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軌道エレベーター研究の現状

宇宙旅行をするには現在はロケットが使用されますが、それを代替する手段として軌道エレベーターの検討が多くの研究者や建設会社によって進められています。軌道エレベーターとは、静止軌道に設置した宇宙ステーションからケーブルを地表まで伸ばし、そこにゴンドラを設置して地上と宇宙空間を行き来する昇降装置です。たとえば、日本のゼネコン、大林組はこのような技術で軌道エレベーターを2050年に実現する夢を持っています。

軌道エレベーター研究の現状

地球から軌道エレベーターに乗り込んだ人たちは、3日程度をかけて上空35,786キロメートルの静止軌道上にある宇宙ステーションに向かいます。平均時速は500キロメートル程度で、現在JR東海が建設中のリニアモーターカーとほぼ同じ速度ですので、普通の人が十分に耐えられる速度です。多くの研究者が軌道エレベーターは理論的には建設可能と考えていますが、問題になるのは数万キロメートルもの長さの丈夫なケーブルです。現時点でこのように長くて丈夫なケーブルを現実的な費用と材料で作る技術は存在していません。

最近注目されているのが、宇宙ラインという技術です。宇宙ラインは月に片方の端を固定したケーブルを地球に向かって伸ばす技術です。軌道上に宇宙ステーションを建設して軌道ケーブルを地球に伸ばすより、月から宇宙ラインを建設した方が容易だろうと最近は思われるようになりました。とはいっても、従来の考え方の軌道エレベーター同様にこのような長くて丈夫なケーブルを作製することが困難であることに違いはありません。

かつては、ケーブルの材料が存在しないと言われていた軌道エレベーターですが、1991年に日本の科学者飯島澄男氏が世界で初めて実物を電子顕微鏡で発見したカーボンナノチューブの登場によって一気に現実味を帯びてきました。中国の精華大学などは長さ数十センチのカーボンナノチューブの合成に数年前にすでに成功しており、現在は長さ1キロメートルを目指して研究が進められていると思われます。将来、これを連続して紡ぐ技術が開発されれば、カーボンナノチューブ紡糸装置を搭載した静止衛星を打ち上げ、実際にケーブルを展開し、その挙動などを調べることによって、より理想に近い軌道エレベーターはどのようなデザインになるのかもわかってくるものと思われます。


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2019-12-23 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 1 :
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