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アスピリンの抗がん作用

バファリンAの主成分でおなじみのアスピリンですが、良く知られている鎮痛解熱の他にもたくさんの作用があることが最近わかってきました。もともとアスピリンは20世紀の研究においてプロスタグランジンが体内で作り出されることを妨害することがその中心的作用であることがわかっていました。プロスタグランジンは痛み、炎症、発熱、血液凝固などを引き起こす物質です。 米国を中心に病気に関わらずアスピリンを常用している人は多く、年間1200億錠ものアスピリンが消費されています。それによって、潜在的に心臓発作なども防がれているものと推定されています。  

最近の研究でアスピリンに新たな作用があることが発見されました。それはがん細胞の転移を抑制する作用です。しかも、この作用は以前から知られていた抗炎症作用とは全く異なるメカニズムのようなので驚きです。  

がん細胞の転移について簡単に説明すると、主要組織から血管中に入り込んだがん細胞は特殊なワザを使って血小板ちゃんをたぶらかし、血小板ちゃんに取り囲まれるようにして白血球の目をごまかして体内を移動します。その後、適当な臓器に入り込むと、腫瘍組織の旺盛な増殖力を賄うために、新たな血管を腫瘍細胞の中に引き寄せます。これを血管新生作用といいます。  

アスピリンのがん転移抑制を確認するためにマウスにアスピリンとがん細胞を血管内投与したところ、血小板ちゃんはがん細胞を保護しなくなり、血管新生も起きなくなるダブルの効果が確認されました。アスピリンは血液細胞に対し、遺伝子レベルで作用しているようなので、アスピリンの投与で活性が変化する遺伝子を血液細胞で網羅的に調べたところ、60種類もので因子に影響を与えていることがわかりました。具体的な作用メカニズムはまだわかっていませんが、アスピリンは複数の遺伝子に総合的に働きかけ、血小板の性質を、がん細胞に騙されない性質に変えているらしいことがわかりました。 

アスピリンの抗がん作用

すぐにがん細胞にだまされる血小板ちゃん


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2018-11-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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