Chapter-427 シリセン

 北陸先端科学技術大学院大学の研究者らが世界で初めて「シリセン(Silicene)」をシリコンウェハー上に作製し、その構造と電子状態との関係を解明することに成功したと発表しました。

 シリセンは2010年のノーベル物理学賞を受賞したグラフェンという物質・・・炭素原子が六角形に結合して、厚さは原子1個分しかないシート状の物質・・・と同様の構造を持つ、ただし炭素の代わりにケイ素(Si)でできた二次元的なシートです。周期表を見るとケイ素は炭素の真下にあります。このことは炭素とケイ素の性質が似ていることを示していて、理屈ではケイ素でもグラフェンのようなものが作れると思われるのですが、シリセンの合成と性質の解析はうまくいっていませんでした。というのもグラフェンは自然界に存在する黒鉛と同一の構造を持ちますが、ケイ素でできた黒鉛のようなものは自然界には存在していない(=安定に存在できない)のです。今回の発見では、シリコンウェハー上でシリセンを作るという作成方法の工夫をすることによって実際にケイ素を平面状に結合させることに成功しました。

 ただ、炭素原子は炭素原子同士6個が結合すると自然と平面になりますので、原子1個分の厚さと言えるのですが、ケイ素は立体的に結合したがるという性質が残っていて、完全な平らにはならず、テトラポットを規則正しく平面にならべたような、規則正しいデコボコした構造になっているようです。

 グラフェンは電気を容易に通す導体の性質がありそれが産業上の有用性につながっているのですが、シリセンにもグラフェンにはない産業上有用な性質があることがわかっています。それがバンドギャップというものでエレクトロニクス材料として利用するには不可欠な性質です。この性質を利用すればシリセン上の電子の移動を制御することが可能になりますので、導体から半導体の性質を持たせることができ、ナノスケールの電子回路を作るエレクトロニクス材料として使用することが可能かもしれません。

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2013-01-27 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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