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酸性脳

健康な人の脳は中性に保たれていますが、脳が急激に活動して糖を分解してエネルギーを作り出すと脳が酸性になることがあります。さらに、脳の酸性化がパニック障害など精神疾患の患者で起きている可能性を示すデータも報告されています。 死亡した患者の献体による研究では統合失調症と双極性障害の患者の脳では酸性度の実測値が高く、つまりpHが低いことがわかっています。  

遺伝子を改変して人間のパニック障害を再現したマウスでも同様に脳は酸性化しており、脳が酸性化する原因となる化学物質の乳酸も通常のマウスより高濃度で検出されました。つまり、脳の酸性度と精神疾患は関連している可能性が高いといえます。  

このことを確認するためには生きている人の脳でも酸性度が高まることを確認する必要がありますが、生きている脳のpHを測定するのは難しく、これまでの研究では磁気共鳴分光法でパニック障害患者の乳酸レベルが高いことによって間接的に確認されるに留まっています。

脳の酸性度が高まる原因として、患者の脳の神経活動が通常よりも活発である可能性や、細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアの機能不全である可能性、あるいはその両方が起きている可能性も考えられます。 ですが、それらの結果はいずれも現象を観察しているに過ぎず、脳が酸性状態になることが認知や行動に変化をもたらすのかについては謎です。

細胞環境が中性か酸性かによって神経伝達物質をやり取りする受容体タンパク質の構造が変化し、神経伝達物質を受け取る能力に影響が出ることは想定されますので、起こりうることではありますが、まだ動物実験で脳の酸性度と精神活動を結び付けた明確な報告は出ていません。
参考:日経サイエンス2018年1月号



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2018-01-16 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
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おびおのプロフィール

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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
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