Chapter-432 伝書バトが迷子になる謎に新説

 伝書バトの方向感覚を狂わせるらしい場所が希にあることが知られています。ある説では、伝書バトは超低周波の音をたどってルートを決定しており、この帰り道を「聞く」能力が狂うと迷ってしまうとされています。このような低周波音は人間には聞こえないほど低い周波数です。どうやら伝書バトはその音を聞くことによって、あたかも人間が眼で自分の帰り道を確認できるように、音の地図を頭に思い描けるようなのです。

 大きなスケールで方向感覚を持つ動物は東西南北を知るセンサー、つまりコンパスのようなものと地図データのようなものを併せ持っていると考えられています。人間は地図情報はある程度機を区することができますが、コンパスは全く機能していません。一方で、ハトではこの両者が機能しています。動物のコンパスシステムについてはかなり詳しく解明されているのですが、地図システムについては未解明な部分が多数残されています。

 伝書バトを様々な地点で放って巣に帰れるかどうかを調べる実験の過程で、ある特定の地点から放つと巣に帰ることができる日と出来ない日があることに気づきました。その理由を調べたところ、巣の周辺の低周波音がハトを放つ地点で聞こえていると無事に帰り着くことができ、聞こえていない日には帰ることが出来ないことがわかりました。低周波音が遠くに届くかどうかは風のパターンの変化や気温の逆転によって変化します。また、低周波音は地形によって反射されるなどして実際の音源とは違う方向から伝書バトを放つ場所に届くことがあることもわかりましたが、このような地形条件では若く経験の浅い伝書バトは帰り道に迷うことも確認されました。

 伝書バトの優れた帰巣能力の解明は生物の謎を明らかにする知的好奇心的観点だけではなく、米軍も関心を持っていると言います。米軍はナビゲーションに衛星を使ったGPSシステムを使用していますが、衛星システムが攻撃を受けるとナビゲーションに大きなダメージを受け、米軍は敵地で大混乱に陥ることが想定されます。そのため、伝書バトがどのようにして地球環境を利用して地図を作り出しているのかを解明し、そのメカニズムを海軍と空軍のナビゲーションシステムに応用しようとしているということです。

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2013-03-06 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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