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オキシトシンよりも強力な愛情化学物質

金沢大学、大阪大学、東北大学、北海道大学の共同研究グループは、社会性行動の調節に重要なホルモンであるオキシトシン(次図)の類似体を有機合成し、それらの化合物の中から、マウス体内で天然に作られる内在性オキシトシン よりも長期間作用し、効果も大きい化合物を新しく見いだしました。

オキシトシンよりも強力な愛情化学物質


オキシトシンは子宮や乳腺のような生殖器官、心臓および中枢神経系に作用するペプチドホルモンです。子宮平滑筋収縮と乳汁分泌促進に加え、神経活動調節作用を持ち、多くの哺乳動物種の社会的なふるまいや認知・記憶といった社会的なコミュニケーションに重要な役割を果し、愛情ホルモンとも称されています。最近では、自閉症などの精神疾患の中心症状である社会性交流障害の改善に有効である可能性が示されるようになりました。今回、共同研究グループは、オキシトシンの構造をもとに、有機化学的な修飾を行うことにより、オキシトシンよりも強力で、効果持続が見込める新規化合物を合成することに成功しました。

オキシトシンは自閉スペクトラム症(ASD)の治療にも効果があるとされていますが、天然のオキシトシンでは体内挙動が原因で効果が不十分です。今回の化学物質は、医薬品としての用途が期待されています。その効果を研究グループはマウスで調べました。

 父親が子育て行動を示さないCD38遺伝子ノックアウトマウスおよび遺伝子編集法の一つであるCRISPER/Cas9法により作出した自閉症マウスモデルを使い、個体レベルの行動実験を行いました。天然型(内在性)オキシトシンを注射した場合、父親は子育て行動を示しますが、その効果は6時間以内に消失しました。一方、今回開発された化合物を注射した場合には16~24時間以上、父親の子育て行動が持続しました。これらの結果は、自閉症の症状改善薬として、オキシトシンよりも効果がある可能性を示唆しています。


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2019-06-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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