PQQがもたらす寿命延長の仕組み

ピロロキノリンキノン、略してPQQという物質があります。1970年頃酢酸菌などの微生物が作り出していることが発見された物質で、細胞の生育促進、抗酸化作用、神経保護などの様々な有益な活性を持っていることがわかっています。

哺乳類においては気がつかないうちに食品から多量のPQQを摂取しており、1980年代の研究ではエサに自然に含まれるPQQを完全除去したところ、発育不全、生殖能力低下などの早期老化症状に似た状態となりました。そのことから、PQQは哺乳類の正常な生育に必須のものであると考えられています  

PQQ欠乏が早期老化様症状を示すことから、名古屋大学などの研究者らはPQQの寿命に与える影響をこのような実験によく使われる線虫C.elegansを使って調査しました。その結果、成長した線虫にPQQを与えると寿命が30パーセント延長することがわかりました。

PQQがもたらす寿命延長の仕組み

PQQは細胞内に取り込まれた後に細胞膜の酵素に作用し、細胞外側表面で「活性酸素」を「ミトコンドリア活性酸素」と呼ばれる「低レベル活性酸素」に変換し、生体防御機能を活性化させることによって長寿命化現象を起こしているものと思われます。  

低レベル活性酸素という考え方は最近のものであり、かつての活性酸素はとにかう悪者である、タンパク質やDNAを破壊する有害物質、という考え方から一歩進んで、ミトコンドリアが生み出す「低レベル活性酸素」は寿命延長効果があるとされています。

ですが、今回のPQQの作用はミトコンドリアではなく、細胞膜での作用でしたので、これまで知られていなかった新しいメカニズムであると思われます。

かつて活性酸素を除去する抗酸化剤に寿命延長効果があるのでは、と盛んに研究されていましたが、不思議なことに活性酸素を除去しても寿命は延長しないことが定説となっており、それに代わってPQQが活性酸素に対して重要な役目を担っていることがわかりつつあります。


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2017-07-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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