FC2ブログ

チートなマップを実現する技術

動物が自分の位置や進行方向を判断する脳内ナビゲーションシステムを持っていることはすでに広く知られています。

自分自身の居場所を認識する神経細胞には、自分が特定の場所に来ると強く反応する細胞や、頭の向きを認識してコンパスの役目をする細胞、移動速度を認識する細胞などに役割分担した細胞が複雑に連携して機能しています。

これまでよく知られていた脳内ナビゲーションシステムは、自分のいる場所を空間の中で認識するためのものですが、コウモリまたはラットを使った実験で、他の動物の動きや居場所を把握する専門の神経細胞があることが明らかになりました。コウモリの実験を行ったのはイスラエル・ワイツマン科学研究所、ラットで実験を行ったのは日本の理化学研究所の研究チームです。いずれの動物でも、関係する神経細胞は自分自身を認識するナビゲーション細胞と同じく、脳の中の海馬に存在していました。  

今回の実験に使われたコウモリもラットも仲間とコミュニケーションする社会性のある動物で、集団内の仲間と情報交換したり一緒に行動したりするためには、他人の居場所も認識する必要があります。コウモリは仲間のコウモリが飛行した経路を観察、把握しており、自分も同じ飛行経路を飛行することができます。この時のコウモリの脳の活動を画像解析したところ、自分の居場所に反応して活動する、これまで知られていたナビゲーション神経細胞とは別の神経細胞が活性化して仲間の飛行経路を把握していることがわかりました。

おもしろいことに、コウモリと同じ大きさのプラスチックの塊を空間内で移動させ、それをコウモリに観察させたところ、コウモリはプラスチックの塊と同じ経路を飛行したものの、その時に活動していたナビゲーション神経細胞は一部は異なる神経細胞群が活性化しており、自分の仲間とそうでないものを区別して空間把握していることがわかりました。  

人気アニメ「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」では主人公のサトゥーがチートでマップを展開し、自分の居場所と敵の居場所を展開します。私たちの脳の中にはもともとこのような自分と複数の他者をマッピングする神経システムがそなわっていることがわかりましたので、ナビゲーション神経細胞の活動を脳内埋め込み装置などで解読してスマホに転送すれば、このような異世界での技術も実用化できそうです。


この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。 有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。
関連記事
スポンサーサイト
2018-03-31 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびお

Author:おびお
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
ツイッターアカウント:@cradiobio
ものことごはん:http://obio2.blog.fc2.com/

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

07 | 2018/08 | 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

QRコード

QR