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医薬品を脳に送り届ける画期的な手法

アルツハイマー病などの神経疾患の治療薬には決定的に効く医薬品がまだ存在しません。その理由は脳の構造や機能が複雑で病気の原因が十分に解明されていない点もありますが、脳に薬を送り届けることが非常に難しいので、試験管内の実験で効果が確認できても、実験動物では薬が脳に到達せず、効果が出ないことも大きな原因の一つです。  

服用した薬は小腸などから吸収されて血管に入り、全身を循環する過程で脳の血管から脳へ入ります。ところが、脳には血管から脳へ物質が入ることを制限する血液脳関門というバリアがあります。関門を通り抜けられるのはアミノ酸などの脳が本当に必要としている物質だけで、医薬品もこのバリアを通り抜けることが非常に難しいのです。

東京医科歯科大学発のベンチャー企業ブレイゾン・セラピューティクスが新たに開発した方法では、脳の内部まで医薬品が到達する確率が数十倍に高まることが期待されています。この方法では医薬品を高分子でできたウイルスと同じくらいの大きさのカプセルに封入し、脳が栄養を取り込む仕組みを利用してカプセルごと脳内に送り込みます。 ブドウ糖は血液脳関門を越えて脳に到達しますが、それは脳がブドウ糖を取り込む仕組みを備えているからです。その仕組みとはグルコーストランスミッター1と呼ばれるグルコースを運搬するタンパク質の存在です。グルコーストランスミッター1は空腹になると血管の内壁に集まり、満腹になると内側に戻っていきます。  

高分子カプセルにブドウ糖を結合させておくとグルコーストランスミッター1が内部に戻る際に、このカプセルを引き連れていくことを発見し、これを応用したのです。

医薬品を脳に送り届ける画期的な手法
図:脳血管の断面図
脳の血管を様々な細胞が取り囲み、不要物の侵入を防ぎ、大量に消費されるエネルギー源となるアミノ酸などを積極的に取り込みます。


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2017-12-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
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