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江戸時代の歯石DNAから当時の食物を復元

過去の人が何を食べていたかを調べる方法はこれまで、遺跡から出土した動物の骨や土器に残存した脂質分析、花粉化石などから推定していました。このような考古学の領域に近年「DNAメタバーコーディング」と呼ばれる手法が使われ始めました。DNAメタバーコーディング法とは生物種の特定のDNA領域をバーコードのように種の識別に用いることによって、出土品などに含まれる複数の生物種を一挙に同定する手法です。

琉球大学の研究チームは、遺跡から出土した人骨の歯石に含まれるDNAを分析し、DNAメタバーコーディング法で解析を行いました。歯石に含まれるDNAの約99%は口内常在菌ですが、残りの1%程度は、食べかすなどに由来する動物・植物・菌類のDNAです。

研究チームは、江戸時代後期、深川(現在の東京)から発掘された町人13個体の古人骨に付着する歯石に含まれるDNAを解析したところ、13人中8人からコメのDNAが検出されました。その他は植物では、シソ属やネギ属、ダイコン属など、合計で7科・10属を同定しました。

動物に関してもDNAメタバーコーディング法を適用しましたが、歯石にはヒト由来のDNAが多く含まれており、優先的に検出されてしまうので、ヒト以外の動物のDNAをこの手法で検出することはできませんでした。また、食物だけでなく、タバコ属の植物DNAなど、当時の生活習慣に由来すると考えられる植物のDNAも検出されました。なかでも特に興味深いものは、フタバガキ科の植物DNAが検出されたことです。この植物は、野生では、マレーシアなどの熱帯にしか生息していません。当時の文献を紐解いてみると、「龍脳」というフタバガキ科の植物から得られる樹脂が、庶民の歯磨き粉の原料として用いられていたことが分かりました。江戸時代の浮世絵からも、歯磨きの習慣が庶民に広まっていたことが分かります。このように、本研究で使った手法を用いることで、過去の人々の食物や当時の生活文化を個人レベルで復元することが可能になります。


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2020-03-27 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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