Chapter-462 イグノーベル賞2013

 イグノーベル賞は1991年に創設された、ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる賞ですが、その授賞式がアメリカのハーバード大学で行われました。イグノーベル賞には10の部門があるのですが、今年は2つの部門を日本の研究チームが受賞し会場を沸かせました。日本人が授賞するのは7年連続のことで日本の科学研究が独創性という点においては依然として世界トップにあることを示しています。

 イグノーベル化学賞にはたまねぎを切ると涙が出る原因となるメカニズムを酵素レベルで突き止めたハウス食品株式会社が。またイグノーベル医学賞を帝京大学などの研究グループが授賞しました。オペラを聴かせることが心臓移植治療後の延命効果があるという研究です。

 イグノーベル化学賞を受賞したハウス食品株式会社の研究ですが、授賞理由は「タマネギを切ったときに涙が出るという反応は実は非常に複雑なプロセスによって生まれていたことを発見」です。
タマネギを包丁で切ると涙が出ます。これは切断されたタマネギから何らかの分子が飛び出していることを示唆していますが、この涙を発生させる成分を催涙成分と呼びます。ハウス食品はこの催涙成分が新たに発見した催涙成分合成酵素、LF synthaseによって作り出されることを発見しました。

 タマネギの中には分子の中に硫黄の左右に3個ずつ炭素原子をくっつけたちょっと変わった形をしたPRENCSOという成分が含まれています。タマネギが刻まれるとこの分子がアリイナーゼ(Alliinase)という酵素の触媒で片方の炭素3個が切り離されて、つまり加水分解されます。タマネギからほのかに香るアンモニアの臭い箱の反応の副生成物としてアンモニアが生成するためです。そして、この硫黄原子に炭素が三つくっついた分子に今回発見されたLF synthaseが作用して催涙成分LF、本名propanthial S-oxideが生成します。

 もともとこの研究はタマネギとニンニクのペーストを混合するとどうして緑色になるのだろう、という研究の過程でLF synthaseが発見されたそうです。

 もう一つのイグノーベル医学賞は心臓移植手術をしたマウスにオペラの「椿姫」を聴かせたところ、モーツァルトなどの音楽を聴かせたマウスよりも拒絶反応が抑えられ生存期間が延びたという研究成果です。

 心臓移植手術をしたマウスは免疫を抑制しないと拒絶反応が起き、平均7日で死んでしまいますが、帝京大の研究では移植後7日間にわたりオペラ「椿姫」を聴かせると、平均で26日間も生存したそうです。一方で聴かせた音楽がモーツァルトなら20日間、エンヤだと11日間でした。地下鉄の雑音には延命効果はありませんでした。

 また、鼓膜を壊すとオペラの延命効果も失われることから、音楽が脳を介して免疫反応に影響していると考えられます。さらに、長生きしたマウスの体内では、免疫を抑制する細胞が増えていることも確認されました。



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2013-09-14 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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