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宇宙に関する根本的な数値の再検討が必要

遠方宇宙のクエーサーの観測から、初期宇宙の膨張が標準宇宙モデルの予測と食い違っている可能性が示されました。クエーサーは激しい活動をしている銀河で、いずれも数十億光年以上離れているにもかかわらず明るく輝き、強い電波を発しています。

宇宙に関する根本的な数値の再検討が必要

現在の標準宇宙モデルでは、人体や惑星、恒星などを形作っている普通の物質は宇宙全体の数パーセントしか占めていないとされています。残りの4分の1はダークマター(宇宙空間に存在し、質量だけをもち、目に見えない物質)、残り4分の3はダークエネルギーで、ダークエネルギー が宇宙の加速膨張を現在も引き起こしているとされています。

この標準宇宙モデルのもとになっているのは、約138億年前に起こったビックバンの熱放射の名残である宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測と、超新星爆発や銀河団の観測データです。宇宙マイクロ波背景放射からはこの宇宙が誕生した時の情報が得られ、銀河団などの観測からは最近の宇宙の情報が得られます。この間をつなぐために伊・フィレンツェ大学と英・ダーラム大学の研究チームがクエーサーの明るさから宇宙膨張の様子を調べました。 ESAのX線宇宙望遠鏡XMMニュートン、NASAのX線宇宙望遠鏡チャンドラ、スウィフトの過去の観測データから1600個のクエーサーのX線データを選び出し、地上からの紫外線観測の結果と組み合わせて解析しました。

その結果、80億年前の宇宙膨張を記録した超新星爆発データと、120億年前の宇宙膨張を記録したクエーサーのデータはどちらも似た宇宙膨張の速度を示しました。ところが、より古いクエーサーの観測から導いた実際の膨張速度と標準モデルの予測との間に食い違いがあることがわかりました。同様の食い違いはすでに、宇宙マイクロ波背景放射の観測結果から導き出した現在の宇宙の膨張速度を表す「ハッブル定数」が過去の計算値と一致しないことも報告されており、こうした食い違いを解消するためには、標準宇宙モデルに新たなパラメーターを追加する必要があるかもしれません。

宇宙初期と120億年前から現在までの宇宙膨張速度に違いがあることの、一つの解決策として、標準理論では一定とされているダークエネルギーの密度が、時代とともに増えると仮定することが考えられます。この過程を証明するためには、より多くの宇宙初期のクエーサーの観測が必要です。 ESAでは、2022年に宇宙望遠鏡「ユークリッド」の打ち上げを予定しおり、ユークリッドは100億光年かなたの宇宙の姿を観測できる性能があるため、ダークエネルギーについてもなんらかの知見が得られるものと期待されています。

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現在建造中の「ユークリッド」
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2019-02-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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