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画期的な電子顕微鏡を開発

1931年に実現した電子顕微鏡 は、電子を使ってミクロの世界を観察する顕微鏡で、現在用いられている全ての顕微鏡の中で最も高い分解能を持っています。世界最高性能は東京大学の40.5ピコメートルで、これは水素原子の半径(53ピコメートル)より小さいものを見分けることができます。

 光学顕微鏡は、ガラスをレンズとして使って物体の拡大像を得ますが、電子顕微鏡では強力な磁場をレンズに用います。磁場中に電子を入射するとローレンツ力という力を受けて電子は曲がりますが、この現象を試料の近くでレンズのように作用させることで像を拡大しています。3テスラにも達する強い磁場を使った対物レンズ の性能が、電子顕微鏡の性能、すなわち分解能を決定します。

観察する試料はこの強い磁場の中に挿入しなければならない構造であるため、試料は常に強磁場にさらされることになります。その結果、磁気メモリーなど、磁性を持つ材料では、レンズの磁場と材料の持つ磁性とが強く相互作用してしまい、元々の構造が大きく変化したり、破壊されたりしてしまう問題が生じます。

今回、東京大学と日本電子株式会社の共同開発チームは、試料室を磁場のない環境に保つことができる全く新しい対物レンズを試作し、そのレンズを搭載した電子顕微鏡を開発しました。これは、上下のレンズ磁場を逆向きに発生させることによって、試料上で磁場同士がちょうど打ち消し合ってほぼゼロになるように調整されたものです。 さらに、開発した新しい対物レンズと最新の収差補正装置 を組み合わせることで、原子分解能磁場フリー電子顕微鏡を開発しました。この装置の性能評価を行うために、窒化ガリウム(GaN)単結晶を観察するとGa-Ga原子間の距離はわずか92ピコメートルしか離れていませんが、その2つの原子が明瞭に分離して観察できているようになりました。次の写真はこの電子顕微鏡で窒化ガリウムを撮影したものです。原子が規則正しく並んでいる様子がはっきり撮影されています。

画期的な電子顕微鏡を開発


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2019-06-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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