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人食いバクテリアの免疫回避機構

病原菌の劇症型溶血性レンサ球菌は粘膜などでよくみられる細菌です。普通は免疫系で処分されるので感染しても発病はしません。ところが、一部の人では発病の上、劇症化し、手足の壊死や多臓器不全を起こし死に至ります。発症した場合は、3割が死に至ることから、「人食いバクテリア」とも呼ばれて恐れられています。私たちの身体には病原菌を排除する免疫系があるのに、この菌はどうして、私たちの体内で増殖できるのでしょうか?  

大阪大学の研究によると、免疫系はレンサ球菌が生産するモノグルコシルジアシルグリセロールという分子を発見すると免疫反応を活性化して、菌を排除していることがわかりました。一方、一部のレンサ球菌は、この免疫活性化をマヒさせるジグルコシルジアシルグリセロールという分子を大量に放出し、これをミノフスキー粒子 のように使って免疫の攻撃を回避することで劇症化していることが明らかになりました。

この発見を応用し、レンサ球菌がジグルコシルジアシルグリセロールを合成する経路を阻害することができれば、人食いバクテリアの治療薬になる可能性があります。病原体を直接殺すのではなく、免疫系を回避させないことで免疫感受性を付与して病原体を排除する、新たな作用機序に基づく感染症治療薬は今後益々必要とされており、実用化に向けた研究が期待されます。

※ミノフスキー粒子は、アニメ『機動戦士ガンダム』劇中で登場した仮想物質で、通信障害を生じ、レーダーを機能させなくする物質として設定されました。


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2018-11-21 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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