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月の形成に関する新しい仮定

国立研究開発法人海洋研究開発機構の研究者らは、現在の地球及び月を作った原因とされる、巨大衝突仮説と呼ばれる現象のコンピューターシミュレーションを行い、月が原始地球のマグマオーシャンと呼ばれるマグマの海から作られた可能性があることを突き止めました。

地球と水星、金星、火星は太陽系の中の岩石型惑星と呼ばれる四兄弟です。しかし、地球にだけ月のような大きな衛星があります。ということは、四兄弟の中で、地球にだけ何か特殊な出来事があったと推測できます。その出来事として最も信頼されている説は、巨大衝突仮説というもので、地球ができて間もないころ、今から46億年ほど前の地球に火星と同じほどの天体が衝突したというものです。この衝突によって、地球と地球に衝突した天体両方の岩石が蒸発し、あらたな地球と、その周辺に岩石の円盤ができました。この岩石の円盤が重力により月になったと考えられています。

しかし、この説では説明できない矛盾があります。それは、アポロ計画で持ち帰った岩石の元素成分が地球とほぼ同じなのです。このことは、月が地球から誕生したことを意味していますが、コンピューターシミュレーションによると、月の主成分は衝突した天体の組成を示すはずでした。

そこで本研究グループは、この矛盾を解決するために新たな仮説として、天体が衝突した時の地球にはマグマオーシャン、つまり熱くドロドロの液体状の岩石の海があったと、新たな仮説を追加することを提案しました。液体の岩石は固体の岩石と性質が大きく異なりますので、月形成のシミュレーション結果も異なるものになるはずです。

海洋研究開発機構では、液体の岩石の効果を加味した巨大衝突のコンピューターシミュレーションをスーパーコンピューター「京」で新たに構築しました。
そしてシミュレーションの結果、マグマオーシャンが衝突時の地球に存在している場合、主に地球のマグマオーシャンが衝突円盤の形成に大きく寄与していることがわかりました。衝突後、地球のマグマオーシャンからマグマがジェットの様に吹き出します。この吹き出したマグマが、月の材料になる円盤になることで、原始地球由来の物質の割合が多い円盤ができあがります。
マグマオーシャンの地球に天体が衝突したという新たな仮説は、月と地球の元素組成をうまく説明することができ、現在の地球と月がどのように形成されたかを知る上での、大きな手がかりとなるとおもわれます。




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2019-05-27 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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