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ヴォイニッチの科学書 第695回 自然選択説で説明できない現象の発見

最新科学情報ポッドキャスト番組「ヴォイニッチの科学書」2018年3月3日更新は遺伝子が同じなのに表現型が違うとは?です。遺伝子が同じ双子の性格が違うのは当たり前のことと感じますが、その当たり前は何に基づくものなのか? ということを解き明かしたくて仕方がないのが科学者の性(サガ)なのでしばしば「え?それってまだわかってなかったの?」的な話が出てくるのも科学の面白さかと思います。今回紹介したような仕組みのほかに、ウイルスによる遺伝子注入で細胞の代謝活性に変化が生じて・・・的な話も合ってなかなか当たり前のことを科学で説明するのはむつかしいもののようです。

ヴォイニッチの科学書 第695回 自然選択説で説明できない現象の発見
植物大好き、ダーウィン少年(7歳)

自然選択説による生物の適応現象は、より生き残りやすい遺伝子を持つ生物が次の世代に遺伝子をつなぐことによって進化してきたと考えられてきました。つまり、進化はDNAの塩基置換によってのみ生じると考えられていたのですが、それを見直す必要があるのかもしれないことを示唆する北海道大学の研究です。  

生物が自らを環境に順応させていく適応現象は、DNAの塩基配列上に起きた塩基置換により表現型(体の形、代謝能力、食習慣など)が変化し、それが有利だった場合には集団中に広まって、その遺伝子が固定されるものと考えられてきました。

あるアリの集団の女王はオス不要で自分と同じゲノム配列を持つクローンである働きアリを産むことが確認されています。遺伝的に全く同じゲノム配列を持つはずのこの働きアリの間に、人間のようなオスとメスで子孫を残す生物に見られるような食べ物に対する代謝反応の個性があることがわかりました。遺伝子が同一であるにもかかわらず、大きな個性が発生する原因についてはいくつかの仮説が考えられますが、エピジェネティクスと呼ばれる、同じDNA配列が異なる化学的修飾を受ける現象は有力な候補です。

今後、個性に影響を与える遺伝子領域を特定し、その部分の遺伝子への修飾パターンと個性の関係を比較することで、同じゲノム配列を持つクローン間の表現型の違いを何がもたらすのか、明らかにすることが必要です。  

これまでの生物の適応現象の説明は、遺伝子の DNA 配列に起きた塩基置換などの配列変化によりタンパク質のアミノ酸配列が変化し、それが有利なら、集団中に広まり適応が進化する、というダーウィンの「自然選択説」をベースにした説によって説明されていました。しかし、遺伝的に全く同一であるはずのクローンが、適応的な表現型の大きな個体間変異を示すことが明らかになったことから、遺伝子型の同一性にかかわらず、表現型を生み出すメカニズムが存在するらしいことが明らかになりました。


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。
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2018-04-01 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
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