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ヴォイニッチの科学書 第697回 北極の気候は確実に変わっている

夏の北極海の氷が年々減っています。これは地球温暖化の結果起きた現象の例としてよく取り上げられます。地球温暖化の問題とは別に、世界各国が夏の北極を横断することで太平洋地域と大西洋地域を短時間で結ぶ新たな物流ルートを開拓しています。このルートではアフリカや南米を迂回する必要もなく、運河を通過する必要もないので、巨大貨物船を就航させることができ、世界の原料や製品の供給勢力図が書き換わる可能性があります。  

下のCGはマースク・トリプルE級と呼ばれる世界最大のコンテナ船で全長400メートル、幅は59メートルもあります。この大きさではパナマ運河は通過できません。

ヴォイニッチの科学書 第697回 北極の気候は確実に変わっている

北極海を取り囲む北極圏の陸地の約8割、550万平方キロメートルはツンドラ地域と呼ばれます。この地域は2年以上連続して土地の温度が0度以下の永久凍土が地下に広がる湿原地域です。国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、地上観測データと双子人工衛星GRACEの観測データを組み合わせて、この地域における気候変動の影響を解析しました。

GRACEは二基の衛星が互いの距離を超精密に計測しながら飛行しています。地上の密度、たとえば水なのか土なのか洞窟があるのか金属が埋まっているのか、そのような変化によって地球が衛星を引っ張る力が変化しますので、それにともなって衛星間の距離が微妙に変化します。その変化を計測し、衛星の距離の変化として地球表面や内部の様子を観察するのがGRACEです。

ヴォイニッチの科学書 第697回 北極の気候は確実に変わっている

2002年から2016年までの過去15年間のデータによると、北極圏の年間の平均気温は温暖化の兆候が無いにも関わらず、6月から8月の夏の平均気温は15年間で2度も上昇していることがわかりました。この温暖化に伴って地中に蓄えられた水が蒸発し、15年間で約1,100億トンもの水が失われ、著しい乾燥化が進んでいます。永久凍土の氷が溶けると、地中に閉じ込められた温室効果ガスが放出され、より一層、物質の循環に変化をもたらします。  

北極圏の土中にこれまで封じ込められていた大量の水が大気中に供給され、夏季の温暖化や豪雨の発生が広く進むなど、地球環境が大きく変化しつつあることが今回の解析によって明らかになりました。日本での熱帯のような豪雨の発生や、冬期はもちろん3月にもなって大雪に見舞われることに北極の気候が影響していることはこれまでもすでに推定されていました。ですが、これまで北極には地上の観測拠点がほとんどなかったことから、詳細はあまりよくわかっていませんでした。今回の解析によって北極域の温暖化と地球規模の水循環、あるいは異常ともいえる気象現象の研究に新たな知見が加えられるものと思われます。


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。
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2018-03-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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