FC2ブログ

洗濯した木綿のタオルが固くなる理由

木綿のタオルを洗濯し、自然乾燥すると糊付けしたように硬くなる現象は、非常に身近なものですが、そのメカニズムはよく分かっていませんでした。

花王は、衣料用柔軟剤の研究開発の一環として、そのメカニズムの研究を行うなかで、木綿表面の「結合水 」と呼ばれる特殊な状態の水に着目するに至りました。結合水とは、物質に結合した水のことで、通常の水とは運動性が異なり、凍りにくいなどの特殊な性質を持つことが知られています。

花王の先行研究およびその他の測定方法などにより、濡らした後に自然乾燥した木綿には一定量の結合水が吸着していることと、木綿の結合水特有の性質が分かってきました。花王はこれらの知見に基づき、木綿を濡らした後で自然乾燥させると、木綿の繊維表面に吸着した結合水が「毛管接着」つまり、ごく狭い固体表面間に液体が介在することで接着を引き起こす現象によって繊維同士を繋ぎとめることで、硬さが発現することを提唱しています。 今回の新たな研究では、この説を証明し、木綿表面の結合水を直接とらえるために、原子間力顕微鏡(AFM)と、表面の高精度な表面観察と同時に化学的組成/状態情報を得られる赤外吸収スペクトルの取得が可能な最先端の表面分析手法であるAFM-IRを活用して乾いた固まった木綿の観察を行いました。

探針と呼ばれる微細な針で物質の表面状態を観察できる原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、木綿表面に探針を近づけたり離したりして測定した結果、探針が離れる時に、針が木綿側に大きく引っ張られる力が観測されました。このことは、木綿表面に粘度のある物質が存在していることを示しています。この現象は、木綿の主成分であるセルロースだけでは説明できず、木綿表面に結合水が存在することを示しています。

続いて、物質表面の科学的状態を観察できるAFM-IR で木綿表面を計測したところ、水の分子振動に対応する特徴的なデータが得られました。木綿の水分を完全に除去すると、このデータは得られなかったため、このデータは、木綿表面に存在する結合水が存在し、さらに、木綿表面の結合水が2つの異なる状態で存在していることを示していました。それぞれ、結合慧の空気および、木綿との界面の結合水に対応していると考えると説明がつきます。  以上の結果より、結合水が木綿表面に確かに存在し、毛管接着を介して、木綿の硬さなどの力学特性に寄与すること、また結合水自体も普通の水とは異なる、水分子同士が特異な結合をした状態にあることが実験的に明らかになりました。

洗濯した木綿のタオルが固くなる理由


この記事は科学のポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」です。 ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな科学の話題をわかりやすいまとめて配信しています。
毎週1テーマを紹介する無料版は Apple Podcast で聴くことができます。
毎週5テーマを紹介してPDF資料も付く有料版はオーディオブックジェーピーで配信中です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます

関連記事
スポンサーサイト



2020-04-06 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびお

Author:おびお
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。
ツイッターアカウント:@cradiobio
ものことごはん:http://obio2.blog.fc2.com/

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

04 | 2020/05 | 06
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

QRコード

QR