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ハロー・ドライブ

ハロー・ドライブというのは恒星間宇宙船の駆動方法で、ブラックホールと光子を使って宇宙船を光の速度に近い高速にまで加速する研究途上の技術です。

米国コロンビア大学の研究者が、惑星の重力を使って探査機を加速させるスイングバイと同じ方法で、探査機そのものを加速するのではなく、動力源となる光子を加速しよう、というアイディアを考え出しました。単純に考えれば、ブラックホールを使って宇宙船自身がスイングバイをすれば相当な加速が得られそうですが、それではブラックホールの強大な潮汐力 によって宇宙船が破壊されてしまいます。

 そこで登場するのがハロー・ドライブです。光子をブラックホールの近くを通過させ、光子にスイングバイをさせるのです。ブラックホールから離れた安全な場所を飛行中の宇宙船のソーラーセイルに加速した光子を衝突させて宇宙船を加速します。光子は宇宙船から放出され、ブラックホールをU字型に通過して宇宙船の飛行方向に戻して加速に利用します。

ハロー・ドライブ

上の図はMIT Technology Reviewから引用したハロー・ドライブの説明図です。時計回りの赤い線が探査機から放出された光子の飛行ルートです。光子はブラックホールの周りを4分の3周して探査機の帆に高速で衝突し、探査機を加速させます。現在の惑星探査機が行っているスイングバイは減速はできませんが、ハロー・ドライブの場合、ソーラーセイルに向かって逆方向から光子を衝突させれば宇宙船の減速も可能なため、ブラックホール間を光速に近い速度で移動する宇宙船は実現の可能性が高いものです。

 ブラックホールはエネルギーを放出しませんので、ブラックホールに知的生命体のいる惑星が存在する可能性はないと思われますが、ブラックホールと通常の恒星の連星系、つまりブラックホールと太陽のような普通の星がペアになっている惑星系であれば、知的生命体が存在する惑星が無いとは言い切れません。銀河系内にもブラックホールは大量にあり、ひょっとすると、ブラックホール連星系で発達した文明がハロー・ドライブを利用して、すでに相対論的速度で移動できる宇宙船を開発しているかもしれません。

 もしそうであっても太陽はブラックホールを伴っていませんので、地球付近でハロー・ドライブを使って減速、停止することはできず、太陽系に異星人やってきたとしても光に近い速度で通過するだけなので、私たちはそのような宇宙船がやってきたことを知ることはできないでしょう。


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2019-05-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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