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グーグルの量子コンピューター

グーグルはカリフォルニア大学サンタバーバラ校の主導で「ブリッスルコーン(Bristlecone)」という名の新たな72量子ビット (72キュービット) の量子コンピューターチップを発表しました。キュービットは量子コンピューターにおける基本的な演算単位です。

プロセッサーに搭載された量子ビットのこれまでの最高記録はIBMが2017年に発表した50キュービットでしたので、それを大きく上回る搭載量です。72キュービットもあれば、この新たなチップは「量子超越性」を実現できる可能性が極めて高いと考えている科学者もいます。量子超越性とは、量子コンピューターの能力が従来型スーパーコンピューターでは到達不可能なレベルに達する段階のことです。

グーグルの量子コンピューター

これまでのコンピューターは1ビットに1または0を割り当てますが、量子コンピューターでは一つのキュービットに1と0を多重状態、つまり重ね合わせの状態で存在させることができます。それぞれのキュービットは「もつれ」と呼ばれる物理現象で影響を及ぼしあうことができます。従来型のコンピューターも8ビット、16ビット、32ビットと性能を上げてきましたが、量子コンピューターでキュービット数が増えることによる性能向上は従来型の感覚をはるかにしのぎます。  

量子コンピューターのキュービットを増やすには非常に高い技術が要求されます。キュービットの量子状態を安定に保つには、極限的に低い温度で超伝導回路を作成する必要があり、わずかな温度による原子の振動でも計算エラーにつながります。キュービットが増えればそれだけエラーが出る可能性が高まりますので、ハードウエアの設計やエラー対策の難易度も著しくに上昇します。  

量子コンピューターを開発する各社はキュービットが増えることによるノイズ、つまりエラーのコントロールをどうするかが大きな問題になっています。グーグルはやる気満々ですが、どのくらいのキュービット数に到達すれば量子超越性が達成できるかはよくわかっておらず、量子超越性が実現できるものなのかどうかも明確にはなっていませんので、当面は従来型で、という考え方もあります。IBMは従来型のコンピューターで49キュービットの量子コンピューターと同等の性能を達成しています。  

量子コンピューターにしかできないアルゴリズムによって答えを出せることを「量子有利性」といいます。それが活かせるのは、たとえばAIのような、誤りやあいまいさが許与される判断に関する計算。あるいは暗号鍵の解読などです。

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2018-04-16 : 科学の小ネタ : コメント : 0 :
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