開発成功

そこで、理化学研究所がマウス用のVRシステムを開発し、外の世界を認識する脳のメカニズムに応用しようと研究を続けています。  

マウスは脳機能の精密な測定や操作が可能な実験動物であるため、VRシステムをマウスに使わせて行動させながら脳の反応を調べることは、感覚・認知・記憶・学習など広範な領域にわたる脳科学の研究を加速させることが期待できます。  理化学研究所などの研究チームはマウスがVR空間内の目的地に一定時間とどまると報酬がもらえる新しい実験方法を考案しました。下の写真は開発されたバーチャル空間の様子です。

マウス用VRシステム開発成功

このVRシステムでは、体を固定したマウスを前後左右に自由に動くボール状の歩行装置の上に乗せ画面を見せます。マウスが走ると(実際には体は固定されているのでボールの方が動く)ボールの回転をセンサーで読み取って、VR空間の風景はあたかもマウスが空間内を走り回っているように見える仕組みになっています。VR空間内には通路、報酬がもらえる場所、通路の外には、山、タワー、建物などの報酬ポイントを見つけるための手がかりが配置されています。

このVR空間でマウスを走らせながら目的地の認識に対する海馬の活動を調べました。マウスにVR空間内で報酬を得る方法を教えるとマウスはVRシステムを上手に使いこなし、仮想空間の中を走り回りながら報酬のある場所を探し出し、そこにしばらくとどまることによって報酬をもらうことを繰り返しました。

そのマウスに特殊な薬剤を注射し海馬 の機能を低下させると報酬がもらえる目的地への到達確率が著しく低下しました。けれど、この低下は1~3日たつと回復する一時的なものでした。 つまり、海馬の活動を抑制するとVR空間における目的地に関する記憶を思い出すことができなくなるのですが、その記憶は海馬から消去されたわけではなく、一時的に記憶を取り出すことができなくなっているだけであることがわかりました。

このような実験は記憶のメカニズム、記憶したことを思い出すメカニズム、また痴呆の患者が食事をした直後に「うちのヨメはわしに飯を食わせない」などと直前の出来事をすぐに忘れてしまう際の脳の異常の解明などに役立つものと思われます。


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2017-05-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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