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ストレスでタンパク質合成が止まる仕組み

ストレスでタンパク質合成が止まる仕組み

身体の構成成分としてのタンパク質を作り出すには、原材料のアミノ酸を合成したり、DNAから必要な設計図を「翻訳」したり、細胞が負担する作業量が膨大なため、非常に多くのエネルギーを消費します。ストレスによって、細胞が正常な活動ができなくなる状態になると、エネルギーを節約したり、ストレスによってタンパク質の合成が失敗したりすることを防止するために、タンパク質を作り出す作業を控えます。一方で、節約したエネルギーを使って、特定のストレス応答タンパク質の合成を始めることで、ストレス環境への適応 を行います。このようなストレスによる翻訳の制御には、ストレスに対抗するタンパク質合成のための翻訳を開始する指示を出す翻訳開始因子「eIF2」の部分的なリン酸化 が重要であることが知られています。しかし、その詳細なメカニズムはわかっていませんでした。

理化学研究所の研究者らはeIF2のリン酸化からはじまる連鎖反応やそれに関連する分子の立体構造の変化など、一連の変化を明らかにし、複雑な構造変化がeIF2のリン酸化をきっかけとして起きることを明らかにしました。 細胞がストレスを受けてもタンパク質が作り続けられれば細胞はますます疲労しますし、ストレスから解放されてもストレスタンパク質が作り続けられてしまうと、例えば認知機能の低下などさまざまな疾患の原因となります。今回の研究に関連した、eIF2の構造変化反応を促進する薬剤、つまりストレスタンパク質の合成を抑制する作用を持つ分子は、神経変性疾患の進行を遅らせ、外傷性脳損傷による認知機能の低下を防ぐ作用を持つことが報告されています。


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2019-05-29 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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